米コロラド州、レジ袋や発泡スチロール容器禁止の法案可決

アメリカのコロラド州で、プラスチック袋とテイクアウト用のポリスチレン容器を禁止する法案を可決した。

法律では2023年から、大半の食料品店や小売店、レストランの顧客に対して、紙袋またはプラ袋ごとに10セントを課金する。

使い捨てのプラ袋とポリスチレン容器の禁止は2024年からだ。

課金により得られたお金の60%は、リサイクルと堆肥化プログラムのために地元のコミュニティに送られる。残りのお金は企業自身に行くとのこと。

ただし、薬局やドライクリーニング店は対象から免除されている。また、冷凍食品、肉、シーフードを包むためのプラ袋も使用を許可され、汚染の可能性のあるバルク商品(ばら売り)も使用が許可されている。

出典:waste today(2021.6.14)

https://www.wastetodaymagazine.com/article/colorado-plastic-ban-ban-legislation/

プラの一括収集で地方交付税が優先的にもらえる?

プラスチック資源循環促進法を検討していた国会の場で、環境省は循環型社会の交付金に「プラスチック分別収集」と「ごみ有料化」の要件を加える予定といっていたが、今度は地方交付金も利用するそうだ。

「収集に掛かる費用の一部を追加的に地方交付税で手当てすることなどを検討し、2022年度予算概算要求に盛り込む。プラごみのリサイクルに積極的な自治体を優先して支援する」(JIJI.COM.2021.6.17)とのこと。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021061600871&g=soc

地方交付税を利用することで「カネがないからできない」と自治体に言わせないようにするつもりだろうか?それとも拡大生産者責任を自治体から追及されないようにするためだろうか?

リサイクルにどんどん税金が使われそうだが、リサイクルの質を担保する方法は考えられているのだろうか?

プラスチック資源循環促進法をどう評価すべきか

先日成立したプラスチック資源循環促進法(以下、促進法)をどう評価すべきか迷っている。同法は、リサイクルの幅を製品プラスチックにまで広げた点は評価できる。しかし、他の点はどうだろうか。

拡大生産者責任(EPR)を認めていない点で、再商品化費用を生産者責任としている容器包装リサイクル法(以下、容リ法)よりも明らかに後退した。これは同法にとって決定的なマイナスだ。

容リ法は、成立当初は「フランスと同じ50%のEPR」と いわれた。ドイツの100%に対し、日本はフランス流でいく、と。しかし、そのフランスは徐々にEPRを拡大し、とっくにほぼ100%のEPRといわれるようになっている。日本のようにいまだに100%税金で収集・選別しているような手法を採用する国は、先進国ではまず見当たらない。

容リ法はEPRという点で、この20年間1㎜も進化しなかった。

多くの国では、自治体がリサイクル品を集めたとしても、費用は生産者にしっかり請求している。この税金を使った手法は「日本流」の優れた方式で回収率も高い、と産業界は胸を張る。確かに生産者にとってこの方法は「作りっぱなし」にできるため、よい方法だろう。おかげで生産者には、長持ちする製品を作ろうというインセンティブは働かない。「安かろう悪かろう」製品を作りっぱなしにする方が儲かりそうだ。

そのため、今回の法律では環境配慮設計を事業者に求めている。ごみを減らしたり、リサイクルしやすい設計にしたら「認定」するというのだ。認定商品はグリーン購入の対象にするのだそうだ。

しかし、環境配慮設計をしないからといって、罰則はない。罰則はないが、これで「環境配慮設計を求めた法律だ」と国は胸を張れる。このような効果の低い手法もきわめて「日本流」だ。

同法では「合理化」(削減)もうたわれているが、これもきわめて消極的なもので、効果のある有料化や禁止ではない。しかも、対象となる製品も限定的だ。

産業界にはこのように大甘な促進法で、国と産業界のズブズブの関係を疑いたくなるが、自治体には極めて強権的で厳しい。

プラスチックを分別収集しない自治体には、循環型社会形成推進交付金がもらえなくなるのだ。当然お金のない自治体は、交付金なしには施設を新しくできないが、分別収集するお金もない・・それを国はごみ有料化することで補わせようとしている。つまり、国はごみの有料化も交付金の要件に加える予定だ。

