すかいらーくG、来年からスプーン、フォーク、ナイフを木製に

来年から施行されるプラスチック資源循環戦略。注目されることの1つは合理化対象となった「特定プラスチック使用製品」に各社どう対応するのか、ということだ。特に、コンビニが最終的にどうでるのか、大手レストランがどうするのか、がカギとなる。

先日、ガストなどを運営する外食大手すかいらーくホールディングスが、持ち帰りや宅配用カトラリーをバイオマスプラスチックから木製に切り替える、と発表した。2022年1月から順次変更する。

希望者にのみ渡す。グループ全体で5年後(2026年)までに2020年比で使い捨てプラ使用量を半減させる。

すかいらーくGは、ストローのときも廃止に素早く動いたし、今回の決定も好感がもてる。

<出所>

すかいらーくホールディングス「持ち帰り・宅配用カトラリーをバイオマスプラスチックから 木製に変更 【プラスチック製品を86トン削減】」(2021.10.5)↓

https://www.skylark.co.jp/company/news/press_release/pk637h000006exyn-att/211005_cutlery.pdf

飲料メーカー、再生PETの調達に苦労

米カリフォルニア州の飲料メーカーは、再生PET樹脂の調達に苦労しているそうだ。カリフォルニア州では、来年(2022年)までに使用済み樹脂(post-consumer recycled resin:PCR)を少なくとも15%以上使用したボトルを使うことが定められている。しかし、コカコーラなど多くのボトラーがその基準をまだ満たしていないという↓

https://www.wastedive.com/news/california-plastic-beverage-recycled-content-coke-pepsi-nestle/607408/

再生PET樹脂は、ランニングショーツや靴などの材料としても引き取られているため、ボトラーは買い負けているようだ。さらに、同記事によると、コカ・コーラノースアメリカのPCR率はわずか10%だ。これはカリフォルニア州の基準も満たしていない上、2030年までにすべてのパッケージに50%のリサイクル材料を使用するという目標をもはるかに下回っている。

米コカコーラは2018年1月、2030年までには同社のペットボトルや缶などの容器相当量を100%回収し、リサイクル素材の含有率を平均50%のペットボトルを作ると発表していた。

日本のコカコーラも似たようなビジョンを発表したが、微妙にトーンダウンさせたものだった。しかも日本政府は、そのような達成すべき明確なPCR率目標を決めていない。プラスチック資源循環戦略には、単に「2030年までに再生利用を倍増」という曖昧な目標が設定されているだけだ↓

https://www.env.go.jp/press/files/jp/111746.pdf

米コカコーラが、同社の2030年ビジョンを達成しようと思えば、アメリカ全体でデポジット制度にしないと無理ではないだろうか。

日本企業も最近サーキュラーエコノミーを意識して、再生樹脂利用に前向きだ。いろいろ発表しているが、おそらく国内よりも海外を意識してのことだろう。

カリフォルニア州の基準を満たし、来年、同州に飲料を輸出できる日本のボトラーは何社あるだろうか?

目先の回収費用を惜しんで、ペットボトル回収などをいつまでも自治体任せにしているようでは、日本の飲料メーカーはやがて海外へ飲料を輸出できなくなる。質の高い再生樹脂の調達が難しくなるだろう。

<関連記事>

容器持参でコロッケを買ってみた

容器持参の買い物がごみ減量になることは誰もが知っている。問題は、どの店ならばイヤがられないか、どんな対応をされるのかがわからないので、持参する勇気がないことだ。

そのため、容器持参OKをはじめから表明してくれる店はありがたい。これまで量り売りしてくれる店に容器を持参して行って、ピーナツバターやクコの実などを買ったことがある。しかし、近所の店ではないため、後が続かなかった。

近所の店で容器持参で買いたい・・とずっと願っていた。

ようやく昨日、ガラス容器を持参して、コロッケを買うことができた!

