環境大臣が替わって・・

環境大臣が替わった。新大臣は、山口壯(やまぐちつよし)という人らしい。元外交官とのこと。

環境大臣の交代により、レジ袋有料化をやめて元に戻せ、いう意見もあるようだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c47222132fa67ed323054d1412600dfc01e09900

しかし、そんなことはあり得ない。レジ袋有料化は、小泉氏が決めたことではなく、3年前の原田元環境大臣の時に決まったはずだ。

開始時期は、せめてオリンピック前に、ということで昨年になったが、有料化は2019年5月に策定されたプラスチック資源循環戦略の中でも明確にされ、「小泉環境相」就任の時には、とっくに既定路線になっていた。

しかもこの有料化、有料化とはいえ、1円以上であればいくらでもよい、などという他の国と比べてもかなり甘いレジ袋規制だ。しかも周回遅れ・・、しかも例外規定だけは豊富・・。これでまた無料に戻すなどということを、いくらなんでも海外情勢を知っている元外交官がやるはずはない。

山口新環境相はこれから何をやってくれるのだろう?

原発は現在日本のエネルギーの6%も占めていないのに、危険は無限大。早く止めてくれるとうれしい。もちろん、石炭火力も早急に止めてほしいし、パーム油発電や外材を利用した大規模バイオマス発電も問題外だ。もちろん、森の除染目的で伐採された放射能付き木材を燃やすこともやめてほしい。

また、拡大生産者責任(EPR)を先進国なみに強化してくれないかなと、それも期待したい。

岸田政権化では難しいだろうか?経済界に忖度しない環境大臣が、日本には必要だ。

低い日本の環境意識、マイボトル持参率も12ヶ国中ビリ

電通と電通総研が2021年7月、12カ国を対象に「サステナブル・ライフスタイル意識調査2021」を共同実施した。

12ヶ国とは、日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、中国、フィリピン、タイ、インド、ベトナム、シンガポール、インドネシア、マレーシアだ。

日本の環境意識が他国より低いことに驚いた。まず、マイボトル持参率がビリ。おそらく給水器などのインフラ整備が貧弱なのに、コンビニや自動販売機ばかりが多いせいだろう。

また、レストランで残った食べ物も持ち帰ることもビリ。食品ロスが多いわけだ。衛生を理由に持ち帰りを断る店もまだあるようなので、外食の時は、マイ容器を持参するのがよさそう。

さらに、衣料品やおもちゃを店頭の回収ボックスに持っていくのもビリだ。これは回収している店舗の少なさが理由だろう。

さらに、不要品や本を中古買い取りしてもらうのもビリ・・。リサイクルショップが多いのに、なぜだろうか?ヤフオクで売る人も多いはずだが・・。思った値段では売れないことが原因か。確かに衣類をリサイクルショップへ持って行っても、本をブックオフへ持って行っても、買い取ってはくれるが、ダンボールを数箱積み上げても、やっと数百円・・。これでは持って行く交通費も出ないが、リサイクルショップにしてみたら、買う人が少なければ、高価買い取りなどできなくて当然だ。

驚いたのが、フィリピンのエコバッグ使用者が、12ヶ国中トップだったこと。

フィリピンは自国から流れ出すプラスチックごみもそこそこ多いが、地理的に他国から流れ着くものも多い。

そのため、お腹に大量のプラごみを詰まらせたクジラが漂着したり、有名な観光地だったボラカイ島が環境汚染のために閉鎖されたりした。ボラカイ島の美しい砂浜は、世界一とまでうたわれていた。そのせいで、海洋プラスチック汚染問題への関心が高いのだろうか。

しかし、フィリピンで関心が持たれている社会課題は、1位貧困・飢餓、2位公衆衛生、3位医療制度・設備。海洋プラスチックごみはランク外だ。

ちなみに、日本での関心事の1位は自然災害、2位が少子化、3位が大気汚染。

海洋プラスチック汚染が関心のトップである国は、ドイツとイギリスだ。

トップではないが、日本が上位にランクしている項目は、エコバッグ使用と詰め替え商品を買うことだ。エコバッグはともかく、シャンプーなどの詰め替えパウチが本当にエコなのか、悩ましいところ。容リ法で回収されたプラ製容器包装がプラスチック再生工場へ行ったとしても、複合素材である詰め替えパウチまでマテリアルリサイクルしている工場は、おそらくないはずだ。