リサイクルもごみ有料化もごみ減量にとって必要だと日頃から考えている筆者にとって、これは朗報と考えるべきだろう。しかし、どうもすっきりしない。こんなに税金を当てにした環境政策は、まるで一種の増税に見える。

工業製品はあくまでも回収からリサイクル(処理)までを生産者責任ですべきだ。

そうでなければ、できるだけごみをださずに丁寧に暮らしている人々の支払う税金が、使い捨てを謳歌している人たちの出すごみ処理費用に向けられてしまう。拡大生産者責任にすることで、はじめて生産者が製品に収集・リサイクル費用を上乗せすることができる。

それで初めて、生産者も長持ちする製品を作るようになり、大量生産・大量消費・大量廃棄社会に少しは歯止めがかかるはずだ。

この法律はどう考えてもおかしい。産業界にのみ配慮し、消費者や環境への配慮が足りないのではないか。

中国・湖北省、農薬包装ごみをデポジット制度で回収

湖北省の一部地域で、農薬の包装ごみをデポジット制度で回収する実験を始めているらしい。

これまで農薬の包装ごみが問題になっていたとのこと。確かに農薬袋は、油断すると風で飛んで川に落ちたり、置いている間にちぎれて破片化したりしそうだ。

私は中国語が読めないのではっきりしたことはわかりませんが↓

https://mp.weixin.qq.com/s/UtdRjxKRLjc4VGORVk_dgA

産業界の反対が強いため、日本でデポジット制度は広まらないが、昨日新法成立後にNPOによってだされた共同提言には、「デポジット制度」の文字があった。

共同提言↓

プラスチックの新法成立 その欠点と長所は

プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(以下、プラ促進法)が昨日(2021年6月4日)、成立した。

今回の法律は、容器包装リサイクル法以来約20年ぶりのプラスチックに関係する法律なので、衆議院と参議院のどちらの環境委員会の審議もオンラインで傍聴した。

重要な法律だと思うが、勉強不足でピントのズレた質問をする議員も多い中、まともなことを聞いている議員もいて、参考になった。おかげでいろいろ面白いことがわかった。

プラスチックごみ対策に先進的に取り組む海外に比べると、かなり遅れた法律だが、長所もある。

まず最大の欠点は、拡大生産者責任(EPR)の欠如。容リ法もひどい法律だと思っていたが、EPRに関しては容リ法よりもさらに悪い。容リ法は再商品化費用だけは特定事業者負担だが、今回の法律で製品プラ(ポリバケツやオモチャなど)の再商品化費用は自治体負担なのだ。

つまり、容器包装プラと製品プラを一緒に回収するが、その収集・選別・保管費用は自治体で、さらに製品プラに関しては再商品化費用も自治体負担となる。一緒に回収したものをどのように分けて費用を分担させるかは、量的に按分するのだそうだ。

これまでの調査で、環境省はプラごみ全体の約8割は容器包装だということがわかっているのだとか。では製品プラ再商品化費用の8割が容器包装の事業者負担、残り2割が税金ということか?それで容器包装関係の事業者は怒らないのだろうか?おそらく税金負担はもう少し増えるのではないかと懸念する。

EPRをないがしろにしておきながら、環境省は自治体に分別収集をやらせるための締め付けに、交付金を使うらしい。それについては法律には書かれていないが、焼却施設などの建設予定のある自治体は、交付金を環境省からもらわざるをえない。それに「プラスチック分別収集」などの要件を付けるとのことだ。

おかげで、プラの分別収集は進みそうだが、そんなえげつない方法で自治体を操るのはどうだろうか?まずはEPRを徹底してほしいが、日本の場合、政治を動かしているのは財界だから、EPRは徹底しそうにない。

日本はプラスチックの法律を作ったと胸を張るが、EPRが当然の国々から見たら、なんて野蛮な遅れた方法だろうか!と驚かれそうだ。

確かにプラスチックのリサイクル量はこの法律で増えるだろう。外堀が埋められているのだから。しかしこの方法では、1つのものを大事に長く使っている人が、多くのプラスチックを使い捨てている人の分の処理費用まで負担する、そのおかげで大量生産を続ける生産者の懐は痛まない・・ということになる。これがこの法律の最大の欠点だと思う。