きっかけは江戸をテーマにした本だ。最近のコロナ感染禍で、仕事のキャンセルが続いたため、時間ができた。江戸の小咄などを読んでいると、「煮売り屋」が登場する。

詳しい説明はないが、飲食店を持たない料理上手な人が、惣菜を作って売る庶民向けの惣菜屋のようだ。

買う人は弁当箱や鍋などを持参するようだ。売る人は、きちんと計って売っているわけではなく、目分量で売っているらしい。顔なじみの人や同じ長屋に住んでいる人たちが相手なので、それで済むのだろう。

現代の惣菜屋ならば、性能のよい秤を使えば公平に売ることができるので、江戸時代より簡単に「煮売り」できる。

しかし、マイ容器の場合、余分な手間をかけさせそうで、つい持参するのを遠慮したくなる。でも、断られたらその店には二度と行かなければよいだけの話だ。気になっている店で、今度試してみようか?と思いながらズルズル日が経ち・・

昨日思い切って、気になっていた肉屋さんへ容器を持って行き、コロッケを買ってみた。老夫婦二人でやっている小さい店だ。コロッケならば量る手間がないので、容器持参の初心者にはハードルが低い。店の人にガラス容器を渡したところ、「こんな重いもの、よく持ってきたわねー」と驚かれた。

説明が面倒だったので、「そのまま食卓に出すので」と話したところ、笑いながら中に揚げたてのコロッケを入れてくれた。

ホッ。

無印良品で保冷剤の回収が始まった

9月10日から、全国の無印良品で保冷剤の回収が始まった。冷凍食品やチルド食品を取り扱っている店舗のみだが、探して今度利用したい。

汚れたり穴があいたりしている保冷剤はNGだけれど、どこでもらった保冷剤でもOKとのこと。

回収後、洗浄、殺菌して再利用するそうだ。

保冷剤はプラスチックのようなものだから、再利用してくれるのはありがたい。

<参考>

無印良品ウェブサイト↓

https://www.muji.com/jp/ja/store/articles/staff-blog/news/800111

環境大臣が替わって・・

環境大臣が替わった。新大臣は、山口壯(やまぐちつよし)という人らしい。元外交官とのこと。

環境大臣の交代により、レジ袋有料化をやめて元に戻せ、いう意見もあるようだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c47222132fa67ed323054d1412600dfc01e09900

しかし、そんなことはあり得ない。レジ袋有料化は、小泉氏が決めたことではなく、3年前の原田元環境大臣の時に決まったはずだ。

開始時期は、せめてオリンピック前に、ということで昨年になったが、有料化は2019年5月に策定されたプラスチック資源循環戦略の中でも明確にされ、「小泉環境相」就任の時には、とっくに既定路線になっていた。

しかもこの有料化、有料化とはいえ、1円以上であればいくらでもよい、などという他の国と比べてもかなり甘いレジ袋規制だ。しかも周回遅れ・・、しかも例外規定だけは豊富・・。これでまた無料に戻すなどということを、いくらなんでも海外情勢を知っている元外交官がやるはずはない。

山口新環境相はこれから何をやってくれるのだろう?

原発は現在日本のエネルギーの6%も占めていないのに、危険は無限大。早く止めてくれるとうれしい。もちろん、石炭火力も早急に止めてほしいし、パーム油発電や外材を利用した大規模バイオマス発電も問題外だ。もちろん、森の除染目的で伐採された放射能付き木材を燃やすこともやめてほしい。

また、拡大生産者責任(EPR)を先進国なみに強化してくれないかなと、それも期待したい。

岸田政権化では難しいだろうか?経済界に忖度しない環境大臣が、日本には必要だ。

低い日本の環境意識、マイボトル持参率も12ヶ国中ビリ

電通と電通総研が2021年7月、12カ国を対象に「サステナブル・ライフスタイル意識調査2021」を共同実施した。

12ヶ国とは、日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、中国、フィリピン、タイ、インド、ベトナム、シンガポール、インドネシア、マレーシアだ。

