オランダのデポジット制度、効果てきめん。PETより缶が9倍以上散乱

オランダでは大型のプラスチック容器のみを対象に、2005年からデポジット制度が施行されていた(2004年制定)。そのため、小型ペットボトルの散乱が増え続けた。

昨年(2021年)7月1日から、1リットル未満のペットボトル(水、ソフトドリンク)もデポジット制度の対象に加えられた。その成果が如実に表れているようだ。

8年ほど前からごみを拾い続けている人によると、「缶の比率は数年前からペットボトルよりも高く、2.7倍にもなっている。2021年の第4四半期には、缶はペットボトルの9.4倍」だったとのこと。

ペットボトルと缶のいずれもデポジット制度で回収していない日本では、ペットボトル散乱量は缶よりもはるかに多い(川底に沈んでいる缶も多そうだ)。しかし、オランダではペットボトルのみが対象となったため、ペットボトルの散乱量は減ったが、缶は相変わらずだ。

オランダでは今年12月31日から、デポジット制度の対象を缶にも拡大する。缶の散乱量も減るだろうから、結果が楽しみだ。

<散乱数についての出典>

https://www.packaginginsights.com/news/dutch-trash-mapper-identifies-30-drop-in-beverage-pack-litter-after-government-drs.html?eType=EmailBlastContent&eId=cb6dc626-42fe-4c27-87a4-6415b2caaff0

不織布製マスクから環境ホルモン、子どものマスクは大丈夫?(追記)ストローからもノニルフェノール

新聞で、混獲されたウミガメの排泄物から不織布製マスクが出てきたことが話題になっている。

記事によると、国内で市販されている不織布製マスクを調べたところ、5社のうち4社のマスクから

「生物への悪影響が懸念されるベンゾトリアゾール系と呼ばれる紫外線吸収剤を検出した。中には、環境ホルモンと指摘されるUV329という物質を比較的高濃度で含む製品もあった」とのこと。

最近は、2歳の子どもにまでマスクを推奨するなどという話まで出ているが、肺機能の見地から反対する医師も多かった。

マスクから環境ホルモンまで検出されたとなると、ますます子どもにマスクを着用させない親が増えそうだ(もし私が親ならば、子どもにマスクをさせたくない)。

子どもによっても違いそうだが、マスクをすることによる悪影響と、しないことによるリスクはどちらが大きいのだろうか?

<追記>東京農工大学・高田秀重教授のFacebookによると、不織布製マスクからノニルフェノールまで出ているそうだ。1メーカーの値が突出して高いが、さらに高いのがストローだ。ノニルフェノール付きストローなど、大人でも使いたくないが、小さい子どもはもっと影響を受ける。メーカーは、一体何を考えてこんな商品を作っているのかと腹立たしい。こんなことすら、法律で規制できないのだろうか?

<記事の出典>

新潟日報(2022.2.9)「ウミガメがマスク誤飲、初確認 岩手で捕獲、悪影響の恐れ」↓

https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/24543

佐賀県鹿島市、4月からプラ一括回収

鹿島市は4月からプラスチックごみの一括回収を開始する。

これまでは容器包装のプラスチックのみの回収で「容器包装プラスチック・ビニール類」と書かれた有料袋(10枚400円)で回収していた。しかし、4月からは「プラスチック・ビニール類」として回収するそうだ。

回収したプラごみは「燃料油にして活用する事業を展開するリサイクル業者に持ち込む予定」とのこと(佐賀新聞)。

容器包装リサイクル協会によると、同市のプラごみは令和2年度も3年度も日本製鉄が引き取っていた。用途は、コークス炉化学原料化と工業原料(コークス炉)のようだ。

4月から機械油にするということは、容リ協会を通さず、独自ルートで処理するつもりなのかもしれない。

容リ協会を通す必要はないだろうが、質の高い製品プラまで機械油にするのは、少々もったいないような気もする。

<出典>

佐賀新聞(2022.2.9)「鹿島市、「プラスチックごみ」分別収集 4月から資源循環促進法が施行」↓

https://www.saga-s.co.jp/articles/-/808788

ドバイで7月1日からレジ袋有料化

ドバイで7月からレジ袋を有料化するとのこと。日本が2020年の7月からだったので、ちょうど2年遅れだが、1枚25フィルスとのことなので、日本よりしっかりとした有料化だ。日本円で7〜8円程度だろうか。

