モスバーガー、使い捨てスプーンやフォークを紙に

モスフードサービスの直営店(250店舗)は、2020年までに、持ち帰り用のプラスチック製のスプーンやフォーク、マドラーを紙製に切り替えるとのこと。
ストローは、持ち帰り用は現状通りだが、店内では希望者にのみ提供するそうだ。
マクドナルドは、2025年までにプラスチック製ストローを廃止し、紙製に切り替えたり、包装紙をリサイクル可能なもの(?)にすると以前発表していたが、スプーンやフォークはどうするのだろう?

<出所>
朝日新聞(2019.2.21)「モスの持ち帰り、プラ食器を紙に 20年までに一部店舗」
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13902326.html

IT media ビジネスオンライン(2018.7.10)「マック、プラ製ストロー廃止へ 日本も検討、25年までに」
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1807/10/news119.html

来月開催の国連環境総会、日本はどうする?6月のG20も今の戦略案で乗り切るのか

来月(2019年3月11日〜15日)、ケニア・ナイロビで第4回国連環境総会(UNEA4)が開催される。
国連環境計画(UNEP)の専門家グループは、深刻化する海のプラスチック対策のため、法的拘束力のある国際条約の策定を検討するべきだとの勧告をまとめた。
以下、日経新聞(2019.2.18)↓

勧告は問題に取り組む上で「多くの専門家が法的拘束力のある協定が必要だとの見解を示した」と報告。国際協力を強化するための選択肢として、条約づくりを検討するよう求めた。
関係者によると、専門家グループの議論では、プラスチックごみの削減や代替品の普及を国際協調で進め、途上国支援を充実させるために国際条約をつくる必要性を強調する意見が多く出された。一方、条約策定には時間がかかり、実効性が不透明だとの慎重意見もあったという。
勧告はほかに、海のプラスチックごみやマイクロプラスチックの観測、人間の健康や環境への悪影響を検討する科学的な諮問組織づくりも検討するよう求めている。

これについて、日本がどう対応するのか、とても気になる。さらに気になるのが、先日公表された閣僚宣言案だ。
UNEA4での採択を目指す閣僚宣言案では、使い捨てのレジ袋や食器、ストローを2025年までに使用中止し、最終的には使い捨てプラスチック全廃戦略を策定することが求められている。
日本が今検討し、まもなく正式決定しようとしている案は、これよりも緩く、レジ袋は禁止ではなく有料化で、食器やストローについてはまだ具体的に決まっていない。
2030年までに使い捨てプラスチックを累計で25%削減する、などの日本のプラスチック戦略案では到底届かない宣言案を、このまま日本が採択できるのだろうか?
アメリカと一緒に、宣言案をより甘い案に修正(骨抜きに)させる可能性も考えられる。

日本の戦略案は、おそらく2月22日に開催される小委員会で決定されるだろう。
しかし、このような緩い戦略案が正式決定してしまうと、日本の戦略案は、来月の国連環境総会ではもちろんのこと、今年6月に大阪で開催されるG20でも、参加国の間でかなり浮きそうだ。

日本の海洋プラスチックごみ汚染問題対応への本気度が、まもなく国際社会の場で試される。

<関連記事>

国連、レジ袋やストロー、食器等の全廃を閣僚宣言案に盛り込む

<参考>
毎日新聞(2019.2.18)「プラスチック危機 プラごみ「防止条約」勧告 国連環境総会で議論へ」
https://mainichi.jp/articles/20190218/ddm/003/040/074000c

日経新聞(2019.2.18)「国連専門家「プラごみ対策、国際条約を」 慎重な先進国多く」
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO41391560Y9A210C1CR0000/

環境省「中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環戦略小委員会(第5回)の開催について」
https://www.env.go.jp/press/106456.html

紙製ストロー、リンガーハットは切り替え、タリーズはまだ

昨年、ストローについて「検討中」と答えていたタリーズコーヒ。
先日知人から、紙製に切り替えたという情報をもらったが、実はストローの包装紙に「紙」と書かれていたための勘違いで、実はまだプラスチック製だったとのこと(包装紙のみ紙製)。
タリーズコーヒーは、ポットサービスもあるし、マイボトルやマグカップを持参して使用すると、30円も割り引いてくれるので、好感度が高い。
ストローの必要性をまず来店者に確認した上で、必要だと答えた場合にのみ紙製などプラスチック製以外のストローを提供してほしい。

