ようやく省庁が脱使い捨てプラ、病院や学校は?

先ず「隗より始めよ」と、省庁や国立大学法人など国の関連209機関が、4月から使い捨てプラスチックを少し禁止したようだ。

・売店のレジ袋は、10%以上バイオマス原料入りを有料で配布する→→→禁止したらいいのに。

・弁当容器はそのまま使い捨てプラでもOK、代替品は困難との理由から→→→本当に困難だろうか?庁舎内で食べるならば、容器を返却することは可能なはず。工夫次第でどうにでもできるような気がするが・・。

・食堂での使い捨て食器やストローなどは禁止→→→これは当然。

・外部に委託する会議ではペットボトル入り飲料や使い捨てプラのコップなどを使用禁止とする→→→これはいいけれど、外部委託でない会議でも、当然使わないでね、と願う。

「環境省によると、この改定で年間に最大ペットボトル約8万5000本、レジ袋約100トンの削減効果を見込んでいる」(毎日新聞)とのこと。
まだまだ緩い気もするが、この程度ならば、地方自治体もすぐにできそう。他の組織もあとに続いて欲しい。

最近は病院も、使い捨て容器で食事を提供するところが増えている。人件費の問題らしいが、なんとも味気ない。
また、以前は病棟に給水器や給湯器が置いてあったものだが、今はペットボトルの自動販売機が取って代わった。
入院患者は喉が渇くと、ペットボトルを買うのだそうだ。
ペットボトルに直接口をつけて飲んだ場合、そのまま数時間放置すると雑菌が繁殖する。それをまた飲む患者の体力がもし弱っていたならば、患者の健康が心配だ。
ランニングコストのかかる給水器や給湯器よりも、カネになる自動販売機を置きたい、という病院側の懐事情だろうが、患者の健康と懐も心配してほしい。
大学も、給水器の数を減らし、自動販売機を設置するところが増えている。
大学側が学生に、缶やペットボトルの使い捨てを奨励しているのも同じで、それで環境授業などあったものではない。

さすが世界第2位の使い捨て国家。日本は、省庁を筆頭にタガが外れていた。これを機に元に戻ってほしい、と思う。

<参考>
朝日新聞(2019.2.8)「国209機関、脱プラ義務化 業者の選定条件に」
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13886035.html

毎日新聞(2019.2.8)「全省庁で使い捨てプラ禁止 食堂や売店 4月から」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190208-00000021-mai-env

日本経済新聞(2019.2.8)「食堂で「使い捨てプラ」禁止に 省庁など方針 政府決定 」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4105615008022019CR0000/

<関連記事>

日本も来年からようやく省庁での使い捨てプラを禁止か

大阪府と大阪市も「プラごみ」ゼロ宣言

亀岡市のプラごみゼロ宣言に続き、2019年1月28日、大阪府と大阪市もプラごみゼロ宣言を発表した。
「おおさかプラスチックごみゼロ宣言」は、レジ袋やストローなど使い捨てプラスチックの削減やリサイクルを推進し、プラごみの排出ゼロをめざすとのこと。
具体的なことはまだあまり決まっていないようだが、朝日新聞(2019.1.29)によると、

府と市は今後、庁舎や関連施設で、紙などの代替品で使い捨てプラスチックの使用量を減らし、ペットボトル回収などのリサイクルも徹底する方針。大阪湾でのプラごみの実態調査も進める。市町村や経済団体にも同様の宣言の実施を求めていくという。

とのこと。
これに合わせ、大阪府はウェブサイトに海ごみ対策のページを新設し、大阪湾の漂着ごみ状況などを紹介している。
それによると、大阪湾に漂着するペットボトルのほとんどは国内製で、ペットボトルやレジ袋など食品包装材は33%を占めている。
宣言したことは評価する。しかし、ペットボトルの回収には取り組んでも、ペットボトル削減には取り組むと発表していないのが残念。
また、亀岡市のような「レジ袋禁止」は打ち出さない様子。
これからに期待したい。

<参考および引用>
大阪府「おおさかプラスチックごみゼロ宣言」
http://www.pref.osaka.lg.jp/eneseisaku/kaiyoplastic/index.html

朝日新聞(2018.1.29)「大阪)府と大阪市「プラごみゼロ」宣言 大阪湾で調査も」
https://digital.asahi.com/articles/ASM1X54VZM1XPTIL00T.html

