新型コロナの影響で、スコットランドのデポジット制度開始を延期

コロナウイルスが各地のデポジット制度に影響を及ぼしている。

来年4月から開始が予定されていたスコットランドでも、コロナ対応に追われ、2022年7月まで開始が延期されることになった。

スコットランドのデポジット制度は、イギリスの他の地域に先駆け、使い捨てのガラスびん、缶、プラスチックボトルにそれぞれ20pのデポジット(保証金)を付けて販売される予定。返却すると、デポジットは全額戻る。

カニンガム環境大臣によると、「気候変動問題の目標達成のための重要手段の1つは、資源を可能な限り使い続ける循環型経済を構築すること。デポジット制度はその一環だ」とのことである。

また、スコットランド政府は、「スコットランドのデポジット制度は、リサイクル率を高め、ごみを減らす効果的な方法であるだけではない。高品質の素材の供給源であり、リサイクルのインフラを開発し、雇用を創出する大きなチャンス」であると分析している。

また、スコットランドのデポジット制度は、毎年費やされる4600万ポンド(約60億円)の税金による清掃費の節約になる上、85,500台もの車を道路から追放するのと同等の二酸化炭素節約効果もあるそうだ。スコットランドの経済規模で60億円というのはかなり大きい。

日本の政府や環境団体も、早くこの認識を持ってくれると良いのだが・・・、日本の大手環境団体の多くは、デポジット制度についてまだ全く関心がないようだ。

<出所>

HOLYROOD(2020.3.17)Deposit return scheme delayed to 2022 to allow businesses time to deal with impact of coronavirus;

https://www.holyrood.com/news/view,deposit-return-scheme-delayed-to-2022-to-allow-businesses-time-to-deal-with_15236.htm

HOLYROOD(2019.7.10)Deposit Return Scheme will increase trade and create jobs, finds Scottish Government analysis;

https://www.holyrood.com/news/view,deposit-return-scheme-will-increase-trade-and-create-jobs-finds-scottish-go_10560.htm

 

 

リトアニア、デポジット制度導入で街がきれいに。住民も大満足

2016年に飲料容器のデポジット制度を導入したリトアニアで、導入2年後にはペットボトルのリサイクル率が74 %に達した。

システムはとてもシンプルで、デポジット(保証金)が上乗せされた飲料を購入した場合、消費後、店舗に設置された自動回収機に空き容器を投入するだけ。消費者には、現金か店で利用できるバウチャーが支払われる(0.1ユーロ/個)。

デポジット制度の対象容器は、缶・びん・ペットボトル。それらの回収率は91.9%に達した。

街が清潔できれいになったことから、消費者の満足度もきわめて高いとのこと。

<参考>

GOOD NEWS NETWORK(2020.3.7)In Just 2 Years, Lithuania Steals The Crown For Best European Recycler By Using an Innovative Return Program

In Just 2 Years, Lithuania Steals The Crown For Best European Recycler By Using an Innovative Return Program

シンガポールもデポジット制採用を発表

3月4日、シンガポールの環境庁(NEA)は、2022年までに飲料容器をデポジット制度で回収することを発表した。

これは拡大生産者責任アプローチの第一段階になるとのこと。

指定された返却ポイントに容器を返却すると、デポジット(保証金)が払い戻される。

世界では、飲料容器を生産者責任によるデポジット制度で回収することが、もう当たり前になってきた。

一方、日本ではペットボトルでさえいまだに税金で回収されている。拡大生産者責任などなんのその。2022年4月から施行される法律も拡大生産者責任の視点はゼロだ。

これがいかに時代遅れで馬鹿げているか・・飲料メーカーは十分知っているはずなのに、容リ法や、その元となった廃棄物処理法の上であぐらをかき、何も変えようとしない。

環境団体もいまだに「サーマルリサイクル」批判に明け暮れているように見える。

<参考>

CNA(2020.3.4)New Deposit Refund Scheme to encourage recycling of beverage containers;

https://www.channelnewsasia.com/news/singapore/deposit-refund-scheme-to-encourage-recycling-budget-2020-12500234