<意識調査の出典>

Marke Zine(2021.9.9)「約10年で「サステナビリティ」へのイメージ具体化/「2030年」から不安を連想する日本【電通調査】」↓

https://markezine.jp/article/detail/37254

「アップサイクル」がウソっぽく聞こえる

「アップサイクル」という言葉を頻繁に聞くようになった。しかし、たいていのアップサイクルはウソっぽい。特にプラスチック製品の場合、メーカーの面の皮の厚さが際立つケースが多い。中には、「ごみでごみを作っているのか」と思うケースもある。

プラスチックをリサイクル(マテリアルリサイクルやメカニカルリサイクル)して、質が落ちないわけがない。

いくらデザインや用途を工夫しても「アップサイクル」というのはやはり図々しい。

もちろん、リサイクルを否定する気はない。日本の容器包装リサイクル法でやっている「リサイクル」は安易すぎて問題があるが、サーキュラーエコノミー(循環経済)でもリサイクルは最後の砦だ。シェアやリペア(修理)、リユースをできるだけ繰り返しても、終わりは必ず来る。そのときこそ、リサイクル(高度なリサイクル)の出番だろう。

そう考えると、「プラスチック」という作った時点から劣化が始まるような素材のサーキュラーエコノミーは可能だろうか?という疑問がわいてくる。

現時点では、プラスチックのような便利なものが世の中からなくなれば、パニックになる。しかし、やはり他の素材にどんどん置き換えていかないと、空気も水も海もマイクロプラスチック汚染が進む。

アップサイクルより、プラスチックを全く使わない製品開発を急いでほしい。

マイクロプラスチック、学生の便からも新生児や乳児の便からも検出

数年前、日本を含む8ヶ国に暮らす人の便からマイクロプラスチックが検出されたことが話題になった。

まだ実験的な研究だったため、その後続報を待ったが、すぐにはなかった。しかし、ここしばらくの間に報告が相次いでいる。

男子学生の便からマイクロプラスチック プラ容器入り飲料利用者はマイクロプラが多い可能性

今年発行されたSceience Directによると、北京に住む男子学生24人中23人の便からマイクロプラスチックが見つかった。

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0048969720378761

ポリプロピレンが最も多かったとのこと。20マイクロメートル以上のマイクロプラスチックを対象に調べたようなので、数は多くなく、1グラムあたり1個から36個だった(サイズは20から800マイクロメートル)。

男子学生たちは3日間の水分と食物摂取を記録されていたため、ある程度の因果関係もわかったようだ。プラスチック包装に包まれた水や飲料の摂取量と便の中のマイクロプラスチックの量の間には中程度の相関関係があったそうだ。やはりペットボトルなどプラスチック容器入りの水分を摂取している人ほど、マイクロプラスチック摂取量は多そうだ。内側をプラスチックでラミネートされた紙コップでコーヒーなどを飲んでいる人も、マイクロプラスチックを多く摂取しているものと思われる。

乳児は大人より多くのマイクロプラスチックにさらされている

また、最近では新生児と乳児の便も調べられている。

米ニューヨーク大学医学部の研究者らが、1歳の乳児と成人の便の中のマイクロプラスチック(PETおよびポリカーボネート)を調べたところ、乳児の便から成人の10倍もの数のマイクロプラスチック(PET樹脂)を検出したということだ。同様にポリカーボネートも調べられたが、この樹脂については赤ちゃんも成人も似たようなレベルだったそうだ。

多いことが予想されるポリプロピレンなどの樹脂は、紙おむつに使われる樹脂と紛らわしいため、この検査から除外された。

https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.estlett.1c00559

胎便からもマイクロプラスチック 

また、同じ研究で新生児の胎便も調べている。少なかったそうだが、マイクロプラスチックが検出された。以前、イタリアでの研究で、胎盤からのマイクロプラスチック検出報告があったので、母胎から胎児へのマイクロプラスチックの移動は予想されていた。

ラットでは母体から胎児へプラスチックが移動することが、実験により証明されていた。しかし、人間の場合「胎盤で阻止できているかも」という甘い期待もあったが、やはりラットと同様、胎盤では阻止仕切れないマイクロプラスチックが胎児へ移動していたのだ。

ヤフーニュース「マイクロプラスティックは、乳児の体内にも蓄積されている」↓

https://news.yahoo.co.jp/articles/e62a232cf03a8dc2bbbd7d46a3ed328da14600d7

大気汚染エリアはコロナ死亡率が高い マイクロプラが多いエリアも?