大阪府「海ごみ対策」
http://www.pref.osaka.lg.jp/kankyohozen/osaka-wan/umigomi.html

トルコ、2023年までにすべての飲料容器をデポジット制で回収

ペットボトル回収率を90%以上にすることが求められつつあるEU(欧州連合)では、デポジット制度の導入が進む。

今年1月からレジ袋を有料化したトルコでは、今度はすべての飲料容器を2023年までにデポジット制度で回収することを発表した。
今までは、自治体ごとに対策が取られていたが(例えば、イスタンブールでは地下鉄駅に設置された自動販売機にペットボトルやアルミ缶を入れると、イスタンブールカードにチャージされ、運賃として利用できる)、今度は国が本格的にデポジット制度を導入する。

<出所>
DAILY NEWS(2019.1.21)Bottles deposit return scheme gets green light in Turkey
http://www.hurriyetdailynews.com/bottles-deposit-return-scheme-gets-green-light-in-turkey-140671

<関連記事>
https://env-eco.net/1791.html

積水ハウス、「脱ペットボトル」へ

ようやく日本企業も、社内でのペットボトルの使用を規制するようになった。
積水ハウスが社内会議でのペットボトル使用を全面禁止したとのこと。
社内に設置されている自動販売機のペットボトルも、順次なくしていく方針だそうだ。
本社はもちろん、関連29社と子会社7社にも禁止の通達を出した。
環境省の始めた「プラスチック・スマート」キャンペーンに呼応したものだそうだが、このキャンペーンへの参加企業の中で、最も本気で「脱プラ」を考えていそうだ。
ぜひ、他の企業も「脱ペットボトル」のあとに続いて欲しい。

<出所>
alterna「積水ハウス、社内会議でのペットボトル使用を禁止」
http://www.alterna.co.jp/25756

「積水ハウスがペットボトルを禁止。日本企業”脱プラ”のリーダー企業に」

積水ハウスがペットボトルを禁止。日本企業”脱プラ”のリーダー企業に

ポルトガル ペットボトル回収に本腰、2022年からデポジット制度開始か

ポルトガル政府が新しい法案を発表し、再利用不可能なペットボトルの回収を促すプログラムを開始した。

このパイロットプログラムは2019年12月21日まで続くとのこと。

再利用不可能なペットボトルを返却する消費者に、何らかのプレミアム(報償?)が与えられる。

大規模小売事業者は、プラスチックボトルを環境省が決めたプレミアムと交換するスペースを無償提供し、機器を設置することが義務付けられる。どういうプレミアムになるかはまだ未定とのこと。

2022年1月1日から、ポルトガル政府はプラスチックやガラス、スチール、アルミなど再利用不可能な材料でできた飲料容器に対し、デポジット制度を実施する。

<筆者補筆>

詳しい記述がないためよくわからないが、ポルトガルでは今年試験的に、環境省が用意したプレミアムにより、ペットボトルを回収するようだ。2022年からは、缶・びん・ペットボトルをデポジット制度で回収するということか。

<ポルトガルについての出所>

ESM(2019.1.2)Portugal Encourages Return Of Non-Reusable Plastic Bottles;

https://www.esmmagazine.com/portugal-encourages-return-non-reusable-plastic-bottles/69174

ECO(2019.1.1)Returning plastic bottles will be rewarded by the Portuguese Ministry of the Environment;

Returning plastic bottles will be rewarded by the Portuguese Ministry of the Environment

 

プチ「脱プラ」宣言⑤スーパーで薄い小袋をもらわない

昨年、近所のスーパーでレジ袋が有料になった。おかげで、うっかりレジ袋を断りそこねてしまうことはなくなった。

さらに良かったことは、レジ係の人がレジ打ちしながら豆腐やブロッコリーを勝手にプラスチック製の薄い小袋に入れなくなったこと。

この薄いプラ袋は、以前は生ごみを入れるのに多少は利用できていたが(それでもかなり袋は余った)、最近はベランダ用キエーロに生ごみを入れるため、袋の出番はまったくない。入れられる度にイラっとしていた。不要だとできるだけ断るようにはしていたが、いちいち断りにくいこともあり、家に溜まる一方だった(時々捨ててはいたけれど、どうも捨てるのは苦手・・)。