進むフランスのごみ防止法、ペットボトルも半減目標

今年1月、フランスではごみを防止する画期的な法案が議会を通過した。

2025年までにすべてのプラスチックをリサイクル可能にし、今後10年で使い捨てプラスチックのボトル(ペットボトルなど)の使用を50%削減するという。

また、ファーストフードのレストランやテイクアウト用の容器にプラスチックを使うことを、遅くとも2023年までに中止する。

さまざまな製品で、生産者責任(汚染者負担)も強化されつつある。例えば、たばこの製造業者は、来年からたばこの吸い殻の処分費用を支払う必要があるそうだ。

既にスーパーでの売れ残り食品の廃棄も禁じられている。

一方日本は、使い捨てが規制されず、無駄が多い。

それどころか、日本の廃棄物処理法は時代にそぐわなくなっているにも関わらず、漫然と継続され、いまだに多くの製品が税金で回収されている。

(追記)

フランスの法案について、「オヴニー・パリの新聞」にも記載されていた。

「プラスチック使用などを制限する無駄撲滅法案が国会で最終成立した。同法案は2025年のプラスチックのリサイクル100%、2030年までに使い捨てペットボトルの使用を半分にする目標に掲げる。」

とのことだ。

無駄撲滅法案、最終成立

<参考>

The Guardian(2020.1.30) Landmark French law will stop unsold goods being thrown away;

https://www.theguardian.com/world/2020/jan/30/france-passes-landmark-law-to-stop-unsold-goods-being-thrown-away

 

コカ・コーラ、ごみ集積所や回収箱からごみ漏れ出しを確認

先般、日本コカ・コーラと日本財団が海洋ごみの流出経路を調べたところ、東京都と神奈川県を流れる境川流域のごみの約1割が、集積所などから漏れ出したごみだったとのこと。

また、自販機横の回収ボックスからの漏れもあることが確認された。

つまり、回収方法さえ改善すれば、簡単に回避できる海ごみがあるということだ。

日本はいつまでこのような無駄なことをしているつもりか、とつくづく思う。

海外でよく見かけるようなごみを入れるコンテナを各世帯に1個ずつ渡し、そこにごみを入れ、指定日に自宅前に置いておく方式に変更するならば、風やカラスが集積所を荒らし、ごみを散らかすこともない。

ごみの回収に今のようなパッカー車は使えなくなるが、今の方式は作業員が回転板にまかれる事故が散見するし、コンテナを機械的に持ち上げごみを投入する方式の方が、収集作業はラクだろう。

この方式が難しい地域は、ごみ集積所をしっかりしたものに整備するのがよい。できれば屋根付きが望ましい。

また、自販機横の回収ボックスは早急になくすべきだ。ごみはごみを呼び、回収ボックスはどうしたってごみの発生源になる。

デポジット方式での飲料容器回収ならば、回収ボックスなど不要だ。

せっかく大金かけて調査したならば、結果を有効に反映させた回収方法を日本コカ・コーラには考えてもらいたい。

<参考>

朝日新聞デジタル(2020.2.21)「「陸域から河川への廃棄物流出メカニズムの共同調査」調査結果を報告」↓

https://www.asahi.com/and_M/pressrelease/pre_10101122/

ついに豪ビクトリア州で、デポジット制度導入か

オーストラリアでデポジット制度導入あるいは導入予定のない州は、ビクトリア州とタスマニア州の2州のみだった。

しかし、ビクトリア州で、ついに制度導入を決定したようだ。今のところ、2023年のスタートを目指すらしい。

コカ・コーラ・アマティルも制度を支持している。コカ・コーラといえば、昔からデポジット制度を潰すため訴訟を起こしていた企業。それが2017年頃を境にデポジット制度支持に回っている。

但し、それは日本以外の話で、日本コカ・コーラはいまだにデポジットのデの字も言う様子がない。

日本では、容器包装リサイクル法という半端な拡大生産者責任で済んでいるため、寝た子を起こさないようにしているのだろう。

黙っていても税金で大量に回収してくれるから黙っていよう・・と。しかも、環境団体は給水器を設置するだけで満足しているように見える。水のペットボトルなど、ペットボトル飲料全体の2割に過ぎないにも関わらず・・。

