苫小牧にCO2を30万トン圧入、大丈夫か

北海道苫小牧市で、二酸化炭素(CO2)の累計圧入量30万トンを達成したとのこと。大規模なCCS(二酸化炭素回収・貯留)の実証実験だ。

CCSは、2019年6月に閣議決定した「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」で、「とりわけ石炭火力発電については、商用化を前提に、2030年までにCCSを導入することを検討する」と位置付けられたとのこと(経産省ウェブサイト)。しかし、そもそも世界では、石炭火力発電を止める方向で動いている。

石炭火力発電所の新規建設を放置する日本は、先進国では異端だ。CCSとセットで作ったとしても、決して歓迎されはしない。

今やるべきは、小手先のイノベーションではなく、抜本的なCO2削減の取組だろう。プラスチック削減もCO2削減に大きく寄与する。

CCSは地震を誘発するともいわれている。

地震を誘発する証拠はない、というならば、地震を絶対に誘発しない、他にも害を及ぼさない、ということを科学的にしっかり証明してからCCSを進めてほしい。

貯留した30万トンものCO2が、地震などで漏れ出すことはないのだろうか。それも心配だ。

<参考>

経済産業省ウェブサイト(2019.11.25)「北海道苫小牧市におけるCCS大規模実証試験において二酸化炭素(CO2)の累計圧入量30万トンを達成しました」↓

https://www.meti.go.jp/press/2019/11/20191125003/20191125003.html

新・地震学セミナーからの学び「国会におけるCO2地下圧入実験の審議」↓

https://www.ailab7.com/kokkai4.html

 

 

成田市議会「見た目を揃えるため」マイボトルを禁止、ペットボトルと紙コップに統一

千葉県の成田市議会では、議会の委員会室に持ち込める飲料容器はペットボトルのみとし、マイボトルの持ち込みを禁止にしたそうだ。

きっかけは、市民からの苦情だったという。

以下、転載(AERA, 2019.9.30)↓

「市民から『議員がペットボトルで直接飲み物を飲むのは見栄えがよくない』との苦情があり、委員会室ではペットボトルから紙コップに注いでから飲むことだけが認められました。その時にマイボトルの話も出たのですが、『マイボトルでも直接口に付けて飲むタイプとコップに注ぐタイプがある』ということになり、最終的には議員団が用意したペットボトルの飲み物だけを許可し、紙コップに注ぐことで統一することになりました」

つまり、ペットボトルと紙コップをセットで使用することになり、それ以外はダメとのこと。

しかも、会津議員のブログによると、

「マイボトルは目立つからダメ。見た目を揃えるためにもペットボトルでなければならない。」

ということが、マイボトル排除の理由だったという。

冗談だろうか?もし、本当だとしたら、倒錯しているとしかいいようがない。

市民からの苦情は、ペットボトルに口をつけて飲むことであって、水筒で水を飲むことではなかった。にも関わらず、見た目を揃えるためにペットボトルと紙コップで統一する??意味がわからない。

近年、ごみ問題や温暖化問題を喫緊の課題と捉え、プラごみゼロ宣言を出す自治体が相次いでいる。ペットボトルの提供を中止する自治体も少なくない。

しかし、成田市議会が禁止したのは、ペットボトルではなくマイボトル・・・

ペットボトルも紙コップも、削減すべき使い捨て製品の筆頭だ。ルールを決めた人たちは、何か重大な勘違いをしている。

成田市にはごみやCO2削減を担当する課はないのだろうかと思い、市のホームページを見てみたところ、一般的な環境基本条例はある。

https://www.city.narita.chiba.jp/content/000010031.pdf

問題は、議員の多くがこの条例の意味を理解していないことのようだ。

<参考>

AERA(2019.9.30)「マイボトル禁止でペットボトルOKの成田市議会に批判噴出 懇談会ではコンパニオン派遣も」↓

https://dot.asahi.com/dot/2019093000049.html?page=1

会津素子成田市議会議員ブログ↓

https://ameblo.jp/koshary/entry-12530367421.html

固定価格買取制度の基準見直しを

FIT(固定価格買取制度)に温室効果ガス(GHG)の基準を入れるかどうかの議論が、佳境に入っている。

経産省は、相変わらずGHG基準を入れるつもりはないそうだ。

このままではパーム油や輸入木材などがどんどん燃やされて、再生可能エネルギーとして売られることになる。

私たちが電気代に上乗せして支払う再エネ賦課金は、決してバカにならない金額。それが、インドネシアやマレーシアのパーム油生産のための森林伐採や、泥炭湿地帯の破壊に使われるということだ。