小袋が必要な人は、サッカー台にあるロールから取ればよいのだから、レジで入れてくれる必要はない。

レジ袋有料化のおかげで、スーパー側のプラスチックに対する意識が変わったせいか、不要なものを押しつけられずに済むようになって、とてもありがたい。

<関連記事>

プチ脱プラ宣言④テフロン加工のフライパンを使わない

西オーストラリア州のデポジット制度、2020年開始

2019年1月からの開始を予定していた西オーストラリア州では、デポジット制度の開始が1年ほど遅れるようだ。

2020年の早い時期に開始するとのこと。

制度の対象は、150mLから3Lまでのプラスチック製、ガラス製、紙製、アルミ製、スチール製の飲料容器で、内容物は、ソフトドリンク、水、香り付き牛乳(小)、ビール、サイダー、スポーツドリンク、スピリットベースのミックスドリンク。

空の飲料容器を返却ポイントまで持ち込むと、10セント返金される。

ごみの減少、リサイクルの促進、環境保護、企業の社会参加機会の提供などの利点があるとされ、「西オーストラリア州の散乱ごみ戦略2015-2020」や廃棄物戦略を補完できるものである。

西オーストラリア州の散乱ごみ戦略2015-2020については、下記↓

クリックしてFINAL%20Litter%20Prevention%20Strategy%202015%20web.pdfにアクセス

散乱ごみのアイテム別調査結果と容量別調査結果が掲載されている。アイテム別では、タバコの吸い殻がトップ、二番目がプラスチックである。容量別では、プラスチックがトップで、2番目が紙。

<出所>

WA Container Deposit Scheme;

https://www.der.wa.gov.au/our-work/programs/111-wa-container-deposit-scheme

 

 

 

ユニクロとZARAも脱プラスチックを表明

ユニクロは、プラスチック製レジ袋を生分解性プラスチックや紙製などの代替素材に切り替えることを検討している。レジ袋だけでなく、ヒートテックなどの包装に使っていたプラスチック袋の材質見直しも検討するそうだ。

また、ZARAは、2019年以降順次、プラスチック製レジ袋を紙製に切り替える。靴やカバンなどを包んでいたプラスチック包装材も紙製に一本化するとのこと。

<出所>

日本経済新聞(2019.1.5)「ユニクロ、環境配慮素材の買い物袋導入 19年にも ZARAも紙製に切り替えへ 」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3962966004012019TJC000/

 

マルタ 2019年12月からデポジット制度開始か

以前から飲料容器へのデポジット制度の導入を宣言していたマルタで、いよいよ制度の概要が固まってきた。

150m2以上の面積をもつ小売店などに350台の自動回収機を設置して回収する。大型店は設置義務があるが、小規模店は選択できる。容器を回収すれば、回収手数料として1000個で4ユーロが支払われるとのこと。

容器を返却した消費者への返金額は10セント。対象容器の材質は、プラスチック、金属、ガラスで、この制度が、同国の廃棄物管理に大きな変革をもたらすと期待されている。

今年の12月から開始される予定だ。

海ごみ対策のため、世界では次々とデポジット制度が開始、あるいは開始予定となっている。

インドのマハラシュトラ州でも、バイバック制だったはずが、いつのまにかデポジット制度に代わり、既に開始された。イギリスでも昨年開始が決まり、今まさに制度の詳細が検討されている。オーストラリアではもうほとんどの州で開始された。

これらの国々の多くは、以前空き缶散乱が問題となったときにデポジット制度を開始しようとしたが、飲料メーカーらの強い反対により開始できなかったところだ。

昨今の海洋プラスチック汚染問題の厳しい現状に、さすがの反対派たちも、デポジット制度に反対することはかえって消費者の反発を招き、不買運動に発展する恐れがある、と判断したのだろう。コーラ会社も昔ほどは反対していないように見える。

日本も今年、デポジット制度についての議論が再開されることを強く願っている。

<参考>

TIMES MALTA(2018.10.23)Significant reduction in plastic waste expected with beverage refund scheme;

https://www.timesofmalta.com/articles/view/20181023/business-news/significant-reduction-in-plastic-waste-expected-with-beverage-refund.692322

TVM(2018.12.12)10c refund for disposal of plastic, metal and glass bottles in special depositories – PM;

10c refund for disposal of plastic, metal and glass bottles in special depositories – PM

バイオベースのペットボトル vs 再生ボトル、国内メーカーは何を選ぶのか

コカ・コーラは現在、一部飲料で最大30%のバイオマス由来(サトウキビの糖蜜)の原料を使ったペットボトルを使用している。2009年に発表された日本コカ・コーラの計画によると、「将来的には100%植物由来で非食料バイオマスを原料とした、リサイクル可能なボトルを作りたい」とのこと(2009.12.17同社プレスリリースより)。

