アイルランドは、来年2月にデポジット制度を開始する予定だ。アイルランド銀行がこのスキームに関わるという。
500ミリリットルまでのペットボトルと缶のデポジット額は15セント、それを超える場合は25セント。返却には、自動回収機を利用することもできるし、レジも利用できるそうだ。
アイルランドでは、既に90%以上の生産者と2,500以上の店舗がデポジット制度に参加表明しているようだ。
<出所>
旧「環境にやさしい暮らしを考える」のブログです。持続可能な暮らしに関連するニュースや、気になった環境情報を紹介します。専門は環境経済学です。
アイルランドは、来年2月にデポジット制度を開始する予定だ。アイルランド銀行がこのスキームに関わるという。
500ミリリットルまでのペットボトルと缶のデポジット額は15セント、それを超える場合は25セント。返却には、自動回収機を利用することもできるし、レジも利用できるそうだ。
アイルランドでは、既に90%以上の生産者と2,500以上の店舗がデポジット制度に参加表明しているようだ。
<出所>
街路から回収された約600kgの廃ペットボトルと700kgの鉄廃棄物から作られた全長9メートルものカメが、インド・チェンナイ市の浜辺に登場したそうだ。
カメの中に入れるとのこと。
インドの英字日刊紙「ザ・タイムズ・オブ・インディア」による取り組みで、使い捨てプラスチックに対する人々の意識を高めるために作られたという。
こういう話は面白いけれど、啓発になるかは疑問だ。多くの人はこれを見て面白がるだけで、使い捨てプラスチックを使わないようにしよう、とまで考える人は少数派だろう。
いつ撤去するつもりか知らないが、展示中のカメから少しずつ、紫外線で劣化したマイクロプラスチックが大気へ放出される。
しかも、ペットボトルから溶け出したフタル酸エステルなどの化学物質が砂浜を汚染しそうだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2bf72ae358fbd729aba95c95d8a2b841b3dcdd31
ある環境系の人が、「リユースびんなどのように価値のあるものをデポジット制で回収するのは良いが、ペットボトルや使い捨てカップのような価値のないものはデポジット制はムリ」などと発言するので耳を疑った。
真実とは真逆の発言だ。まったくデポジット制度を理解せず、批判のための批判のようだ。
価値のあるものならば、デポジット制度にしなくても落ちていれば誰かが拾うので、散乱ごみにはならない。そもそも、本当に価値があれば、誰もポイ捨てなどしない。
しかし、ペットボトルなどのような使い捨ての価値の低いものはポイ捨てされやすいし、落ちていても誰も拾わない。そういうものこそ、デポジット制度にすべきなのだ。デポジット目当てに誰かが拾ってくれるので、散乱ごみになりにくい。
一見環境系の団体の人が、「日本ではデポジット制度は向かない」などと言い切るのが、全く理解できない。
もしかしたら、飲料メーカーからお金をもらってるの?と疑ってしまう。
リサイクルの善し悪しなどはまた別の話だ。使い捨てプラスチックはそもそも禁止したらよいと思うが、すぐに禁止できないのならば、せめてデポジット制度で回収しなければ汚染は止まらない。
<関連記事>
飲料メーカーが全国各地の自治体のペットボトルを買いあさっている。6月9日、アサヒ飲料と墨田区、ペットリファインテクノロジーの3者が協定を結んだ(日本経済新聞)。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC095JF0Z00C23A6000000/#:~:text=アサヒ飲料などを傘下,資源として再利用する%E3%80%82
2024年4月から墨田区が回収する年間1200トンのペットボトルを引き取り、再びペットボトルの資源として再利用するそうだ。
1年契約で、1年ごとに更新される。
ペットリファインテクノロジーは川崎でケミカルリサイクルでペットボトルの再生樹脂を作っている会社だ。親会社は日本環境設計(以前の社名)。確か今の社名はJEPLANか(前の名前の方が覚えやすかった)。
メーカーが引き取るということは自治体にとって、容器包装リサイクル協会のようにうるさいことを言われずに済む。容リ協会はラベルを剥がせだの何だのと、うるさい限りだ。しかも入札でないから、決まった金額で買い取ってもらえるという利点もある。
メーカーにとってはもっと大きな利点がある。きれいなペットボトルが安定的に入手できるのだ。
