英国でストロー、マドラー、綿棒を禁止 今年後半にはさらなるプラスチック削減計画も

英国のマイケル・ゴーブ環境相が、レジ袋有料化や飲料容器のデポジット制に続いて、また新たな政策を発表した。
ストローと同様に、マドラーと綿棒(プラスチック製の柄)の販売も禁止するとのことである。早ければ、来年には施行される。

世界自然保護基金によると、英国では、年間132億本の綿棒と441億本のマドラー、そして420億本のストローを使用している。これらは他のEU諸国に比べ多いとのこと。
この動きは、英国の目標に沿ったものであるが、これらの品目が選ばれた理由は、これらは既に代替品があるからとのこと。またこれらは、カメの鼻孔をふさいだり、ペンギンの胃にせん孔したりするためだ。

また、ゴーブ氏は先月、小規模店のレジ袋も5ペンス課すこと(現在は大規模店のみ有料化)と、ペットボトルのデポジット制の計画を発表した。
さらに、財務省では持ち帰り用容器の削減を目的に、課税の動きも進行している。
ゴーブ氏は、企業がより多くのプラスチックを削減するため、今年後半にはもっと多くの政策を発表すると述べている。

これらの政策をメイ首相も強く支持しており、首相はイギリスは海洋汚染と闘う「世界のリーダーだ」と述べた。また、19日からロンドンで開かれる英連邦諸国との首脳会議で、英国や英連邦諸国のプラスチックごみ対策として、6140万ポンドの拠出も表明する。

英政府によると、海洋には1億5000万トン以上のプラスチックが存在し、毎年100万羽の鳥と10万頭以上の海洋哺乳類がプラスチックごみを食べたり、巻き込まれたりして死に至っている。

<出所>

THE TIMES(2018.4.19):Cotton buds and plastic stirrers will be banned from sale in UK;

https://www.thetimes.co.uk/edition/news/cotton-buds-and-plastic-stirrers-will-be-banned-from-sale-vm3pl5q3n

オーストラリアのデポジット制度:2018年4月時点での最新情報

デポジット制度は今、プラスチックごみの海洋汚染問題をきっかけに、再び注目を集めている(以前注目されていた時期は空き缶公害の1970年代から80年代にかけてと最終処分場の汚染が世界的に問題になった1990年代)。
最近、特に目を離せないのがオーストラリアだ。

オーストラリアでは、既に3州がデポジット制度を開始しているが、ようやく首都特別地域(ACT)でも今年6月30日から開始することが決定した。

ニューサウスウェールズ州(NSW州)の中にあるACTは、NSW州とほぼ同時期に開始すると見られていたが、その後、2018年の早い時期に開始すると発表された。しかし、具体的な時期は不明であった。
対象は、150ミリリットル以上3リットル以下の飲料容器で、アルミ、ガラス、PET、HDPE、スチール、紙パックとのことである。金額は、NSW州や南オーストラリア州、ノーザンテリトリー(北部準州)と同様、デポジット(預り金)もリファンド(返金)も10セントと見られる。

他に、クイーンズランド州も年内に制度開始予定だが、まだ正式日程は発表されていないようだ。
また、西オーストラリア州では、2019年1月1日から開始すると発表されている。もし遅れたとしても、2019年内には開始されるだろう。
ビクトリア州とタスマニア州の2州では、まだデポジット制度導入予定はない。この2州が制度を導入するならば、オーストラリア全土の飲料容器がデポジット制度の対象となる。

日本ではデポジット制度というと、なぜかドイツなどヨーロッパを思い浮かべる人が多いが、デポジット制度の発祥の地は、筆者の知る限り北米だ。制度対象容器の種類も北米のほうが断然多い。ヨーロッパでは缶・びん・ペットボトルのみを対象にする国が多く、カナダでは紙パックも対象にする州が多い(牛乳パックをも対象にする州はまだ少ないが、増加傾向にある)。オーストラリアも紙パックを対象に加える州が増えそうだ。

<参考>

ACT Government: ACT Container Deposit Scheme;

https://www.yoursay.act.gov.au/act-container-deposit-scheme

ギリシャでレジ袋にエコ税

ギリシャでレジ袋の使用を減らすため、2018年1月からエコ税を課している。 今年は0.04ユーロ(エコ税0.03 + 付加価値税)、来年1月からは0.07ユーロとなる。

2018年1月の使用量は、前年1月に比べ75%から80%低下した。
他のヨーロッパ諸国の2倍使用しているギリシャでは、EU(欧州連合)指令を達成するため、1人あたり2020年までに75%、2025年までに90%削減するという。

Greek Shoppers Responding to Plastic Bag Tax(2016.2.6);

http://greece.greekreporter.com/2018/02/06/greek-shoppers-responding-to-plastic-bag-tax/

