新聞販売店、紙袋からプラ製「レジ袋」へ 時代に逆行

「新聞整理袋」などと称し、新聞販売店がプラスチック製レジ袋を配布する地域が増えてきた。

以前は紙製だった地域も、最近はポリエチレン製などに替えている。

これも「レジ袋」だから、続けるならば来年から有料化すべきだ。

しかし、来春予定されている「レジ袋有料義務化」は容器包装リサイクル法(容リ法)の中で検討されることになりそうだから、新聞整理袋は容リ法が規定する「容器包装」には該当しない。そのため、例外規定が設けられない限りは有料化されない。

紙製の新聞を白い紙袋に入れれば、袋も新聞と一緒に製紙工場へ行きパルパーの中に入れられる。だから、白い紙袋を配布するのは理解できたが、新聞販売店によるポリエチレン製袋の配布は理解不能だ。

販売店によっては、これまで無漂白の茶色っぽい紙袋を使っていた。この場合、新聞と一緒にパルパーへ入れられないから、袋は段ボール工場へ回される。一手間かかるから、なぜ白色にしないのかと思っていたが、レジ袋よりはるかにマシだった。

地域によっては、紙ひもを配る地域もあった。最近ではあまり見かけないがどうなったのだろうか?

紙ひもをいちいちプラ袋に入れて配るのはどうかと思うが、紙ひも使用初心者には、こういうサービスも悪くない。使い慣れたら、好きなサイズを1巻き買えばよい。

紙ひもは、横浜市資源リサイクル事業協同組合でも売っている↓

http://www.recycledesign.or.jp/product/

プラスチック製新聞整理袋は、「脱プラ」時代に逆行していないか。

紙袋よりもプラスチック袋のほうが安いからだろうが、こんなことするならば、新聞購読などやめるぞ!と思う。

新聞社に社会的責任はないのか。あるならば、販売店を指導すべきではないか。全国の新聞販売店が、レジ袋を配布すると、相当な量になる。

雑がみ回収までする自治体でも、これら販売店を指導する様子は見えない。やはり国が法律で、すべてのレジ袋の無料配布をしっかり禁止すべきだ。

使い捨て製品に課税するのもよい。その方が、消費税を上げるよりもはるかにマシだ。

世界は使い捨てプラスチック削減に真剣に取り組んでいるが、日本は逆行している。

三菱鉛筆「減プラ」ボールペンのエコ度は?

三菱鉛筆が、石灰石とプラスチックを複合させた素材の「減プラ」ボールペンを発売する。

売り文句はこうだ↓

軸材に石灰石を50%以上含む新素材LIMEXを使用することにより、同型の従来品と比べ、石油由来のプラスチックの使用量を大幅に削減しております。

LIMEXは基本的に、石灰石とプラスチックを混ぜ合わせたものなので、石灰石を50%以上含むということは、プラスチックを50%近く含むということだろう。

確かに「減プラ」ではあるが、どうせならば、プラスチックをもっと使わない素材で軸材はできないものか、と思う。

木製ボールペンは高価すぎて持ち歩くのが心配になるから、やはり自分で使うならば、再生紙製のボールペンか。

もし再生紙を樹脂で固めているとすると、完全な脱プラとは言い難い。だが、この石灰石ボールペンよりも、「減プラ」になりそうだ。

<参考>

JIJI.COM(2019.9.3)「石灰石から生まれた「減プラ」ボールペン『uni LIMEX(ユニ ライメックス)』9月27日(金)新発売」

https://www.jiji.com/jc/article?k=000000065.000028890&g=prt

 

 

プチ「脱プラ」宣言⑪ごみ収集者を悩ます「爆弾」、ビーズクッション

最近、海岸にビーズクッションやビーズソファ、ぬいぐるみなどの中に入れられているポリスチレン製のマイクロビーズが落ちている。

原因はいろいろあるだろう。

例えば、粗大ごみで出すのが面倒なビーズクッションを、小さくしようとベランダで切ったが手に負えず、中身が飛び散ったり、あるいはヘタったのでビーズを補充しようとして失敗し、散らかったビーズをホウキで掃き出したり・・などが考えられる。

