相次ぐ発火や水銀漏出事故、有害ごみの自治体回収は税金の無駄

自治体のごみ処理施設での有害ごみによる事故が多発しているという。

製品が複雑化し、消費者も処理方法がわからないものが多い。筆者もそうだが、分別方法がよくわからないごみは、つい「不燃ごみ」などに入れてしまう人は多いだろう。

そのため、全国的に見ても環境意識の高い東京都多摩地域のごみ処理施設でさえも、リチウムイオン電池による発火事故や、水銀式の血圧計や体温計による水銀漏出事故が相次いでいる。

全国の焼却炉で、水銀を含む製品を燃やすことなどは、おそらく日常茶飯事だろう。焼却炉から排出される水銀濃度の高い排ガスなども、そもそも水銀を検査している地域が少ないのだから、判明するケースは氷山の一角だ。

このような有害製品による事故を、税金を使って解決しようとしていては、税金などいくらあっても足りない。

自治体にも消費者にも、製品についての詳細な知識や情報は与えられていないのだから、全員が有害物質に対して適切に対応することなど困難だ。

筆者の住む自治体でも、乾電池(マンガン・アルカリ・オキシライド乾電池・コイン電池など)は自治体の回収へ、充電式電池は「リサイクル協力店」へ、ボタン電池は「回収協力店」へ、とのことだが、実際自分の捨てたい製品の中にどのタイプの電池が入っているのか、製品を開けてみてもわからないことが多い。コイン電池とボタン電池の違いもよくわからないし、リサイクル協力店と回収協力店の違いもわからない。販売店で回収していないケースも少なくない。

水銀含有製品にしても、果たしてどれが該当するのか?

結果として、自治体の回収にすべて出す人がいるせいで、火災や水銀漏出事故が起きたとしても、消費者の責任といえるだろうか。

なぜ日本は、有害物質の回収を、生産者責任で対応しようとしないのか。

電池を含むすべての有害物質は、販売時に回収方法を明示し、生産者が責任をもって回収すべきではないか。海外メーカーの製品は輸入事業者が責任をもつべきだろう。

今後、海外製品がますます出回るだろうことを考えると、今の日本の回収制度では有害物質がますます適正に処理されにくいのではないか。

自治体がいくら頑張って回収しても、日本の河川にはマイクロプラスチックが多い。有害物質も多いのでは?と心配になる。

廃掃法と各種リサイクル法は、既に時代遅れになっているのではないか。抜本的に見直す時期が来ているのではないかと考えている。

<事故についての出所>

日本経済新聞(2018.12.12)「リチウムイオン電池や水銀式血圧計、有害ごみ回収徹底  多摩の自治体、事故多発 武蔵野市はボックス設置拡大」↓

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181212&c=DM1&ng=DGKKZO3880622011122018L83000

 

 

観光地の環境対策を強化するフィリピン 地元経済と環境の両立は可能か?

観光地の環境対策の強化により、今年4月に閉鎖されたフィリピン・中部ボラカイ島。海につながる配水管などが撤去され、一部の宿泊施設が営業を再開した。白砂が戻り(おそらくごみの山も撤去され)、観光客の姿が徐々に回復しているという。

マリンスポーツや砂山を作ることは禁じられているが、飛行機が発着する隣の島とつなぐフェリーの運航は開始される(閉鎖中は島の住民しかフェリーに乗れなかったが、これからは観光客も乗れる)。

今後は、他の観光地にも環境関連の法令遵守を徹底させるという。

厳しい環境対策は地元経済には打撃かもしれないが、観光資源が台無しになっては元も子もない。経済と環境の両立を探りながらのフィリピンの対応にこれからも注目したい。

<参考>

日本経済新聞(2018.11.5)「フィリピン、観光地の環境対策強化 経済悪影響も辞さず」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3737502005112018FFJ000/

BBC NEWS JAPAN(2018.4.5)「フィリピン、人気の観光地ボラカイ島を一時閉鎖へ」↓

https://www.bbc.com/japanese/43650534

リニアが無断で家の下を走ります 講演会のお知らせ

〔講演と報告〕

「リニアトンネル工事のリスクと環境破壊」あなたの家の下、大丈夫?リニアが無断で家の下を走ります

講師:島村英紀さん(地震学者、地球科学者)

日時:11月4日(日)午後1時半〜4時

参加費(資料代):1000円(学生500円)