子ども向けの食器やオモチャはプラスチック製が多い上、ベビーケア製品にまで意図的にマイクロプラスチックを添加したものがある。しかも、子どもは低いところで生活するため床のほこりなどを大人より多く吸い込む。それらのことを考えると、大人より多く摂取しているのは当然だろう。

子どもの将来的な影響が心配だが、目先の心配としては新型コロナがある。大気汚染地域では、新型コロナの重症化リスクが高いという報告があった。米ハーバード大学の研究で、PM2.5の高濃度エリアでは新型コロナによる死亡率が高かったのだ。

つまり、マイクロプラスチックが大気中に蔓延しているエリアでは、子どもも大人もコロナ感染症を甘くみてはいけないということだ。

早急にプラスチックを減らす必要があるが、岸田新総裁は何か対策を考えてくれるだろうか?

京都市でもプラごみ増加

ごみ減量に意欲的に取り組んでいる京都市でも、家庭から出されるプラスチックごみが増えている。

昨年のプラスチック製容器包装が前年比で5.2%の増加、「缶・びん・ペットボトル」が同6.4%の増加だ。新型コロナ感染症流行によるものと思われるが、なぜ自宅にいる機会が増えたのに、缶・びん・ペットボトルの消費量が増えるのかよくわからない。来年には落ち着いて、また減少するだろうか?

京都市のごみ量の推移↓

https://www.city.kyoto.lg.jp/kankyo/cmsfiles/contents/0000158/158436/R2_gomiryosuii.pdf

マイクロプラスチックよりもウィルスの方が怖い、ということで、昨年からなんでもかんでもプラスチックで包装されている。そのため、全国の自治体で、プラスチックごみ量が増加している。

しかし、マイクロプラスチックを高濃度に吸い込むと、新型コロナは重症化しやすい可能性がある。アメリカのハーバード大学の研究で、PM2.5の濃度の高い地域では、コロナで死亡する人が多いことがわかったのだ。

また、「乳児の体内にもマイクロプラスチックが蓄積されている」という報道もあるが、これほどプラスチックに囲まれた生活を送っていると、人間が体内に取り込むマイクロプラスチック量も最近は増えているだろう。

長期的な健康のためには、新型コロナ対策はプラスチックに頼るべきではないことは確かだ。もちろん、消毒液の噴霧はもっとアブナイ。ではどうするのがよいか、悩ましい。

渋谷区の共同生ごみコンポスト「コムハム」

渋谷区の学校で、生ごみを水と二酸化炭素に処理する「コムハム」という微生物技術を使ったコンポストを設置したところ、4月~7月の間に約300キロの生ごみを校内で処理できたそうだ。

「コムハム」は食べ残しや生ごみを約1日~3日で98%二酸化炭素と水に気化するという高速処理で、堆肥を作らないそうだ。堆肥がほしい人は、作る事もできるという。

普通のコンポストは、生ごみが消えるまでもっと何日もかかるので、もしカボチャの種やアボガドの皮なども早く消えるとしたら、かなりすごい。

虫はわかないのだろうか?

我が家の生ごみ処理器(キエーロ)は手入れが悪い上、なんでもかんでも入れていたため、虫がわいてしまった。今は、コーヒーかすのような分解しやすいものだけは入れるが、難しそうなものはしばらく入れていない。

先日、虫を寄せ付けないようにするため、土の上に薄めた酢をまいてみた。効果はまだよくわからないが、そろそろ野菜くずの投入も再開しようかと思っている。

<参考>

恵比寿新聞(2021.9.14)「渋谷区で生ごみを処理するシェアリングコンポストを街中に設置し街の人が運用する実証事業がスタート。対象は恵比寿ブロック(氷川地区)!」↓

