これまでいわれていた海に浮かんでいるマイクロプラスチック(MP)数は約50兆個、というのは過小評価だったようだ。
実は2倍以上とのこと。
今年5月、「Environmental Pollution」誌に発表された英国のプリマス海洋研究所などの研究者らの推定では、世界のマイクロプラスチックの量は12.5兆~125兆個だった。
これまでの50兆個という数は、333㎛目合いのネットで採取されたサンプルのデータにもとづいてモデル化された浮遊マイクロプラスチック推定値「5兆から50兆」からきたものだ。
それが100㎛のネットを使って採取すると、「12.5〜125兆個」となるらしい。
そういえば、協会報『海洋調査』No.141にも、非常に興味深い研究結果が載っていた。
「海洋マイクロプラスチックへの取組」(吉里尚子著)
「目開きが0.3mmのネットで採集された粒径別の粒子数は、0.10mmのネットで採集されたものと比較すると、MP粒子数の長径(d max)が1.0mm未満の粒子が2〜5分の1でした。」
「目開きが0.35mmのネットを用いて得られた粒子数は、0.10mmのネットで採集されたものと比べて、短径(d min)が0.5mm未満の粒子が少なく、それらの粒子は目開きが0.35mmのネットをより多く通過し、長径1.0mm未満のものが少なくなると考えられました。」
要するに、0.35mmの目合いのネットを使って採集したMPは、短径が0.5mm未満のMPでも入らないことが多く、0.3mmのネットでは長径1mm未満のものはネットに入らないものが多いので、これまで報告されてきたMPの数、少なくとも1mm未満の数はアテにならず、少なく見積もられていた可能性が高いということか。
どうりでこれまで報告されていた1mm未満のマイクロプラスチックの数が少なかったわけだ。
0.3mm目合いのネットを使ったからといって、0.3mm以上のMPがきっちり入ってくれるわけではない、ということだろう。
うまくすり抜けてしまうようだ。
それにしても、2020年に入ってから発表されるマイクロプラスチックの研究は、ビックリさせられることばかりだ。
<参考>
University ofExeter(2020.5.19)
https://www.exeter.ac.uk/news/research/title_797045_en.html
「海洋マイクロプラスチックへの取組」吉里尚子著『海洋調査』No.141(2020)