マイクロプラの危険性:ヒトの腸に炎症

マイクロプラスチックの人体への毒性が、次々と明らかになってきている。

「人間の細胞から作り出したミニ臓器である腸オルガノイドを用いた実験により、マイクロプラスチックが腸に炎症作用をもたらすことがわかりました」とのこと↓

https://gigazine.net/news/20230806-microplastics-danger-intestine/

アメリカのタフツ大学の研究チームが、人間の腸の培養組織を使って実験した結果を発表した。

腸管モデルを複数のサイズのプラスチック粒子にさらしたところ、最も小さいプラスチック粒子は腸の内壁を覆う上皮細胞に取り込まれ、さらに「大きめの粒子が腸の免疫応答に関連するマイクロフォールド細胞(M細胞)に取り込まれて腸組織内に侵入」したとのこと。

元論文はこれ↓

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S154996342300031X?via%3Dihub

そういえば、2020年に東京大学の酒井教授が日本財団と一緒にこれとよく似た研究を発表していた。確か、小腸培養組織を使った実験で、最も小さいマイクロプラスチックは上皮細胞を通って血管に入り、大きめのプラスチックはリンパ管に入っていったとのことだった。

当時はまだ、炎症を起こすことまでは解明されなかったが、タフツ大学ではさらに研究を進め、炎症を起こすことを明らかにしたのだろう。

日本でこの手の研究が今どこまで進んでいるのだろうかとググったところ、自治医科大学でもこのような研究を行っていた。

https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20K21725/

結果を早く知りたいものだ。

どんな神奈川県にしたい?新総合計画のパブコメ募集中

神奈川県で、新たな総合計画を策定するにあたり、意見を募集している。

通常のパブコメと違い、既にある案に対して意見をいうのではなく、自分が望む2040年の神奈川県の姿を書いてよいようだ。

募集期間は、2023年7月12日(水曜日) から2023年8月15日(火曜日)。

https://www.pref.kanagawa.jp/docs/r5k/pub/c5773391.html

ここに総合計画の関連資料などが記載されている。

https://www.pref.kanagawa.jp/docs/r5k/keikaku2024.html#shiryou

「2040年の神奈川を考える50の視点」を眺め、日本の森林面積も神奈川県の森林面積もこんなに減ったのか、人口もこんなに減るのか、などあらためて驚いた。

パブコメに関連し、ゼロエミッションを実現する会やグリーンピースが、8月11日にこんなイベントを企画している。

「最高の神奈川を描こう! 神奈川県「新たな総合計画」のパブコメを書く会」↓

https://kanagawapubcom.peatix.com

相模原市はPFAS汚染の原因究明を

河川水や地下水のPFAS汚染の値を見ていて、道保川の汚染が想像以上にひどくて驚いた。

https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kurashi/1026489/kankyo/1026503/jyokyo/1023819.html

暫定指針値(PFOS 及び PFOA の合計値として 50 ng/L)を大幅に超えている。

2021年度調査では、公園下流が340ng/L、公園上流が310ng/Lだ。

2022年度調査でも、公園下流が200ng/L、公園上流が340ng/L。

相模原市が今年、米軍関連施設からの排水処理施設からの排水を調べたところ、辛うじて指針値を超えていなかったようだ。

しかし、相模総合補給廠(中央区矢部新田、上矢部、小山)のPFOS ・ PFOA の合計値はまだ39ng/Lもある(参考:相模原市発表資料(令和5年3月2日)「米軍関連施設の排水中に含まれる有機フッ素化合物(PFOS等)調査結果について」)。

もしかすると、PFOS と PFOAの入った泡消火剤がまだ施設内に保管され、使われているのでは?それとも漏れ出しているのかもしれない、などと心配になる。

相模原市は原因を特定するため、立入調査をすべきでは?もし、まだ古い泡消火剤が保管されていたら、速やかに処分を要請してほしい。

<関連記事>

米コハセットで使い捨てペットボトル水の販売禁止を提案

米コハセットで、1ガロン未満のペットボトルなど使い捨てのプラスチック製ボトル水の販売禁止が提案されている。

承認された場合、2025年1月1日に発効される。炭酸水などは除外され、普通の水だけが対象だ。

インスタグラムによる調査では、70%が禁止を支持しているとのこと。今後、給水ステーションを増やす方針。

違反すると、最初は文書による警告だが2回目以降は罰金で、2回目は100ドル、3回目は200ドル・・と罰金額が増額される仕組みが考えられているようだ。

<出所>

インド・ゴア州でもプラ容器にデポジット制度導入か

これまでインドでは、マハラストラ州のみで200ミリリットル以上のペットボトルと牛乳容器(ミルクパウチ)にデポジット制度が採用されていた(200ミリリットル未満のペットボトルは禁止)。