大阪、容器持参できる店MAPを開設

大阪府が面白い取り組みをしている。

食料品や飲み物、洗剤等の日用品をマイ容器やマイボトル持参で購入できる店の検索サイト「Osakaほかさんマップ」を開設するそうだ。

府内の店が約500軒も掲載されているらしい。

公開は10月1日から。下記↓

http://www.osaka-hokasan.jp

詳細は↓

https://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=42380

グリーンピースの「グッバイ・ウェイスト」とはまだ連携していないようだが、各地でこの手のマップが増えれば、一本化した方が便利そうだ。

グッバイ・ウェイスト↓

https://goodbyewaste.jp

容器持参は、プラスチックごみの減量に直結するので、全国に広がってほしい。

「東京都資源循環・廃棄物処理計画」策定

東京都が「東京都資源循環・廃棄物処理計画」を策定した。

特に斬新な計画などは見当たらないが、目新しいものとしては「感染症対策の徹底等による事業継続性の確保、システムとしてのレジリエンス強化」がある。具体的には、保健所の拡充などだろうか。コロナウイルス感染症や次の感染症に対応するシステムを強化することは喫緊の課題だ。

廃棄物の削減目標なども設定されているが、リデュースよりリサイクル重視の姿勢が垣間見える。

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/09/24/documents/11_01.pdf

【資源ロスの削減】
1一般廃棄物排出量: 2025年度 440万トン 2030年度 410万トン
2プラスチック焼却削減量:2030年度 40%(2017年度比)
3食品ロス削減量 :2030年度 38万トン
【循環的利用の推進と最終処分量の削減】
4一般廃棄物再生利用率:2025年度 31% 2030年度 37%             5最終処分量:2025年度 82万トン 2030年度 77万トン

<出典>

東京都(2021.9.24)「新たな「東京都資源循環・廃棄物処理計画」の策定について」↓

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/09/24/11.html

テイクアウトでリユースできる「サークルカップ」

多くのカフェで、使い捨てカップをプラスチック製から紙製に変えたが、それでも使い捨ては使い捨てだ。また、使用後のカップをリサイクルするケースもあるようだが、それでもやはりリユースカップのほうが環境負荷は低い。

「CIRCLE CUP」というリユースカップが、都内4店舗で使われている。今後はもっと増えそうだ。

このカップは、合同会社ブルドーザーというところが提供し、竹を主原料にしているとのこと。

デポジット額は300円と少し高めに設定されている。100円程度では捨てられてしまい、戻らない可能性があるからだ。確かに!

店頭で300円+ドリンク代を払い、8日以内にカップを戻せば300円返金される。

採用する店がもっと増えてほしいと思う。

<参考>

「テイクアウトでもカップは“使い捨てない”時代に…廃材から生まれた「CIRCLE CUP」のメリットを聞いた」(2021.9.20)↓

https://news.yahoo.co.jp/articles/3a2f69c77660b27d151b8f2afe096f4634ae51f1?page=1

CIRCLE CUPウェブサイト↓

https://www.circle-cup.com/product/

映画『MINAMATA』から「香害」を考える

映画『MINAMATA』が話題だ。水俣病に注目が集まるのはうれしいが、これを機に他の公害病も思い出してほしい。水俣病、第2水俣病(新潟水俣病)、イタイイタイ病、四日市ぜんそく・・いずれも悲惨で、解決まで長い年月がかかった。まだ認定されない被害者も多いと聞く。カネミ油症事件も、公害と同じようなものだ。孫の代まで被害は続いている。

イタイイタイ病は今年、1971年の勝訴から50年ということで、地元紙(例えば、北日本新聞2021.9.26)では大きく取り上げられているが、毎日新聞を除く全国紙ではあまり取り上げられていないようだ。

1971年といえば、環境庁ができた年。この年を境に、公害は解決に向け、大きく前進したように見える。

環境庁はその後、環境省となり、仕事内容は公害についてよりも、他のことの方がはるかに多くなった。廃棄物事業も厚生省から環境省に移った。それはよいが、環境を守ることと、健康を守ることは「ベツモノ」になったようで、環境省は公害で苦しんでいる人を見ても、もはや他人事のように見えるのではないか。

「香害」は合成香料による大気汚染公害だが、環境省はいまだに真剣に香害対策取り組んでいるようには見えない。環境庁はもともと、公害対策のために生まれた省庁なのだから、もっと真剣に香り付き製品(柔軟剤など)の規制に向けて動くべきだ。

少なくとも、マイクロカプセルを使用した日用品は早急に禁止すべきだろう。