イランもデポジット制度をめざす?テヘラン大学で「デポジット制度デー」を開催

イランのテヘラン大学では、2月17日に「デポジット制度デー」イベントを開催した。

過去数年間、イランではデポジット制度に焦点を当てた活動があり、2022年にはイラン科学技術大学で最初の全国デポジット制度会議を開催した。また、2024年には同大学で「イランデポジット制度パイロットプロジェクト」が開催されたという。

今年のイベントには、イランの環境省や科学技術副大統領、観光省、テヘラン市の専門家を含む150人以上の参加者が招待され、環境専門家によるデポジット制度についての講演を聞いた。

イランでも早晩、デポジット制度が採用されるかもしれない。

イベントについての出典↓

https://www.tehrantimes.com/news/510204/Deposit-Return-Scheme-Day-held-in-Tehran

アントシアニンでマイクロプラの毒性が軽減?

アントシアニンが、マイクロプラスチックによる生殖系への影響を軽減するという研究が発表されている。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39925697/#full-view-affiliation-1

本当だろうか?

アントシアニンというと、ナスやブルーベリーなどに含まれているから、時々は食べているが、毎日多量に食べるようなものでもない。これが確かなら、ブルーベリーの錠剤などはバカ売れしそうだけれど、錠剤はデメリットがあるのかもしれない。

いずれにせよ、マイクロプラスチックのリスクをどの程度緩和するかはともかくとして、アントシアニンをたっぷり含んだ新鮮な野菜やベリー類を食べるのは健康に良さそうだ。

とはいえ、まず食品容器を脱プラしてほしい。

アイルランド「海岸のペットボトルとアルミ缶が大幅に減少」ペットボトルはキャップ付きのまま回収

今年2月にデポジット制度が導入されたアイルランドでは、「合計6億3500万個のペットボトルとアルミ缶がデポジットリターンスキームに返還」された。同国の環境・気候・通信省の新しいデータだ。

これは、顧客に返還された1億1000万ユーロの預金に相当するとのこと。8月の回収率は、その月に市場に出回った飲料の73%に相当する。

今年6月に発表された最新のアイルランドの調査結果によると、このスキームの導入により、路上に捨てられた飲料缶が30%、ペットボトルが20%減少したという。

今年2月から始まったアイルランドの飲料容器デポジット制度は、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶を対象とし、ガラスびんや乳製品は対象外だ。

ガラスびんは既に80%以上回収されているため、デポジット制度の対象外とされた。

ペットボトルと缶のデポジット額は以下の通り。

 ○飲料容器≥150mLおよび≤500mL:15¢ユーロ

 ○飲料容器>500mL:25¢ユーロ

EUではペットボトルのキャップは開栓後もボトルに残ったままでないと今年7月からは販売できない。返却時も、キャップが付いたまま返却するよう呼びかけられている。

ボトルに付いたキャップは、適正にリサイクルされるそうだ。

<出典>

https://www.citizensinformation.ie/en/environment/waste-and-recycling/deposit-return-scheme/

https://www.rte.ie/news/2024/1024/1477146-bottle-collection/

プラスチック国際条約、素案を議長が各国に提示

毎日新聞(2024.11.1)によると、政府間交渉委員会のルイス・バジャス議長が条文の素案の非公式文書を各国に提示した。

やはり生産規制は盛り込まれていない。

生産規制なしではプラスチック汚染など防げるはずないから、多少期待していたのだが。

グリーンピースのいうようにまだ結果はわからないとはいえ、これより良くなることはないだろうと思うと、とても残念だ。

しかし、生産者が製品の使用後にまで責任を負う「拡大生産者責任」だけはしっかり盛り込まれた。拡大生産者責任の考え方を導入し、プラ素材の使用量の削減と、再利用や修理をしやすい設計などを推奨するとのこと。

日本もその点だけは少し変わるかもしれないと期待する。

日本の容器包装リサイクル法は拡大生産者責任が再商品化義務のみだし、プラスチック資源循環法ではその再商品化義務さえ、生産者に負わせていない。回収から再商品化まですべて税金でおこなわれる。環境省は否定するが、同法には拡大生産者責任はゼロだ。

素案については、毎日新聞にしか載っていないようだ。非公式文書のせいか、INCの公式文書が掲載されるウェブサイトにもまだ見当たらない。

https://mainichi.jp/articles/20241101/ddm/012/040/048000c

人工芝と容器包装を減らせば、大阪ブルーオーシャンビジョンは達成できる

2019年のG20大阪サミットで、2050年までに追加的な海洋プラスチック汚染をゼロにまで削減することを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が提案された。

それを達成するには、海洋に流出するプラスチックごみの量を、2035年までに2019年比で32%削減する必要があると、九州大学の磯部先生たちの研究グループが報告している(重量ベース)。

https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/1132/

プラスチックの用途で最も多いのが容器包装で、プラスチック生産量の半分ほどを占めるため、容器包装を減らすのが最も有効だ。海洋への流出も多い。しかし、容器包装に使われているプラスチックをすぐに全廃するのは不可能だ。

そのため、バラ売りやシェアビジネスを増やすなどで容器包装を極力減らし、あとは必要性の高くないプラスチック製品を順次廃止するのがよいはず。

必要性の低いプラスチックの筆頭に上がるのが人工芝だ。健康にも環境にも悪く、使っていてもよいことは少ない。確かにメンテナンスはラクで、一度敷いてしまえばしばらくは維持費が安く済むかもしれないが、膨大な量のマイクロプラスチックを発生させることによる外部費用はバカ高い。

しかも、人工芝にはフタル酸エステルやノニルフェノールなど、内分泌かく乱作用のある化学物質(環境ホルモン)が含まれている。子どもや妊婦などへの悪影響は計り知れない。

さらに、PFASが含まれているという報告もあり、人工芝の販売禁止を決める米国の州も多い。

日本で最も人工芝に前向きなのは東京都で、都庁広場にまで人工芝を敷いてしまった。

東京都は、神宮外苑の木を伐り、人工芝を増やす・・・。まるでヒートアイランドを促進し、クーラーを使わせ、電力消費量を増やそうとしているようだ。それで誰が儲かるのだろうか?