ゴア州でも現在、デポジット制度を検討しているようだ。

ニレシュ・カブラル環境大臣は、月曜のゴア立法議会で、政府はデポジット制度を導入するため、生分解性の法案を修正すると表明した。

https://www.thegoan.net/goa-news/buying-goods-in-plastic-be-ready-to-pay-a-deposit/102156.html?eType=EmailBlastContent&eId=ff83d943-5896-43d5-aff1-470f252c4fb3

ペットボトルの水を購入する際は、Rs10またはRs5のデポジットを商品代金に上乗せして支払うが、ペットボトルを返却すると返金されるという。

マハラシュトラ州のペットボトルはせいぜいRs1からRs2だから、マハラシュトラ州よりもデポジット額を少し高めに設定するようだ。

東急ホテルでペットボトル廃止 カトラリーも紙製に

セルリアンタワー東急ホテル(東京都渋谷区)が、客室などの飲料水や一部の備品を変更した。

東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が掲げるSDGs方針の一環とのことだが、ようやく昨年施行されたプラスチック資源循環法に対応したのだろう。

客室などに置かれていたペットボトルを紙製ボトルに変更し、テイクアウト用に使用しているスプーン・フォーク・カップの蓋などをプラスチック製から紙製に変更した。

また、ランドリーバッグをプラ製から布製にし、繰り返し使えるようにした。ハンガーも木製にしたそうだ。

他に、お風呂のシャンプーなどのミニボトルも順次廃止し、ポンプ式に切り替えるとのこと。

とてもよい変更だと思うが、もっと庶民的なホテルでは、廊下にウォーターサーバーなどが置かれていて、持参した水筒にも給水できるようになっていたりする。紙ボトルよりずっと便利だと思うのだが、どうなのだろう。

<出所>

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002787.000005113.html

歯ブラシやカミソリについては触れていないが、当然何らかの対応を既にしているのだろうと思いググったところ、こんな感じだった↓

https://www.tokyuhotels.co.jp/cerulean-h/guide/greencoin/index.html

ホコリから柔軟剤の香り成分を3種類検出、化学物質の環境残留性を指摘

時間があったので、以前読み飛ばしたが気になっていた研究ノートを読んだ。佐賀大学大学院の研究チームの書いた「におい嗅ぎガスクロマトグラフィーを用いたハウスダスト中マイクロカプセル化香料の検索」『におい・香り環境学会誌51巻5号』(2020年)だ。

大学の学生演習室の清掃中に、ハウスダストから「柔軟剤のような甘いにおい」がすることに気付いた学生の指摘に端を発した研究とのこと。

一般的ものならば香料はすぐに揮発するが、残効性をウリにしている商品には香料を各種樹脂でコーティングするマイクロカプセル化技術が用いられている。マイクロカプセルに守られた状態ならば香りは長時間(長期間)残る。

この研究はその特性を利用し、官能評価、GC-O(ヒトの嗅覚を利用して化学物質を比較・同定する装置)分析、およびGC-MS分析を活用することで、ハウスダストから感じられた匂いが柔軟剤のマイクロカプセル化香料に由来していることを検証したそうだ。

結果として、ハウスダストの中の匂いが、柔軟剤由来のisopropyl 3-methylbutanoate (またはnonane)、tridecanalなど3種類の匂い物質と一致した。

研究は、香料のマイクロカプセル化技術が化学物質の環境残留性に対し新たな課題をもたらすことに、一歩踏み出している。香害の原因を明らかにし、これ以上被害を広げないためにも、研究を継続してほしいものだ。