日本の1円以上ならばいくらでもOK、バイオマス由来の原料を25%以上使っていればタダで配ってもOK、などというゆるい規制は早く見直すべきだろう。

ドバイ政府は市民に対し、ごみの分別も促しているそうだ。

ドバイといえば昔、南回りで欧州へ行く際の飛行機の給油地の1つ。給油の間、乗客は空港内で1時間ほど待機する。そんなこんなで、確か南回りの場合、日本からイギリスまでちょうど24時間かかった記憶がある。

<出典>

「ドバイ、7月1日から使い捨てプラスチック袋を有料化」(2022.2.8)↓

韓国:使い捨てカップの店内使用4月から禁止に、テイクアウト時は6月からデポジット制に

韓国では、カフェやファストフード店内で提供する使い捨てカップの使用を、4月1日から禁止する。以前にも一度禁止されたが、コロナ感染症を理由に許されていた。それが再び、禁止となる。

さらに、6月10日からは、カフェやファストフード店でテークアウト用に提供されるプラスチック製または紙製の使い捨てカップは、保証金制度(デポジット制度)の対象になる。

日本も早くそうなればよいと思う。

(補筆2023.11.15)店内で提供する使い捨てカップの禁止は禁止が11月まで適用が延長されていたが、また延長されたようだ。いつまで延長するかは未定で、禁止路線が変更されたようだ。また、テイクアウト時のデポジット制度も2025年まで延長されている。

<出典>

聯合ニュース(2022.1.18)「カフェで使い捨てカップの利用時に保証金 6月から=韓国」↓

https://jp.yna.co.kr/view/AJP20220118001500882

聯合ニュース(2022.1.6)「4月から使い捨てカップ使用禁止に」↓

https://jp.yna.co.kr/view/PYH20220106144800882

ニューヨーク市の学校給食、週1でビーガン食に

日本経済新聞(2022.2.7)によると、「ニューヨーク市は4日、公立学校で動物性の食材を使わないビーガン食を毎週金曜日に提供する取り組みを始めた」とのこと。

フランスでもベジタリアン給食を提供する自治体が増えている。確か韓国でも(?)と聞いた記憶がある。

最近、ビーガン食やベジタリアン食を提供する学校給食が世界的に増加しているようだ。

日本も、せめてベジタリアン食を選べるようになれば、喜ぶ子どもも多く、地球環境にも良さそうだ。

<出典>

日本経済新聞(2022.2.7)「完全菜食の給食、NY市が公立学校で導入」↓

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220207&c=DE1&ng=DGKKZO7992047007022022EAF000

中日新聞(2021.7.7)「「美食の国」フランスで広がるベジタリアン食」↓

https://www.chunichi.co.jp/article/286426

なぜ今さら下水道で紙おむつ処理?(その6)再び実証実験

昨年暮れ、国交省の目的不明の事業である下水道に使用済みの紙おむつを流す実証実験が、再び行われた。

行われたのは愛知県豊田市の特別養護老人ホーム三九(さんきゅう)園だ。

国交省が検討している方法は3通り。

Aタイプ(固形物分離タイプ):紙おむつを洗って汚物を分離させ、汚物と洗浄水は下水道へ流し、紙おむつは回収して処理

Bタイプ(破砕・回収タイプ):紙おむつを破砕し、脱水した固形物を回収。残りは下水道へ流す。

Cタイプ(破砕・受入れタイプ):紙おむつを破砕し、すべて下水道へ流す。

今回の実験はBタイプで、「水と塩化カルシウム溶液を混ぜて攪拌(かくはん)する。化学的に水分を分離させて下水に流し、紙おむつ成分は燃えるごみとして処理」するとのこと。(朝日新聞2021.12.10)

しかし、紙おむつはパルプとプラスチック、そしてプラスチックの仲間の高分子吸収体からできている。マイクロプラスチックの専門家によると、すべてのタイプで、下水道にマイクロプラスチックが流れ込むそうだ。