リンガーハットは全店(780店)で紙製に切り替えたようだ。

ちなみに、先日来店した有楽町のラ・メール・プラール。
使い捨てプラスチックに厳しい政策を打ち出しているフランスからの出店だから、当然ストローも既に代替品に切り替えたか、それとも提供を中止したか、どちらかだろうと思ったら、なんとプラスチック製ストローがフツーに出てきた。
帰り際、念のため「ストローはプラスチックのようでしたが、生分解性プラですか?」と聞いたところ、フツウのプラスチックとのことで、怪訝な顔をされた。
フランス国内の店では既に対処しているのかもしれないが、日本ではまだ切り替え予定も廃止予定もないようだ。

<リンガーハットについての出典>
朝日新聞デジタル(2019.1.10)「プラ製ストロー廃止、紙製に リンガーハット全780店」
https://www.asahi.com/articles/ASM1B42RKM1BULFA00Z.html

<関連記事>

プラ製ストロー、デニーズやKFC、大戸屋等廃止 ドトールやタリーズは検討中

ようやく省庁が脱使い捨てプラ、病院や学校は?

先ず「隗より始めよ」と、省庁や国立大学法人など国の関連209機関が、4月から使い捨てプラスチックを少し禁止したようだ。

・売店のレジ袋は、10%以上バイオマス原料入りを有料で配布する→→→禁止したらいいのに。

・弁当容器はそのまま使い捨てプラでもOK、代替品は困難との理由から→→→本当に困難だろうか?庁舎内で食べるならば、容器を返却することは可能なはず。工夫次第でどうにでもできるような気がするが・・。

・食堂での使い捨て食器やストローなどは禁止→→→これは当然。

・外部に委託する会議ではペットボトル入り飲料や使い捨てプラのコップなどを使用禁止とする→→→これはいいけれど、外部委託でない会議でも、当然使わないでね、と願う。

「環境省によると、この改定で年間に最大ペットボトル約8万5000本、レジ袋約100トンの削減効果を見込んでいる」(毎日新聞)とのこと。
まだまだ緩い気もするが、この程度ならば、地方自治体もすぐにできそう。他の組織もあとに続いて欲しい。

最近は病院も、使い捨て容器で食事を提供するところが増えている。人件費の問題らしいが、なんとも味気ない。
また、以前は病棟に給水器や給湯器が置いてあったものだが、今はペットボトルの自動販売機が取って代わった。
入院患者は喉が渇くと、ペットボトルを買うのだそうだ。
ペットボトルに直接口をつけて飲んだ場合、そのまま数時間放置すると雑菌が繁殖する。それをまた飲む患者の体力がもし弱っていたならば、患者の健康が心配だ。
ランニングコストのかかる給水器や給湯器よりも、カネになる自動販売機を置きたい、という病院側の懐事情だろうが、患者の健康と懐も心配してほしい。
大学も、給水器の数を減らし、自動販売機を設置するところが増えている。
大学側が学生に、缶やペットボトルの使い捨てを奨励しているのも同じで、それで環境授業などあったものではない。

さすが世界第2位の使い捨て国家。日本は、省庁を筆頭にタガが外れていた。これを機に元に戻ってほしい、と思う。

<参考>
朝日新聞(2019.2.8)「国209機関、脱プラ義務化 業者の選定条件に」
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13886035.html

毎日新聞(2019.2.8)「全省庁で使い捨てプラ禁止 食堂や売店 4月から」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190208-00000021-mai-env

日本経済新聞(2019.2.8)「食堂で「使い捨てプラ」禁止に 省庁など方針 政府決定 」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4105615008022019CR0000/

<関連記事>

日本も来年からようやく省庁での使い捨てプラを禁止か

アクリルたわしって 本当にエコ?

合成繊維の衣類の洗濯くずが、マイクロプラスチックとして海を汚染する、ということが指摘されるようになった。
マイクロプラスチックは、PCBsなどの化学物質を吸着し、それを魚介類などが食べてしまうことが知られている。魚介類が化学物質に汚染されるだけでなく、その魚介類を食べた人間にも影響が出る可能性があるという。
できるだけ天然素材の衣類を着ようと思うが、上着はなかなか難しい。せめて水回りで使うものや頻繁に洗濯するものくらいは天然素材で、と思う。
そういえば以前、アクリルタワシというものが流行ったけれど、さすがにもう流行は終わっただろう、と思い、ググってみたところ、なんとまだ講習会が結構開かれているようだ。
手芸店が開くのならばまだわかるが、行政がらみのものまで見つかった。
例えば、都内S区でも「エコたわし」と銘打ってやっている。
またN県でも、川の水質を守るためと称し、何年にもわたって講習会をしており、友人が抗議したところ下記の回答が来たとのこと。

