紙製容器にもPFAS 、プラスチックコーティングとどちらがマシか

PFASが含まれている紙を調べていたら、「電子レンジ用ポップコーン袋」とあった。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06230340105

どんな袋かと調べたら、フツーの紙袋にしか見えない。他に「持ち帰り用の板紙容器」とある。これはケーキやドーナツの箱などのことだろうか?

ファストフードの包装紙は警戒していたが、ケーキなどの箱は盲点だった。

アメリカの研究では「デザートとパンの包装紙には56%、サンドイッチとバーガー類の包み紙には38%、紙箱には20%のPFASが含まれていたことが明らかになっています」とのこと。

また、紙コップはポリエチレンがラミネートされているので、PFASは使われていないという。

https://www.eurofins.co.jp/pfas分析-pfospfoapfhxs等/pfas-media/世界のpfasニュース/pfasは紙コップにも使用されている-国内外の調査結果と企業の動向/

要するに、油分や水分の多いものを紙で包む際は、プラスチックかPFASのどちらかを使わないと染み出すということか。どちらがマシだろうか?とつい考えてしまうが、やはりマイ容器を持参して買う以外は安心できないようだ。

マイクロプラスチックが子どものADHDと関連する可能性

2025年4月に発表された中国の研究によると、マイクロプラスチックは、ADHD(注意欠陥多動性障害)の症状と関連がある可能性があるようだ。

6〜9歳の子ども1000人の尿を調べ、保護者に質問し、尿中のマイクロプラスチックと回答とを付き合わせた結果だ。

尿中マイクロプラスチックの中央値は、100mLあたり9個。尿中マイクロプラスチックの粒子数の増加は、情緒問題、行動問題、過活動、対人関係問題のスコアの上昇と正の相関が見られた。

調べた尿中のマイクロプラスチックは、ポリアミド(ナイロン)、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC)。

主な結果は以下の通り。

• 情緒的問題では、ポリアミド(PA)とポリプロピレン(PP)が正の関連。総マイクロプラ濃度も有意な正の関連。
• 行動問題はマイクロプラ曝露と一貫して有意に関連しており、特にPPで最も高い関連が見られた。
• 過活動はすべてのマイクロプラの種類と正の関連があり、総マイクロプラ濃度の影響が顕著。
• 対人関係問題は、すべてのMP種類と有意に関連しており、総マイクロプラの関連が最も強かった。
• 向社会的行動は保護的関連を示し、尿中マイクロプラの増加は向社会的行動の低下と関連。

これまでナイロンは丈夫で長持ち、化学物質の問題もあまりないプラスチックだと思っていたが、そうでもないようだ。

それにしても、なぜポリエチレンを調べなかったのだろうか。尿には多くのポリエチレンのマイクロプラスチックが含まれているはずなのに。

<出典>

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0147651325004336

焦げ付き防止フライパンはやっぱり危険

2022年のコンシューマーレポートによると、「PFOAフリー」「毒性なし」と書かれたPTFEコーティング(フッ素樹脂加工)のフライパンからPFOAを含む多くのPFASが検出されている。

https://www.consumerreports.org/toxic-chemicals-substances/you-cant-always-trust-claims-on-non-toxic-cookware-a4849321487/

コンシューマーレポートが調べたフライパンは次の三種類。

Our Place Always Pan(セラミックコーティング)
Red Copper Pan(セラミックコーティング)
Swiss Diamond Pan(PTFEコーティング)

セラミックコーティングの2製品からはPFASは検出されなかったが、PTFEコーティングのフライパンからはPFOAを含む16種類のPFASが検出されたという。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/24/021600096/?P=2

しかも、結構な濃度だ。PFOAを含まない製品でさえ、製造方法により化合物が含まれている可能性があるとのこと。

PFASを摂取したくなければ、鉄やセラミックコーティングのフライパンが推奨されている。

仮にPFOAを含まずPTFEだけだったとしても、PTFEは内臓や尿から検出されているので、「分子量が大きいから体内に吸収されない」というのは間違いだ。尿から検出されるということは、血流に乗って全身を回ってから腎臓までたどり着いたということだ。