世界はそれでは済まない。デポジット制度などで自ら回収費用を払う姿勢を見せなければ、ペットボトルなど市場から追い出されてしまう。日本を除く世界の飲料メーカーは、何とかしようと躍起になっている。

オーストラリアでは、西オーストラリア州が2020年6月2日から制度を開始する予定。

残りはタスマニア州のみだ。

<参考>

https://www.news.com.au/finance/money/victoria-to-get-container-deposit-scheme/news-story/4de8f84de405153eb2ae818da365eca6

https://www.foodanddrinkbusiness.com.au/news/amatil-supports-victorian-cds

 

 

海ごみ対策でデポジット制度急増、対象人口6億12百万人に

2018年以降、いくつもの国や地域で飲料容器を対象とするデポジット制度が開始された。昨年(2019年)は、欧州を中心に多くの国・地域が2022年から制度を開始すると発表した。

海洋プラスチック汚染についての認識が広まり、対策に乗り出す国・地域が増えたためだ。

CRIによると、2010年地点で2億7900万人(36国・地域)しかなかったデポジット制度を実施している地域の人口が、地域が急増することにより2022年には6億1200万人になるそうだ。

これは既に確定している地域の人口だけなので、今後もっと増えそうだ。

販売した量の空き容器をほぼ全量回収しないならば、ペットボトルや缶など使ってはならない、と考える人が増えた結果だろう。

世界は確実に循環型社会に向かっている。

 

誰がクジラを殺した?クジラの胃から100キロのプラごみ

英国スコットランドの海岸で11月に見つかったクジラの死骸を解剖したところ、お腹からロープやペットボトル、コップ、手袋など100キロものプラスチックごみが見つかったという。

100キロものプラスチックごみを飲み込んでいたのは、まだ10歳の若いクジラで、ハクジラの一種のマッコウクジラだ。ヒゲクジラは、ヒゲ板でエサをこしとるため、これ程のプラスチックを飲み込むことはないそうだ。

私たちがプラスチックを使い続け、海底に大量のプラスチックが沈んでいる限り、クジラの悲劇は終わらない。

海洋生分解性プラスチックも、海ですぐに分解するわけではないから、このような悲劇を終わらせる役には立たない。

社会システムが適切に整備されていれば、散乱ごみはそんなにひどいことにはならないはずだ。クジラを殺したのは、ごみを捨てた人だけの責任ではない。

プラスチックは大変便利で、現時点ではある程度は必要だと思われるが、パンドラの箱を開けてしまったような気がする。

早急かつ抜本的なプラスチックの大幅削減政策と、漁具や容器にはデポジット制度を中心とする徹底した回収・再利用政策が必要ではないか。

<参考>

SPUTNIK(2019.12.3)「スコットランドでマッコウクジラの胃の中から100キロのゴミ発見」↓

https://jp.sputniknews.com/incidents/201912036885623/

ナショナルジオグラフィック(2019.12.11)「クジラの胃に100kgのごみ、なぜプラごみ食べる?」↓

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/120900714/

 

 

先進国ではメーカーが負担するペットボトル回収費用、日本では…。散乱ごみトップはサントリー、2位がコカコーラ

拡大生産者責任という言葉を、生産者自身から聞くようになり、喜んでいる。

例えば、ユニリーバは拡大生産者で、回収費用を自ら負担することを表明した。

一部他メーカーも追随する方向を示しているようだ。

マレーシアでは、日用品などをプラスチック容器包装に入れて販売していたメーカー自らが、リサイクル工場を建設する動きが活発だ。

しかし、日本のペットボトルを利用する飲料メーカーは相変わらずだ。ここまで来ると、さすがに日本の消費者もおかしいと思い始め、自動販売機からペットボトルをはずす動きが出始めた。

意識の高い鎌倉市もそうだが、富士通や積水ハウスなどもペットボトルから離れる動きを見せている。

それに対し、ペットボトルリサイクル推進協議会は、

ペットボトルのリサクル率は20年度以降、85%前後で推移。米国は20%台、欧州は30~40%台で、日本は世界最高水準という。さらに同協議会は今年、2030(令和12)年度までに、リサイクルのほか焼却熱の利用で100%有効利用する目標を定めた。幹部は「プラスチック製品の中で、ペットボトルはリサイクルのトップランナーで、自販機で販売をやめる動きには違和感を覚える」と疑問を投げかけている。

