有害化学物質連続セミナーのお知らせ

昨日、有害化学物質連続セミナーの第1回目「PFAS(有機フッ素化合物)の環境汚染問題を考える」という講演会に参加した。講師は原田 浩二先生(京都大学医学部)で、とてもよかった。2回目以降は以下の内容だ。

11月16日(木) 10:00~12:00
香害・化学物質過敏症問題を考える
北條 祥子氏(尚絅学院大学名誉教授)

12月21日(木) 10:00~12:00
農薬再評価制度を考える
木村‐黒田 純子氏(環境脳神経科学情報センター)

1月18日(木) 10:00~12:00
環境ホルモン問題を考える
槌田 博氏(有害化学物質削減ネットワーク)

2月22日(木) 10:00~12:00
化学物質審査規制法・優先評価物質を考える
中地 重晴氏(有害化学物質削減ネットワーク)

申込みなど詳細は以下へ↓

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11/3の環境ホルモン講演会のお知らせ

2023年11月3日、国際セミナー「ビスフェノールA(BPA)は 人間の卵子の発達を阻害する!」がある。

前回のセミナーは、フタル酸エステルの話が主だったが、今度はビスフェノールA(BPA)だ。日本ではビスフェノールAの対策が早く、むしろ代替として使われたビスフェノールSが問題だと聞いている。しかし、BPAの話をするということはまだ多く使われていると言うことか。

いずれにせよ、どれもPFASなどと同様、環境ホルモンであることは変わらない。

聞くと、プラスチックや感熱紙を使うのがますますイヤになりそうだが、やはり聞くべきだと思う。企業の「つくる責任」が不十分である以上、消費者の「使う責任」は身を守る。

今回もダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議と子どもケミネットの共催のようだ。

申込みなど詳細は下記サイトをご確認ください↓

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ワシントン州、飲料缶のビスフェノール類の禁止を採択

ワシントン州では2023年5月31日、飲料缶のビスフェノール類ベースのエポキシライナーの禁止を採択した。

食品缶のビスフェノール類のエポキシライナーは「報告要件」とのこと。

https://www.packaginglaw.com/news/washington-state-adopts-first-nation-ban-bisphenols-drink-can-liners#:~:text=On%20May%2031%2C%202023%2C%20Washington,epoxy%20liners%20in%20food%20cans?eType=EmailBlastContent&eId=e53f7b5a-ee73-4c5b-8a60-5e91ff43e49a

飲料缶や食品缶の内側は、プラスチックでコーティングされている。そのプラスチックは以前はビスフェノールA(エポキシ樹脂の原材料として使用)を使うことが多かったが、ビスフェノールAが危険だと認識されるようになってからは他のビスフェノール類がよく使われていた。

そのビスフェノール類の使用が飲料缶で禁止、食品缶で「報告」を課されることが決まったようだ。

報告というのがよくわからないが、カリフォルニア州のように缶の表面の見えるところに、「ビスフェノール類使用につき・・・などの危険性がある」などと書くのだろうか?

例外は「テトラメチルビスフェノールF」で、これならば使用してもよく、報告義務もないそうだ。

テトラメチルビスフェノールFは、他のビスフェノール類と異なり低毒性だという研究結果があるためのようだ。

「テトラメチルビスフェノールF」↓

https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202002224608989340

PFAS(有機フッ素化合物)とは。一定の濃度を超えた製品は「意図的添加」でなくとも流通を禁止すべき

PFASについて調べてみた。日本ではPFASについての明確な定義がないようだが、アメリカでは「各州は PFAS を、フッ化炭素を少なくとも一つ含む有機フッ素化合物、と広範な定義」をされているそうだ。

フッ化炭素とはフッ素と炭素の化合物。つまり、総フッ素量が多くても、炭素と結合していなければPFASとはいえない。

多くの州は「意図的に添加された」 PFAS のみに規制が適用されるそうだが、カリフォルニア州は「意図的な添加でなくとも、100ppm 以上の濃度の PFAS を含有する製品も規制され」るとのこと(出典は同上)。

従って、カリフォルニア州では、人工芝などのプラスチック製品は、意図的に添加されたものでなくとも規制が働くようだ。

炭素などどこにでもある原子なので、フッ素を使っている限りPFASが不純物としてできてしまいそうだから、意図的であろうとなかろうと、カリフォルニア州のように一定の濃度を超えた製品は規制すべきだと思う。

最近、いろいろなもの(人工芝、コンタクトレンズ、ペットボトル、トイレットペーパー、紙製ストローやプラ製ストロー、雨水など)からPFASが検出されている。トイレットペーパーは、製紙メーカーは「入れていない」といっているそうだから、意図的ではないらしいが、抄紙機がスムーズに機能を果たすために使う薬剤由来だろうか。

いずれにせよ、日本でも早急にプラスチック製品や紙製品のPFASを規制してほしいものだ。

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ほくほく線六日町駅に「香害」ポスターが!

