日本の今年のオーバーシュートデーはまもなく。地球1個分の暮らしにはほど遠い

エコロジカル・フットプリント(以下、エコフット)は、人間が消費する量(需要)と地球が生産する量(供給)を比べる指標だ。

人間が地球の供給量を上回らず、地球1個分で暮らしている限りは、気候変動や森林破壊、プラスチック汚染などは起きなかったはず。しかし、今は地球の生態系サービスの量以上に人間は資源を使い、CO2を放出している。

そのせいで、いろいろひずみが生じ、環境問題も起きてしまった。

人間の活動が、生態系の再生能力を超える日がオーバーシュートデーだ。その日以降の暮らしは赤字の状態と同じで、私たちは子孫に借金をしながら暮らしていると考えられる。

昨年、世界のアースオーバーシュートデーは8月2日だった。

今年のオーバーシュートデーはまだ不明だが、日本のオーバーシュートデーは5月16日とのこと。まもなくだ。

新年からまだ半年も経っていないのに、私たちはエコフットの小さい国や子孫にツケを回しながら、赤字状態で暮らすことになる。

https://overshoot.footprintnetwork.org/newsroom/country-overshoot-days/

国際プラ条約会議閉幕。話まとまらず釜山の前に追加の話し合いか

第4回国際プラスチック条約会議(INC-4)が昨日、カナダ・オタワで閉幕した。

プラスチック汚染をなくすために最も効果が高いプラスチック生産制限は、やはり話がまとまらなかった。中東の産油国や中国が反対したためだ。

最後のプラスチック条約会議となるINC-5は、今年11月25日から韓国・釜山で開催されるが、それに先立ち8月末頃タイ・バンコクで追加協議になるという。

バージンプラスチックの生産制限を強く主張したフィリピンなどの提案に多くの国が賛同した。フィリピンはプラスチック汚染で最も苦しんでいる国の1つだ。

プラスチックで儲ける国と、プラスチック汚染に苦しむ国の間で、落としどころは見つかるのだろうか。

プラスチックで儲けようとする国や企業は、プラスチック汚染や気候変動で苦しむ国々のことはもちろん、自分の子や孫たちが苦しむことさえ気にしないようだ。

SDGsのゴール「誰1人取り残さない」はやはり難しいと、現地に参加していたNGOらの話を聞いてつくづく思う。

温暖化で山火事多発、地球は「負のスパイラルに」 加えてバイオマス発電所の火事も多発

今日の日本経済新聞によると、火災による世界の森林焼失面積は、過去20年間で約2倍になったそうだ。特にカナダは昨年の山火事で、経済活動で排出する3年間分の温暖化ガスに匹敵する17万トンものCO2を放出してしまったとのこと。

https://env-eco.net/wp-admin/post.php?post=7447&action=edit

「既に地球は負のスパイラルに陥ったのかもしれない」という。

一方、日本国内では、木質バイオマス発電所の火災が相次いでいる。理由は木質ペレットにあるらしい。含水率が低いはずのペレットでも、自然発火の原因になるようだ。

石炭火力発電所ではこの手の事故は起きないというのは、皮肉な話だ。

日本経済新聞(2024.1.12)「相次ぐバイオマス発電所の火災 木質燃料に潜むリスク」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC195F60Z11C23A2000000/

対馬で海藻の復活を目指す 温暖化や樹木伐採の影響で消失

長崎県対馬市にある「賀谷」地区。名前の通り、以前は「喜ばしき谷」で豊かな地だったが、今は温暖化や山の樹木伐採の影響で、海藻が消失したという。

そのため2021年12月、NPO法人賀谷藻場保全会(代表 鎌田 衛)を設立。藻場の環境保全活動を展開している。鎌田氏は以前はイタリアンのシェフだったが、現在は一本釣りと素潜りを得意とする漁師だ。

同団体は、コンブなど海藻種苗の投入や食害生物の駆除、陸地への植林などを行っている。「海藻の消滅とそれに伴う海中の二酸化炭素の増加は、有用海産資源に直接悪影響を及ぼすだけでなく、日本海全体の生態系に破滅への悪循環を生み出す元となりうる」ためだ。