この野蛮な事業、2022年度にはガイドラインができる。実用化が近いようだ。

マイクロプラスチックがこれだけ大きな問題になっている時代に、なぜこのような事業を進んでいるのかわからない。しかし、下水道に流れ込んだマイクロプラスチックの97〜98%は下水処理施設の下水汚泥にたまり、残りは川へ流れていき、やがて海へ行く。魚も食べるはずだ。

それも嫌だが、下水汚泥にたまった膨大な量のマイクロプラスチックが、もし焼却処理されずに、堆肥や肥料にリサイクルされ、どこかの緑地や農地にまかれでもしたらもっと大変だ。緑地や農地から発生したマイクロプラスチックが空中に浮遊し、その一部を人間も吸い込むことになる。

こんな野蛮な事業をなぜ進めるのだろうか。

朝日新聞は、「介護者の負担軽減」などという2019年1月に国交省の担当者が苦し紛れに話したいいわけを、あたかも事業目的であるように載せている。しかし、少なくともAタイプは介護者の負担軽減にはならない。Bタイプもそれほど軽減するとは考えにくい。そもそも国交省が介護者の負担軽減のために事業を行うなどということはないはずだ。

https://www.asahi.com/articles/ASPD975T3PD1OBJB007.html

当初、事業目的として国交省がいっていたのは、「人口減で下水道に余力ができるから活用する」ということだった。

しかし、国交省のウェブサイト「なぜ今、広域化・共同化が必要なのか?」を読むと、「下水道施設の老朽化、技術職員の減少や使用料収入の減少といった様々な課題を抱える」と書かれている。

人口減で収入が減れば、老朽化した下水道を更新しにくいはず。余力ができるから活用するどころの話ではないだろう。

本当にわけのわからない事業の検討会が、「非公開」のまま進められている。

国土交通省「下水道への紙オムツ受入実現に向けた検討会」↓

https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/mizukokudo_sewerage_tk_000540.html

<関連記事>

https://env-eco.net/?s=下水道

スコットランドのデポジット制度、今年11月から段階的に開始

遅れいているスコットランドの飲料容器(ボトルと缶)のデポジット制度が、いよいよ今年11月から段階的に開始される。最終的には2023年8月までに完全に機能させるそうだ。

オークニー諸島出身のスコットランド議会のリアム・マッカーサー議員によると、オークニー諸島の一部で今年後半に制度をスタートさせるとのこと。

デポジット(保証金)は20ペンスになる予定だ。

ウィンナーもボールペンも減プラ

いろいろなメーカーのウィンナーの袋が巾着型からフツーの長方形になるようだ。巾着を閉じるテープも不要になるので、たとえばプリマハムは約10トンのプラスチックを削減できるとのこと。

日本ハムの「シャウエッセン」の場合は、同様の取組でプラスチック使用量を3割減らせるそうだ。

また、三菱鉛筆はボールペンの替え芯の壁を薄くし、内径を広げたことにより、従来品に比べプラスチック使用量を約30%削減したとのこと。

同社は以前にもボールペンの替え芯を紙製にし、プラスチック使用量を88%削減している。

プラスチック新法により、外側のボールペン本体はリサイクルできるが、芯は汚れているためリサイクルしにくい。芯部分のプラスチックを減らすのは良いアイディアだと思う。

減プラ、やればできるものだなぁと各社の取組に感心するが、反対に、増える一方のプラスチックキャップ付きの紙パックや、一向に減らないトレーにウンザリする。

どちらも、極力買わないと決めている。

<出典>

日本経済新聞(2022.1.29)「三菱鉛筆、替え芯プラスチック使用3割減 チューブ薄く」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC11B9O0R10C22A1000000/

ニューヨーク州のデポジット制度、拡大か

今年1月、ケビン・ケイヒル下院議員はNY州の飲料容器のデポジット制度を拡大する法案を提出した。

州議会で可決されれば、同州の飲料容器のデポジット金額は5セントから10セントに上がる。また、法案にはデポジット制度の対象となる容器の種類を増やすことも提案されている。

この法案は、環境団体から支持されているそうだ。

<出典>