しかも、フライパンに使われているかどうかは知らないが最近は低分子量のPTFEというものもある。

https://www.mc-fluoro.co.jp/fluoropolymer/ptfe/

高分子であろうと低分子であろうと、体に入ったらどういう動きをするかわからない。PTFEもPFASの一種なのだから、やはり安心できない。使わないに越したことはない。

米カリフォルニア州、発泡スチロール製食器を禁止

カリフォルニア州で、発泡ポリスチレン(発泡スチロール)製食器を禁止することが決まった。

2022年に決まったプラスチック汚染防止法案で、プラスチック業界が2024年末までに25%のリサイクル率を達成できない限り、その素材は禁止されることが決まっていた。

しかし、発泡ポリスチレン食器は25%のリサイクル率を達成できなかったため、禁止が施行されることなった。どのように施行するか、違反した場合はどうなるか、など詳しいことはまだ未定とのこと。

日本でも、テイクアウトや弁当屋などの他、スーパーなどではトレーとしてポリスチレン製食器が使われているが、リサイクル率は何パーセントあるのだろうか?

ポリスチレンはマイクロプラスチック化しやすい上、スチレンオリゴマーなどは有害性が指摘されている。空気で膨らんでいるため、回収・運搬時などは空気を運んでいるようなものだから、リサイクル効率も悪い。

日本でも禁止する方がよいのではないだろうか。

<出典>

https://www.nbclosangeles.com/news/local/california-to-enforce-styrofoam-ban-calrecycle-says/3671337/

プラスチック容器が心臓病リスクを高める!

学術誌『Ecotoxicology and Environmental Safety』 に掲載された研究によると、頻繁にプラスチックを使う人は心不全を発症するリスクが高いことが明らかになったそうだ。

研究者たちは、3000人以上の人々のプラスチックへの曝露と心臓病の有無について調査した。その結果、プラスチック容器から食事をとることを含め、頻繁にプラスチックに晒されている人(プラスチック製テイクアウト容器の使用頻度が高い人)ほど、心不全のリスクが13%高くなった。

また、テイクアウト容器に沸騰したお湯を注ぎ、その水をマウスに飲ませたところ、腸内細菌に変化が見られ、さらにマウスの心臓組織に“広範な”損傷が確認されたという。

https://www.womenshealthmag.com/jp/food/a63987221/plastic-takeout-containers-increase-heart-disease-risk-study-20250323/

食品添加物も怖いが、食品の場合は原材料名が書かれているからまだしも自衛できる。しかし、食品容器にはどういう添加剤が使われているか、まったくわからない。

国連環境計画のレポートによると、プラスチックには1万3000種類以上の添加剤が使われていて、そのうち6000種類以上は安全性を調べられていない。プラスチックを極力使わないようにするしかない。

https://www.unep.org/resources/report/chemicals-plastics-technical-report

「資源の高度化法」施行されたはよいけれど、大丈夫?

今年2月、「資源の高度化法」(資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律)が施行された。

https://www.env.go.jp/press/press_04242.html

しかし、この法律、大丈夫なのか?

UNEPの報告書によると、プラスチックから検出される化学物質は1万3000種類以上にのぼるとのこと。うち、「約7000種類のプラスチック関連物質に関する広範な科学データは、そのうち3,200種類以上が懸念される有害性を持つ」と書かれている。

要するに、1万3000種類のうち、データがあるのは約7000種類で、約6000種類は有害性の有無の分析すらされていないということだ。

https://www.unep.org/resources/report/chemicals-plastics-technical-report

そんな中、リサイクルばかり進めて大丈夫なのだろうか。とりわけ、プラスチックのリサイクルを進めるのは非常に不安だ。

特に日本は、内分泌かく乱化学物質についての規制が海外に比べ非常に緩い。まず、問題のある化学物質を禁止し、それでプラスチックが使えなくなるのであればプラスチック以外のものに代替し、その上でリサイクルを進めてほしい。