主催:リニア・市民ネット東京

詳細は↓

案内→http://d.hatena.ne.jp/stoplinear/
チラシ→http://ux.nu/JkFH4

 

有機農業映画祭で「海-消えたプラスチックの謎」も上映

「第12回国際有機農業映画祭」が法政大学で開催されるそうだ。

上映作品は「海-消えたプラスチックの謎」、「狂った蜂2」「たねと私の旅」、「トマト帝国」、「大平農園401年目の四季」。

どれも見たいが、特にこの「海-消えたプラスチックの謎」↓が気になる。https://green-image.jp/films/mystery-of-the-missing-plastic/

以下、転載↓

国際有機農業映画祭は、12回を数え、今年は11月18日(日)に法政大学市ヶ谷キャンパスで開催されます。今年のテーマは「世の中、えらいことになるでぇ」。単に有機農業や食の安全問題のみにとどまらず、自然と人との関係の在り方やそれを支える価値観、社会のつくり方まで視野を広げ、”思想としての有機農業“を考える構成をめざしています。

日時:11月18日(日)10:00~19:45
場所:法政大学市ヶ谷キャンパス 富士見ゲート棟G201
交通:JR・地下鉄「飯田橋駅」「市ヶ谷駅」下車
地図はこちら http://www.yuki-eiga.com/access
上映作品:「海-消えたプラスチックの謎」、「狂った蜂2」(本邦初上映)
「たねと私の旅」(本邦初上映)、「トマト帝国」(本邦初上映)、
「大平農園401年目の四季」
若手有機農業者によるシンポジウムもあります。
参加費:一般 前売り2000円 / 当日2500円
25歳以下 前売り 500円 / 当日1000円(当日は身分証明書を提示)
中学生以下無料
前売り申込み期間は9月1日~10月31日

詳しくはこちら↓

http://www.yuki-eiga.com/

横須賀の石炭火力発電所建設を考える会 まもなく逗子で開催

横須賀市久里浜で石炭火力発電所の建設が計画されている。130万kW(65万kW ☓ 2基)という大規模なもので、稼働すれば年間726万トンのCO2が排出されるという。

暮らしにどのような影響があるのか?温暖化は?などについて、一緒に考えるための会が開催される。

日時:9月16日(日) 14:00~16:00

場所:逗子文化プラザ 市民交流センター第2・3会議室
(逗子市逗子4-2-11)

参加費:無料

プログラム 1.話題提供 ◯今なぜ、石炭火力発電所?温暖化とパリ協定の視点から考える:桃井貴子(気候ネットワーク東京事務所長)◯横須賀の石炭火力発電所建設の動向と影響:鈴木陸郎(横須賀の石炭火力発電所建設問題を考える会代表) 2.ワークショップ:今私たちにできることを考えよう!

<出所および申込み等についての詳細>

【横須賀】横須賀の石炭火力発電所建設を考える ~逗子の海に空に、PM2.5が降ってくる?!

インドの州 6年後までに100%の自然農法をめざす

国連環境計画は、インドのアンドラプラデシュ州が6年後の2024年後までに耕作農地800万ha、600万戸の農家が「自然農法」へ転換する計画に着手したと発表した。

インド初の100%自然農法州を目指しているとのこと。脱農薬、脱化学肥料により土壌の生物多様性を豊かにし、生産性を向上させる。

インドは最近、プラスチック削減政策でも頑張っているが、農業分野でも頼もしい。

<出所>

環境展望台(2018.6.2)「【環境トピックス】インドの州、6年後までに自然農法に転換」↓

https://chikyumura.org/2018/07/post-19.html

豚肉からも耐性菌

国産豚肉の80%から耐性菌が見つかった。以前は鶏肉だけの検査だったそうだが、2015年からは鶏、豚、牛で検査しているとのこと。

鶏肉は国産からも輸入品からも100%耐性菌が検出され、豚肉は65%(国産80%、輸入55%)、牛肉は52%(国産42%、輸入59%)と、豚肉に関しては輸入品のほうが検出率が低い。

原因は、早く成長させるためと、狭いスペースで多くの家畜を飼うため(高い密度で育てるため)、抗生物質を使うのだそうだ。

安ければよいと、工業製品のように食肉を生産したツケが、耐性菌という形で回ってきているようだ。

<出所>

日刊ゲンダイ(2018.8.3)「国産豚肉の80%から耐性菌検出 養豚は抗生物質を大量投与」

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/234588/1

今年のオーバーシュート・デーは8月1日 地球1個分の暮らしを超える日

2018年の「オーバーシュート・デー」は8月1日。あと2日で、地球は赤字生活に入る・・というより、あと2日で私たちは子孫の使うべき資源を借用して使う借金生活に入る。