インドネシアの森林火災による煙害は、今年も激しい。乳児らの死者も出ている。パーム油を買い続ける日本にも責任があるのではないか。

輸入木材にしても、伐採地によっては地球温暖化を加速させる。

パーム油や輸入木材を燃やして発電することが、なぜFITで認められるのか、理解に苦しむ。

<煙害についての参考>

朝日新聞デジタル(2019.9.23)「インドネシアで煙害深刻、乳児ら死亡 周辺国も巻き添え」

https://digital.asahi.com/articles/ASM9P2RP1M9PUHBI00L.html

 

プチ「脱プラ」宣言⑩使い捨てウチワはいらない

銀行や夏祭りなどで、よくウチワを配っている。

骨にプラスチックを使っているウチワも多いし、石灰石とプラスチックを複合させた骨のうちわもある。

このようなウチワは、せいぜい一夏だけで使い捨てられる。

なぜ配るのか、意味がわからない。

風雅で、何年も使いたくなるようなウチワ(例えば、竹製や木製の骨組みと和紙を組み合わせたようなもの)ならばよいが、そうでなければすぐにゴミになる。販促グッズにもならないのでは?と思う。

昨年、IPCCが1.5度特別報告書を発表した。今すぐ、大量生産、大量消費をやめなければ、地球はもたないという。

使い捨てのものを配る時代は、もう終わったのではないか。

海岸にも、発泡スチロールやペットボトルに混じって、骨だけになったウチワが落ちている。

<関連記事>

プチ「脱プラ」宣言⑨店頭で雨の日に配布されるプラ製傘袋は、もったいない

 

 

 

長野市、ごみ発電で「環境教育」は本当にエコ?

長野は昔から教育熱心な県だ。

しかし、このごみ発電授業は、本当に環境教育なのだろうか。

「ごみ処理場で発生した熱が電気に変わる仕組みなどを説明」とのことで、確かに科学の勉強にはなる。しかし、これが理解できるのは高校生程度ではないか。

小学生にこの授業をすると、「ごみを出しても電気になるから大丈夫!」という安心感ばかりを植え付けてしまいそうだ。

発電量とごみ量はトレードオフの関係になる。

それをどう理解させるのか、小学生では難しい。おそらく授業の最後に「ごみを減らそうね」ということはいうのだろうが、それと発電の話をどう結びつけ、どうするのが環境によいと考えるのか、おとなでも迷う。

まして「電力の地産地消」や「二酸化炭素(CO2)の削減」の話までするとなると、余計に混乱する。二酸化炭素の削減ならば、まずは省エネで、そのためにごみを極力出さないことが出発点のはず。

小学生には、創エネよりも省エネを教えてほしいし、ごみ処理を焼却に頼っていては、CO2削減にはならない。

どうしても出てしまうごみを、まとめて広域処理で発電する、ということならば、現状ではやむを得ない選択かもしれないが、広域処理だと地産地消とはいいにくい。

ごみ発電で本当に地産地消するならば、よほどたくさんごみがないと難しく、それではCO2削減にも、温暖化対策にもならない。

ごみ発電施設に「ながの環境エネルギーセンター」などという名前を付けたばかりに、こんなハードルの高い授業を小学生にせねばならなくなったのだとしたら、小学校の先生方も迷惑だろうと思う。

先生「ごみを出さないように、ものは大事に使おうね。まずは減らすことが大事だよ。どうしても出てしまうごみはリサイクルしよう」

生徒「でもそれだと発電できないよ。電気の地産地消もできなくなるよ。それでもいいの?」

という会話が聞こえてきそうだ。

以下、日本経済新聞(2019.8.17)↓

環境教育は篠ノ井西小学校の4年生、約120人を対象に実施した。講師は日立造船の小売電気事業室の担当者で、ごみ処理場で発生した熱が電気に変わる仕組みなどを説明した。

長野市は近隣の市町村と協力し、3月に可燃ごみの処理施設として「ながの環境エネルギーセンター」を稼働した。発電した電気は日立造船が買い取り、今後3年間市内の小中高80校に供給する。電力の地産地消や二酸化炭素(CO2)の削減などにつなげる。

<関連記事>

焼却施設でエネルギーの地産地消?!長野市

<参考>

日本経済新聞(2019.8.17)「長野市と日立造船、小学校でごみ発電の環境教育」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47441840X10C19A7L31000/

講演会のご案内:どうなん?!バイオマス発電〜パーム油発電は地域と地球にやさしいの??(会場変更になりました)