アクリルタワシ作製講座について、ご意見をいただきました。
ご意見を頂いた件については、下記のとおり回答させて頂きますので、ご確認よろしくお願いします。

県で実施しているアクリルタワシ作製講座は、県民共有の財産である川の役割や重要性について認識をしていただき、Y川の汚れの主な原因である生活排水の汚れを減らすことを目的に洗剤の使用を抑制する取組として、身近にある毛糸で自ら作り実践できることから長年開催しています。
ご意見を頂いた、マイクロプラスチックの問題については、メディア等で報道されていることは、存じています。
環境省の方でも今年度から河川におけるマイクロプラスチックの調査を実施すると聞いており、その調査結果を注視してまいります。
今後とも、更なる水質改善に向けた県の取組に対するご理解とご協力を賜りますよう、お願いたします。

******************************
N県 県土マネジメント部 河川課

一度思い込んだことを覆すのは、並大抵なことではない。
しかし、最初はよいと思われたことでも後から悪い部分のほうが多かった、ということなどいくらでもある。
マイクロプラスチック問題について知っているならば、せめて税金を使ってマイクロプラスチックを垂れ流すのはやめるべきだろう。
マイクロプラスチックが「水質」に影響しないと考えているならば、その水質検査項目に「マイクロプラスチック濃度」が入っていないためで、水質検査の項目に問題があると考えるべきではないか。
アクリルたわしについては、西日本新聞でも取り上げている。
なかなか良い記事なので、ご参考まで↓

西日本新聞(2019.1.8)「「エコたわし」って本当にエコ? アクリル 微小プラに 専門家「衣類より発生量多い」」
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/sakamoto/article/477878/

環境省 海外向けに動画公開、環境相「プラごみ削減支援」

遅ればせながら、環境省が海外向けに海洋プラスチックごみ削減の取組を紹介する動画を見た。
https://www.env.go.jp/earth/youtube.html
2分の動画で外務省のYouTubeチャンネルで公開中。
リサイクルと技術開発に取り組み、フィリピンやベトナムでの活動も紹介している。
しかし、国内の発生抑制計画については、何も触れていない。

また別件で、国内向けの取組として、原田環境相は昨年末、国内に滞っているプラスチックごみをリサイクルするための設備投資を支援すると、発表した。
具体的には下記。

少ない水量でプラごみを洗浄、破砕したり、ペレット状に裁断したりする設備を民間が導入する場合、費用の2分の1を上限に補助する。同省は3年間で100社程度を見込む。最新設備はCO2の排出量が少なく、処分の低炭素化と資源循環を一体的に進める狙いがある。

バイオマスプラスチックの普及にも力を入れる、とのことで、来年度「低コスト化など技術革新に取り組む民間や研究機関への支援に乗り出す」そうだ。

取組内容についての善し悪しは別として、前の環境相のときに比べ、原田氏になってから、対策の動きが少し加速している気がする。
この調子で、使い捨てプラスチックの意欲的な削減にも取り組んでくれるとよいなぁと願っている。

<出所>
福島民友(2018.12.28)「プラごみ」削減支援を表明 原田環境相、代替素材の開発加速
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20181228-338107.php

大阪府と大阪市も「プラごみ」ゼロ宣言

亀岡市のプラごみゼロ宣言に続き、2019年1月28日、大阪府と大阪市もプラごみゼロ宣言を発表した。
「おおさかプラスチックごみゼロ宣言」は、レジ袋やストローなど使い捨てプラスチックの削減やリサイクルを推進し、プラごみの排出ゼロをめざすとのこと。
具体的なことはまだあまり決まっていないようだが、朝日新聞(2019.1.29)によると、

府と市は今後、庁舎や関連施設で、紙などの代替品で使い捨てプラスチックの使用量を減らし、ペットボトル回収などのリサイクルも徹底する方針。大阪湾でのプラごみの実態調査も進める。市町村や経済団体にも同様の宣言の実施を求めていくという。

とのこと。
これに合わせ、大阪府はウェブサイトに海ごみ対策のページを新設し、大阪湾の漂着ごみ状況などを紹介している。
それによると、大阪湾に漂着するペットボトルのほとんどは国内製で、ペットボトルやレジ袋など食品包装材は33%を占めている。
宣言したことは評価する。しかし、ペットボトルの回収には取り組んでも、ペットボトル削減には取り組むと発表していないのが残念。
また、亀岡市のような「レジ袋禁止」は打ち出さない様子。
これからに期待したい。

<参考および引用>
大阪府「おおさかプラスチックごみゼロ宣言」
http://www.pref.osaka.lg.jp/eneseisaku/kaiyoplastic/index.html