六日町温泉へ行った帰りに、ほくほく線の六日町駅から電車に乗ろうとしたところ、駅の階段に5省庁連盟の香害ポスターが貼ってあった。

改訂前の古いバージョンのポスターだったが、まだきれいだ。目立つところに貼ってあったので気付いた。

駅で香害ポスターを見たのは初めて。駅員さんの気遣いが感じられ、ホッとした。

忘れ物の傘を利用して貸し出すリユース傘も置かれていた。環境への配慮と利用者への配慮が感じられ、駅員さんの思いやりにしばし癒やされた。

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米イリノイ州でペンキのリサイクルが2025年から始まる

アメリカのイリノイ州で今年7月28日、ペンキのリサイクルプログラムが州知事に承認された。これにより、同州では家にある残ったペンキを回収場所まで持って行くと、リサイクルしてもらえることになる。開始は2025年から。

既にアメリカでは、カリフォルニア州、コロラド州、コネチカット州、ミネソタ州、オレゴン州、ロードアイランド州、メイン州、ニューヨーク州、ワシントン州、バーモント州、コロンビア特別区で行われているという。

リサイクルにかかる費用は、新品のペンキの販売価格に上乗せされる。つまり、拡大生産者責任だ。

以前、カナダでこのプログラムを実施している州で、実施光景を見たことがある。住民がデポジット制度の下、ビンや缶・ペットボトルなどを回収している「デポ」にペンキも一緒に持参していた。

持参されたペンキをデポのスタッフが受け取り、中身だけ色別に大きな容器に移していた。回収されたペンキはそのあと専門業者に引き取られ、色を調整した上で、リサイクルペンキとして店頭で販売さていた。

イリノイ州でも同じ方法でリサイクルするのかはわからないが、おそらく似たような方法だろう。

日本では欧米ほど家に残りペンキなどはないと思われるが、自宅の壁などにペンキを塗る文化のある欧米ではたくさんのペンキが家に残ったままになっていると思われる。

日本でも処分に困り、可燃ごみなどに混ぜて捨てる人を時々見かけることがある。日曜大工の好きな人にとって、余った塗料類を処分するのはかなり難しいことだろう。

ペンキは多くの自治体で回収していない。せめて購入店で引き取りが義務化されていればよいが、それもない。

相模原市でもペンキは「購入先か専門の業者へ ※固形化しているものは「一般ごみ」」と書かれている。専門の業者に依頼するか、放置し固まるのを待つしかないが、固まったペンキと缶は分かれるのだろうか?それとも、缶ごと一般ごみに出して良いのか迷うところだ。

ペンキには必ずマイクロプラスチックも含まれているから、外に撒かれても困る。有機溶剤も身体に悪そうだ。

プラスチックや危険な有機溶剤を含まないペンキを開発してほしいが、難しいのだろうか。

アサリ缶詰、PFAS基準超えで昨年アメリカでリコール

中国産の2社のアサリの缶詰が昨年、PFASが高濃度で検出されたため「自主的リコール」に踏み切っていた(下記資料, p.44)。

米国食品医薬品局(FDA)が缶詰から見つけたPFASは、既に禁止されたはずのPFOAだ。

「1 ヶ月あたりおよそ 10 oz 以上食べる消費者に健康上の懸念となる可能性がある」(同資料)という。

アメリカは日本よりも厳しいPFAS基準をもっているため、リコールにいたったのだろうが、これらの缶詰は日本では合法的に売られてしまうかもしれない。

そもそも、日本のアサリ缶は、国内で調べられているのだろうか?

PFASのような内分泌かく乱物質の毒性には閾値がない。今の時代、PFASを避けて生きるのはなかなか難しいけれど、少なくとも妊婦や幼児は今のところ、アサリの缶詰をあまりたくさん食べない方が無難かもしれない。

資料には「水産物に関する食事習慣を変える必要があるかどうか疑問に思う消費者には、あな たやお子さんたちが、水産物を含む、年齢にあった多様な健康的な食事をとることを再度推奨する。水産物は、子供には脳の発達や免疫機能向上、大人には心臓や骨の健康利益、特定のがんのリスク低下に役立つなど、健康的な食事の一環として多くの栄養的利益を提供する。中国産の缶詰アサリを定期的に食べたり子供に与えたりする人は、我々がより多くの情報を得るまで、全体的な摂取量を減らしたほうがよいかもしれない」と書かれている。

