「民意を反映しない」エネルギー基本計画 各地で反発

7月3日、エネルギー基本計画が閣議決定された。「エネルギーを巡る国内外の情勢変化を踏まえ、2030年、更に2050年を見据えた新たなエネルギー政策の方向性を示すもの」とのことである。

原発について「依存度の可能な限りの低減」と謳いながらも、2030年には発電割合を震災前とほぼ変わらない22〜20%(震災前は25%)にすることを目指し、原発を稼働させようという内容に、各地で反発が相次いでいる。

例えば、柏崎刈羽原発を擁する新潟では、この数字は柏崎刈羽原発の再稼働なしには達成できず、同原発の再稼働を前提に考えていることが明らかであるとして、県民の民意を無視するものだとして反発している。

先般の新潟県知事選で選ばれた花角知事は、選挙戦で原発再稼働についての意見を鮮明にせず、再稼働に反対する他候補と似たような意見に終始し、再稼働に反対していた元知事の応援も得たため、再稼働に反対する住民の票まで流れたといわれている。

BLOGOS(2018.7.4)「新潟県民の民意を無視するエネルギー基本計画改定」↓

http://blogos.com/article/308910/

また、朝日新聞には「活断層が原子炉建屋に走る原発もあり、目標達成は「もはや絵空事」(橘川武郎・東京理科大教授)」との有識者の指摘が紹介されている。

朝日新聞(2018.7.4)「原発推進維持、再エネ主力電源化も エネルギー基本計画」↓

https://www.asahi.com/articles/ASL735FD6L73ULFA026.html

福井県内の立地自治体では首長の評価が分かれた。

毎日新聞(2018.7.4)「閣議決定 原発方針、評価分かれる 立地自治体首長 安全策や建て替えで /福井」↓

https://mainichi.jp/articles/20180704/ddl/k18/010/275000c

原子力資料情報室は、「7月3日、第5次エネルギー基本計画が閣議決定された。パブリックコメントが終了してわずか2週間足らずでのことだ。世界のエネルギー情勢の変革も、圧倒的多数が望む脱原発をもまったく反映することない、極めて問題の多い計画である。このような案を策定した経済産業省並びに閣議決定を行った政府に強く抗議する。」として、声明を発表した。

【原子力資料情報室声明】第5次エネルギー基本計画閣議決定、経済産業省は現実を直視すべきだ↓

【原子力資料情報室声明】第5次エネルギー基本計画閣議決定、経済産業省は現実を直視すべきだ

確かにパブリックコメントでは、脱原発を望む声が多かったと聞く。地震が相次ぎ、いつまた巨大地震が起きるかわからない日本で、しかも地盤が悪いと指摘される原発も複数ある。

柏崎刈羽原発などは、新潟県で起きた大地震に耐えたといわれているが、その震動で金属疲労を起こしていて危険だと指摘する専門家も多い。

エネルギービジョンの目標年まで、日本はもつのだろうか?

エコロジカル・フットプリントの考案者 来日・講演

エコロジカル・フットプリントといってもピンと来ない方でも、地球〇個分の暮らし、というとピンと来る人は多いと思う。

エコロジカル・フットプリントとは、人間の活動が環境に与える負荷を、面積として示した指標で、人間がどれほど自然環境に依存しているかがわかる。

たとえば、世界中の人がみな日本人と同じ暮らしをしたならば、地球は約3個必要だ。地球は1つしかないから、日本人は他国の慎ましい暮らしをしている人や子孫に資源を借りながら暮らしているということを意味する。

私たちの浪費的な暮らしがいかに持続可能でないかがわかる。

そのエコロジカル・フットプリントの考案者・共同開発者であるウィリアム・リース氏が国連大学で講演する。

場所:国連大学5F・エリザベス・ローズ国際会議場
主 催 :公益財団法⼈ 地球環境戦略研究機関(IGES)
国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)
協 力: 環境研究総合推進費・戦略的研究開発領域課題(S-16)
「アジア地域における持続可能な消費・生産パターン定着のための政策デザインと評価」
使用言語:日本語・英語(同時通訳付き)
定 員:約80名(先着順)
参加費:無料

詳しくはhttps://www.iges.or.jp/jp/scp/20180706.html

「日本のエコロジカル・フットプリント2017」↓

https://www.wwf.or.jp/activities/lib/lpr/20180825_lpr_2017jpn.pdf

除染土を農地へ再利用?!

