神宮外苑再開発について、都知事が答弁。意味不明

東京新聞(2022.3.9)によると、小池都知事は9日、神宮外苑の再開発について議会で質問された際に、「新たな神宮外苑として、次の世代につなげていくことは創建の趣旨にかなう」と答えたとのこと。

小池知事は

「民間事業者は先人の思いや歴史にも思いをはせながら、1本1本の樹木を大切に扱い、樹木の状態などの詳細な調査を行って極力保存または移植をし、事業を進めることとしている」

と述べたそうだが、1000本もの樹木を気遣う気が本当にあるのか疑問だ。

もし、本当にその気があるならば、神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えるような大がかりなことはしないはず。入れ替えなければ、伐採せずに済む樹木は相当あるはずだ。

また、高層ビルの建設も中止するはず。

こんなことが、「次世代につなげていくこと」に本当になるのだろうか。都内は、他に旨みのある開発地がなくなったから、こんな歴史的な風致地区にまで手を伸ばしたのではないか。

<出典>

東京新聞(2022.3.9)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/164694

男前豆腐、過剰包装では?

名前が気に入らないので滅多に買わないが、気になっていた「男前豆腐」を購入した。

味は確かに豆の味がする。昔懐かしい味でおいしいが、気になるのは豆腐容器の構造だ。

豆腐がガーゼ状のものに包まれているが、引っ張ると破れやすいから布ではなさそう。パッケージの表示を見ると「吸水紙」と書かれている部分があるので、この吸水紙だろうか?

吸水紙というのは、100%紙なのか?気になる。

この布状のもので包まれた豆腐の下にはプラスチック板が敷かれていて、その下に水がたまるようになっている。全体は普通のプラスチック容器なので、このプラ板と吸水紙が容器の特徴のようで、豆の味の秘訣はこの包装にあるらしい。

パッケージに書かれた表示によると、プラマークの隣には「容器、中板、フィルム」とあり、その隣に紙マークがついている。紙マークの隣には「吸水紙」とある。

美味しくしようと工夫したことはわかるが、やはり過剰包装だ。

豆腐を持参した鍋で買って、それを布巾に包んで好きな具合に水切りし、好みの堅さで食べられるようになればうれしいが、そんな時代にはもう戻れないとしたら残念だ。

使い捨てプラは環境汚染の「時限爆弾」、マイクロプラは免疫系の病気に影響

使い捨てマスクやウェットティッシュがポイ捨てされている。先日、藤沢市の環境団体が行った「数えるごみ拾い」に参加したところ、筆者も町中でマスクを5枚ほど拾った。

BUSINESS INSIDER(2022.3.7)によると、

「世界中で毎月1290億枚のマスクが使用されている。これはざっと毎分300万枚の計算」で、「2021年の経済協力開発機構(OECD)の報告によれば、コロナ禍が始まってから世界における使い捨てプラスチックの消費量は4倍に急増した」とのこと。すごい量だ。

https://www.businessinsider.jp/post-250818

ウミガメもマスクを飲み込んでいるということが以前報道されていたが、ウミガメ以外の生物もさぞ迷惑しているだろう。

同記事によると「プラスチック業界は、コロナ禍をチャンスと捉えました。政策立案者や一般の人たちに対して、再利用可能なマスクは汚くて危険だから、安全のためには使い捨てプラスチックを使う必要があると必死に働きかけた」とのこと。

一昨年、レジ袋有料化や廃止を妨害するため、日本でも欧米でも、まるでマイバッグにコロナウイルスが付着しているかのように喧伝されたことを思い出す。

プラスチック業界にとって、使い捨てプラスチックをなくすことなど、あってはならないようだ。使い捨てマスクを使うか、リユースできる布製マスクを使うかは時と場合によると思うが、プラ業界の宣伝に踊らされないように気をつけたい。