朝日新聞(2018.1.29)「大阪)府と大阪市「プラごみゼロ」宣言 大阪湾で調査も」
https://digital.asahi.com/articles/ASM1X54VZM1XPTIL00T.html

大阪府「海ごみ対策」
http://www.pref.osaka.lg.jp/kankyohozen/osaka-wan/umigomi.html

プチ「脱プラ」宣言⑦ 洗濯物ハンガー

「脱プラ宣言」がなかなか進まない。
レジ袋もペットボトルもラップもポリ袋も使わないし、台所用スポンジはセルロース製で、洗面所の掃除用は友人手作りのコットン製の布たわし・・
しかし、家の中はプラスチック製品でまだまだ溢れている。
買い物にいけば、どんなに気をつけてもプラスチック製の包装材がテンコ盛りに出る。避けるには、スーパーに「包装しないで」と頼むしかない。
タンスの中も、以前購入した合成繊維の衣類がまだたっぷりとつまっているが、買い換えを進めようにも、まだ着られるものを処分するのはやはり気が咎めるから、新旧交代が終わるのはまだしばらく先になりそうだ(しかも、上着類の脱プラはかなり難しい)。

それにしても、金属製のものはさすがに丈夫だ。もう20年以上も前に購入した洗濯ハンガーはまだ健在。
思えば、このときも「脱プラ」がマイブームで、プラスチック製に比べ少々値段が張ったが、思い切って購入した。
今でも売られているだろうが、壊れないので買い換える必要はない。その点、プラスチック製は壊れやすいから、時間さえかければ「脱プラ」を進められる。

 ▲オール金属製の洗濯ハンガー

<関連記事>

プチ「脱プラ」宣言⑥容器をなくしました

海洋プラスチックごみ問題解決のための国際組織が発足

海洋プラスチックごみ問題を解決するため、非営利団体としてAlliance to End Plastic Waste(プラスチック廃棄物連合?)が設立された。
アライアンスのメンバーは、P&Gやエクソンモバイル、Dow、三菱ケミカルホールディングスなど大手企業26社。
日本では三菱ケミカルの他に、住友化学、三井化学が設立メンバーとして参画している。
アライアンスは今後5年間で計15億ドル投じて、投資やプログラムをサポートし、環境におけるプラスチック廃棄物を削減するとともに、以下の4つの主要分野での取組みを支援するとのこと。

・廃棄物の管理やリサイクルを促進するためのインフラ開発
・使用済みプラスチックのリサイクル・回収を容易にし、すべての使用済みプラスチックから価値を創造する新しい技術を開発するためのイノベーション
・政府、地域社会、企業、個人にいたるあらゆるレベルで本問題に取り組むための教育
・環境中のプラスチック廃棄物が集中する地域、特に河川など陸上の廃棄物を海に運ぶ主要なルートのクリーンアップ

<出所>

GREEN MATTERS:The Alliance to End Plastic Waste Launches With $1 Billion Commitment to End Plastic Pollution, Faces Criticism;
https://www.greenmatters.com/news/2019/01/16/Y3l2kBAWE/alliance-end-plastic-waste

日本経済新聞(2019.1.17)「三菱ケミカルHD、プラスチック廃棄物問題解決に取組むグローバル・アライアンスに参画」
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP500210_X10C19A1000000/

三菱ケミカルホールディングス(2019.1.17)
https://www.mitsubishichem-hd.co.jp/news_release/pdf/00769/00863.pdf

環境ビジネスオンライン(2019.1.21)「海洋プラスチック廃棄物問題の国際的組織が発足 日本から3社が参画」
https://www.kankyo-business.jp/news/021866.php

トルコ、2023年までにすべての飲料容器をデポジット制で回収

ペットボトル回収率を90%以上にすることが求められつつあるEU(欧州連合)では、デポジット制度の導入が進む。

今年1月からレジ袋を有料化したトルコでは、今度はすべての飲料容器を2023年までにデポジット制度で回収することを発表した。
今までは、自治体ごとに対策が取られていたが(例えば、イスタンブールでは地下鉄駅に設置された自動販売機にペットボトルやアルミ缶を入れると、イスタンブールカードにチャージされ、運賃として利用できる)、今度は国が本格的にデポジット制度を導入する。

<出所>
DAILY NEWS(2019.1.21)Bottles deposit return scheme gets green light in Turkey
http://www.hurriyetdailynews.com/bottles-deposit-return-scheme-gets-green-light-in-turkey-140671

<関連記事>
https://env-eco.net/1791.html