プラスチックの新法成立 その欠点と長所は

プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(以下、プラ促進法)が昨日(2021年6月4日)、成立した。

今回の法律は、容器包装リサイクル法以来約20年ぶりのプラスチックに関係する法律なので、衆議院と参議院のどちらの環境委員会の審議もオンラインで傍聴した。

重要な法律だと思うが、勉強不足でピントのズレた質問をする議員も多い中、まともなことを聞いている議員もいて、参考になった。おかげでいろいろ面白いことがわかった。

プラスチックごみ対策に先進的に取り組む海外に比べると、かなり遅れた法律だが、長所もある。

まず最大の欠点は、拡大生産者責任(EPR)の欠如。容リ法もひどい法律だと思っていたが、EPRに関しては容リ法よりもさらに悪い。容リ法は再商品化費用だけは特定事業者負担だが、今回の法律で製品プラ(ポリバケツやオモチャなど)の再商品化費用は自治体負担なのだ。

つまり、容器包装プラと製品プラを一緒に回収するが、その収集・選別・保管費用は自治体で、さらに製品プラに関しては再商品化費用も自治体負担となる。一緒に回収したものをどのように分けて費用を分担させるかは、量的に按分するのだそうだ。

これまでの調査で、環境省はプラごみ全体の約8割は容器包装だということがわかっているのだとか。では製品プラ再商品化費用の8割が容器包装の事業者負担、残り2割が税金ということか?それで容器包装関係の事業者は怒らないのだろうか?おそらく税金負担はもう少し増えるのではないかと懸念する。

EPRをないがしろにしておきながら、環境省は自治体に分別収集をやらせるための締め付けに、交付金を使うらしい。それについては法律には書かれていないが、焼却施設などの建設予定のある自治体は、交付金を環境省からもらわざるをえない。それに「プラスチック分別収集」などの要件を付けるとのことだ。

おかげで、プラの分別収集は進みそうだが、そんなえげつない方法で自治体を操るのはどうだろうか?まずはEPRを徹底してほしいが、日本の場合、政治を動かしているのは財界だから、EPRは徹底しそうにない。

日本はプラスチックの法律を作ったと胸を張るが、EPRが当然の国々から見たら、なんて野蛮な遅れた方法だろうか!と驚かれそうだ。

確かにプラスチックのリサイクル量はこの法律で増えるだろう。外堀が埋められているのだから。しかしこの方法では、1つのものを大事に長く使っている人が、多くのプラスチックを使い捨てている人の分の処理費用まで負担する、そのおかげで大量生産を続ける生産者の懐は痛まない・・ということになる。これがこの法律の最大の欠点だと思う。

この法律の長所は、リサイクル量が増えることと、ストローやカトラリーが合理化(削減)されるということ。ストローやカトラリー以外の対象は今後省令で決まるらしい。

削減されるとはいえ、ポイント還元ではほとんど変わらないだろう。それはレジ袋のときもわかっていたはずだ。代替素材への転換も認められているが、転換ではごみの増加は止まらない。

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