環境省の自治体廃プラ焼却要請の真実とG20に向けた海プラ対策ニュース(まとめ)

最近、いくつもの海ごみ関連ニュースが飛び交っているので、とりあえずひとまとめにした。

1.環境省が自治体に廃プラ焼却要請をした理由について(G20と直接関係ないが、最も衝撃的なニュースだったため加える)

焼却要請の理由は、産廃事業者の団体から自民党の議員らが頼まれたからということのようだ。要するに、不法投棄防止などは後付けの言い訳で、産廃業者とそこにゴミを委託する企業の儲けのために、自治体の焼却炉を利用するということ。バカバカしくて話にならない。

もし、手を挙げる自治体があれば、当該自治体在住者はもちろんのこと、市外在住者も「空気と水はつながっている」と廃プラ焼却受入れに反対すべきだろう。
https://www.toseishimpo.co.jp/modules/news_detail/index.php?id=6817

https://blog.goo.ne.jp/wa8823/e/3db60d7f20fbefa3434345286ca8208b

2.プラスチック資源循環戦略がようやく策定

(案)が取れ、少し長くなったが、内容はほとんど変わっていないようだ(しっかりまだ見ていないが・・)。
http://www.env.go.jp/press/106866.html

3.海洋プラスチックごみ対策アクションプランが策定

肥料のカプセル(被覆肥料)については記載されたが、日本消費者連盟など香害関連団体が禁止を要請したマイクロカプセルについては触れられていない(ここでいうマイクロカプセルとは、柔軟剤や合成洗剤等に香り成分等を包む目的で入れられている微小カプセル。これにより成分が少しずつ環境中に放出され、長時間匂いなどが持続する)。メーカーのドル箱には触れないということだろうか?また、ペットボトルについては、事業者の自販機横の回収箱設置を支援するなど、どうでもよいことばかり記載されているが、削減に向けた具体的な方策については触れられていない。そもそも環境省が事業者の回収箱設置を支援するというのもおかしい。これではまるで環境省は事業者の下請け機関だ。

「アクションプラン」というからには、このような教科書的(国会答弁的?)なことではなく、もっと具体的な内容が記載されるのではないかと期待していた。残念だ。

http://www.env.go.jp/press/106865.html

4.海岸漂着物対策法の基本的な方針の変更について

昨年6月の同法の改正に伴い、基本方針も修正された。
http://www.env.go.jp/press/106864.html

以上、最近の海プラ関連ニュースをまとめてみた。

5.少し前に、経産省から海洋生分解性プラスチックのロードマップも発表されている。

経済産業省「海洋生分解性プラスチック開発・導入普及ロードマップを策定しました」

https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190507002/20190507002.html

これでG20のために日本が慌ただしく用意した海ごみ対策の目玉は、ほぼ出そろったように見えるが、他の省庁のアクションプランはどうなったのだろうか。

<関連記事>

環境省、産廃の廃プラを自治体に焼却要請

海洋プラごみアクションプランと生分解性プラのロードマップ

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マイクロプラが人体に与える影響等を調査、東大・日本財団

東京大学が日本財団から約3.5億円(3年間)の助成を受け、海洋プラスチックごみ対策について研究する。

「科学的に確かな基盤を提供するため、海洋中のプラスチックの挙動や生体影響、さらには講じられる対策の社会科学的意義等に関する研究を展開」するとのこと。

生体への影響についての研究は、特に1ミリ以下のマイクロプラスチックが体内でどのように影響するのか等が研究されるようで、結果が待ち遠しい。

以下、ソーシャルイノベーションニュースより転載↓

中でも、柱の1つとなっているのが、「東京大学のご理解を頂きまして、今話題になっているマイクロプラスチックの問題について研究をして頂く」と、日本財団の笹川陽平会長が語ったように、マイクロプラスチックの調査。例えば、科学的なデータが少ないという1mm以下の海洋マイクロプラスチックの実態や、培養腸管モデルといったバイオ細胞などを用いて、マイクロプラスチックが人体にどんな影響を与えるかなどを調査するという。

そして、2021年に、こういった研究・対策の成果から海洋ごみについて新たな科学的知見を発表できることを目指している。そんなこのプロジェクトの総事業費は、なんと3億5000万円を超える。

<出所>

東京大学(2019.5.14)「東京大学・日本財団 海洋ごみ対策プロジェクトについて」

https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/press/z0801_00015.html

