東京も沖縄もPFAS汚染。日本の規制は緩いまま?

分解が困難で自然界に長くとどまり続け、拡散し、生体内に蓄積するPFASは、「永遠の化学物質」だ。

そのPFAS(有機フッ素化合物)の血中濃度は、沖縄で全国平均の最大14倍とのこと。信じがたい数値だ。しかも水道水を飲んでいる人ほど高い傾向があるようだ。ペットボトルを使用しないエコな人ほど厳しい状況だ。

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1041473

東京・多摩地域の人たちの血中濃度も、沖縄ほどではなさそうだが、やはり高い。そのため、「多摩地域の有機フッ素化合物汚染を明らかにする会」が今年8月に設立された。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/194662

近年は欧州だけでなく、世界的に規制が厳しくなってきた。アメリカでも昨年、PFAS規制を強化する方針が発表され、今秋にも新たな規制が公表される。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/06/3af2ad84751d41b8.html

アメリカの動向を見てから、日本のPFAS規制は決まるのだろうか?

PFASは環境ホルモンだから、せめて食品容器と調理器具、子ども用品、育児用品、化粧品などへの使用くらいは早急に禁じてほしいものだ。

(以下、追記)

ちなみに、ティナ・コル・イエンセン博士の講演(2022.8.3)によると、デンマーク政府は、食品の容器包装紙に含まれるPFAS の使用を禁止することを決定しているとのこと。全ての種類のPFAS について食品の容器包装紙への使用が禁止される。

EUにはまだこの動きはないが、いくつかの食品企業では自主的規制が始まっているそうだ。

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「古着でワクチン」は罪悪感なしでごみを捨てられるシステムか

「古着でワクチン」は、ワクチンを免罪符に、罪悪感なしでごみを捨てられるシステムではないか、と疑っている。

3300円払うと、Tシャツが100枚も入るキットが送られてくるとのこと。それに古着を入れて送ると、海外へ送られ、現地の雇用にも役立つそうだ。

さらに、同団体のウェブサイトによると

「「古着deワクチン」を注文するだけで、認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会を通じて開発途上国の子どもたちにポリオワクチンが届けられ、一口につき5人の命を救うことができます」

とのこと。

しかし、ポリオワクチンの値段は1人分20円ほどだろう。5人分で100円だ。差額の3200円は送料と人件費ということか?

それならば、3300円をそのまま途上国へ送り、支援する方がよいのでは?と思う。

利用者は、断捨離してさらに寄付もできた、とよい気持ちになれる。

しかし、以前と違い、今は途上国には古着が余っているだろう。アフリカやフィリピンに古着を寄付すると、喜ばれた時代が確かにあった。

近年はファストファッションが激増し、そこそこの品質の新品の衣類が世界中に出回っている。よい古着を本当に困っている貧困層に直接寄付するならばよいだろうが、たいていの古着市場は既に飽和状態だ。

余りすぎて、古着が野外でプラごみの山を築いている地域もある。古着の多くは合成繊維製で、プラスチックだ。

同団体は「ジャパンSDGsアワード特別賞」も受賞しているようだ。しかし、本当にSDGsに貢献したい人は、古着を送って断捨離するよりも、まず服を頻繁に買うのをやめる必要があると思う。

中米の川に一面のプラごみ

中米エルサルバドルにあるスチトラン湖の動画を見て驚いた。

まさに一面のプラごみで、水面が見えないほどだ。

ぜひ、ここのAFP通信の動画をご覧ください↓

「中米の河川や浜辺覆うプラスチックごみ」

https://news.yahoo.co.jp/articles/b02f9297f1cad67146e932891d22168b4a773708

また、グアテマラを流れるモタグア川支流のラスバカス川からオモアに流れ着くプラスチックごみは、年間約2万トンで、大半はグアテマラ首都のごみ埋立地から流れ出したものとのこと。

ということは、このスチトラン湖のプラごみも、ごみ埋立地から流れ出したものだろうか。

そうであれば、ごみ処理インフラの整っていない国に、プラスチック入り容器に入った製品を売ったり、あるいは「リサイクル」名目で廃プラを輸出したりするのは、まさに「環境犯罪」だ。

美容師さん、マニキュアを使わないで!フタル酸エステルも怖いし

先日美容院でひどい目に遭った。長い爪で頭を引っ掻かれたのだ。

洗髪というより、まさに頭皮を引っ掻かれた感じ。痛みのあまり椅子から飛び上がってしまった。

「痛い!」というと、「では力を入れないようにします」とのこと。それからしばらくは撫でるような洗い方に変わった。「気持ちの悪いところはありませんか?」と聞かれ、全体に気持ち悪くて仕方がなかったが、一刻も早く帰宅して洗い直したかったので「ありません」と答えた。