日本の環境意識が他国より低いことに驚いた。まず、マイボトル持参率がビリ。おそらく給水器などのインフラ整備が貧弱なのに、コンビニや自動販売機ばかりが多いせいだろう。

また、レストランで残った食べ物も持ち帰ることもビリ。食品ロスが多いわけだ。衛生を理由に持ち帰りを断る店もまだあるようなので、外食の時は、マイ容器を持参するのがよさそう。

さらに、衣料品やおもちゃを店頭の回収ボックスに持っていくのもビリだ。これは回収している店舗の少なさが理由だろう。

さらに、不要品や本を中古買い取りしてもらうのもビリ・・。リサイクルショップが多いのに、なぜだろうか?ヤフオクで売る人も多いはずだが・・。思った値段では売れないことが原因か。確かに衣類をリサイクルショップへ持って行っても、本をブックオフへ持って行っても、買い取ってはくれるが、ダンボールを数箱積み上げても、やっと数百円・・。これでは持って行く交通費も出ないが、リサイクルショップにしてみたら、買う人が少なければ、高価買い取りなどできなくて当然だ。

驚いたのが、フィリピンのエコバッグ使用者が、12ヶ国中トップだったこと。

フィリピンは自国から流れ出すプラスチックごみもそこそこ多いが、地理的に他国から流れ着くものも多い。

そのため、お腹に大量のプラごみを詰まらせたクジラが漂着したり、有名な観光地だったボラカイ島が環境汚染のために閉鎖されたりした。ボラカイ島の美しい砂浜は、世界一とまでうたわれていた。そのせいで、海洋プラスチック汚染問題への関心が高いのだろうか。

しかし、フィリピンで関心が持たれている社会課題は、1位貧困・飢餓、2位公衆衛生、3位医療制度・設備。海洋プラスチックごみはランク外だ。

ちなみに、日本での関心事の1位は自然災害、2位が少子化、3位が大気汚染。

海洋プラスチック汚染が関心のトップである国は、ドイツとイギリスだ。

トップではないが、日本が上位にランクしている項目は、エコバッグ使用と詰め替え商品を買うことだ。エコバッグはともかく、シャンプーなどの詰め替えパウチが本当にエコなのか、悩ましいところ。容リ法で回収されたプラ製容器包装がプラスチック再生工場へ行ったとしても、複合素材である詰め替えパウチまでマテリアルリサイクルしている工場は、おそらくないはずだ。

<意識調査の出典>

Marke Zine(2021.9.9)「約10年で「サステナビリティ」へのイメージ具体化/「2030年」から不安を連想する日本【電通調査】」↓

https://markezine.jp/article/detail/37254

「アップサイクル」がウソっぽく聞こえる

「アップサイクル」という言葉を頻繁に聞くようになった。しかし、たいていのアップサイクルはウソっぽい。特にプラスチック製品の場合、メーカーの面の皮の厚さが際立つケースが多い。中には、「ごみでごみを作っているのか」と思うケースもある。

プラスチックをリサイクル(マテリアルリサイクルやメカニカルリサイクル)して、質が落ちないわけがない。

いくらデザインや用途を工夫しても「アップサイクル」というのはやはり図々しい。

もちろん、リサイクルを否定する気はない。日本の容器包装リサイクル法でやっている「リサイクル」は安易すぎて問題があるが、サーキュラーエコノミー(循環経済)でもリサイクルは最後の砦だ。シェアやリペア(修理)、リユースをできるだけ繰り返しても、終わりは必ず来る。そのときこそ、リサイクル(高度なリサイクル)の出番だろう。

そう考えると、「プラスチック」という作った時点から劣化が始まるような素材のサーキュラーエコノミーは可能だろうか?という疑問がわいてくる。

現時点では、プラスチックのような便利なものが世の中からなくなれば、パニックになる。しかし、やはり他の素材にどんどん置き換えていかないと、空気も水も海もマイクロプラスチック汚染が進む。