ごみに出したビーズ入り製品を、収集人がパッカー車やトラックに詰め込む際、外側の布が破れ、中身が飛び散ることもあるだろう、とも思っていたが案の定、そのケースも多いようだ。

『このゴミは収集できません』によると、ごみ収集現場ではビーズクッションを「爆弾」と呼んでいるとのこと。

パッカー車に入れようとすると、回転板にまかれて、ビーズが飛び出し道路に飛び散り、手に負えないそうだ。

マイクロビーズの入ったビーズソファやクッション、ぬいぐるみは、触るとグニュグニュととても気持ちがよい。気持ちはよいが、中身を想像すると気持ちが悪くなる。使用後の処分方法を想像したら、まず買えなくなると思うが、知らずに買ってしまう人も多い。

売る責任、作る責任はないのだろうか。

このような製品(中身が飛び散りやすく、飛び散ったら回収できずに海などを汚染する製品)は、洗顔剤や歯磨き剤のマイクロビーズ同様、製造も販売も規制すべきだ。

<関連記事>

プチ「脱プラ」宣言⑩使い捨てウチワはいらない

 

 

なぜ柔軟剤を使うの?合成洗剤と柔軟剤の関係

柔軟剤を使う人が増えている。合成洗剤を使う人が多いから、当然だろう。

合成洗剤を使って洗濯すると、衣類が固くゴワゴワになる。それを柔らかくするため、柔軟剤を使いたくなる。
粉石けんや液体石けんを使っていれば、それほど衣類は固くならない。干す際に、バサバサと衣類を払ってから干せば、それなりにふっくらするし、気持ちよくパリッとなる。

柔らかすぎると油分がまだ付いているような気がして気持ち悪いが、パリッと感があると清潔感がある。

しかも、以前アサイチでも放送されたそうだが、柔軟剤を使うと吸水力が落ちる。

そのため、水を拭き取る際、ついゴシゴシ拭うことになる。そうすると肌が刺激されるため、余計に柔軟剤でタオルを柔らかくしたくなるのではないか。

その上、柔軟剤を使いすぎると汚れを再付着させるという。

にも関わらず、柔軟剤を使う人が多いのはコマーシャルによる洗脳効果だろうか。

そのせいか、化学物質過敏症が増えている。小学生など児童の発症も多い。

柔軟剤には、キャップ1杯の中に約1億個のマイクロカプセル(香り成分などを包み込むための被膜)が入っているそうだ。そのマイクロカプセルはもちろんプラスチック。そのため、衣類に付いたプラスチック(マイクロカプセルの破片)を、使用者のみならず周辺にいる人たちも吸引することになる。

これはある意味、ペットボトルの中のマイクロプラスチックを飲料と一緒に飲むよりも怖ろしい。肺に入り込む可能性があるからだ。

マイクロカプセルの材質によっては、強毒性のイソシアネート類を吸引することもある。

しかも、洗濯水と一緒に下水道へ流れるマイクロカプセルは、海ごみの原因となる。

合成洗剤だけでも迷惑だったのに、最近のマイクロカプセル入り柔軟剤はまさに迷惑千万だ。値段も決して安くない。

早急に、柔軟剤などに使用するマイクロカプセルは、禁止すべきだ。

柔軟剤と合成洗剤の関係は、除草剤と除草剤耐性の遺伝子組換え作物の関係と似ている気がする。

<関連記事>

マツキヨ、マイクロカプセル入り柔軟剤を発売 スクラブ用ビーズだけがマイクロプラスチック問題ではない 

香害110番、DVD完成

<参考>

「多めに入れると吸水性低下 柔軟剤のテスト」↓

http://www.do-syouhi-c.jp/test/kira95jyuunannzaipdf.pdf

MSNニュース(2019.6.27)「洗剤・柔軟剤などに含まれる「香りマイクロカプセル」が、環境だけでなく人体にも悪影響を及ぼす!?」

https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/洗剤・柔軟剤などに含まれる「香りマイクロカプセル」が、環境だけでなく人体にも悪影響を及ぼす/ar-AADtm5m#page=2

『マイクロカプセル香害』(2019年)古庄弘枝著

ほか

 

 