<出所>

プラ製容器をレンチンすると大量のマイクロプラが発生 離乳食容器からも

プラスチック容器に入れたまま食品を電子レンジにかけると、容器から化学物質が溶出し、食べた妊婦に死産などの被害を与える可能性のあることは既に報告されている。

今度は、プラスチック製食品容器に水や食品を入れ電子レンジにかけると、大量のマイクロプラスチックが放出されたということだ。

研究チームは、アメリカ食品医薬品局(FDA)が承認しているポリプロピレン製の離乳食容器やポリエチレン製の食品容器に、水またはさまざまな食品をシミュレートする3%の酢酸水を入れて、1000Wの電子レンジで3分間加熱したとのこと。加熱後、容器に入った液体にどれほどのプラスチック粒子が放出されたかを分析したところ、大量のマイクロプラスチックが液体に放出されていたという。

「実験結果を分析した研究チームは、わずか1cm2のプラスチックから422万個のマイクロプラスチック(粒子の直径が1μm~5mm)と21億1000万個ものナノプラスチック(粒子の直径が1μm未満)が液体に放出されると推定しました」。

https://gigazine.net/news/20230809-microwaving-released-billions-nanoplastics/

このことはすなわち、プラスチック製容器に入れたまま食品や水を電子レンジにかけると、危険な化学物質がくっついたマイクロプラスチックが食品などにくっついて、人間の体内に入り込み、影響を与えるということを意味している。

妊婦や赤ちゃんはもちろん子どもや大人も、プラスチック容器に入れたまま食品を電子レンジにかけることは、くれぐれも避けたい。

相模原市はPFAS汚染の原因究明を

河川水や地下水のPFAS汚染の値を見ていて、道保川の汚染が想像以上にひどくて驚いた。

https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kurashi/1026489/kankyo/1026503/jyokyo/1023819.html

暫定指針値(PFOS 及び PFOA の合計値として 50 ng/L)を大幅に超えている。

2021年度調査では、公園下流が340ng/L、公園上流が310ng/Lだ。

2022年度調査でも、公園下流が200ng/L、公園上流が340ng/L。

相模原市が今年、米軍関連施設からの排水処理施設からの排水を調べたところ、辛うじて指針値を超えていなかったようだ。

しかし、相模総合補給廠(中央区矢部新田、上矢部、小山)のPFOS ・ PFOA の合計値はまだ39ng/Lもある(参考:相模原市発表資料(令和5年3月2日)「米軍関連施設の排水中に含まれる有機フッ素化合物(PFOS等)調査結果について」)。

もしかすると、PFOS と PFOAの入った泡消火剤がまだ施設内に保管され、使われているのでは?それとも漏れ出しているのかもしれない、などと心配になる。

相模原市は原因を特定するため、立入調査をすべきでは?もし、まだ古い泡消火剤が保管されていたら、速やかに処分を要請してほしい。

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ホコリから柔軟剤の香り成分を3種類検出、化学物質の環境残留性を指摘

時間があったので、以前読み飛ばしたが気になっていた研究ノートを読んだ。佐賀大学大学院の研究チームの書いた「におい嗅ぎガスクロマトグラフィーを用いたハウスダスト中マイクロカプセル化香料の検索」『におい・香り環境学会誌51巻5号』(2020年)だ。

大学の学生演習室の清掃中に、ハウスダストから「柔軟剤のような甘いにおい」がすることに気付いた学生の指摘に端を発した研究とのこと。

一般的ものならば香料はすぐに揮発するが、残効性をウリにしている商品には香料を各種樹脂でコーティングするマイクロカプセル化技術が用いられている。マイクロカプセルに守られた状態ならば香りは長時間(長期間)残る。

この研究はその特性を利用し、官能評価、GC-O(ヒトの嗅覚を利用して化学物質を比較・同定する装置)分析、およびGC-MS分析を活用することで、ハウスダストから感じられた匂いが柔軟剤のマイクロカプセル化香料に由来していることを検証したそうだ。

結果として、ハウスダストの中の匂いが、柔軟剤由来のisopropyl 3-methylbutanoate (またはnonane)、tridecanalなど3種類の匂い物質と一致した。

研究は、香料のマイクロカプセル化技術が化学物質の環境残留性に対し新たな課題をもたらすことに、一歩踏み出している。香害の原因を明らかにし、これ以上被害を広げないためにも、研究を継続してほしいものだ。

それにしても、ホコリまで匂わせてしまうマイクロカプセル化技術は、化学物質の危険性を急速に高めている。

ハタ迷惑なだけでなく危険だ。日用品への使用を早急に禁ずるべきなのに、なぜいつまでも許しておくのだろうか。少なくとも、たばこのCMと同様、マイクロカプセル化技術を使った商品のCMも規制すべきだ。