アップサイクルより、プラスチックを全く使わない製品開発を急いでほしい。

マイクロプラスチック、学生の便からも新生児や乳児の便からも検出

数年前、日本を含む8ヶ国に暮らす人の便からマイクロプラスチックが検出されたことが話題になった。

まだ実験的な研究だったため、その後続報を待ったが、すぐにはなかった。しかし、ここしばらくの間に報告が相次いでいる。

男子学生の便からマイクロプラスチック プラ容器入り飲料利用者はマイクロプラが多い可能性

今年発行されたSceience Directによると、北京に住む男子学生24人中23人の便からマイクロプラスチックが見つかった。

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0048969720378761

ポリプロピレンが最も多かったとのこと。20マイクロメートル以上のマイクロプラスチックを対象に調べたようなので、数は多くなく、1グラムあたり1個から36個だった(サイズは20から800マイクロメートル)。

男子学生たちは3日間の水分と食物摂取を記録されていたため、ある程度の因果関係もわかったようだ。プラスチック包装に包まれた水や飲料の摂取量と便の中のマイクロプラスチックの量の間には中程度の相関関係があったそうだ。やはりペットボトルなどプラスチック容器入りの水分を摂取している人ほど、マイクロプラスチック摂取量は多そうだ。内側をプラスチックでラミネートされた紙コップでコーヒーなどを飲んでいる人も、マイクロプラスチックを多く摂取しているものと思われる。

乳児は大人より多くのマイクロプラスチックにさらされている

また、最近では新生児と乳児の便も調べられている。

米ニューヨーク大学医学部の研究者らが、1歳の乳児と成人の便の中のマイクロプラスチック(PETおよびポリカーボネート)を調べたところ、乳児の便から成人の10倍もの数のマイクロプラスチック(PET樹脂)を検出したということだ。同様にポリカーボネートも調べられたが、この樹脂については赤ちゃんも成人も似たようなレベルだったそうだ。

多いことが予想されるポリプロピレンなどの樹脂は、紙おむつに使われる樹脂と紛らわしいため、この検査から除外された。

https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.estlett.1c00559

胎便からもマイクロプラスチック 

また、同じ研究で新生児の胎便も調べている。少なかったそうだが、マイクロプラスチックが検出された。以前、イタリアでの研究で、胎盤からのマイクロプラスチック検出報告があったので、母胎から胎児へのマイクロプラスチックの移動は予想されていた。

ラットでは母体から胎児へプラスチックが移動することが、実験により証明されていた。しかし、人間の場合「胎盤で阻止できているかも」という甘い期待もあったが、やはりラットと同様、胎盤では阻止仕切れないマイクロプラスチックが胎児へ移動していたのだ。

ヤフーニュース「マイクロプラスティックは、乳児の体内にも蓄積されている」↓

https://news.yahoo.co.jp/articles/e62a232cf03a8dc2bbbd7d46a3ed328da14600d7

大気汚染エリアはコロナ死亡率が高い マイクロプラが多いエリアも?

子ども向けの食器やオモチャはプラスチック製が多い上、ベビーケア製品にまで意図的にマイクロプラスチックを添加したものがある。しかも、子どもは低いところで生活するため床のほこりなどを大人より多く吸い込む。それらのことを考えると、大人より多く摂取しているのは当然だろう。

子どもの将来的な影響が心配だが、目先の心配としては新型コロナがある。大気汚染地域では、新型コロナの重症化リスクが高いという報告があった。米ハーバード大学の研究で、PM2.5の高濃度エリアでは新型コロナによる死亡率が高かったのだ。

つまり、マイクロプラスチックが大気中に蔓延しているエリアでは、子どもも大人もコロナ感染症を甘くみてはいけないということだ。

早急にプラスチックを減らす必要があるが、岸田新総裁は何か対策を考えてくれるだろうか?