東京電力福島第1原発事故により放射能で汚染された土を除染し、それを農地に再利用する方針を環境省は決めている。食用の作物ではなく、花などの園芸作物を植えるそうだ。

除染土は最終的には50センチ以上の別の土で覆うそうだが、その上で長時間働く人への影響はないのだろうか?

また、地下水が汚染されないかということも気になる。地下水が汚染されれば、食用作物が植えられている別の畑にも影響するかもしれないし、飲み水にも影響する可能性がある。

共同通信(2018.6.1)「除染土、農地造成に再利用」↓

https://this.kiji.is/375224835955557473

オレゴン州でリユースびん復活か

日本のリユースびん(リターナブルびん)は、絶滅危惧種などといわれている。
確かに近くに気心の知れた酒屋さんのない地域で、びんビールや酒びんなどは買いにくい。

スーパーで買ったとしても、空きびんを回収してくれるか、5円の保証金は返してくれるか、などが気になる。
生協にでも入っていれば、リユースびん入りの酢やマヨネーズなどを購入できるのだろうが、加入していない身としては、リユースびんは気になりながらも遠い存在になりつつある。

オレゴン州ではびんビール復活に向け、ビールメーカーが団結して取組を開始したようだ。

今年7月には、州内7つのビール会社が全米初の詰替式びんビールプログラムにより、再利用可能なガラスびんでビール販売を開始する。

びんにはマーキングされ、40回繰り返し使用されるようだ。

オレゴン州といえば、かつて全米で初めてデポジット制度が導入されたことでも知られている。日本からも多くの人たちが視察に出かけた。

「空き缶公害」に苦しんでいた当時の日本で、一部自治体や市民団体がデポジット制度を模索するきっかけを作ったのが、オレゴン州のデポジット制度であった。

新聞や雑誌でも紹介され、例えば『暮しの手帖』には、15頁にもわたりオレゴン特集が組まれ、空き缶と闘った人々の健闘ぶりが紹介された。それによると、美しかった海岸などが日々空き缶や空き瓶で汚れてきたため、美しい風景を取り戻そうとデポジット制度が検討された。しかし、全米から飲料業界など反対派が集結し、少額では缶など持ってくる住民はいないからデポジット制度などムダだと反対し、議案は流れた。人々があきらめかけた時、あるスーパーのオーナーが私財をなげうって、少額でも人々は容器を返却に来ることを証明した。そのため、議案は再度提出され可決された、という感動的な内容だった。

その誌面は、当時デポジット制度を推進していた日本の人々に勇気を与えたが、産業界の強い日本ではいまだデポジット制度は導入されず、回収費用は税による負担である。

オレゴン州でのリユースびん復活に期待したい。

<オレゴン州についての参考記事>

The Refillable Beer Bottle Is Making A Comeback In Oregon↓

http://kuow.org/post/refillable-beer-bottle-making-comeback-oregon

加工食品はがんのリスクを高めるか

フランス国立保健医学研究所が、10万5000人を対象に超加工食品の摂取量とその後5年間のがんの発症状況を調べた結果、摂取量が多いほど、がんのリスクが上昇したという。

「超加工食品」とは、「砂糖や塩、油脂を多く含み、保存料などが添加されており、きっちり包装されて日持ちも良い食品」のことで、大量生産され包装されたパン、包装された甘いあるいは塩味のスナック、大量生産された菓子やデザート、炭酸飲料や加糖飲料、保存料を添加した肉加工品、即席麺、即席スープ、冷凍食品、常温保存可能な加工食品、家庭で調理する際には加えない添加物を加えた食品などのことである。

理由として、超加工食品は脂肪や飽和脂肪酸、砂糖、塩を多く含み、食物繊維とビタミンが少なく、加熱による発がん性物質が生成される成分を含んでいること、また、食品に直接触れる包装材料にも発がん性のある物質や環境ホルモンなどが含まれている場合があること、などが考えられるという。