本人には爪で引っ掻いたという意識は皆無だったようで、彼女曰く私の会員カードに「シャンプーは弱めに、と書いておきますね」だと・・。

私は弱めのシャンプーが好きなわけではなく、単に爪が痛かったのだ。指の腹で強めに洗ってもらえるならそれでいい。そう説明しつつ、ふと彼女の手を見たら、爪に赤や黒のマニキュアが施されていた。

以前、きれいなネイルアートをしたやはり爪の長い人にシャンプーされたことがある。その人は自分の爪の長さをわかっていたようで、爪が当たらないように洗髪してくれた。それでも時々爪が当たり不快だったが、苦情をいうのもはばかられ、ガマンした。

しかし、先日の美容師さんは、自身の爪の長さに無自覚・無頓着。思い切り爪を立てた。

職業柄、非常にマズイと思うが、マニキュアにはフタル酸エステル類も入っている。

フタル酸エステル類には内分泌かく乱(環境ホルモン)作用がある。本人の健康にも悪いけれど、もしその人に小さい子どもがいたらもっと悪い。フタル酸エステル類は、子どもの脳に損傷を与えるとか、早産を引き起こすとか、早死にリスクに関与しているなど、さまざまなことが指摘されている。

さらに、もしその子が男の子だとしたら、まさに「生殖危機」だ(これについては、シャナ・H・スワン著『生殖危機』(原書房, 2022年)をご参照ください)。

ネイルアートを楽しみたい人は、美容師になるべきでない。さらにいえば、子どもを産み育てたい人や、子どもと一緒に暮らしている人は、マニキュアをすべきでない。

仮にフタル酸エステル類フリーのマニキュアがあったとしても、代替品の安全性は証明されていない可能性が高い。

マクドナルドがようやく脱プラ

マクドナルドのワンウェイ(使い捨て)プラ対応がようやく決まったようだ。

これまでは一部の店舗で木製などを試していただけだったが、ようやく全国2900店舗でストローを紙製に、スプーンやフォークなどを木製に順次変えると発表した。

ハンバーガーチェーンのモスフードも今月以降、持ち帰り用のスプーンとフォークを順次バイオマスプラスチックを配合したものに切り替えるとのこと。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221004/k10013847691000.html

脱プラもいいが、ハンバーガーチェーンには最善のアニマルウェルフェアを遵守してほしい。できれば商品の過半をビジタリアン用に「脱獣」で。

もちろん、ゲノム編集されたような肉もどきではなく、大豆ミートなど従来のもので十分だ。

できるだけ肉らしい味に近づけようと、ゲノム編集までされてしまうと、ビジタリアンフードまで胡散臭くなってしまうので。ゲノム編集コオロギのせいで、昆虫食を胡散臭い目で見る人がいる。その二の舞は避けたい。

加えて、価格面で難しいかもしれないけれど、できれば、国産の非遺伝子組み換え大豆などを使ったメニューも加えてほしい。そうすれば、罪悪感なしで食べに行ける。

紙 vs プラ 配送パッケージのリユース化はうれしいけれど

世界で宅配の配送パッケージのリユース化がふえてきた。

欧米では複数の企業が数年前から採用し、韓国でも政府が検討している。(参考「韓国政府が環境保護のため、2024年から多回用宅配箱の普及事業を本格推進することにした」)http://www.tbnews.co.kr/news/view.php?idx=2297&mcode=m22q90v

日本でもメルカリがテスト中だ。

https://about.mercari.com/sustainability/creating-a-circular-economy/eco-pack/

それはとてもうれしいけれど、どのリユースパッケージをみてもプラスチック製。

ダンボールがどんなに頑張っても数回しかリユースできないけれど、プラスチックは何十回もリユースできるのだから、やむを得ないのだろうか・・。

ごみを減らそうと思ってプラスチックを使うのは、やむを得ないが気に食わない。

我が家の浴室で床洗い用に使っているエコショップで買った自然素材のブラシも、そろそろ寿命だ。高かったのに、寿命は結構早くきた。エコは結構高くつく。

今度はブラシではなく、シュロ製の大型亀の子だわしにしようと思う。

パーム製の大型亀の子だわしならば100円ショップでも販売されているからパームでもよいが、シュロ製に比べ少し硬いのでキズが心配だ(我が家の浴室の床は少し柔らかい感触のタイル)。