それにしても、ホコリまで匂わせてしまうマイクロカプセル化技術は、化学物質の危険性を急速に高めている。

ハタ迷惑なだけでなく危険だ。日用品への使用を早急に禁ずるべきなのに、なぜいつまでも許しておくのだろうか。少なくとも、たばこのCMと同様、マイクロカプセル化技術を使った商品のCMも規制すべきだ。

コンタクトレンズからも、ペットボトルからもPFAS

最新の調査結果によると、検査した18種のコンタクトレンズすべてから、高レベルのPFAS(有機フッ素化合物)が検出されたそうだ。

https://www.harpersbazaar.com/jp/beauty/health-food/a43953627/contact-lenses-contain-dangerous-amounts-of-forever-chemicals-pfas-230522-lift1/

100ppm以上とのことで、この数値はEPAが安全と認める飲料水に含まれる最大量の約5万倍に相当するという。

どの程度、PFAS入りレンズ着用を心配すべきかわからないそうだが、妊婦や子どもは使わないほうがよいことは確かだろう。

また、ペットボトル入り飲料水からもPFASが検出されたとのこと。

47のブランドをテストしたそうだ。35が水、12が炭酸水。

35の水のうち2つが1兆分の1のPFAS閾値を超え、12の炭酸水のうち7つが1兆分の1のPFAS閾値を超えたとそうだ。

ということは、原水がPFASで汚染されていたというよりも、ペットボトルからPFASが漏れ出した可能性の方が高いということだろうか?この結果を見る限り、炭酸水の方がペットボトルからPFASが溶出しやすいように見えるが、どうなのだろう?

鹿沼公園の池と樹木を残して!もしかして「公園PFI」?

2017年に都市公園法を改正(改悪?)した影響で、各地の都市公園が様変わりしている。

公園法改正により「公園PFI」という仕組みが可能になり、そのせいで民間に丸投げできるようになったそうだ。

民間に丸投げされた公園は、「稼ぐ」ことが重要になる。これまでは住民の憩いの場として機能しているだけで良かった公園が、金儲けせねばならないとしたら、樹木をどんどん伐採し、スポーツ施設やカフェを建てることになる。

樹木は「稼がない」どころか、毎年剪定にお金がかかる。それならば「根元から伐ってしまえ」ということで、樹木が大量伐採される公園が多いのだとか。

最近問題になっている東京都立葛西臨海公園もこの影響で、大量の樹木が伐採されるそうだ。

弁護士の尾林芳匡氏によると(日本消費者連盟の消費者リポート1671号より)、

「「PFI」とは「Private Finance Initiative」 の略で、 民間資金による公共施設整備という意味でしたが、法改正を重ね、公共用地を民間企業のお金儲けのために提供するなら、国が地方自治体に財政支援をするという歪んだ仕組みになっています」とのこと。

複合施設を建てることになっている相模原市の鹿沼公園はどうなるのかと思って見てみると、「鹿沼公園内にある児童交通公園、白鳥池、遊具広場、築山は残す一方、軟式野球場と水生植物池は廃止し、芝生広場と多目的広場としてリニューアルする」。

https://www.kanaloco.jp/news/government/article-962059.html

白鳥池は残すということなので少しホッとするが、水生植物池は廃止する。芝生広場はまさか人工芝ではないと思うが、たとえ天然芝であっても池より温暖化に寄与しそうだ。

池を残し、池の周囲に植えられている樹木も伐採しないでほしいが、どうなるのだろう?

ついでにいえば、「でいらぼっち」の碑も残してほしい。あの神話(巨人伝説)は興味深い。

鹿沼公園も民間企業に丸投げされ、どこにでもあるような面白みのない公園に変わってしまうのだろうか?

8/5日本環境会議「神宮外苑再開発」シンポ、8/9バイオマス国際ウェビナー「米国木質ペレット工場による大気汚染排出と健康被害」

以下、2本のイベントのご案内です。

1.日本環境会議も神宮外苑再開発に反対するシンポジウムを8月5日に開催

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  日本環境会議(JEC)主催『環境と公害』公開シンポジウム
「SDGsに逆行する神宮外苑再開発」

『環境と公害』第52巻第3号 特集「神宮外苑再開発計画」を踏まえて 

日時: 2023年8月5日(土)午後1時半~4時(オンライン)

登壇者: 

石川幹子(中央大学研究開発機構教授、東京大学名誉教授)