ニュージーランド航空の脱プラ、地上でも空の上でも

航空会社でも脱プラが進むが、ニュージーランド航空の脱プラの取組は、なかなか素晴らしい。

まず、7月に発表した「プラスチック製品削減量を2倍に設定」に驚いた。

ニュージーランド航空プレスリリース(2019.7.9)↓

https://www.airnewzealand.jp/press-release-2019-air-new-zealand-doubles-down-on-plastic-waste-reduction

かなり細かく検討されている。

また、日本支社の社内でも、今年2月に5種類の使い捨てプラスチックの持込を禁止した。

朝日デジタル(2019.5.23)↓

5種類のプラスチックのオフィス持ち込みを禁止した。対象は使い捨てのレジ袋、ペットボトル、飲料のカップとふた、スプーンやフォークといったカトラリー、ストローだ。

ニュージーランド航空は、機内でも社内でも脱プラに取り組んでいる。日本の航空会社もぜひ参考にしてほしい。

<参考>

朝日新聞デジタル(2019.5.23)「オフィスで広がる脱プラ、「明日から禁止」宣言の企業も」↓

https://digital.asahi.com/articles/ASM5K4R2VM5KULBJ00D.html

 

 

自治体続々 プラごみゼロ宣言

最近、ペットボトルを社内で使わない、などの取組をおこなう企業が増えているが、自治体も負けてはいない。

プラスチックごみゼロ宣言をする自治体が、続々と現れた。内容はそれぞれ。

亀岡市のが一番先進的だ。「レジ袋禁止」にまで踏み込み、今後に期待がもてる。

関西広域連合や大阪府・大阪市、その他大阪府内の各自治体の宣言は、まだ宣言文のみで具体的な内容がよくわからない。住民から「私のプラごみ削減提案」などを募集するようだが、まさかそれだけでは終わらないだろう。今後に期待する。

横浜市のは、「本市会議等における回避可能なワンウェイプラスチックの削減」という部分は具体的だ。おそらく委員会などでペットボトルを配布するのをやめるということか。これについては宣言を出していない自治体でも既にやめているところが多い。早急に取り組んでほしい。「3R の徹底や代替品の利用促進に向けた啓発」は、内容がよくわからないのでもう少し具体性がほしい。

いずれにせよ、プラスチック使用量を減らすことが、「プラごみゼロ宣言」のキモだ。今後、より踏み込んだ取組に期待したい。

しかし、いずれの自治体も、宣言文を出しただけでも、出していないところに比べ、一歩踏み出したといえる。

・神奈川県「かながわプラごみゼロ宣言」2018年9月

http://www.pref.kanagawa.jp/docs/p3k/sdgs/index.html

・鎌倉市「かまくらプラごみゼロ宣言」2018年10月

http://www.pref.kanagawa.jp/docs/p3k/sdgs/documents/kamakurapuragomizerosengen.pdf

・亀岡市(京都府)「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」2018年12月

https://www.city.kameoka.kyoto.jp/kankyousoumu/purazero.html

・大阪府、大阪市:「おおさかプラスチックごみゼロ宣言」2019年1月

http://www.pref.osaka.lg.jp/eneseisaku/kaiyoplastic/index.html

・関西広域連合「関西プラスチックごみゼロ宣言」2019年5月

https://www.kouiki-kansai.jp/material/files/group/3/2019053001.pdf

https://www.kouiki-kansai.jp/material/files/group/3/2019053002.pdf

・阪南市(大阪府)「はんなんプラスチックごみゼロ宣言」2019年5月

http://www.city.hannan.lg.jp/kakuka/shimin/shigen1/new/1559001132755.html

・守口市・門間市・森口門間商工会議所(大阪府)「もりぐち・かどまプラスチックごみゼロ宣言」2019年6月

http://www.city.moriguchi.osaka.jp/lifeinfo/kurashitetsuzuki/gomirecycle/1561010627862.html

https://www.city.kadoma.osaka.jp/kurashi/kankyo/pura_gomi_zero.html

・貝塚市(大阪府)「かいづかプラスチックごみゼロ宣言」2019年6月

https://www.city.kaizuka.lg.jp/kakuka/toshiseibi/kankyoseisaku/topics/kaizuka_plasticsgomi_zerosengen.html