京都府舞鶴で計画中のバイオマス発電所について考える講演会が、舞鶴市と京都市で開催される。

主催はウータン・森と生活を考える会など。

既に建設中の旅行大手エイチ・アイ・エスに続く、パーム油を燃料とする発電所だ。

なぜ、こんな発電まで、私たちが電気代と一緒に支払う再エネ賦課金で助成されるのか、理解に苦しむ。

再エネ賦課金の支払い拒否をしたいくらいだ。

以下、案内文の転載↓

9/13@舞鶴市、9/14@京都市「どうなん?!バイオマス発電〜パーム油発電は地域と地球にやさしいの??」

みなさんは「パーム油」をご存知ですか?
アブラヤシの実から採れる油で、カップ麺、マーガリン、お菓子、アイスクリームなどに使用されています。

アブラヤシを栽培しているマレーシアやインドネシアでは、農園開発に伴う熱帯林・泥炭地破壊、地球温暖化をもたらす温室効果ガスの増大、泥炭湿地で起きる火災、オランウータンに代表される生物多様性の喪失、現地住民との土地紛争、劣悪な農園の労働環境、児童労働の可能性までもあると言われています。

今、数々の問題が指摘されるパーム油を燃料に、「再生可能エネルギー」として発電事業を行う計画が進んでいます。
舞鶴西港では、京都府と舞鶴市が民間企業とともにパーム油発電所の建設を進めようとしています。
福知山では、地域住民の皆さんが現在稼働中のパーム油発電所が起こす振動や悪臭に悩まされながら生活されています。

これほど問題があるパーム油で発電をした電気を使って、私たちは本当に幸せでしょうか? 本当に地域のためになるのでしょうか?

バイオマス発電の問題に関わる環境団体や専門家から持続可能性への必要な取り組みについて紹介し、また、福知山や舞鶴の発電所(計画地)の近隣住民より地域活性化と発電所の現状についてお話いただきます。
世界と日本の動向、パーム油発電と望ましい地域エネルギーの在り方について、参加者の皆様と一緒に考えたいと思います。

◆開催概要
〈舞鶴セミナー〉場所が変更になりました(9/2修正)
日時:2019年9月13日(金)18:30~20:30
場所:舞鶴市西公民館201会議室
〒624-0853京都府舞鶴市字南田辺1
https://www.mapion.co.jp/phonebook/M13007/26202/22630715366/
定員60人(先着順)

〈京都セミナー〉
日時:2019年9月14日(土)10:30~12:30(10:00 受付開始)
場所:京エコロジーセンター
https://www.miyako-eco.jp/ecocen/access/
定員:100人(先着順)

【お申込み・お問合せ】
①フォーム
舞鶴 ➡︎ https://forms.gle/DPvNjSmefcb7HbrSA
京都 ➡︎ https://forms.gle/WMQu8ehjxg2vKyaa9

②メール ➡︎ contact-hutan(a)hutangroup.org
(a)を@に変えてください
件名「バイオマス発電セミナー申込み」、「参加日・お名前・メールアドレス・ご所属(任意)」をお知らせください

③電話 ➡︎ 090-8145-1146(担当:石崎)
メールと同様の事項をお知らせください
※誠に勝手ながら、8/25〜31は電話対応不可、8/26〜29はメール対応不可となります。お問い合わせ頂く際にはご注意ください。

◆プログラム(予定・継承略)
講演1:パーム油の原産地で起きていること
飯沼佐代子/地球・人間環境フォーラム(舞鶴)
石崎雄一郎/ウータン・森と生活を考える会(京都)

講演2:パーム油発電の持続可能性とFIT
泊みゆき/バイオマス産業社会ネットワーク

講演3:福知山でのバイオマス発電所と公害
三谷義臣/福知山騒音悪臭対策推進会議

講演4:舞鶴でのバイオマス発電所の計画
大槻賢孝/舞鶴市市民

◆会場へのアクセス
☆舞鶴西駅交流センター
舞鶴市字伊佐津213番地の8
https://www.city.maizuru.kyoto.jp/yoyaku/shisetu/14nishieki.htm
*鉄道の場合 ⇒ JR舞鶴線・小浜線「西舞鶴駅」下車、歩いて0分
北近畿タンゴ鉄道 「西舞鶴駅」下車、歩いて0分
*車の場合 ⇒ 舞鶴若狭自動車道「舞鶴西IC」から国道27号で15分
国道27号で西駅交流センター(「JR西舞鶴駅」を併設)

