エコチル調査で判明「赤ちゃんは石けんで洗う方がアレルギーになりにくい」

富山大学附属病院小児科の加藤泰輔医師らの研究グループは、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の参加者を対象に、入浴時の石けん類使用頻度とアレルギー疾患の発症の関連を調べた。

その結果、1 歳半の頃に入浴時に石けん類を毎回使用する子どもと比較して、より石けん類の使用頻度が少ない子では、3 歳の時にアトピー性皮膚炎や食物アレルギーと診断されている子が多いという関連が明らかになった。

しかしこの結果は、赤ちゃんの肌荒れがひどかったため、石けんで洗わなくなったとも考えられるため、1歳半時点で症状のなかった子どもだけを抜き出して解析した。その場合でも、やはり同じ結果になったそうだ。

お湯だけでは流しきれなかったアレルゲンやアトピー性皮膚炎発症にかかわるような皮膚の細菌が、石けん類で洗い流すことができたことが一因ではないかと考えられるという。

皮膚のバリア機能は、遺伝子タイプによって生まれつき弱い人がいることが知られているそうだから、あくまでも石けん洗いは「一因」だ。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37102383/

近年アトピー性皮膚炎を発症する子が増加していることは、周りの子ども達を見ていてもわかる。ある調査によると、アトピー性皮膚炎は「患者さんの約3割が1歳未満に発病し、5歳までに6割前後が発病」するのだとか。

しかも、最近では幼少期のアトピー性皮膚炎が、年齢とともにぜん息など他のアレルギー性疾患に変化していく「アレルギーマーチ」という事態も増えているそうだ。

それを防止する対策の1つに、肌のバリア機能を守るため、幼い頃から石けんでアレルゲンを洗い流すことが有効ということだ。

しかし、石けん類といっても何でもよいわけではなく、できるだけ刺激の少ない無添加石けんがよいのではないだろうか。また、衣類に残ってしまった洗剤や柔軟剤も、赤ちゃんの肌に悪いことは間違いない。

プラ製容器をレンチンすると大量のマイクロプラが発生 離乳食容器からも

プラスチック容器に入れたまま食品を電子レンジにかけると、容器から化学物質が溶出し、食べた妊婦に死産などの被害を与える可能性のあることは既に報告されている。

今度は、プラスチック製食品容器に水や食品を入れ電子レンジにかけると、大量のマイクロプラスチックが放出されたということだ。

研究チームは、アメリカ食品医薬品局(FDA)が承認しているポリプロピレン製の離乳食容器やポリエチレン製の食品容器に、水またはさまざまな食品をシミュレートする3%の酢酸水を入れて、1000Wの電子レンジで3分間加熱したとのこと。加熱後、容器に入った液体にどれほどのプラスチック粒子が放出されたかを分析したところ、大量のマイクロプラスチックが液体に放出されていたという。

「実験結果を分析した研究チームは、わずか1cm2のプラスチックから422万個のマイクロプラスチック(粒子の直径が1μm~5mm)と21億1000万個ものナノプラスチック(粒子の直径が1μm未満)が液体に放出されると推定しました」。

https://gigazine.net/news/20230809-microwaving-released-billions-nanoplastics/

このことはすなわち、プラスチック製容器に入れたまま食品や水を電子レンジにかけると、危険な化学物質がくっついたマイクロプラスチックが食品などにくっついて、人間の体内に入り込み、影響を与えるということを意味している。

妊婦や赤ちゃんはもちろん子どもや大人も、プラスチック容器に入れたまま食品を電子レンジにかけることは、くれぐれも避けたい。

マイクロプラの危険性:ヒトの腸に炎症

マイクロプラスチックの人体への毒性が、次々と明らかになってきている。

「人間の細胞から作り出したミニ臓器である腸オルガノイドを用いた実験により、マイクロプラスチックが腸に炎症作用をもたらすことがわかりました」とのこと↓

https://gigazine.net/news/20230806-microplastics-danger-intestine/

アメリカのタフツ大学の研究チームが、人間の腸の培養組織を使って実験した結果を発表した。

腸管モデルを複数のサイズのプラスチック粒子にさらしたところ、最も小さいプラスチック粒子は腸の内壁を覆う上皮細胞に取り込まれ、さらに「大きめの粒子が腸の免疫応答に関連するマイクロフォールド細胞(M細胞)に取り込まれて腸組織内に侵入」したとのこと。

元論文はこれ↓

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S154996342300031X?via%3Dihub

そういえば、2020年に東京大学の酒井教授が日本財団と一緒にこれとよく似た研究を発表していた。確か、小腸培養組織を使った実験で、最も小さいマイクロプラスチックは上皮細胞を通って血管に入り、大きめのプラスチックはリンパ管に入っていったとのことだった。

当時はまだ、炎症を起こすことまでは解明されなかったが、タフツ大学ではさらに研究を進め、炎症を起こすことを明らかにしたのだろう。

日本でこの手の研究が今どこまで進んでいるのだろうかとググったところ、自治医科大学でもこのような研究を行っていた。

https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20K21725/

結果を早く知りたいものだ。