・藤井寺市(大阪府)「ふじいでらプラスチックごみゼロ宣言」2019年6月

https://www.city.fujiidera.lg.jp/topics/9433.html

・泉佐野市「泉佐野市プラスチックごみゼロ宣言」2019年6月

http://www.city.izumisano.lg.jp/kakuka/seikatsu/kankyo/menu/gomi/1560131028115.html

・柏原市「かしわらプラスチックごみゼロ宣言」2019年6月

http://www.city.kashiwara.osaka.jp/docs/2019060700018/

・八尾市(大阪府)「やおプラスチックごみゼロ宣言」2019年7月

https://www.city.yao.osaka.jp/0000047361.html

また、プラごみゼロ宣言とは少し違って、横浜市のはより具体的だ。

・横浜市「よこはまプラスチック資源循環アクションプログラム」(策定中)

https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/yokohamashi/org/shigen/sonota/hoshin/plastic-program.html

「プラごみダイエット〜ポイ捨てゼロ」を宣言した自治体もある。

・枚方市(大阪府)2019年6月

https://www.city.hirakata.osaka.jp/0000024242.html

追記(2019.8.30)

昨日、滋賀県も「滋賀プラスチックごみゼロ・食品ロス削減宣言」を行った。

https://www.pref.shiga.lg.jp/kensei/koho/e-shinbun/oshirase/306930.html

追記(2019.9)

栃木県・市町もプラごみゼロ宣言を発表した。

<関連記事>

栃木県・市町もプラごみゼロ宣言

鎌倉市も「かまくらプラごみゼロ宣言」

大阪府と大阪市も「プラごみ」ゼロ宣言

亀岡市「プラスチックごみゼロ宣言」レジ袋使用禁止を条例化 日本初

 

 

プチ「脱プラ」宣言⑩使い捨てウチワはいらない

銀行や夏祭りなどで、よくウチワを配っている。

骨にプラスチックを使っているウチワも多いし、石灰石とプラスチックを複合させた骨のうちわもある。

このようなウチワは、せいぜい一夏だけで使い捨てられる。

なぜ配るのか、意味がわからない。

風雅で、何年も使いたくなるようなウチワ(例えば、竹製や木製の骨組みと和紙を組み合わせたようなもの)ならばよいが、そうでなければすぐにゴミになる。販促グッズにもならないのでは?と思う。

昨年、IPCCが1.5度特別報告書を発表した。今すぐ、大量生産、大量消費をやめなければ、地球はもたないという。

使い捨てのものを配る時代は、もう終わったのではないか。

海岸にも、発泡スチロールやペットボトルに混じって、骨だけになったウチワが落ちている。

<関連記事>

プチ「脱プラ」宣言⑨店頭で雨の日に配布されるプラ製傘袋は、もったいない

 

 

 

プチ「脱プラ」宣言⑨店頭で雨の日に配布されるプラ製傘袋は、もったいない

雨の日、スーパー店頭やビルの前に、ぬれた傘を入れる細長いプラ製の使い捨て袋が置かれている。雨のしずくを傘から垂らしながら屋内に入られて、床を汚されたくないのだろう。

気持ちはよくわかる。もし誰かがすべって転びでもしたら大変だし、床掃除も大変そうだ。

しかし、あの傘袋を使うのは一回きりで、あとは使わない。自宅へ持ち帰って、ネギやゴボウを入れる、という人もたまにはいるが、フツウはその場の回収箱に捨ててくる。

しかも、使用後の袋が、周りの道路に散らかっている時もある。

おそらく回収された傘袋は、産業廃棄物として燃やされているのだろう。

「あの傘袋、問題にならないの?」と、先日会った友人が言っていた。本当にもったいない、と私も心から思う。

友人は昔から蛇腹式の傘用のしずく防止グッズを使っているそうだ(写真3点)。

スーと雨水が切れ、便利だとのことで、もう何十年も使っているそう。しかし、最近はあまり売っているのを見かけないとのことである。

 

 

 

 

 

 

私が昨年から使っているのは、台湾製のドリンク用のナイロン袋だ。もうだいぶ前からレジ袋を有料化している台湾では、テイクアウトのコーヒーカップなどを入れる袋も無闇に配ることはない。