☆京(みやこ)エコロジーセンター
京都市伏見区深草池ノ内町13

アクセス


※下記の公共交通機関でお越しください。
・京阪電車「藤森駅」下車西へ徒歩約5分
・地下鉄・近鉄「竹田駅」下車東へ徒歩約12分
・市バス105・南5・臨南5・南8「青少年科学センター前」下車南へ約2分

主催:ウータン・森と生活を考える会、一般財団法人地球・人間環境フォーラム、バイオマス産業社会ネットワーク

協力:プランテーション・ウォッチ(国際環境NGO FoE Japan,サラワクキャンペーン委員会、熱帯林行動ネットワーク
(JATAN)、メコン・ウォッチ、レインフォレスト・アクションネットワーク日本代表部)、気候ネットワーク(予定)、環境市民(予定)、パワーシフトキャンペーン運営委員会(予定)

再エネ賦課金なぜ値上げ?使途に疑問

5月から、再エネ賦課金が値上げされた。

再エネ賦課金は、私たちの支払う電気料金に上乗せされているもので、FIT(固定価格買取制度)により電力会社が再エネ事業者から電力を買い取る際に使われていると聞く。

原発や石炭火力に不安をもつ身としては、再生可能エネルギーは応援したい。

しかし、最近山へ行くと、メガソーラーが目に付くのには閉口している。せっかくの景観が台無しだ。しかも、治山は大丈夫なのか?治水は大丈夫なのか?と心配になる。

気候が変わりそうなほど、メガソーラー面積が増えているように見える。先日の九州南部豪雨で損壊したメガソーラーは、メガソーラー設置自体に問題はなかったのだろうか。

さらに心配なのはバイオマス発電だ。バイオマス発電のFIT価格は異常なほど高い。

太陽や風を利用する自然エネルギー発電と異なり、燃料代がかかる、というのはわかる。バイオマス発電所は、設備だけ作ればあとは維持費以外はほとんどかからず継続的に発電できる、というわけではない。

しかし、これほど高いと、世界中の燃料になりそうなものが集まってくるのではないか。例えば、パームオイルやヤシ殻などはその一例だ。現地に昔から自然に生えているココヤシと違い、パームオイルを収穫するアブラヤシは外来種で、その単一栽培(プランテーション)は問題が多い。

パームオイルは、昔からいろいろ悪い評判を聞いていたので、できるだけ買わないようにしてきた。しかし「植物油」表示で、ほとんどあらゆるものに入っているから、最低限は買ってしまう。カレールー、チョコレート、クッキー、インスタントラーメン、洗剤、シャンプー・・・などなど。

そのパームオイルを、食べたり使ったりするだけでなく、燃料にまでするとは・・しかも、ヤシ殻まで輸入することにCO2削減効果があるとは思えない。

また、外国から木質チップを輸入して燃やしているバイオマス発電所も、本当に大丈夫なのか?と心配だ。

本当に燃やすしか用途のない木だったのか?「低質材」というのは、人間にとって有用度の低い木だというだけで、他の生物にとっては貴重な木であることが多い。

再生可能エネルギーは本当に「再生可能」なのか、自然破壊ではないのか、今一度見直しが必要だ。

見直すことなく、年間一万円近くも再エネ賦課金を取らないでほしい。

そもそもFIT価格が太陽光などで下がっているにも係わらず、なぜ5月から再エネ賦課金が値上げされたのだろう?

熱波で仏原発2炉停止、熱波は人間の活動が原因の可能性

欧州各国で熱波による影響が出ている。

フランスでは原子炉を2基停止した。原子炉の冷却水を放流することで、さらなる水温上昇を招き、生態系に悪影響が出る怖れがあるためとのこと。

やはり原発は、温暖化への関与が大きいのだろう。日本でも早急に停止すべきだ。海水温の上昇は、プランクトンやサンゴに致命的な影響を与える。

ベルギーでは屋外で働く公務員の業務が停止され、イギリス南東部では、高温で線路がゆがむ可能性があるとして、速度を落として運行するという。

農作物や家畜にも悪影響が出るなど、経済活動への影響は大きい。

熱波は、人間の活動が原因である可能性が高いそうだ。

<参考>

日経新聞(2019.7.25)「欧州で熱波 パリ40度 原子炉停止、鉄道は減速運行 」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47777820V20C19A7FF1000/

中国でフロンガスの排出増加

オゾン層を破壊するフロンの一種、クロロフルオロカーボン(CFC)の放出量が、近年増加していた問題で、主な原因は中国だったことが、イギリスの科学者チームによりわかったとのこと。