マイクロプラスチックが人体にも悪影響を与えることは既にわかってきている。免疫系の疾患にも影響を与えているようだ。

今年、国際学術誌に発表された中国の研究によると、食品や大気に含まれるマイクロプラスチックは、炎症性腸疾患(IBD)にも影響を与えている。

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.est.1c03924

炎症性腸疾患とは、「ヒトの免疫機構が異常をきたし、自分の免疫細胞が腸の細胞を攻撃してしまうことで腸に炎症を起こす病気」とのこと。比較的若い人が発症するそうだ↓

https://www.mitsuihosp.or.jp/division/department/digestive-i/ibd/

使い捨てプラスチックは、環境汚染にとっても人類の未来にとっても「時限爆弾」だ。

米国プラスチック協定が、廃止すべき11品目を発表。発泡スチロールやPFASはダメ

サーキュラーエコノミーをめざす「U.S. Plastics Pact(米国プラスチック協定)」は今年1月、「不要で問題のある材料」リスト11品目を発表した。

この11のプラスチック包装アイテムは、現在のアメリカでは再利用もリサイクルも堆肥化もできないという。これらのアイテムは2025年までに段階的に廃止される可能性があるとのこと。

その11品目とは、再利用・堆肥化・リサイクルできないカトラリーやストロー、マドラーと、意図的に添加されたPFAS入りの製品、そしてカーボンブラックなどの検出できない顔料、不透明あるいは着色されたPET(透明な青または緑以外)、オキソ分解性プラ、発泡スチロールを含むポリスチレン、ポリ塩化ビニルを含むPVC(塩ビ)・・・などだ。

PFAS(ペルフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル化合物)とは、「永遠の化学物資」と呼ばれる有機フッ素化合物だ。何千年も分解されず、発がん性が指摘されている。

日本でも、沖縄や大阪、東京の水道水でPFAS汚染が確認されているが、ほとんどの人の血液中からも検出されているというから、調べれば他の地域でも検出されるのではないか。

撥水加工や防汚加工された製品には特に注意が必要だ。

<参考>

https://www.wastedive.com/news/us-plastics-pact-problematic-materials-list/617652/

神戸市、カフェでマイボトルを推進。なぜ横型ロッカー?

神戸市が市役所内のカフェ(萩原珈琲)でマイボトルを預かって洗浄・保管し、注文を受けたときに飲み物を入れた状態で渡す実証実験を開始している。

消費者は、最初に2500円で専用の「マイボトル」を購入。同ボトルには実証実験の期間中は2000円分の飲食ができるポイントが付くというから、実質500円のようだ。

アプリで注文すると、店が450円(同店のコーヒー一杯分の料金)でコーヒーを詰めたマイボトルを専用ロッカーに入れてくれる。QRコードをかざすと、注文した客はドリンクを受け取れるという仕組みだ。

実証実験は4月末まで続くという。

映像を見ると、専用ロッカーはボトルを横に寝かせて入れる仕組み。しかし、なぜ横なのか?横にするとボトルの蓋部分(おそらくプラスチック)と飲料が接触する。プラスチックには添加剤が当然使われているので、飲料次第では添加剤が溶出する可能性がある。プラスチックに接触した熱い飲み物などあまり飲みたくないと思う人は多いはずだ。

同店では、このサービスを利用せずに自分のボトルを持参すると50円引きになるようだ。ボトルを洗う手間を惜しまない人ならば、50円引きしてもらう方がよいと思うが、手間と時間を惜しむならば、このサービスを利用するのも悪くないかもしれない。

<参考>

神戸経済ニュース(2022.2.15)

https://news.kobekeizai.jp/blog-entry-10520.html

映像↓

欧州のペットボトルキャップは、本体から外れないタイプが増えそう。日本は?

EU指令によりEU加盟国内では、コーラやミネラルウォーターなどのペットボトルは2024年までにキャップが本体から外れないようにしなければならない。

そのため、コカコーラもドイツとスペインの工場を改造したとのこと。次はイタリアとギリシャの工場を改造する予定。

新しいキャップの付いたペットボトルは数ヶ月以内に店頭に並ぶそうだ。

スイスはEU加盟国ではないが、秋にはスイス工場も切り替えられる予定。

日本にも波及してくれると、キャップの散乱が減ってうれしいが、どうだろうか?