ソーシャルイノベーションニュース(2019.5.15)「東京大学と日本財団が連携 海洋ごみ対策について科学的に挑む一大プロジェクト」

東京大学と日本財団が連携 海洋ごみ対策について科学的に挑む一大プロジェクト

 

ガラパゴスの生物もプラスチックを摂食、紙オムツで巣作りも

ガラパゴス諸島にもプラスチックごみが漂着し、それを生物が食べているそうだ。

紙オムツやレジ袋で巣作りをする海鳥もいるとのこと。

紙オムツは高分子ポリマーの塊。巣作りの素材として、使い勝手はよいのかもしれないが、危険性はないのだろうか。ヒナが誤って口に入れることもありうる。

ガラパゴス諸島の生物の将来がとても気になる。

以下、AFP通信↓

公園管理当局では、ごみの影響を受けた動物に関する記録簿を作成している。これまでに、使用済み紙おむつやレジ袋を使って巣作りをする海鳥のコバネウや、ごみの山に埋もれた状態で見つかったカツオドリの死骸などが記録されている。

<出所>

AFP通信(2019.3.27)「ガラパゴス諸島固有の動物相、プラスチック微粒子が脅威に」

https://www.afpbb.com/articles/-/3217879

韓国の川で奇形魚が急増、原因は合成香料か?

韓国の川で奇形魚が急増し、原因としてムスクケトンが疑われているようだ。
ムスクケトンはジャコウの香りをもつ合成ムスクの一種。

日本では既に禁止されているようだが、簡単に買えるようなので注意したい。

やはり合成香料は怖い。

日本の魚は大丈夫だろうか?

<出所>
livedoor NEWS(2019.4.10)「韓国の漢江河口に奇形魚が急増 日本などで禁止された物質が影響か」
http://news.livedoor.com/article/detail/16295167/

香害110番、DVD完成

日本消費者連盟が制作した『香害110番』をみた。
香害から子どもたちを守るため、頑張っている市会議員や学校の先生もいらっしゃることがわかり、うれしい。

柔軟剤などに含まれている香り成分が、香害の元凶の1つになっている。
その香り成分を包んでいるマイクロカプセルが、イソシアネート類で作られているケースも多く、その化学物質も香り成分とともに被害を拡大させている可能性もあるようだ。
マイクロカプセルもプラスチックということで、プラスチック削減の見地から、香り成分の入ったマイクロカプセルを添加した柔軟剤や洗剤を販売中止にできないものかと思う。
誰もが香害の当事者にも加害者にもなりうることが、怖ろしい。

以下、転載

DVD「香害110番」完成しました。ミニ学習会にご活用ください

 日本消費者連盟は2017年に香りの害で苦しむ人を対象にした電話相談「香害110 番」を実施。香りの害に苦しむ患者の会や環境問題などの市民団体とともに“香害をなくす“運動を始めました。
 このたび運動を広めるために、被害者の苦しみを訴え、原因と解決の道を探るDVD「香害110番」を制作しました。映画は、被害者からの被害の実態、医師や科学者ら専門家の意見、逃げ腰の政府機関、無視を決め込む企業、各地で動き出した市民の運動とそれを受け止めて対策に乗り出した地方自治体や議会の活動を紹介しています。ぜひ、消費者グループなどのミニ学習会にご活用ください。

 DVD「香害110番」 カラー/28分 
 定価:上映権付き1,500円(日消連会員価格1,400円)(送料別)
 ◎このDVDの売上金は香害をなくすための運動資金にあてさせていただきます。

 ※ご注文は日本消費者連盟へ
  電話:03-5155-4765/FAX:03-5155-4767
  メール:office.j@nishoren.org

 ■詳しくはこちら⇒ http://nishoren.net/event-information/11091

カリフォルニア州立大学、水ペットボトルなど使い捨てプラスチックを廃止 2023年までに

カリフォルニア州立大学の23のキャンパスで、ストローや水入りプラスチックボトル、レジ袋など、すべての使い捨てプラスチックの使用と販売を廃止するとのこと。
代わりに再利用できるものや堆肥化可能なもの、またはリサイクル可能な製品を優先的に使用する。
2019年からプラスチック製ストローとレジ袋は廃止、2021年1月までに発泡スチロール製の食品容器を廃止。さらに2023年1月までに使い捨ての水入りペットボトルの販売と配布を中止する予定。
これらの方針は、カリフォルニア州の法律にあわせたものだとのこと。