オーバーシュートとは、人間が地球の収容力(バイオキャパシティ)を超えてCO2を出したり資源を使ったりすることで、オーバーシュート・デーとはちょうど地球のバイオキャパシティを使い果たし、元本に手を付け始める日のことである。

地球のバイオキャパシティの範囲内で暮らしていたならば、地球温暖化は起きなかったはずで、ごみ問題の解決もこれ程難しくなかったはずだ。

子孫に残すべき資源に手を付けても、今の世代の人間がそれを穴埋めすることはおそらくできない。穴は毎年大きくなり、地球のバイオキャパシティはそのうち急落するだろう。

現在人間は、世界平均で地球1.7個分の暮らしを送っており、先進国など資源浪費国はどこも平均を軽くオーバーしている。今の日本人と同じ暮らしを世界中の人たちが送ると、地球は2.9個必要になるそうだ。

<参考>

共同通信(2018.7.26)「あと1週間で地球は赤字 今年の「アース・オーバーシュート・デー」は8月1日」

https://www.kyodo.co.jp/mamegaku/2018-07-26_1845070/

朝日新聞(2018.7.3夕刊)「日本の暮らし、地球2.9個分 環境負荷、独自の単位で数値化」

https://www.asahi.com/articles/DA3S13568752.html

レーザープリンターからPM2.5などの微粒子発生

我が家ではレーザープリンターを使っているが、レーザープリンターはいろいろ問題があるようだ。

レーザープリンタから放出される微細粉塵(UFP = Ultra-fine particulate)は、レーザープリンタの定着プロセス(高熱でトナーを紙に焼き付けるプロセス)でトナーが高熱によって蒸発して、その直後に温度が下がって、凝結するために発生するそうだ。

「フライブルク大学の研究で、これらの粒子がヒト肺細胞を著しく損傷する可能性が示された。また、強い不快感や咳、涙目、疲労感、鼻血、喘息などのアレルギー反応が報告されている」とのこと。

調べたところ、日本でも研究されている。

例えば、並木他(2006)↓
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jar/21/1/21_1_59/_pdf/-char/ja
例えば、鍵(2014)↓
https://ci.nii.ac.jp/els/contents110009837242.pdf?id=ART0010348734

健康被害については諸説あるようだが、電力消費量の点でもレーザープリンターは分が悪い。エプソンによると、高速インクジェットはレーザープリンターに比べ、生産力は2倍なのに、消費電力は1/8とのこと。

ドイツではBye, bye Laserというキャンペーンもあるそうだ。

<参考>

EPSON「インクジェットで環境対策」↓

https://www.epson.jp/products/bizprinter/inkjet_eco/

「レーザープリンターから重金属を含む粒子が排出され健康被害の可能性 ドイツ」↓

http://www.qlifepro.com/news/20130301/ejected-particles-containing-heavy-metals-from-laser-printers-possible-health-damage-germany.html

「タバコと同じくらい有害–レーザープリンタに健康上のリスク」↓

https://japan.cnet.com/article/20353976/

 

 

 

国連大学とペットボトル

先日、国連大学にて開催されたエコロジカル・フットプリントの考案者であるウィリアム・リース先生の講演会に参加した。

講演会開始前、司会者が「飲料につきましては、キャップのできるペットボトル飲料の水・お茶のみ会場内で飲むことができます。」とアナウンスしたので、驚いた。

え!ペットボトルの水とお茶だけ?水筒はダメなの?

聴衆は外国人も多く、外国人は水筒を持参している人が少なくなく、ペットボトル持参者はいなかった。日本人は水筒持参者もいたが、ペットボトル持参者も少なからずいる。

ペットボトルしか許されていないのならば、水筒をバッグにしまうべきかとも考えたが、講師やパネラーの席にはペットボトルではなく、コップに入った水が置かれている。

水筒持参者は全員司会者の注意を無視し、水筒を使い続けていた。

国連大学の中は、なぜペットボトルの水とお茶しか飲用してはいけないのか?国連環境計画(UNEP)は使い捨てをやめようと言っているのに、国連大学ではペットボトルを推奨しているのか?などと考えながら、リース先生のオーバーシュートの話を聞いた。

小型ペットボトルを多用している限り、オーバーシュートは避けられないだろうと思う。