日本の容器包装リサイクル法では、キャップとラベルを剥がさないと自治体回収に出せないことが決まっているが、つくづくおかしな法律だと思う。

そんことだから、自治体は容器包装リサイクル協会ルート(指定法人ルート)を避け、サントリーなど飲料メーカーに直接引き渡したくなるのだろう。

このようなペットボトルが日本でもスタンダードになった暁には、指定法人ルートでリサイクルする自治体に住む住民は、無理矢理キャップを本体からむしり取って出すことになる。

<出典>

https://www.fm1today.ch/unterhaltung/lifestyle/deckel-fuer-die-pet-flasche-bald-nicht-mehr-abnehmbar-145364804

『ダムと民の五十年抗争』と奈良県水道事業広域化

遅ればせながら、浅野詠子著『ダムと民の五十年抗争』(風媒社, 2017年)を読んだ。

ダム建設にまつわる住民同士の対立は、原発建設と同じだ。

巨大ダムの治水効果は限定的で、しかもかえって危険なことさえあるようだ。

半世紀にも及んだ大滝ダムの総事業費は3640億円。かなりの部分が国の負担だが、奈良県の負担分も相当な額だ。

計画段階では過剰な水需要が試算されていたらしいが、実際の水需要はとても少ない。

なぜ事業費が異常に膨れ上がったのか。調べようにも、保存年限は10年ほどのものが多く、既にダム完成前に相当の文書が廃棄されていたという。

以前から、日本の公文書管理はひどいと思っていたが、公文書を残したくない人たちがわざと保存年限などを短くして、できるだけ開示させないように仕組んでいるのではないか、と邪推したくなる。

目先の利益のためには、自然や文化を破壊しても構わないとする風潮に、神宮外苑の再開発事業にも似たものを感じる。

奈良県知事が進める奈良県の水道事業の広域化計画は、この大滝ダムの水をもっと県民に飲ませるためのものだと指摘する声があるそうだ。確かに、ダムの水を県民にもっと活用させ、県の財政に少しでも貢献させようという県の思惑が見え隠れしているように感じる。

神宮外苑の樹木約千本を伐採?!小池都知事の低いエコ度

小池都知事は元環境大臣だから、少しは環境に配慮する人だと思っていたが、まったく違ったようだ。

都会のオアシスである神宮外苑の木を1000本近く伐採し、商業施設を含む高層ビルをゾロゾロと建てるという。

東京都都市計画審議会で賛成多数で承認されたそうだが、このようなトンデモ案に一体どういう人たちが審議会で賛成したのか?

「文化遺産保護の提言などを行う「日本イコモス国内委員会」は7日、東京都へ見直しを提言した」とのことで、少しホッとしたけれど、これですんなり止まるとは思えない。

ドイツでは、ある一定以上のサイズ(樹齢?)の自宅の庭木を伐る時でさえも許可が要るほど、古い木は大切にされていると聞く。神宮外苑の樹木のような木を伐採するような野蛮な計画は、ドイツではあり得ないだろう。

「892本を伐採する代わりに、エリア全域に新たに979本を植樹する」(NHK)とのことだが、樹齢100歳の木と苗木とではCO2備蓄量や生物多様性は全く変わる。代わりにはならない。

なぜ日本は開発優先なのか??とても残念で情けない。

こんなに商業施設があふれ、空きビルもある東京に、なぜまだ必要なのだろうか。

<参考>

https://www.tokyo-np.co.jp/article/158883

https://www.tokyo-np.co.jp/article/159304

https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20220215a.html

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/301246/2

ホントに安心?焼却施設のDBO(公設民営)方式

最近、さまざまな施設がDBO方式になってきた。

DはDesign(デザイン)、BはBuild(建設)、OはOperate(運営維持管理)の略だ。

要は、資金調達を公共が行い、他はすべて民間に委託する。つまり、カネの面倒は見るから、あとはヨロシク!というもの。

もしかしたら、火葬場やリサイクル施設ならば、DBO方式でもあまり問題はないかもしれない。しかし、焼却施設はどうだろうか?