カリフォルニア州といえば、アメリカで最も環境意識の高い州だ。
レジ袋を規制している自治体数が、全米で一番多い(JETRO資料によると、カリフォルニア州が140自治体でトップ、2番目はマサチューセッツ州が69自治体)。
昨年9月にはレストランでのプラスチック製ストローの提供を禁止する法案が成立した(2019年1月施行)。
ビスフェノールAなどの環境ホルモンにも厳しく、容器やフタから溶出するものは製品に警告ラベル「この製品により、先天性欠損症やその他の生殖障害を引き起こすことが知られる化学物質にあなたがさらされる可能性があります」などの表示をすることが義務付けられている。
規制のゆるい日本で暮らすには、どの製品に何が含まれているかを自分で調べ、自衛する必要がある。
しかし、カリフォルニア州のような州では、買い物時に表示などに気をつけるだけでよく、心穏やかに暮らせそうだ。

<カリフォルニア州立大学についての出所>
news wise(2019.2.7) CSU Says Goodbye to Single-Use Plastics;
https://www.newswise.com/articles/csu-says-goodbye-to-single-use-plastics?fbclid=IwAR3S1Xbu7mk4-sqFJsqhLi5EkD2b–4MfbAamEW4WElVVh40KnXTPULKsUg

猛暑のオーストラリア、魚が大量死

今年に入ってから、オーストラリアが猛暑で、ついに49.5度Cが記録されたとのこと。

オーストラリアで年越しで異例の猛暑が連続するのは、豪州大陸の上空を広範囲に覆う高気圧の影響と、太平洋上で発生するエルニーニョ現象により、熱帯海域の海面水温が高温化していることも重なっている。この複合影響で、南オーストラリア州やビクトリア州などを中心に異常高温が続いている。

また、48度cを記録したニューサウスウェールズ州の川では、魚の大量死が相次ぐ。
ついに、水面が魚の死骸で覆い尽くされ、白一色に染まる事態に。今後、数日か数週間にわたり、さらなる大量死の発生リスクがあるそうだ。
原因として、「連邦政府は深刻な干ばつであるとの見方を示す一方、専門家や地元住民らは川全体の水量低下と汚染が原因だと指摘している」とのこと。

<出所>
AFP(2019.1.29)「「数十万匹」規模の魚の大量死、死骸で水面が白一色に 豪」
http://www.afpbb.com/articles/-/3208667

(一社)環境金融研究機構(2019.1.24)「猛暑のオーストラリア、最高気温が50℃直前に。南オーストラリア州で49.5℃を記録。州政府は緊急発電所を設置以来、初稼動へ。川では酸欠で魚が大量死、カンガルーもダウン(RIEF)」
http://rief-jp.org/ct8/86492

ネオニコ系農薬の空中散布を続ける松本市

海外ではネオニコ系農薬の規制が強まっている。
しかし、日本は規制を強めるどころか、むしろ緩くした。
挙げ句に、松本市のように、空中散布する自治体まででる始末。
まるで、日本人が体をはって、ネオニコ系農薬の人体実験に協力しているかのよう。
農薬として使用されても怖いのに、頭の上からバラまかれてはたまらない。当然、空中散布に反対する松本市の住民たちが危険性を訴え、市に中止を申し入れた。
しかし、市長は聞く耳をもたなかったようで、昨年8月、ついに住民団体は、松本市長に公金支出差止等を求める裁判を起こした。
ということで、先日参加した化学物質学習会で、その訴状を拝見した。

松本市は全面的に争う姿勢とのこと。
市長は、チェルノブイリの原発事故で有名になった医師。甲状腺癌については専門家でも、化学物質のことはおそらく素人。
にも関わらず、専門家のように安全性を強弁し、ネオニコ系農薬をばらまいているようだ。
しかし空中散布では、松枯れを防止できないことは既にわかっているはず。
メリットよりも、子どもたちの健康被害のほうがはるかに大きいだろう。

観光するならば、松本よりも、トキのためにネオニコ系農薬を使わない米作りを推進している佐渡へ行く方が安全そうだ。

<参考>
IN YOU JOURNAL(2018.11.22)「あなたはどう思いますか?世界と逆行して次々進む日本のネオニコチノイド農薬規制緩和。」
https://macrobiotic-daisuki.jp/neo-nico-157377.html

