下水汚泥の肥料は、PFASなどの有害化学物質やマイクロプラの検査が必要

ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、肥料が高騰。そのため、下水汚泥から作った肥料に注目が集まっている。

農水省では昨年から「下水汚泥資源の肥料利用の拡大に向けた官民検討会」を開催。目標は

「2030年までに堆肥・下水汚泥資源の使用量を倍増し、肥料の使用量(リンベース)に占める国内資源の利用 割合を40%へ」とのことだ。

下水汚泥には肥料分がたっぷり含まれているが、化学物質や重金属、それにマイクロプラスチックも当然たっぷり含まれている。下水汚泥から既にPFASが検出されているし、調べれば他の化学物質もいろいろ検出されるはず。重金属については誰もが知る既成事実だ。

当然マイクロプラスチックも含まれているので、下水汚泥のリサイクルが進んでいる欧州では、畑がマイクロプラスチックの発生源になっているという報告がある。

大気中のマイクロプラスチックの発生源になるというのも困るが、野菜が水と一緒にマイクロプラスチックを可食部分まで吸い上げているという研究報告もある。

日本は下水汚泥の堆肥化や肥料化はあまり進んでいないので、安心していたが、これから進めるならば厳しい基準を設けてほしい。

汚泥中に含まれるリンだけを抽出し、肥料にするのはよいが、汚泥全体を適当に処理して使用するのはやめてほしい。

神戸市の汚泥肥料は、「下水処理場の配管に詰まる結晶化したリンを活用」したものとのこと(朝日新聞.2022.8.28)。結晶化したリンだけ取り出しているならばよいが、やはり検査してほしい。

<参考>

農林水産省ウェブサイト

https://www.maff.go.jp/j/shokusan/biomass/221018_1.html

朝日新聞(2022.8.28)「下水処理場でつくる神戸のリン、肥料高騰で商機?」

https://www.asahi.com/articles/ASQ8W6WMPQ8RPIHB026.html

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