数年前、日本を含む8ヶ国に暮らす人の便からマイクロプラスチックが検出されたことが話題になった。
まだ実験的な研究だったため、その後続報を待ったが、すぐにはなかった。しかし、ここしばらくの間に報告が相次いでいる。
男子学生の便からマイクロプラスチック プラ容器入り飲料利用者はマイクロプラが多い可能性
今年発行されたSceience Directによると、北京に住む男子学生24人中23人の便からマイクロプラスチックが見つかった。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0048969720378761
ポリプロピレンが最も多かったとのこと。20マイクロメートル以上のマイクロプラスチックを対象に調べたようなので、数は多くなく、1グラムあたり1個から36個だった(サイズは20から800マイクロメートル)。
男子学生たちは3日間の水分と食物摂取を記録されていたため、ある程度の因果関係もわかったようだ。プラスチック包装に包まれた水や飲料の摂取量と便の中のマイクロプラスチックの量の間には中程度の相関関係があったそうだ。やはりペットボトルなどプラスチック容器入りの水分を摂取している人ほど、マイクロプラスチック摂取量は多そうだ。内側をプラスチックでラミネートされた紙コップでコーヒーなどを飲んでいる人も、マイクロプラスチックを多く摂取しているものと思われる。
乳児は大人より多くのマイクロプラスチックにさらされている
また、最近では新生児と乳児の便も調べられている。
米ニューヨーク大学医学部の研究者らが、1歳の乳児と成人の便の中のマイクロプラスチック(PETおよびポリカーボネート)を調べたところ、乳児の便から成人の10倍もの数のマイクロプラスチック(PET樹脂)を検出したということだ。同様にポリカーボネートも調べられたが、この樹脂については赤ちゃんも成人も似たようなレベルだったそうだ。
多いことが予想されるポリプロピレンなどの樹脂は、紙おむつに使われる樹脂と紛らわしいため、この検査から除外された。
https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.estlett.1c00559
胎便からもマイクロプラスチック
また、同じ研究で新生児の胎便も調べている。少なかったそうだが、マイクロプラスチックが検出された。以前、イタリアでの研究で、胎盤からのマイクロプラスチック検出報告があったので、母胎から胎児へのマイクロプラスチックの移動は予想されていた。
ラットでは母体から胎児へプラスチックが移動することが、実験により証明されていた。しかし、人間の場合「胎盤で阻止できているかも」という甘い期待もあったが、やはりラットと同様、胎盤では阻止仕切れないマイクロプラスチックが胎児へ移動していたのだ。
ヤフーニュース「マイクロプラスティックは、乳児の体内にも蓄積されている」↓
https://news.yahoo.co.jp/articles/e62a232cf03a8dc2bbbd7d46a3ed328da14600d7
大気汚染エリアはコロナ死亡率が高い マイクロプラが多いエリアも?
子ども向けの食器やオモチャはプラスチック製が多い上、ベビーケア製品にまで意図的にマイクロプラスチックを添加したものがある。しかも、子どもは低いところで生活するため床のほこりなどを大人より多く吸い込む。それらのことを考えると、大人より多く摂取しているのは当然だろう。
子どもの将来的な影響が心配だが、目先の心配としては新型コロナがある。大気汚染地域では、新型コロナの重症化リスクが高いという報告があった。米ハーバード大学の研究で、PM2.5の高濃度エリアでは新型コロナによる死亡率が高かったのだ。
つまり、マイクロプラスチックが大気中に蔓延しているエリアでは、子どもも大人もコロナ感染症を甘くみてはいけないということだ。
早急にプラスチックを減らす必要があるが、岸田新総裁は何か対策を考えてくれるだろうか?