「JA佐渡米はネオニコチノイド系農薬不使用で日本一安心安全美味しい理由」
https://itouyaryokan.com/blog/3658.html

「無香料方針」コロンや香水、ヘアスプレー、制汗剤はご遠慮を

日本では、柔軟剤などの香料入りグッズが流行っているが、カナダでは「無香料方針」が普及しているらしい。

きっかけは、ノバスコシア州ハリファックスの病院の看護師が、患者とスタッフの健康のため、院内を無香料にしたことだそうだ。
ノバスコシア州といえば、ゼロ・ウェイスト宣言で知られる州。ハリファックスはその州都で、その昔、ハリファックスのごみ問題を解決するため住民たちが話し合い、ゼロ・ウェイストを決め、市と州はそれをもとにいろいろ決めた。
その1つが「ハーフバック・デポジット制度」というデポジット制度で、リユースびんには10セントのデポジット(保証金)をつけ販売し、びんを返すと10セント戻ってくるが、ペットボトルや缶などのワンウェイ容器は10セントのデポジットを払っても5セントしか戻らず、残りの5セントはごみを減らすために使われる。
おかげで現在ノバスコシア州の埋立ごみ量は、カナダの平均的な量の半分ほどしかない。
そんなノバスコシア州だからこそ、「無香料方針」に先鞭をつけられたのだと思われる。
ノバスコシア交響楽団のサイトには「コロンや香水・ヘアスプレー、制汗剤は、家に置いてきてください」と書かれている。

日本もノバスコシア州くらい住民の健康を考えてくれればよいけれど、日本で香料規制は当分されそうにない。

Since several of our patrons have severe scent allergies, we ask that you please leave the cologne, perfume, hairspray, and deodorant at home!

<ノバスコシア交響楽団>

What about perfume and cologne?

プチ「脱プラ」宣言④テフロン加工のフライパンを使わない

これまでも健康の見地から、テフロン加工(フッ素樹脂加工)のフライパンを使わず、鉄製フライパンを愛用していた。

しかし、わけあって、3年前にテフロン加工のフライパンを購入してしまった。

以来、年に1〜2回だけ、来客などでどうしても料理を焦げ付かせたくない時はこっそり使っていた。「この剥がれ落ちたフッ素樹脂、マイクロプラスチックだよねぇ。お魚さんにも有害かもね?でもテレビの料理番組でもみんな使っているし、、、やっぱり調理には必要よ」と思いながら・・・。

今年はフッ素樹脂を卒業し、鉄製フライパンだけで乗り切ろう、と思っている。成功したら、この年末、思い切ってこの便利で魅力的だけれどキケンなフライパンを処分しよう。卒・テフロン加工!

参考までに、『家庭にひそむ有害化学物質』カレン・アシュトン/エリザベス・ソルター・グリーン著(時事通信社0の第3章「身近な有害化学物質 とくに注意すべき10の物質」の中に掲載されている「有機フッ素化合物 便利だけれど、疑わしい」に対策として書かれていることを以下に転載する。

◆台所用品には、プロの料理人が使うようなステンレス製のほか、鋳鉄、セラミックチタン、ほうろう引きの製品を選ぶこと。

◆フッ素樹脂加工の調理器具を使う場合は、なるべく低めに温度にすること。さらに、台所の換気を十分に行い、用心のために小鳥や赤ちゃん、子どもを近寄らせないこと。

◆子どもが着る学校の制服にフッ素樹脂のような化学物質が使われていないかどうかを、製品ラベルを点検して確認すること、そして、可能な限り天然素材の代替品を選ぶこと。学校の規則で特定の業者から購入するように指定されている場合には、学校側に苦情を言うこと。

◆「ノー・アイロン」や「しわにならない」タイプの衣服は避けること。

◆ファーストフードの包装容器を避けること。とりわけ中身が高脂肪食品の場合は要注意です(ファーストフードの大半がこれに該当しますが)。

◆新しい家具を買うときに、店で防汚加工のサービスを勧められても断ること。

<関連記事>

プチ「脱プラ」宣言① 紅茶のティーバッグをリーフに変える

プチ「脱プラ」宣言② 3社のプラ封筒を断る

プチ「脱プラ」宣言③ ガラス製タッパーウェアが持ち運び用としてデビュー