モニタリングポイント49か所の海藻の生息密度観察も随時行い、月に一度海底を撮影。海底の泥サンプルを採取し濁度測定なども行っているそうだ。

植林や下草刈りなど人手の必要な作業も多いが、遠方にいても応援できる「応援会員」も募集している。応援会員には返礼品として、応援会員の種類に応じた藻場産品を送ってくれる。

団体の活動や応援会員について、詳しくは下記ウェブサイトをご覧ください↓

https://gayamoba-2.jimdosite.com

「都市森林」をめざし、木を植え続けるパリ市

フランス・パリ市のイダルゴ市長は2020年、大規模に緑化するため17万本の木を植えることを公約に再選された。

2023年の夏までに6万3500本の木を植え、この冬には4万5000本の木を植えるそうだ。既に目標の3分の2(64%)に近づいているという。

https://www.euronews.com/green/2023/12/09/paris-starts-work-to-transform-busy-roundabout-into-citys-first-urban-forest

フランスの環境団体は、「森は木のプランテーションではなく、生態系。(都市森林は)森とはいわない」などと批判しているらしいが、日本から見たらうらやましい話だ。

東京は木を切り続けている。神宮の森さえも、大規模に切り倒そうとするほどだ。

研究によると、「都市部の樹木は、地域の状況に応じて2°Cから10°Cの間で温度を下げることができる」とのこと。

それならば、ヒートアイランドを緩和するためにも、東京はもっと木を大事にするべきだろう。生物多様性の劣化や温暖化の対策になることも間違いない。

COP28、日本4回連続化石賞「環境に優しいように見せかけている」 脱石炭連盟に非加盟なのはG7で日本だけ

アラブ首長国連邦(UAE)で開催された国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の会場で、日本はまた「化石賞」を受賞した。化石賞は、国際環境NGO「気候行動ネットワーク」が温暖化対策に後ろ向きな国に贈る不名誉な賞だ。

受賞理由は、日本の石炭火力を延命させるための方策を、「見せかけの温暖化対策」と評価されたため。

日本は、石炭火力発電所を延命させるため、水素やアンモニア、パームヤシガラなどを石炭と一緒に燃焼させることで、「発電効率のよい火力発電所」を演出している。しかも、それを他国にも輸出しようとしている。それが見せかけの温暖化対策と見なされた。

さらに、アメリカのNGO・Oil Change Internationalが発表した最新のレポートによって、日本は化石燃料に対する世界最大の公的支援をしていることが明らかになったことも化石賞受賞の理由だという。

加えて、石炭の使用廃止を訴える約160の国や自治体などでつくる「脱石炭国際連盟」に米国が参加したにも関わらず、日本は参加しなかった。これまではアメリカと歩調を合わせていたため日本の不参加はあまり目立たなかったが、バイデン政権のもとでケリー特使は2日、SNSで脱石炭連盟に参加すると表明したのだ。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231203/k10014276101000.html

ついに先進7ヶ国(G7)で日本だけが石炭使用を進める国となった。それにも関わらず、4回連続化石賞受賞を日本政府は重く受け止めていない。日本の環境政策の後れは誰の目にも明らかで、このままでは次も受賞することになりそうだ。

レゴ、再生ペットボトルの使用を断念。より多くのCO2を発生

レゴブロックのレゴ(デンマーク)は、再生ペットボトルからブロックを製造する計画を断念した。現在の石油ベースのブロックよりも多くの汚染物質を製造過程で排出するためだという。

https://www.cnn.co.jp/business/35209518.html

レゴの広報は「3年を超える試験の結果、炭素の排出が減らないことが分かったため、再生PETを使用したブロックの製造を進めないことに決めた」とのこと。

再生素材でブロックを製造するには新設備への投資や工程の追加が必要になり、最終的には現状よりも多くの温暖化汚染物質を排出してしまうことも理由だ。また、再生プラスチックが耐久性や安全性の点でABSに劣ることや、ブロック同士をくっつけたり、離れやすくしたりするABSの「クラッチパワー」が得られないことも、試験により判明したそうだ。

ペットボトルはやはりペットボトルにリサイクルのが一番よいと思われるが、それにしても温室効果ガスは大量に発生する。しかも、歩留まりも悪そうだ。

ペットボトルに反対する東京農工大の高田教授も、「ペットボトルをリサイクル用に集めるだけでも1億円(調布市)かかる」、「水平リサイクルしてもペットボトルはガラス製リターナブル瓶に比べてエネルギー消費量、CO2発生量が2割程度多い」、「ペットボトル1本をリサイクルすると、エアコン20分使ったのと同じ量の二酸化炭素が発生する」などと批判している。(9月19日のfacebook)

https://www.facebook.com/hideshige.takada.9

プラスチックのリサイクルはどれも問題が多いが、最もマシなペットボトルも問題が多そうだ。やはり、1リットル未満のペットボトルは販売禁止にすべきではないか。

鹿沼公園の池と樹木を残して!もしかして「公園PFI」?