台湾にはこの手のエコグッズがよく売られているので、お土産にいただいた。しかし、マイボトル派の私はコーヒーカップをテイクアウトしないため、最初は使わなかった。

ところが、これを雨の日にバッグの横に付けると、濡れた折りたたみ傘を入れるのに幅がちょうどよい。今は、有り難く使わせてもらっている。

濡れた傘をキッチリたたむわけにはいかないから、ピッタリの袋では役立たない。コーヒーカップ幅がちょうどよい。欲を言えば、長さはもう少し長い方がよいが、代用品だから仕方がない。

少なくとも、このドリンク袋をバッグに付け、傘と共に外出すれば、使い捨て袋をもらわなくても、濡れた傘で床を汚すことはない。

しかし、持参し忘れることもあるので、このような「しずく取り器」↓が店頭に置いてあれば有り難い。ググると、他にもいろいろありそうだ。

「エコな傘のしずく取り器 「アメデス─ Q」」↓

http://www.atacmate-nara.net/img/sites/atacmate-nara/kigyou/26.pdf

これから多くのメーカーが、このような脱プラグッズを開発してくれるとよいなぁと、願っている。

プチ「脱プラ」宣言⑧天然素材のタワシ、どれがベスト?

環境政策で欧州をけん引するフランス、「反浪費法」など新法続々

ヨーロッパ諸国には、スウェーデンやデンマーク、ドイツなど優れた環境政策をもつ国が多い。かつてのフランスは、そのなかでほとんど目立たない存在だった。

しかし、最近のフランスの環境政策は勢いがある。新しい手を次々と繰り出し、EU(欧州連合)をけん引している。

例えば、2015年に制定された売れ残り食品の廃棄を禁止する法律は画期的だった。これにより、店舗の面積が400平方メートルを超えるスーパーは、賞味期限切れなどの食品を勝手に廃棄処分できなくなった。代わりに、慈善団体へ寄付したり、動物の餌として活用することになり、話題を呼んだ。

使い捨てプラスチック削減分野でも、レジ袋の禁止(2016年7月)や、生鮮食品を包むレジ袋以外の使い捨てプラスチックの禁止(2017年1月)など、対応が早かった。

さらに先月(2019.6.4)、フランス政府は、売れ残った洋服や非飲食品の廃棄処分も、2023年までに完全に禁止することを決めた。この法律が施行されると、売れ残りの衣類などもリサイクルかリユース(寄付)などにより処理しなければならない。

「残ったら燃やせばいい、捨てればいい」という安易な大量生産がなくなりそうだ。生産現場でのスケールメリットは、必ずしもエコではない。

また、フランスは、拡大生産者責任の対象商品をさらに拡大する。

JETRO(2019.7.19)によると、現在、生産者の責任で回収・リサイクルが義務付けられている製品群(現行で義務付けられているカテゴリーは電気・電子機器、容器包装、衣料・靴、家具など14種)に、新たに建材、玩具、スポーツ用品、DIY・ガーデニング用品、たばこ、ウエットティッシュなどを加える、ということだ。

また、この法案で、企業から徴収する回収・リサイクルのための拠出金(日本でいうところの再商品化費用だが、フランスでは回収分もほとんど企業が支払っている)を見直す。以下、転載↓

環境に配慮した製品の拠出金は割引し、リサイクルの可能性が制限されている製品には拠出金を割り増しする制度の導入が盛り込まれた。割り増しまたは割引の金額は、製品の販売価格の20%を上限とする。また、特定の製品や資材の市場投入の条件にリサイクル材料の最低使用量を設定することを可能にする。

今朝の日経新聞に記載されている審議中の「新法(反浪費法)」というのは、これのことだろう。消費するプラスチックの量を大胆に減らすため、不要なプラスチックを多く作る企業にはペナルティを与え、環境に良い商品を作る企業は恩恵を受けられる仕組みを作る、とある。

この法律がどのような成果をもたらすことになるのか、とても楽しみだ。

加えてフランスでは、飲料容器のデポジット制度も検討中だ。EU目標である2029年までに90%以上のペットボトルを回収するという目標を達成するためである。そのためのプロジェクト推進委員会が作られた。