<出所>

日経Gooday(2018.5.12)「カップ麺などの「超加工食品」 がんのリスク高めるか」↓

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO29160820Z00C18A4000000

原発事故の教訓と健忘症

3.11大震災直後には、原発を止めなければならない、という意見をよく耳にした。しかし最近は、「どうせ言っても変わらない」というあきらめと忘れっぽさからか、稼働することへの反対意見は減っている。
私自身も同様で、「原発で儲かる人たちが権力を持っている以上、日本で原発を止めることはできない」とあきらめていた。

知人から転送されてきた毎日新聞(2018.5.2)の記事を遅ればせながら読んだ。

小泉元首相の談話「平成の軌跡 原発事故の教訓」と、政府事故調査委員長の「変わらぬ日本の健忘症」という記事だ。

小泉元首相は「総理の決断次第」で止めることは可能だという。

元首相は、首相だった当時「原発は安全だ」と聞いていた。しかし、3.11の事故をテレビでみて、はじめて「違うんじゃないか」と思ったという。そして本を読み、事故前から危険を指摘していた大勢の研究者や市民団体のあることを知ったのだそうだ。
そして2013年、フィンランドの核廃棄物最終処分場を見学し、10万年も保管する施設を造らないといけないならば「原発ゼロしかない」と確信した。

また、政府事故調査委員長の畑村洋太郎氏は、震災直後には多くの人々が「根本的に変わらなければいけない」と言っていたのに、7年たつと災害のことは語られなくなった、として、「誰かが考えてくれたことに従っていれば、きっとうまくいく」くらいしか考えられないと、世界から置いて行かれる、悪い方向からも事態を見る、という姿勢が大事だと指摘する。

日本の原発事故を見て、ドイツも台湾も脱原発を決めた。しかし、当事国の日本は、原発事故などまるでなかったかのように再稼働させている。原発の恐ろしさを日本人は本当に忘れてしまったのだろうか。

毎日新聞(2018.5.2)「平成の軌跡 原発事故の教訓」

https://mainichi.jp/articles/20180502/ddm/004/070/014000c

過度期にあるごみの分別 分別もバリアフリーに

最近、ごみ分別と専業主婦の役割について考えている。

これまでは、ごみ排出量を減少させるためには、ごみの排出に手間がかかるようにする必要があると考えていた。
ごみを排出しやすくすればするほど、安易にごみを捨てる。ごみ量は増える一方だと思っていたためである。
もちろん、この考えは間違ってはいないだろう。ごみ回収日を減少させた自治体はごみが減るし、分別数を増やした自治体のごみも減る傾向がある(資源ごみもごみ量としてカウントした場合でも、ごみ全体量は減少する)。
しかし最近、ごみ分別に困難をきたす高齢者が多いと聞く。弱視でごみを分別できなかった町議が、不法投棄をして逮捕されたというニュースもまだ記憶に新しい。

今の容器包装リサイクル法は、プラマークやPETマークなどが頼りだ。真面目に分別しようと思うと、弱視者には難しいだろう。
どれが容器包装のプラスチックで、どれが容器包装に分別してはいけない製品プラスチックなのか、高齢者や弱視者でなくとも悩む人は多い。
また、ペットボトルにしても、ノンオイルの青じそドレッシングはPETボトルに分別できるが、オイル入りの一般的なドレッシングは、たとえPET製であってもPETボトルでなく、プラスチック製容器包装として分別しなければならない。

このような複雑な分別を消費者に求めるリサイクル法は、専業主婦が分別することを前提とした法律ではないだろうか?専業主婦のいない家庭で、ごみ分別に手間をかけるのは時間的にも厳しいし、そもそも分別に関心をもつのも難しそうだ。

これからゼロ・ウェイスト社会に進んでいくためにも、住民に手間をかけさせないで済む仕組み(手間をかけられない住民もラクにごみを出せる仕組み)で、かつ分別したり、ごみを減らしたりすると得になるような経済的インセンティブを付加した仕組み(手間をかけられる人は手間をかけることで、ごみを減らせる人は減らすことで得になる仕組み)が必要になるのではないか、と考えている。