ポリウレタン断熱材に、このCFC-11が使用されていたことが確認されたという。1トンのCFC-11は、二酸化炭素約5000トンに相当するとのことで、オゾン層を破壊するだけでなく、温暖化も促進してしまうらしい。

中国政府は既に取り締まりを開始しているそうだ。

<詳しくは↓>

BBC(2019.5.23)「オゾン層破壊物質の増加原因は中国 国際研究チーム」

https://www.bbc.com/japanese/48375540

高まる海洋生物の絶滅リスク、温暖化に乱獲が拍車をかける

近頃、生物の絶滅についてのニュースが多い。例えば、温暖化が原因で絶滅した初めての哺乳類として、オーストラリアの「ブランブルケイ・メロミス」が最近話題になった。

サンゴ礁の島に住んでいた哺乳類で、1978年には数百匹が生息していたが、海面上昇で度々浸水したことから、植物が減り、生息域を失ったことが原因だという(東京新聞2019.5.4)。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019050402000153.html

島は約四ヘクタールで、標高三メートルほど。二十世紀末から海面上昇でたびたび浸水。植物が減り、生息域をほとんど失っていたといいます。
国連の科学者組織が六日、報告書を発表する予定です。報道によると、この報告書は「地球上には現在、約八百万種の生物が生息しているが、今後、五十万種から百万種が絶滅の危機にさらされる」「生物多様性の損失と地球温暖化は密接に関連」と指摘します。温暖化で滅びる生物が百万種類になるかもしれないというのです。

陸上生物よりも海洋生物は、絶滅リスクが高いという研究成果も発表された。

米ラトガース大学のチームが400種以上の変温動物を対象に、気温上昇の影響を海と陸で比較したところ、海洋生物のリスクが強く示されたとのこと。海水温が上昇すると、海洋生物は逃げ場がないそうだ。(ナショナルジオグラフィック2019.4.27)

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/042500255/

ピンスキー氏らは海の変温動物88種と陸の変温動物318種の「温度安全域」を計算し、どれくらいの温暖化に耐えられるか、限界はどこかを割り出した。その結果、最も安全域が狭いのは、赤道付近の海洋生物と中緯度に生息する陸生生物だとわかった。

現在の温度でも、多くの変温動物には暑すぎる。論文によれば、温暖化の結果、最も海水温が高い場所では、海洋生物の半数以上がかつての生息地から姿を消しているという。こうした局所絶滅の割合は陸生生物の2倍に達する。

さらに、世界第2位のコウテイペンギンの繁殖地で、ヒナが3年連続してほぼ全滅というニュースもあった(AFP2019.4.26)。

https://www.afpbb.com/articles/-/3222720

これらニュースの中でも、とりわけ気になるのが、日本近海の漁業資源が温暖化で激減し、それに乱獲が追い打ちをかけているというニュースだ(CNN2019.3.1)。

米ラトガース大学の研究チームが、世界の漁業と海面温度に関する統計をもとに、1930~2010年の温度変化による持続可能な漁獲量の変動を分析したところ、地球温暖化が世界の漁業資源に重大な影響を及ぼしていることが分かったという。

「特に減少が激しかったのはアジア近海地域で、東シナ海や日本近海の黒潮では、過去80年の間に漁業資源が15~35%減っていた」とのことである。

https://www.cnn.co.jp/world/35133541.html?fbclid=IwAR1QYjy1v-T_izTeA2R55bGrWMyFd9gjFPmLMUhrMF4JWYsjWqizZpG2B24

<補筆>

中日新聞(2019.5.7)「100万種、絶滅の危機 国連警告」

https://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2019050702000063.html

国連の科学者組織が6日、世界で約100万種の動植物が絶滅の危機にひんし、人の活動に伴う生態系の喪失がかつてない速度で進んでいるとの評価報告書を発表した。

「絶滅の速度は、過去一千万年の平均と比べ数十~数百倍と推定され、評価対象の四分の一に当たる百万種が絶滅の危機にある。陸上の五十万種は生息地が脅かされ、両生類の40%以上と、サメと海洋哺乳類のそれぞれ30%程度が絶滅の恐れがある」とのこと。

さらに、「地球温暖化対策の「パリ協定」の目標を達成し、産業革命前と比べた気温上昇を二度に抑えても、サンゴ礁の面積は1%未満まで縮小すると予測。海洋プラスチック汚染は一九八〇年から十倍に増え、ウミガメや海鳥、海洋哺乳類など二百六十種以上に悪影響を及ぼしている」と分析された。