シュロ製はさすがに100円ショップで売られていないが、ネットで検索すると800円ほどで販売されている。今度はこれを試してみたい。

環境ホルモン講演会:「6万越の化学物質のうちテストされたものは250のみ」個人でできる対策は

『生殖危機』の著者、スワン博士の講演を聴いた。

博士によると、6万を超える化学物質のうち、直接テストされたものは250しかないそうだ。

これでは生殖危機が起きても当たり前に思える。

また、よくいわれる「精子半減」は欧米諸国の話で、日本を含む東アジアやアフリカ諸国ではもっと状況が厳しいようだ。

レジュメによると、欧米諸国の精子濃度は1973年から2011年の間に52.4%減少しているが、アフリカ諸国では1965年から2015年の間になんと73%も減少している。

世界98%の国で少子化しているそうだが、日本を含む東アジアの少子化の実態はすさまじい。

もちろん、少子化の原因は環境ホルモンだけでなく、ストレスやたばこなどのライフスタイルなども原因だが、それらがそれぞれどの程度寄与して現在のような結果になったのかはわからないという。

わかっていることは、注意すべき内分泌かく乱物質(環境ホルモン)は、フタル酸エステル類、ビスフェノール類、有機フッ素化合物、農薬、そして難燃剤。

いずれも現状では、完全に排除するのは難しいものばかりだが、なんとかしないと大変なことになる。

とりあえず個人でも出来る対策としては、プラスチックを電子レンジで加熱しないことや「焦げ付きにくいフライパン」を使わないこと、できるだけ有機野菜を選ぶことなどか。フタル酸エステル対策としては、マニキュアをしないこと、香り付き製品を避けること、フタル酸エステルフリーと書かれていない消しゴムを使わないこと、市販のホースを使った水を安易に飲まないことなども有効だろう。

メディアは是々非々でなければならないはずなのに

メディアは、客観的に物事をみて、よいことはよい、悪いことは悪い、というものだと思っていた。もちろん、スポンサーに対しては一定の配慮というか忖度することもあるだろうが、それでもわざと誤った報道をするはずがない、と信じていた。

しかし、違ったようだ。

TBM訴訟について、こんな記事があった↓

https://sustainablejapan.jp/2022/10/03/tbm-alterna/77757

明らかにおかしな記事で、検査機関であるCERIが「容器包装リサイクル法上では、オルタナが実施した方式とは異なる熱重量測定方法を⽤いるのが⼀般的」だと表明し、まるでCERIが他の方法でも検査したら石灰石成分が最大であったかのような、あり得ない記載がなされている。

Sustainable Japanはまともなメディアだと思って、時々読んでいただけに・・・残念。

一体こことTBMは、どういう関係があるのだろうかと思い、ググってみたところ、Sustainable Japanの夫馬氏はTBMのファンとのこと。

https://fan.tb-m.com/fanvoice/79/

いくらファンでも、この記事はあり得ない。

裁判所、TBMの訴え認めず

オルタナのライメックス記事をめぐる裁判は、オルタナの全面勝訴だったようだ。

当然の結果だろう。プラスチックに重量で半分ほど石灰石を混ぜたからプラスチック製ではない、だから容器包装リサイクル法の再商品化費用を払わなくてよい、などというのは、全くおかしい。

検査方法によってプラスチックが最大成分になったり、石灰石が最大成分になったりするような製品が「プラスチックの代替品だから容リ法上のプラスチックには当たらない」といわれても腑に落ちない。

そもそも、そういう解釈が成り立つような容器包装リサイクル法の仕組み自体ヘンだ。こんな解釈がまかり通るならば、例えばPSトレーにタルクなどを少し多めに混ぜて、「プラスチックに重い石をまぜたから、もはやプラ製容器包装ではありません」ということもできる。

さらに、その分プラスチックを減らしたからエコです、ということも可能だ。

裁判では、訴訟内容の対象外だったため製品の正当性までは問題にされなかったようだが、この手の製品が増えると、再商品化費用を真面目に払っている企業が気の毒に思える。

消費者は、再商品化費用を払っているかいないかなどわかるはずもないから、プラスチック製だと思って、回収に出してしまう。そうすると、その処理費用は真面目に再商品化費用を支払っているメーカーの負担になる。

この手の製品が増えると、容リ法の存続すら危ぶまれる。

プラスチックを使用している製品は、充填剤も含めた総重量で、プラスチック製容器包装としての再商品化費用を負担すべきだ。

<参考>

オルタナ↓

シンガポール、デポジット制度導入か

シンガポールの環境庁が、飲料容器にデポジット制度を導入することについて、パブリックコメントを募集している。

デポジットの金額は 10 から 20 シンガポール セント (7 から 14 セント) で、対象はアルミ缶とペットボトルだそうだ。紙パックやガラス瓶は、あとで対象にするかを検討するとのこと。

回収方法は、基本的に自動回収機を使うが、大規模なスーパーでは店頭での返金も求められている。

<参考>

recycling today(2022.9.22)

https://www.recyclingtoday.com/article/singapore-beverage-deposit-return-recycling-aluminum-plastic/