今後どうなる?評価も処理方法も意見の割れる生分解性プラ

生分解性プラスチックの評価については、人によりかなり意見が割れる。

2015年の国連発表をもとに、不法投棄を助長すると声高に主張する人もいれば、海洋プラスチック汚染問題を解決するには必要だと、その必要性を説く人もいる。

ドイツでは生分解性プラスチックはマテリアルリサイクルする方向で考えられているようだ。

ポリ乳酸(PLA)をまたポリ乳酸に戻す方針らしい。

しかし、生分解性プラスチックはPLAだけではない。昨今は、さまざまなものが登場している。

それらを全部マテリアルリサイクルするなどということは、今のプラスチックの多くが生分解性に切り替わった上で、使用する生分解性プラの種類を絞り込まない限り、現実的ではない。

ではどうするのがよいか?

現実的な処分方法としては、容器包装以外のプラ(製品プラ)も容器包装と一緒に回収している一部地域で、現在既に行われている方法の延長線上の方法が考えられる。つまり、一般のプラスチックと一緒に回収して、「PP、PE、PS、その他」に分別し、「その他」は焼却する。生分解性プラはもちろん「その他」だ。

燃やすのが一番簡単で、熱さえ回収すれば、サーマルリサイクルという美名までつく。おそらく今後生分解性プラの生産量が増えたとしても、日本は燃やし続けるだろう。

しかし、循環型社会では、燃やすしかないものは医療系などよほどの必需品でない限り、作るべきではない。

PLAはもともと堆肥化することを前提に考えられたものだと聞く。だから、汚れの落ちにくいような食品容器などに利用すれば、汚れを落とさずにそのまま堆肥化できる・・はずだった。しかし、ここへ来て、誤算が生じたのではないか。

PLA製品が完全に自然に還り、農家が使えるような堆肥になるまでには相当な時間がかかる。しかも、おそらく農家はそのようなリサイクル堆肥を喜ばない。

PLAがミミズの生育や植物の成長に悪影響を与えたという報告も出てきた。

リサイクルの効率を高めるため、もっと短期間で手軽に自然に還るようにするのは簡単だ。しかし、そうすると今度は製品としての品質に問題が出る。

例えば、保存期間が3ヶ月しかない包装材は、誰も使いたがらない。倉庫で保管しているうちにボロボロになったり、中身より先に劣化するようでは、話にならない。

生分解性プラをどう考えるべきか、本当に厄介だ。

『よくわかるプラスチックの仕組みとはたらき』には、生分解性プラはLCAを実施すべきだと書かれている。ポリ乳酸は、天然素材を乳酸発酵させるところまでは石油を使わないが、乳酸を取りだして、重合させるところではかなりのエネルギーが必要だそうだ。

また、『クジラのおなかからプラスチック』には、「生分解性プラスチックでできた製品は、リサイクルには使いません。使い捨てです。プラスチックごみを減らすためにリサイクルを進めようという社会の流れのなかで、この生分解性プラスチックをどうあつかっていくのかも考えなければなりません」と書かれている。

どちらももっともだと思う・・おそらく日用品には、生分解性プラなどほとんど必要ないだろう。

だが、科学者にはもっと良い生分解性プラ(もちろん非石油系で)の開発を続けてもらい、意図せず海に落ちたプラスチック製品は速やかに分解する・・そんな製品を開発してほしいとも思う。

いずれにせよ、来年7月からのレジ袋有料化後も、生分解性プラのレジ袋は無料配布が認められる方向だが、そんな必要などない。消費者サービスのつもりならば、大きなお世話だ。

 

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