しかし、何か変だ。本来ペットボトルのようなものは、世界では「拡大生産者責任」が当たり前だ。回収からメーカーが自力でするか、自治体に依頼するならば、回収費用を全額自治体に払うべきものだ。
墨田区の場合、回収費用はほぼ税金負担で、容リ協会よりも少し高めの金額で、集めたペットボトルを買い取ってもらっているだけのはず。
飲料メーカーが使用済みペットボトルを欲しがるようになったのは、ボトルtoボトルが奨励され始めてからだ。その機運はプラ新法で加速している。
ようやく自治体にとり、タダでペットボトルを回収しなくて済む好機が訪れたのだ。
こんな協定などで妥協せず、今こそ「拡大生産者責任」のもと「メーカーは回収費用を全額負担せよ」と声を大にして叫んでほしい。
わずかな金額で妥協せず、自治体にはもっと大志を抱いてほしい。それが、ペットボトルなどの処理困難な使い捨てプラスチック製品が登場して以来の悲願だったはずだ。
ウォーターサーバーのレンタルを行うウォータースタンド社が神奈川県と「プラスチックごみ削減と脱炭素社会実現に関する協定」を締結した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000124.000045090.html
5月30日(ごみゼロの日)から「県庁本庁舎1階に2台、新庁舎4階給湯室に1台のマイボトル用給水器を設置」したそう。神奈川県としては「よくやった」と思うけれど、せめて設置と同時に、庁舎内でのペットボトル使用禁止や販売禁止、自販機撤去なども打ち出してほしかった。
単に「3台ウォーターサーバーを設置しました」というだけでは効果もおそらくしれている。
「かながわプラごみゼロ宣言」も宣言のみで、プラスチックを元から減らそうという発想は全く感じられない。
これを機に、県庁以外にも給水器を設置したり、自販機を撤去したりなどの取組を進めてほしいものだ。
ロイターによると、2024年にフランス・パリで開催されるオリンピック・パラリンピックでは、使い捨てプラスチックを禁止にするそうだ。
さすがフランスだ。東京五輪でもそうしてほしかったが、東京は「スポンサーの意向」などでできなかった。スポンサーとは主にコカ・コーラを指していたと思う。
パリ五輪では、コカ・コーラも協力し、ガラス瓶を使用するとのこと。
マラソンでも再利用可能なカップが提供される。
ロイター↓
https://jp.reuters.com/article/olympics-environment-idJPKBN2XI01W
フランスでは2025年までに使い捨てプラスチック包装の年間市場投入量を、2018年比で20%減らす目標を立てている。
そのため、既に青果のパッケージなども一部を除きほとんど禁止され、ティーバッグやファストフード店の子ども用おもちゃなども禁止された。2024年からはマイクロプラスチックを含む医療機器の販売が禁止となるそう(JETROビジネス短信)。
量り売りや容器持参の取組も進んでいる。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/05/413407e4a686561c.html
一方日本は、使い捨てプラスチックは一部減ったような気もしないでもないが、増えているプラスチック製品の方があまりに多すぎて、プラ新法の効果はいまだ見えない。海外の人から指摘される日本人の「プラスチック中毒」は、かなり深刻なようだ。
国際研究チームがペットボトルに入ったミネラルウォーターを調べたところ、1ミリリットル当たり1億個以上のナノプラスチックを検出した。1リットル当たりではなく、1ミリリットル当たりだ。
https://japanese.joins.com/JArticle/304826?servcode=400§code=400
調べたのはノルウェー科学技術大学と中国の南開大学、ベルギーのゲント大学などの研究チーム。サンプルは、ノルウェーで市販されている4つのブランドのペットボトル入りの飲料水だ。
これまでの検出方法とは違う方法で調べたため、これまで得られていた結果とは桁違いに多い。
これまでは、世界平均で「1リットル当たり325個」とのことだった。
https://toyokeizai.net/articles/-/236346?page=2
しかし、今回は「1ミリリットルにはナノプラスチックが平均1億6600万個」とのことなので、1リットルに換算すると1660億個?!
ということは、これまでの5億倍!?!