また、2018年1月に米国のザ コカ・コーラカンパニーは、「2030年までに平均して50%のリサイクル素材をPETボトルに含有することを目指」すとし、さらに「同社容器の100%相当分の回収・リサイクル」というグローバルプランを、高らかに歌い上げた。英国のコカ・コーラは、これまで猛反対していたデポジット制度を受け入れた。米本社でも現在同制度を検討中だと漏れ聞こえてくる。

しかし、グローバルプランの直後に発表された日本コカ・コーラの「2030年ビジョン」では、「原材料としてリサイクルPETあるいは植物由来PETの採用を進め、PETボトル一本あたりの含有率として、平均して50%以上を目指」すとされた。さらに、高らかだった100%相当分の回収も影をひそめ、頭に「政府や自治体、飲料業界、地域社会と協働し・・」という枕詞が付いて、自ら回収するという強い意志の感じられないプランにすり変わった。

ここでわかることは、欧米のコカ・コーラは積極的に回収に取り組み、かつ再生樹脂の活用にも力を入れるが、日本コカ・コーラは再生PET樹脂よりもおそらくバイオベースのペットボトルを作ることに力を注ぎそうだ、ということである。

一方、エビアンを作るフランス・ダノン社は、リサイクルしたプラスチックを使う再生ボトルの開発に力を入れる。2025年までにすべてのペットボトルを再生プラスチック製にするそうだ(現在は3割とのこと)。さすが、リサイクル重視に舵を切ったフランスのメーカーらしい。フランスの税制度を考えると、この方針はもっともだ。

日本で、再生PETに最も力を入れているのは、おそらくサントリーだ。同社は「2025年までに国内清涼飲料事業における当社全ペットボトル重量の半数以上に再生ペット素材を使用していくことを目指す」としている(2018.11.29プレスリリースより)。

もちろん同社も、米国バイオ化学ベンチャー企業・アネロテック社と共同で、植物由来原料100%使用ペットボトルの開発に取り組んでいる(2016.1.13)。

アサヒは以前からバイオベースのペットボトルに力を入れているように見えるが、キリンはバイオベースと再生樹脂の両方に取り組んでいるように見える。

日本のメーカーはいずれも、バイオベースボトルと再生ボトルのどちらに舵を切るか、決めかねているように見える。これはおそらく国の方針がまだ明確でないためか。

いずれにせよ、生産者責任により全量回収し、その樹脂を使って再生ボトルを作る、というのが責任ある企業の態度ではないか。回収するペットボトルがバイオベースのものであろうと石油ベースであろうと、まずは全量回収・再生ボトルをめざしてほしい。

そうでなければ、使い捨て飲料容器、とりわけペットボトルのような散乱した場合に環境負荷の高い容器を使うのは無責任だ。

30%程度のバイオPET樹脂を使用しているうちは、通常のリサイクルルートでのリサイクルは可能だが、早晩100%バイオベースの「PEFボトル」(ポリエチレンフラノエート樹脂を使ったボトル)などもできるはず。そうなればこれまでのリサイクルルートで従来品と混じった場合にどうなのだろう?

もしかすると、将来的には生分解性のペットボトルもできるかもしれない。もしそうなれば、今の回収・リサイクルルートに混入したら困ることになる。

業界団体でデポジット制度などにより使用後のペットボトルを全量回収し、石油由来と植物由来など素材別、あるいは生分解性の有無などその状況に応じて機械的に仕分けし、それぞれで再生ボトルを作るのでなければ、ペットボトル販売などは中止すべきだ。

ペットボトルでの飲料販売は、メーカーにとって利幅が小さく、薄利多売。環境団体からの圧力も大きい(少なくとも海外では)。今のまま作り続けていてもよいことはない。作り続ける理由は、消費者ニーズが強いため、国が規制をかけない以上は自社がやめても他社が作る、だからやめられない、といったところだろう。

国が、小型ペットボトルの生産と輸入に規制をかけることで、この誰もが望まない薄利多売・環境汚染レースをやめられるのではないか。

<参考>

毎日新聞(2018.12.19)「再生ボトルへ試行錯誤」

DSC_0034

コカコーラ

https://www.cocacola.co.jp/press-center/press-release/news-20091217

サントリー

https://www.suntory.co.jp/softdrink/news/pr/article/SBF0770.html

https://www.suntory.co.jp/news/article/12563.html