2017年に都市公園法を改正(改悪?)した影響で、各地の都市公園が様変わりしている。

公園法改正により「公園PFI」という仕組みが可能になり、そのせいで民間に丸投げできるようになったそうだ。

民間に丸投げされた公園は、「稼ぐ」ことが重要になる。これまでは住民の憩いの場として機能しているだけで良かった公園が、金儲けせねばならないとしたら、樹木をどんどん伐採し、スポーツ施設やカフェを建てることになる。

樹木は「稼がない」どころか、毎年剪定にお金がかかる。それならば「根元から伐ってしまえ」ということで、樹木が大量伐採される公園が多いのだとか。

最近問題になっている東京都立葛西臨海公園もこの影響で、大量の樹木が伐採されるそうだ。

弁護士の尾林芳匡氏によると(日本消費者連盟の消費者リポート1671号より)、

「「PFI」とは「Private Finance Initiative」 の略で、 民間資金による公共施設整備という意味でしたが、法改正を重ね、公共用地を民間企業のお金儲けのために提供するなら、国が地方自治体に財政支援をするという歪んだ仕組みになっています」とのこと。

複合施設を建てることになっている相模原市の鹿沼公園はどうなるのかと思って見てみると、「鹿沼公園内にある児童交通公園、白鳥池、遊具広場、築山は残す一方、軟式野球場と水生植物池は廃止し、芝生広場と多目的広場としてリニューアルする」。

https://www.kanaloco.jp/news/government/article-962059.html

白鳥池は残すということなので少しホッとするが、水生植物池は廃止する。芝生広場はまさか人工芝ではないと思うが、たとえ天然芝であっても池より温暖化に寄与しそうだ。

池を残し、池の周囲に植えられている樹木も伐採しないでほしいが、どうなるのだろう?

ついでにいえば、「でいらぼっち」の碑も残してほしい。あの神話(巨人伝説)は興味深い。

鹿沼公園も民間企業に丸投げされ、どこにでもあるような面白みのない公園に変わってしまうのだろうか?

魚大量死の原因はやっぱり「人間」?

世界各地で魚が大量死している。

原因は、大量取水や栄養過多、気候変動による水温上昇、水質汚染、そしてダムなどとのこと。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/071400366/?P=1

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/071400366/?P=2

栄養過多は人間が肥料やごみを川に入れてしまうことによるそうなので、これも人災か。

テキサス州の川では今年、魚が窒息により大量死した。在来魚のニシンなどがまず死に、その死骸や弱ったニシンを外来種のコイが食べていたそうだ。

人間による川の使い方や気候変動が、生物多様性を著しく損なっている。

他にも人間の被害者は多そうだ。

プラスチックごみにくっついて流れた陸上生物の病原菌が海洋哺乳類などを病気にしているし、海鳥も「プラスチック症」を発症している。

市場は失敗し続けているのに、誰も打つ手を知らないようだ。せめて、個人が少しずつでも出来ることは、「地産地消」「脱プラ」「ゼロ・ウェイスト」か・・・。

相模原市津久井地区でごみ収集を効率化

日本経済新聞(2023.6.13)によると、相模原市の中山間地である津久井地区で、「廃棄物の収集運搬をデジタル技術によって効率化する実証実験を始める」そうだ。

具体的に何をどうするのかわからないが、世帯数の少ないエリアでごみ収集車が走るルートなどのデータを分析し、効率的に回収できるようにするのだとか。

具体的なことが全くわからなかったので少し調べたところ、小田急電鉄が山林の不法投棄の取り締まりも兼ねて、効率化によるCO2削減効果などを検証するようだ。

実証実験の期間は6月19日から来年3月末まで。