英国のスコッチウィスキーメーカーがリユースびんに

イギリスのスコッチウィスキーのメーカーNc’neanが、ビンのリユースを始めた。

ウェブ上でウィスキーを注文すると、返品ラベルを納品書に同封して発送し、購入者はそれを使って無料で空き瓶を返送できるようにしたとのこと。

これにより、1本返品されるごとに推定280gの炭素が節約される。

https://www.just-drinks.com/news/scotch-whisky-firm-ncnean-distillery-launches-bottle-return-scheme/

イギリスのデポジット制度は、どんどん開始時期が延期され、今のところ2027年10月から。ガラスびんは対象外だ。

代わりにガラスびんは、拡大生産者責任が義務づけられる。同社の取組はそれを睨んだものかもしれない。

同社は、イギリスではじめてネットゼロ認証を受けたウイスキー蒸留所だそうだ。合成洗剤を使わず、代わりに酵素を使うなどのこともおこなっている。

日本ではリユースはやっていないだろうが、ウィスキーは日本でも販売しているようだ。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000098971.html

食品包装に含まれる約1300の化学物質が人体に蓄積

スイスの非営利団体フード・パッキング・フォーラム財団(Food Packaging Forum Foundation)などの研究チームが、食品に接触する化学物質を1万4000以上のデータを調査したところ、うち3601(約25%)の物質が、皮膚、毛髪、血液、母乳、脂肪組織などの人体サンプルから見つかった。

2024年9月17日に「Journal of Exposure Science and Environmental Epidemiology」で発表された。

これにはプラスチックだけではなく、紙や段ボール、インクなどの物質も含まれているそうだ。

https://www.businessinsider.jp/post-293805

食品包装に乳がん原因物質が約200種類

食品包装に乳がんと関連する化学物質のいずれかが約 200 種類含まれているそうだ。

「一般的に使用される食品包装材には、乳がんを引き起こす可能性のある189の化学物質が含まれている」と研究者が報告したそうだ。

PFASやビスフェノール、フタル酸エステル類などの危険な化学物質は「米国、欧州連合、中国、南米、その他の場所で、使用制限することを目的とした規制にもかかわらず、食品包装に含まれている」とのこと。

これはプラスチック製の包装に限らず、紙で販売されているものも対象のようで、「乳がんに関連するプラスチック包装材料に使用されている143の化学物質を特定し、そのうち89は紙や段ボールで見つかった」。

研究者らは、人間が食事を通じて少なくとも76の発がん性化学物質に日常的に曝露されているという強力な証拠がある」と話している。

「がんを引き起こす化学物質上位76種のうち約40種は、すでにさまざまな国際規制当局によって何らかの形で有害物質として分類されているが、依然として食品包装に使用されている」と研究者らは指摘している。

Journal of Exposure Science & Environmental Epidemiologyに掲載されたレポートによると、そのうち79の化学物質が、がんや遺伝子変異、内分泌および生殖問題を引き起こすことが知られているそうだ。

<出典>

https://www.usnews.com/news/health-news/articles/2024-09-24/almost-200-chemicals-linked-to-breast-cancer-are-found-in-food-packaging

「マスバランス方式」は新手のグリーンウォッシュか

「バイオマスを●%使っています」ではなく、「バイオマスを●%割り当てています」と表示された製品が増えてきた。

新手のサギかと思ったら、「マスバランス方式」の国際認証を取ったもののようだ。

国際認証とはいえ、民間の営利企業の認証だから、この機関との約束を破ったところで法的には何のお咎めもない。そのため、いかなる解釈もでき、グリーンウォッシュの温床にもなるらしい。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC091RP0Z00C24A9000000/

要は、実際に使用しているバイオマスを、表示の仕方次第で、実際より多く見せることが可能だということ。

「プラスチック・オフセット」とか「プラスチック・ニュートラル」にも感心したが、次から次へといろいろ考えるものだと思う。

ウォルマートなどがレジ袋のグリーンウォッシュで訴えられる

米ミネソタ州で、ウォルマートとレイノルズ・コンシューマー・プロジェクトがプラスチック袋(レジ袋)で訴えられた。

リサイクルできないにもかかわらず、リサイクルできるかのように錯覚させ、販売した。

両社は、合計216,670ドルを支払うことに合意したとのこと。これには、バッグの販売で得た利益の100%、州の弁護士費用、その他の金銭的救済が含まれている。さらに、州内で2年半販売が禁止される。

禁止期間終了後に販売する場合は、「リサイクル不可」とラベル付けする必要がある。

ニューヨーク大学ロースクールのプラスチック訴訟トラッカーによると、このミネソタ州の訴訟は、2015年以来、主にプラスチック業界を標的にした市民または環境団体によって提起された約4ダースもある訴訟の1つだそうだ。

日本でも、市民がリサイクルできると信じて自治体回収に出す資源物のなかに、リサイクルできていないものが相当数あるはず。日本の市民や環境団体もここまでやれば、日本でももう少し使い捨てプラスチックが減るかもしれない。