とのこと。

米国の20〜30%台、欧州の30〜40%台というのは、あくまでも平均で、人口の多い州や国に引きずられた結果。国により計算方法も異なり、単純に比較できない。

1960年台後半以降、空き缶散乱がひどかったため、世界各地でデポジット制度にしようという気運が盛り上がった。

それを飲料メーカーが猛反対し、一部の州や国でしかデポジット制度導入がかなわなかった。例えば、1回目は阻止され、2回目の議会で導入が決まった米オレゴン州では、全米から大挙して業界団体が押し寄せ、反対のキャンペーンをはったという。

デポジット制度を導入できたところでは、今でも高い回収率を実現しているが、導入を阻止されてしまったところでは回収率が低い。

日本は、導入を阻止されてしまった国の1つ。今でも京都市内でのデポジット制度導入をめぐる闘いは、生々しく語られることがあるほどだ。

しかも、日本は、いまだに時代遅れの容器包装リサイクル法で、税金による回収を正当化している珍しい国だ。

以前は、ペットボトル回収は税金の無駄遣いだと怒っていた自治体職員も、最近は諦め気味だ。中には、「ペットボトルは売れている」などという職員すらいる。売れている金額の何倍もの経費が回収にかかることは、頭にないようだ。

これほど税金でコマメに分別回収していてさえも、散乱も多ければ、集積所の燃えるごみに入っていることも多い。

これだけペットボトルが散乱したり、自治体の可燃ごみに混入したりしていながら、90%以上の回収率で、80%以上のリサイクル率など、一体誰が信じるというのか。

世界の散乱ごみ調査で、コカコーラは散乱ごみトップの企業。日本のグリンピースによる国内一部地域の調査では、1位がサントリー、2位がコカコーラ、3位キリン・・と飲料メーカーがズラリと並ぶ。

写真を見ると、圧倒的にペットボトルが多い。

ペットボトル業界は、税金やボランティアによるごみ拾いの善意の上で、「高い回収率を達成」などといつまでもあぐらをかいているのではなく、そろそろ社会的責任を果たしてはどうだろう。

<参考>

産経新聞(2019.12.3)「自販機からペットボトル排除相次ぐ 使い捨てプラ削減」↓

https://www.sankei.com/life/news/191203/lif1912030021-n1.html

ユニリーバ(2019.10.7)「ユニリーバ、廃棄物ゼロの世界を目指して新たなコミットメントを発表」↓

https://www.unilever.co.jp/news/press-releases/2019/unilever-announces-ambitious-new-commitments-for-a-waste-free-world.html

グリーンピース(2019.11.21)「プラスチック汚染の世界1位は2年連続であの企業。日本の企業は…」↓

プラスチック汚染の世界1位は2年連続であの企業。日本の企業は…

 

 

 

 

 

インド、使い捨てプラ禁止を2022年まで延期

以前から「2022年までに使い捨てプラスチック撲滅」を目指していたインドが、2019年10月2日から6品目の使い捨てプラを禁止すると多くのメディアで報道されていた。

本当に禁止されるのか、禁止される小型ペットボトルのサイズは?などとワクワクしながら見守っていたが一考に禁止の様子が報道されない。

不審に思っていたところ、当初の予定通り、禁止は2022年まで延期するそうだ。

しかし、インドの国鉄施設内や国営航空では、10月からレジ袋やカップ、ストローなどが禁止されている。

<参考>

asksiddhi(2019.10.3)「モーディー政権、使い捨てプラスチック全面使用禁止を2022年まで延期へ」↓

https://asksiddhi.in/blog/display/1503

JETRO(2019.9.18)「インドのプラスチック規制、急速な導入に困惑と反発」↓

https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/09/6817a7286d9411c8.html

JETRO(2019.9.12)「インドのプラスチック規制、民間企業も追随」

https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/09/15a5ea6ca78eb967.html