プラスチックを循環させると言うことは、プラスチックに使われている1万3000種類以上の化学物質も、用途を限定せず循環させてしまうことを意味する。あまりにも危険だ。

熊本、半導体工場がPFASを放流 川の濃度高まる 

昨年できたばかりの熊本の半導体工場が、PFASを垂れ流していたようだ。

台湾積体電路製造(TSMC)の工場の排水を下水処理場で処理し、放流した川の水の濃度が高かった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/2f7649e2a1cd5559413fd39480099c88f4c727df

昨年末に本格稼働したばかりなのに、1月に川の水を調べたら、工場で使われているPFBSとPFBAの濃度が上がっていたとのこと。川に直接放流しているわけではなく、下水処理場を経て放流されているにも関わらず、もう検出されたということは、一体どれだけ高濃度のPFASを垂れ流しているのだろう?

しかも、この工場は日本が大枚はたいてお願いして来てもらった工場だ。この後、第2工場、第3工場と建設計画が続く。

日本にはまだまともなPFAS基準値はない。まして、PFBSとPFBAなどのようなPFASはどれだけ流しても法に触れることはない。しかし、これらのPFASは、いずれ有害だとして規制されることは間違いない。

なぜこのような工場を誘致したのか。理由はいろいろ書かれているが、納得できない。

日本政府も誘致するならば、PFBSやPFBAの基準値を厳しく設定するなど、最期まで責任を持ってほしい。

それにしてもこの工場、台湾国内にある工場でも垂れ流いるのだろうか。

オランダのプロサッカーリーグ、今年から天然芝でのみプレー

オランダのプロサッカーリーグの1部リーグであるエールディヴィジのすべてのクラブは、2025-26シーズン以降、天然芝またはハイブリッドピッチでのみプレーする。

エールディヴィジとファーストディビジョン(2部リーグ)のクラブは、プロサッカーの総会でこの決定に投票。人工芝でのプレーは完全に終了したことを意味しているそうだ。

「オランダのプロサッカーでは、クラブが天然芝やハイブリッドピッチに切り替えると報酬が支払われるため、人工芝のフィールドの数はしばらく減少している。この移行は、2018年にエールディヴィジ変更アジェンダから始まった」とのこと。

https://eredivisie.eu/news/no-more-artificial-turf-in-the-eredivisie-from-the-2025-26-season/

この報酬については、「2018年には欧州カップ戦のグループステージに進出したチームが受け取れるUEFAの分配金・テレビ放映権料の5%を、天然芝を採用しているチームに補助金として支給するルールができ、天然芝への回帰をオランダリーグ全体で促していった」と、この日本語の記事(2020.5.26)にも記述されている↓

かつての人工芝ブームから一転、天然芝の香りが戻ったオランダ

人工芝が減り、天然芝グラウンドが復活することは、気候変動対策にもなるのでとてもうれしい。

日本では、Jリーグ(日本のプロサッカーリーグ)の公式試合は天然芝グラウンドでのみ行われているが、日本サッカー協会の助成金により、各地のサッカー場は人工芝が多い。日本サッカー協会もそろそろ脱人工芝に舵を切るべきではないだろうか。

人工芝化する校庭の増加理由は、不完全な「学校保健安全法」のせいか

以前は大学などのサッカー部が使うサッカー場を人工芝にする傾向があった。特に強豪校といわれる学校は、人工芝が好きだった。最近では、サッカー部を強くしたい高校のサッカー場も人工芝になってきた、と思ったら、小中学校の校庭まで人工芝にする学校が増えているようだ。