「容器の返還方法や対象容器の種類などの具体的内容について協議を重ね、9月から国会で審議予定の「循環経済のための廃棄物削減に関する法案」に盛り込む予定」(JETRO, 2019.6.28)とのこと。

しばらくフランスの環境政策から、目が離せない。

日本の容器包装リサイクル法は、フランスの制度をモデルにしたといわれている。当時のフランスの容器包装令は、企業負担分がドイツに比べ少なかった。ドイツは拡大生産者責任が100%達成されているが、フランスは50%程度だといわれていた。

そのため、生産者の負担を減らす方が制度を導入しやすい日本としては、ドイツではなくフランスをモデルにしたと考えられる。しかし、フランスではその後どんどん生産者の負担割合を増やしていった。

日本の容器包装リサイクル法は、生産者が負担すべき回収費用を自治体が負担しているという点で、1995年当時からあまり変わっていない。再商品化費用よりもはるかに高い回収費用を、相変わらず自治体が税金で負担しているのだ。日本の環境政策の後進性は、最近特に顕著だ。

<参考>

「反浪費法」については日本経済新聞(2019.8.1)「プラごみ汚染どう防ぐ」:「大胆な削減」へ法整備(仏環境副大臣)

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO48022860R30C19A7TCS000/?n_cid=DSTPCS001

JETRO(2019.7.19)「生産者による回収・リサイクル責任を強化する循環経済法案を閣議決定」

https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/07/b9538c17bf66d373.html

JETRO(2019.6.28)「容器回収を促すデポジット制度導入に向け、委員会を設置」

https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/06/ecee09ae588092a9.html

 

 

ペプシコ、脱プラに本気を見せる?コカコーラとともに、脱プラ阻む業界団体を脱退

ペプシコは、コカ・コーラとともに海洋プラスチック汚染企業の1つだが、最近「脱プラ」に本気で取り組む様子が垣間見えるようになってきた。

昨年、ペプシコがソーダストリーム(家庭用炭酸飲料マシンの会社)を買収した時は、ペットボトルが売れても廃れても、どちらでも生き残れるように対策したのだ、と思った。つまり、ソーダストリームはペプシコにとって、脱プラが進んだ時の「保険」だろうと。

しかし、そんなセコイことは考えていなかったようで、今年に入ってからも次々と新しい取組を発表している。

例えば、ミネラルウォーターの販売をペットボトルからアルミ缶に切り替えるとのこと。

今のところ、アメリカ国内のみが対象のようだが、世界中で早急にやってほしい。

また、同社は、LIFEWTRブランドの製品は100%再生ペットボトルのみで販売し、炭酸飲料はプラスチック容器で販売しないそうだ。これは来年から実施される。

これにより、未使用プラスチック8000トン、温室効果ガス約1万1000トンを削減するとのこと。

同社の目標である「2025年までにリサイクルあるいは堆肥化、生分解が可能な容器のみを使用する」という目標も、日本コカ・コーラの「容器の2030ビジョン」よりも上回っている。

さらに、ペプシコとコカ・コーラは、アメリカの業界団体であるプラスチック工業会を脱退する、とのこと。

理由は、この業界団体が各州の「使い捨てプラスチック禁止」の条例案を阻むロビー活動を行っているとして、米グリーンピースが2社に脱退を働きかけ、それに応えたためらしい。

ペプシコの取組が、日本でのペプシコ関連商品や日本コカ・コーラの販売活動にも影響を与えることを願っている。

<関連記事>

ペプシコ vs コカコーラ、ペプシコが自動炭酸飲料機で一歩リード?!

日本コカ・コーラの「ビジョン」に失望

<参考>

GREENPEACE(2019.7.25)「コカ・コーラとペプシコ、脱使い捨てプラを阻む米業界団体から撤退」

コカ・コーラとペプシコ、脱使い捨てプラを阻む米業界団体から撤退

HUFFPOST(2019.6.29)「ペプシ、ミネラルウォーター販売をペットボトルからアルミ缶に切り替えへ 米国地区が対象」

https://www.huffingtonpost.jp/entry/water-in-aluminum-cans_jp_5d170e0ce4b03d61163bc444