環境省はいまだに「プラスチック・スマート」などと、プラスチックと賢く付き合うなどといっているが、プラスチックを使っている限り、マイクロプラスチックの大量曝露から逃れられないことは明白だ。
あまりにも数が多いので、気になって元の論文を調べてみた。
これのようだ↓
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.est.3c00842
調べたのはノルウェーのスーパーで購入した4つのブランドのペットボトル入りの水。採取したポリエチレンテレフタレート(PET)ナノプラスチックは、平均サイズ約88.2 nmだったそう。
採取したサンプルの濃度は、1ミリリットル当たり約108(10の8乗だから1億!)個/mLと推定された。ボトル入り飲料水によるヒトの年間ナノプラスチック消費量は、成人の飲水量を1日2リットルと仮定すると、約1014個(100兆!?)と推定されたとのこと。
桁が多すぎて混乱する。
世界の飲料容器は、デポジット制度による回収に移行している。「自主的」に容器を回収に出す人ばかりではないから、当然だろう。
日本人は、表向きだけ「自主的」であることを好む。それを国と事業者はうまく利用している。
多くのマスコミは、自ら学ぼうとせず、政府や事業者の発表を右から左へ流すだけだから、国や事業者寄りの情報ばかりを、流布している。そのため、環境団体の人までも「デポジット制度は日本には向かない」などとビックリするようなことをのたまう。
デポジット制度が嫌ならば、容器に入った飲食物など売るべきではない。にも関わらず、デポジット制度を批判する人はマト外れの批判を展開してくれる。
その批判の根拠は、2003年にドイツがデポジット制度を導入した際に、飲料メーカーなどが7000を超す訴訟を起こしたが、その際にメーカーが流した偽情報だったりする。その偽情報を元に、論文を書いた研究者もいたくらいだから、一般の人が信じていても不思議はない。
日本人は「海外はそうでも、日本は違う」という話が大好きだ。日本を特別視するあまりの発言で、それをデポジット制度批判につなげると、こうなるらしい。
「日本人はまじめで、決められたことはきちんと守るし、教育レベルも高い。だから、デポジット制度にしなくても、飲料容器は9割以上回収されている」などとなる。
本当に9割以上回収されているならば、少なくとも目に見える範囲にはペットボトルや空き缶など落ちているはずがない。9割以上の回収率というのはそういうレベルの話だ。
日本がデポジット制度に移行しないのは、製品価格に上乗せされるデポジットが需要を下げるため、販売量の減少を恐れるメーカーが嫌がるためだ。
2003年当時、あることないこと流布され、ドイツのデポジット制度が失敗した、などと日本で喧伝された。しかし今、ドイツのデポジット制度が失敗などと言ったら笑われるので、デポジット制度に反対する人は代わりに「日本にデポジット制度は向かない」と言っているようだ。
シンガポール国家環境庁(NEA)によると、2025年4月から10セントのデポジットを飲料に上乗せし、制度を開始するとのこと。上乗せされた飲料には容器にラベルが貼られる。ラベルのない飲料もまだ出回っていることから、4月から6月まで3ヶ月の移行期間がもうけられている。
すべての飲料関連企業と小売店は2025年7月1日までに、デポジット制度を完全に実施しなければならない。
シンガポールでは、ペットボトルと缶が飲料容器の70%を占めるという。
これまでシンガポールのデポジット制度は、2023年開始とされていた。
https://www.nna.jp/news/2160348
遅れたようだが、中止にならずによかった!
(補筆2025.04.3)
デポジット制度の開始は1年遅れ、2026年からになった。
詳しくは↓
<関連記事>
スコットランドでは、イギリスの他の地域に先駆けて、2023年8月16日からデポジット制度を開始する。
コロナ感染禍により、1年遅れだ。
スコットランドのデポジット制の制度設計に関わったゼロ・ウェイスト・スコットランドのイアン・がランド最高経営責任者は
「ゼロ・ウェイスト・スコットランドはスコットランドのデポジット制の設計に助言したことを誇りに思います。これにより二酸化炭素が削減され、より良いリサイクルが進み、街路からのごみが最大3分の1が除去できるなど、いくつもの利点をもつゲームチェンジャーだ」
と述べている。
https://www.gov.scot/news/scotlands-deposit-return-scheme/
20ペンスのデポジットを払って飲料を購入し、その容器を用意された何万もの回収スポットに持参することで、デポジットは返却されるとのこと。
使い捨てのペットボトルや飲料缶などはなくすべきだとは思うが、それは現実的でない。デポジット制度はベストではないが、現状よりはるかにマシになる。日本にもデポジット制度が必要だと思うが、既得権益にしがみつく人たちの反対で、日本ではできそうにない。