自治体の流行のようで、こちらもあちらもDBO方式・・・。このままでは自治体にごみのことがわかる職員はいなくなる。そうなれば、受託した民間企業に何もかもお任せだ。

しかも長期契約だろうから、途中から「ゼロ・ウェイスト」を目指したい、などということになったとしても、受け入れてもらえない可能性が高い。

ごみの減量化意識は受託した民間企業には働きそうにない。むしろ、もっと発電したいからもっとごみを増やそう、というインセンティブが受託企業に働くかもしれない。

長期契約ではごみ量の推定もままらなないが、かといって、短期契約では民間にも自治体にもリスクが大き過ぎる。

DBO方式は、ごみについてあまり知識も興味もない市長にとっては魅力的な選択肢だろう。新自由主義の流れの中で、民営化を批判する人は減っているから、全国的に増える理由はよくわかる。おまけに、専門家に任せておけば大丈夫!という安心感もある。

しかし、もし自治体がごみ処理方法を途中で変更したくなったとしても、簡単にはできなくなることもしっかり認識してほしい。

衝撃的な「衣類の末路」、チリの砂漠に衣類ごみの山

NHK番組「「知られざる衣服の末路」ニュース 地球まるわかり 」の終わりの方だけ偶然目にして、気になっていた。昨日、まだNHKプラスで放送されていることを知り、急いで視聴した。

南米チリのアタカマ砂漠に大量の衣類の山が出来ている。理由は、チリの自由貿易港で、衣料品の関税が免除されていることにある。関税が免除されるため、世界各国から売れ残りの衣類や古着が集まるそうだ。

その量は年間約6万トン。それを求めて各地からバイヤーが集まり、売買されるが、売れるのは約4割。6割(約3万9000トン/年)は砂漠に捨てられる。

かさを減らすため燃やされることもあるそうだが、プラスチックを燃やしたときの臭いが発生するという。大半が合成繊維だろうから、当然だ。

この捨てられた衣類の山のせいで、土壌汚染や火災などが起きている。近くには住宅もあるため、近隣住民に被害を与えている。

このような「衣類の末路」となっている国はチリ以外にもあるそう。廃棄衣料とはいえ、先進国の流行のファッションが新品(あるいは古着も)で入ってくることで、自国の繊維産業は壊滅的な打撃を受ける。自国の産業保護のため、タンザニアやウガンダなどで作る「東アフリカ共同体」は2016年、自国の産業保護のため海外から来る衣類を禁止しようとしたが、アメリカが自国のごみが送れなくなるとアメリカ国内の環境が悪くなるので困ると強く反対した。そのため、禁止もできなったそうだ。

2014年だけで、世界で1000億着以上の衣類が作られた。これは2000年のおよそ2倍の量だったという。先進国のファストファッションは、途上国の産業を壊滅させ、しかも大量のプラごみを押しつける結果になっている。

衣料を廃棄したり途上国へ行かないようにしたりするための、何らかのシステムが必要なようだ。

もう一度番組を見たいと思い、今日またNHKプラスで見ようとしたところ、昨日の夕方までの期限だったようで、既に見られなくなっていた。再放送があればぜひまた見たいと思う。

<追記>

日経新聞(2022.2.15)「アパレルの脱炭素へ「在庫税」を 河合拓コンサルティング代表 河合拓」によると、日本のアパレル産業は構造的な課題を抱えていて、

「1990年に約15兆円あった衣料品市場は新型コロナウイルス禍の20年は約7兆5千億円と半減した。一方で衣服の供給量は年20億点から年40億点近くとなりほぼ倍増。容量の限られるバケツ(市場)に水(衣服)を入れ続けている状態で、結果として余剰在庫も増え続けているとのこと。

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220215&c=DM1&ng=DGKKZO8010685014022022KE8000

日本の2014年の衣服供給量はわからないが、現在40億着近いならば、世界の1000億着のうち、日本の衣服の占める割合は結構高そうだ。