そうでなければ、高齢化や女性の社会進出に対応できるごみ処理システムとはいえないのではないだろうか。

妊娠中のカフェインは要注意

2002年から2008年の間にノルウェーの5万1000人の女性とその子どもを追跡調査した結果、妊娠中にカフェインを多く摂取した人の子どもほど、幼児期に過体重になる傾向があったとのこと。
ノルウェー公衆衛生研究所の研究者は、「妊婦がカフェインを遮断することは望ましいかもしれない」と述べている。

NHSは現在、流産や胎児の成長を阻害するリスクを避けるため、カフェインの摂取量を1日200mg未満に抑えるようにと勧告している。
今回の結果は、その勧告の裏付けとなる証拠を追加するものであるそうだ。

カフェインは、コーヒー1杯に140mg、インスタントコーヒーには100mg、紅茶には75mg、チョコレートは50gのミルクチョコレートに約10mg程度入っているとのこと。

<出所>

THE TIMES(2018.4.24)A  coffee a day can harm unborn children, researchers claim;

https://www.thetimes.co.uk/edition/news/one-cup-of-coffee-can-harm-unborn-children-say-researchers-qlpwthhbd?utm_source=newsletter&utm_campaign=newsletter_101&utm_medium=email&utm_content=101_Mailing%20Name%20(96)%20(1)&CMP=TNLEmail_118918_3204010_101

リユースびん物語

びん再使用ネットワークの作った動画「リユースびん物語」が公開されている。内容は「日常に追われる3人の若い女性が、ふとしたきっかけでリユースびんに出会い、小さな変化が生まれた」というもの。

牛乳びんも登場し「時代による評価の変化」を痛感した。

日本包装学会誌Vol.26(2017)によると、牛乳びんを紙パックに切り替える方針を打ち出したのは農林省だ。1969年、農林省は人件費、輸送費の高騰、衛生面の問題から、「牛乳容器のワンウェイ化」の方針を打ち出したそうである。1970年には学校給食の補助対象を200mLとした。紙パックが採用され、さらには充填機の関税免除が決定し、1977年にパック牛乳の販売量はびん牛乳を追い越した、とのこと。

つまり日本政府の政策により、ワンウェイ容器が奨励された結果、リユースびん(リターナブルびん)が廃れ、紙パックが普及したのである。

近年は3Rのかけ声とともに、リユースはリサイクルより優先する、と法律にも明記されている。しかし、本気でそうすべきだと思っているのかは疑わしい。同じ価格ならば、返さなくてよい容器のほうが面倒がないから買いたいと思うのが普通の人の感覚だ。

リユースびんを本気で推奨するならば、ワンウェイ容器もリユースびん同様に返却することを消費者に求めるべきだろう。例えば、ワンウェイ容器をデポジット制度の対象とし、返却させるのがよい。また、ワンウェイ容器に課税し、リユースびんと価格差をもうけるべきだ。そうでなければ、リユースびんはやがて「マニア」だけのものになるのではないか。

進む水道民営化 儲かるのは誰?

安全で安いのが当たり前だと思っていた水道水が、今後変わるかもしれない。
麻生副大臣が熱心に進める水道民営化。そのための水道法改正案が、3月9日付けで再上程され、現国会で審議されている。

改正案の目玉は、「民間事業者に水道施設の運営権を譲渡できるようにする」「都道府県がリーダーシップをとって市町村水道の広域化を推進する」の2点である。

世界では一度民営化した水道を買い戻し、再び公営化する動きも広がる中(例えば、パリ、ベルリンなど)、なぜ日本が今さら民営化しなければならないのか。

民営化によりコストが削減でき、老朽化した設備を安価で更新できる、広域化により規模のメリットが生まれる、などの利点があるというが、民間だからこそ発生するコストもあるし、広域化は民営化を前提とした発想だろう。これまで小規模だからこそうまくいっていた地域が巻き込まれる可能性がある。

浜松市は水道法が改正され次第、民営化する計画であると聞く。
民営化で水質が低下した挙げ句、価格が急騰した例が世界各地にある。だからといって、市民は水道会社を変更することはできない。
浜松市の水道は大丈夫なのだろうか?

ビッグイシュー・オンライン(2017.3.27)「民営化から再公営化へ。パリ、市民参加で45億円のコスト削減、ウェールズ、非営利法人による運営」↓

http://blogos.com/article/215462/?p=1

水源連ニュース(2018.3.15)

水道法改正案の再上程