理由は、近隣への砂塵対策などだと聞くが、人工芝化された校庭をもつ学校に通う児童は気の毒だ。

人工芝には内分泌かく乱作用のある化学物質が含まれている。芝葉の部分にはノニルフェノールやUV-328など、ゴムチップにはフタル酸エステルをはじめ、気になる物質がてんこ盛りに含まれる。PFASも含まれている可能性が高い(PFASは芝葉部分に多い傾向)。

人工芝から発生するマイクロプラスチックが大気へ放出されると、そのマイクロプラスチックに付着したこれら化学物質も一緒に放出されることになる。それを吸い込むのは、通っている児童・生徒だけではないが、やはり毎日学校にいる子が多く吸い込みそうだ。

もちろん、すぐに毒性が現れるような物質ではないので、気にしない親も多いだろうが、私ならば我が子を通わせるのは躊躇する。こんな幼い子どもたちまで、なぜプラスチック付けにして育てようとするのか、理解できない。

韓国では日本よりも早く、校庭の人工芝化が始まった。しかし、2008年に環境団体が校庭の人工芝から基準を超える鉛を見つけた。その後、2014年に国の外郭団体が全国調査を行ったところ、約17%の学校の校庭の人工芝から基準値を超えた重金属やベンゾピレンなどの発がん性物質などが見つかった。そのため、基準を超えた人工芝校庭は土の校庭などに戻された(天然芝校庭になった学校もある)。それ以降、多くの自治体が2年ないし3年ごとに校庭の有害物質調査を行い、結果を公表している。

日本ではなぜこのような調査が行われていないのか?と不思議に思い、「学校保全安全法」を調べてみた。この法律には、感染症や事故、衛生問題などは想定されているが、校庭に存在するかもしれない有害物質については考慮されていないようだ。

確かに、昔は校庭の危険性などは、せいぜい砂場の砂の衛生問題(たとえば、砂場にペットが排泄するなど)程度しか考えられていなかっただろう。

しかし、今の校庭は心配な人工物だらけだ。人工芝にゴムチップ舗装、陸上競技用のウレタントラックなど。日本にそれらに含まれる(あるいはそれらから揮発する)有害化学物質の基準値はあるのだろうか?

「学校環境衛生管理マニュアル」(文科省)などを見ても、校庭についてはほとんど触れられていない。「屋上や校庭の側溝等の雨水排水溝について検査を行う」程度だ。

人工芝やゴムチップなどは、施工時は基準値内でも周辺から多環芳香族炭化水素(PAHs)などを吸着し、有害性を増すことが知られている。日本の校庭や公園は、敷設の際に調べられた形跡はないし、敷設後も調べられることはないと思われる。

メーカーから安全性に関する書類を提出させるのかもしれないが、敷設時はもちろん、数年ごとに有害物質調査をする必要がある。

韓国では人工芝だけでなく、校庭の陸上トラックも調べたところ、問題のある物質がいくつもの校庭から見つかった。ウレタン舗装時に早く乾燥させるために使われた薬剤に問題があったようだ。

今のままの学校の安全基準で、子どもたちを守ることは到底できそうにない。至急、校庭の有害物質を調査し、さらに教室内の電磁波なども測定すべきだ。

国際プラスチックごみ条約会議の再会、8月に決定

プラスチックごみ条約会議が8月5〜14日に再会されることになった。場所はスイスのジュネーブ。

INC-5.2という位置づけだ。昨年暮れに韓国で開かれたINC-5では、プラスチックの生産削減や有害化学物質の排除など、大事な点で紛糾したため、何も決まらなかった。

サウジアラビアやロシアなどが反対したためだが、日本や中国、米国の態度も曖昧だった。こういう大事な局面で、曖昧な態度しかとれない日本にも失望するが、今回米国はどう出るのだろうか。

もし、意欲的な内容で決まっても、真っ先に「批准しない」といいそうな大統領がいる。少なくとも4年間は、アメリカには何も期待できそうにない。プラスチックの生産削減すら決まらないようであれば、未来の地球はマイクロプラスチックと有害化学物質で覆われていそうだ。