大橋智子(建築家)

ロッシェル・カップ(経営コンサルタント、神宮外苑問題の署名活動代表)

原科幸彦(千葉商科大学学長、東京工業大学名誉教授)

司 会: 原科幸彦

※ オンラインで行いますので事前登録が必要です。

登録URL https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_zXh6Nn-uQc2JS0aULKuMWA

【シンポジウム開催の趣旨】

危機的な状況の神宮外苑。2023年1月、日本イコモスの「虚偽報告が多数」との指摘にも関わらず評価書は公示され着工。第二球場の解体工事が進み、9月には樹齢100年のものを含む樹木伐採が始まります。これは国民全てにとって重要な問題です。都市生活のQOLを損なってしまい基本的人権にも関わります。このままでは、日本中の都市公園に開発の手が伸びてしまいます。

都市において、100年もかけて育った樹木は貴重です。公共空間である神宮外苑の樹木は戦火の中でも生き残った、東京都心のレガシー。全国からの献金、献木、勤労奉仕で創られただけでも貴重ですが、加えて100年の間、守られ育てられてきたという歴史があります。

この歴史的な価値を尊重するのが、SDGsです。事業者はいずれも、SDGsの推進をと言っています。ならば、この100年間の重みはわかるはずです。イチョウやケヤキなど、数百年も育つ樹木を伐採するのは理がない。レガシーをと都知事が言うのなら、これを守るべきです

しかも、樹木は保存して、ラグビー場も野球場も改修する案が複数出されています。これらに目を向けないのは合理性に欠けます。あまりにも不透明な進め方です。

*参考 『環境と公害』第52巻第3号(2023年1月25日発行)で、神宮外苑再開発を特集

特集②〉 神宮外苑再開発計画 <目次>

特集にあたって――神宮外苑再開発計画 原科幸彦

近代日本の文化的資産である神宮外苑の保全と継承に向けてー社会的共通資本である都市の緑地の保全に向けてー 石川幹子


神宮外苑再開発計画にみる問題――市民の立場から 大橋智子

日本とアメリカ、大きく違う計画への市民参加――問われる民主主義 ロッシェル・カップ

神宮外苑の環境はアセスメントで守れるか――日本の制度の効果と限界 原科幸彦

2.NGOによるバイオマス国際ウェビナーを8月9日に開催

8/9(水) 9:00~10:30 開催
 バイオマス国際ウェビナー「米国木質ペレット工場による大気汚染排出と健康被害」
 https://www.gef.or.jp/news/event/230809biomasspollution/   
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再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)により促進されている木質バイオマス発電や、石炭とバイオマスの混焼向けに、今後、約850万トンの木質ペレットが米国から輸入されると予想されている。

生産地では、大量の木材を伐採し調達し続けることによる生物多様性や森林の多面的機能への影響だけでなく、木質ペレット工場からの大気汚染物質排出による住民の健康被害も問題となっている。これまでにドラッグス社やエンビバ社のペレット工場が米国の大気汚染防止法違反で罰金を科されている。

ペレット工場の多くは、黒人などマイノリティのコミュニティ、つまり所得や教育水準が低く、トラブルがあっても訴訟などについての知識や経済的余裕が乏しい人々の暮らす地域に建設されており、「気候正義」の観点からも問題があると考えられる。

この問題は、米国国内における公害であると同時に、大量の木質ペレット輸入国である日本にとっても、持続可能性やビジネスと人権の観点から無関係ではない。

本セミナーでは、木質ペレット工場からの大気汚染に詳しい現地の専門家・Patrick Anderson氏(Environmental Integrity Project)に状況を伺い、日米両国が今後どのように取り組んでいくべきかについてディスカッションする。

▼開催概要
日時:2023年8月9日(水)9:00~10:30
開催方法:Zoomウェビナー(同時通訳付き)
参加費:無料(要事前登録)

▼お申込み
zoom登録フォーム
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_EtRkm3IRR764qKqINBHgFA#/registration

▼お問い合わせ先
バイオマス産業社会ネットワーク 泊 E-mail: mail(a)npobin.net Tel: 047-389-1552

地球・人間環境フォーラム 飯沼 E-mail: event(a)gef.or.jp 

(a)を@に変換してお送りください。