この法律の長所は、リサイクル量が増えることと、ストローやカトラリーが合理化(削減)されるということ。ストローやカトラリー以外の対象は今後省令で決まるらしい。

削減されるとはいえ、ポイント還元ではほとんど変わらないだろう。それはレジ袋のときもわかっていたはずだ。代替素材への転換も認められているが、転換ではごみの増加は止まらない。

後進国になったニッポン

バブル時代、日本は先進国だ、と胸を張っていた。私も誇らしく思っていた。

だんだん雲行きが怪しくなってきた、と思ったけれど、でもまだトップランナーグループにはいるはずだ、と信じたかった。

しかし、近年の環境政策は後れる一方で、少なくとも環境行政は途上国なみだ、と思っていたところ、先日、とんでもなく時代遅れの「プラスチック促進法案」が衆院を通過した。

生産者責任などなんのその、製品プラスチックの再商品化費用さえも、事業者に請求できないらしい。それどころか、事業者のだす廃プラも、法律上自治体がリサイクルできるようにするようだ。こんなことがまかり通れば、資源ごみだけでなく、他の産廃まで自治体が処理するハメになりかねない。

おそらくこのまま参院も通過し、成立するのだろう。日本の政策は、産業界の意向で決まるのか?

コロナ対策も後れている。コロナ対策では、日本はもう先進国のフリさえできないでいる。

気候変動対策も同様だ。プラスチック対策と気候変動対策は重なる部分が多いにもかかわらず、かみ合っているようには見えない。

後進国でもいいけれど、せめて環境政策くらいは先頭集団について行ってほしいものだと思う。次世代のためにも。

年末にはベトナムへミックス古紙輸出不可、他の国も追随?

中国へ古紙を全面的に輸出できなくなり、受け皿となっていたのはベトナムだ。そのベトナムにも、今年末にはミックス古紙を輸出できなくなる。

頼みの他の東南アジアの国々も中国の輸入禁止に連鎖反応を起こしているそうだ。

日経新聞(21.5.29)によると

ベトナムも環境規制の波には逆らえない。グエン・スアン・フック首相(当時)は20年9月、雑誌や雑紙などが混ざったミックス古紙については輸入を21年末に禁止することを決めた。ベトナムでも再生資源を名目にした「ごみ」の輸入が問題化。「東南アジアの政府は中国の輸入禁止に連鎖反応を起こしている」(古紙問屋)といい、マレーシアなどでも検討が進む」とのこと。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72398210Y1A520C2QM8000/

日本には、雑がみ回収によって焼却ごみを減らそうとしている自治体が多い。日本国内の再生紙需要は頭打ちのようで、古紙利用率は横ばいだ。

この先、雑がみ回収はどうなるのだろうかと心配だが、古紙も廃プラも国内処理が原則なのだろう。

イオンがLOOP開始

5月25日からイオンがLOOPを開始する。

近隣のイオンはまだ対象外のようだが、8月末までには関東の多くのイオンが対象になるようだ。

気になるのは商品の種類。LOOPは使ってみたいがほしい商品があるだろうか?

もっと多くの商品がリユース容器入りか、量り売りになってくれると助かるのだが、世論を操作しているのは普段ごみの始末をほとんどしない人達ではないだろうか?

一般の消費者の声など、店にも政治にも届いた試しがないような気がしている。

新プラスチック法案 衆院可決

3月に閣議決定された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」が昨日(5/21)衆議院で可決された。

https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/204/meisai/m204080204061.htm

このまま進むと6月上旬には参院を通過、成立する。来年には施行される。

法案を読んでいると、日本がいかにプラスチックを減らしたくないかがよくわかる。「合理化」を求めているのは、あくまでも無料で大量に配布されるものだけなので、具体例としてあげられているのは「ストロー、スプーン、フォーク」のみ。それも禁止ではなく、ポイント還元などによって少しでも減ればよいらしい。

しかし、ポイント還元では減らないことは、レジ袋のときでわかっているはずだ。にも関わらず、以前の説明で、小泉環境相が「有料化など」と発言した途端に反対意見で盛り上がったものだから、その後からは「ポイント還元」がイチオシになったらしく、環境委員会での説明でも「ポイント還元など」といっていた。

