以前から人間の精巣にマイクロプラスチックがあることは知られていたが、今年5月に発表された米ニューメキシコ大学の論文によると、生殖能力にも影響を及ぼしている可能性がある。
これまではフタル酸エステルやビスフェノール類などの環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)作用のある化学物質が、少子化に大きく影響するといわれていたが、マイクロプラスチックも影響している可能性が高いようだ。
米ニューメキシコ州で死亡した23人の男性と、去勢手術を受けた47頭の犬の精巣で調べたところ、精巣1グラムあたりのマイクロプラスチックの平均濃度は、体組織1gあたり329.44マイクログラム。また、犬の精巣のマイクロプラスチックのそれは、1グラムあたり122.63マイクログラムだったとのこと。
12種類のマイクロプラスチックが見つかり、最多はPE(ポリエチレン)だ。
また、犬の精子の数とマイクロプラスチックの比較では、PEは相関関係は認められなかったが、PVC(塩ビ)とPET(ポリエチレンテレフタレート)は認められた。PVCとPETは精子の形成を妨げるようだ。PVCの濃度が高いと精子の数が少ない傾向があった。
精巣内に蓄積されたマイクロプラスチック、とりわけPVCとPETは、少子化に影響しているようだ。
精巣から検出されたマイクロプラスチックの発生源は多数考えられるが、一番可能性が高いのは、PVCは壁のビニールクロスやクッションフロア(塩ビ製床材)、PETはペットボトルだろうか?