また、代替材に替えてもよい、という。しかし、代替材に転換してもごみは減らない。この手のものは代替材ではなく、やはり「使わない」ことを前提に議論すべきだ。

しかも、拡大生産者責任(EPR)のことは、まったくといってよいほど考慮されていない。

立憲から対案も出ていて、立憲案にはさすがに「拡大生産者責任の徹底」と概要に書かれていたが、そのすぐあとに「市町村に対する支援」という文字も。

支援には「お手伝い」というニュアンスがある。共稼ぎの夫婦で、夫が家事を「支援する」といえば、多くの妻は激怒するだろう。まして、EPRを徹底するならば、あくまでも責任は100%事業者にあるはずだ。

100%の責任を負うべきものが、責任はないけれどその方がいろいろ都合がよいからという理由で、物理的な回収を肩代わりさせられている立場の市町村に対して、「手伝う」というのはおかしな話だ。

EPRのもと、物理的には市町村が収集を行うならば、事業者はその費用を支払う責任がある。それは、「支援」ではなく、「補償」や「補填」というべきだ。

しかもこの新法、収集だけでなく、再商品化の責任まで市町村に押しつけようとしているようだ。容器包装リサイクル法では、市町村は分別収集、再商品化は事業者となっていたから、プラスチック製容器包装は従来通りだが、製品プラスチックに関しては、分別収集はもとより再商品化までもが市町村の仕事となる。

市町村の責任ということは、税金が使われるということだ。つまり使わない人が使った人の処理費用までも負担するということ。つまり、何年も大事に使ってほとんどごみを出さずに生活している人に、頻繁にプラスチック製品を購入し、少し汚れるとすぐに捨てて買い換えている人の分のごみ処理費用まで負担せよ、といわれているのだ。

回収からリサイクルまでの費用を製品に上乗せて、それを購入者が支払うのが理想で、多くの国はその方向で進んでいる。しかしなぜか、日本だけが逆行している。

事業者に対しては、「自主回収できる会社はしてね、自主回収しやすい環境は整えるから」といっているように読み取れる。

その程度の責任しか負わなくてよいならば、一体どこの会社が真剣に自主回収するというのだろう?せいぜいが、ポーズとして一部の製品をするだけだ。

しかし、自主回収など真剣にされては消費者も困る。もし、歯ブラシは使い終わったらヨーカドーへ持って行ってね、チューブはイオンよ、などといわれたら、消費者はたまったものではない。市町村のごみにまとめて出すのが関の山だ。

プラスチックのリサイクルを推進するための法律だといわれているが、これで本当にリサイクル量は増えるのだろうか?

ヨドバシカメラのレジ袋、なぜ有料化しないの?

先日、ヨドバシカメラへ買い物にいくと、「環境にやさしいレジ袋を使っている」と店内放送が流れていた。

環境にやさしいレジ袋など、なんとなく概念矛盾ぽい。

プラスチック製レジ袋は確かに便利だ。丈夫で長持ち、安価で、素晴らしい。しかし、環境にやさしくはない。

レジ袋のせいで、たくさんの動物が死んでいることは有名だ。マイクロプラスチック化しやすこことも確実で、ボロボロになった場面もよく目にする。

先日行った海岸でもレジ袋らしきプラスチックが埋まりかけているのを見た。引っ張ればすぐにちぎれてボロボロだ。

ヨドバシカメラのレジ袋は、石灰石とプラスチックを混ぜ合わせて作ったLIMEX製だから、もっとボロボロになりやすいと思われる。環境中にでればプラスチック部分はすぐにマイクロプラスチックになるだろう。

なぜ無料で配布し続けるのか、レジ袋を少しでも減らそうという気はないのだろうか、ヨドバシカメラにはCSRを考える部署はないのか、と思い、「ヨドバシカメラ、CSR」でググってみた。

「低位」という欄がオレンジ色に光っていた。やっぱりなぁ・・・。

https://www.sustaina.org/ja/corp/yodobashi/

ヨドバシカメラさん、レジ袋の無料配布をやめませんか?