Greece introduces Eco-Tax on plastic bags to tackle environmental issues(2018.1.2);

http://www.keeptalkinggreece.com/2018/01/02/greece-plastic-bags-tax/

北九州市 レジ袋を6月から有料化

北九州市では2018年3月28日、市、小売業7社、市民団体が協定を締結した。
7社81店舗が対象だが、既にイオンとエフコープは有料化しているので、新たに5社が有料化することになる。
有料化は6月から開始される。

<出所>

北九州市ウェブサイト:「北九州市における食品ロス及びレジ袋削減に向けた取組に関する協定」について↓

http://www.city.kitakyushu.lg.jp/kankyou/01100108.html

西日本新聞(2018.4.1)「スーパーのレジ袋有料化 6月から 北九州市、7社と協定」↓

https://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_kitakyushu_keichiku/article/405235/

オーストラリアでもレジ袋禁止広がる

オーストラリアではレジ袋禁止が広がっている。国としての方針でもあり、また企業のイメージアップにも繋がるため大手スーパーも協力的だ。

南オーストラリア州やタスマニア州、ノーザンテリトリー(北部準州)、首都特別地域(ACT)では既に禁止されており、西オーストラリア州とクイーンズランド州では2018年7月1日から禁止される。

ビクトリア州でも今年禁止される予定とのことで、残りはニューサウスウェールズ州のみとなる。しかし、この2州内においても、オーストラリアの二大スーパーであるColesとWoolworthsは今年6月末までにはレジ袋廃止を決めているという。

ニューサウスウェールズ州は、散乱ごみ4割減を目標に、2017年12月からペットボトルなどをデポジット制度により回収することに成功した。これからレジ袋禁止にも取り組むと期待している。

海外ではオセロゲームの白黒がひっくり返る勢いで、近年レジ袋規制が進む。海外での最近の主流は「有料化」や「課税」ではなく「禁止」だ。

しかし日本では、協定に成功した一部自治体のスーパーでしか有料化されていない(一部地域ではドラッグストアやクリーニング店も有料化協定に参加)。日本のこの遅れた対応は一体どういうことなのか?

もし、オリンピックまでこの状態が続くならば、日本は「海洋ごみ問題対応後進国」のレッテルを貼られそうだ。

<参考>

西オーストラリア州ウェブサイト:Plastic Bag Ban;

https://www.der.wa.gov.au/your-environment/wa-plastic-bag-ban

THE STRAITS TIMES(2018.2.8): Fresh push for plastic bag ban in Australia;

http://www.straitstimes.com/asia/australianz/fresh-push-for-plastic-bag-ban-in-australia

【オーストラリア国内ニュース】来年中にColesとWoolworthsがレジ袋を禁止することを発表!

カンボジア、スーパーでのレジ袋を有料化

2020年までにスーパーで配布するレジ袋を全土で有料化する予定のカンボジアで、レジ袋有料化が10日から本格的に開始された。イオンなども法律に沿って課金を始めた。

ケニアのような全面禁止ではなく、とりあえずスーパーのみで有料化する。輸入を制限し、輸入関税を引き上げることで、レジ袋のリサイクルを推進し、生分解性プラスチックを使ったレジ袋の生産を促進する。

現在カンボジアのレジ袋消費量は、EUや中国の10倍あるという。

<出所>

POSTE(2018.4.12)「カンボジア、スーパーマーケットでのビニール袋が有料に」↓(この記事の原文は2017年10月18日)

https://poste-kh.com/dailyinfo/カンボジアスーパーマーケットでのビニール袋が有料に-1433

「カンボジア レジ袋有料化が本格始動 イオンなど対応、環境保護へ」(22018.4.12)↓

https://blog.goo.ne.jp/wa8823/e/600cfeea4c5d2ae24b56def2a39ab310

日本のレジ袋使用量は何枚?

JB PRESSの記事によると、中国のプラスチックごみ輸入禁止により、韓国ではレジ袋の処理に困っているそうだ。

それによると、韓国のレジ袋の使用量は年間1人420枚で、EUなどと比べかなり多い。日本の使用量は年間1人300枚などといわれているから、日本よりも韓国のほうが多いことになる。しかし、1994年に一回用品使用規制を開始した韓国は、日本よりレジ袋規制が進んでいるはずである。実際、韓国のコンビニでもレジ袋は有料であることが多い。

おそらくレジ袋の概念が日本と海外では異なるのだろうと思い調べてみたところ、日本でいうレジ袋とは持ち手部分(縛る部分)が付いているHDPEのものを指し、持ち手のないファッションバッグやアームバッグは統計上HDPEの「産業用その他」、あるいはLDPE・LLDPEの「その他」に区分されるという(経産省ウェブサイト)。英語のPlastic Bagを日本語でレジ袋と訳すことが多いが、Plastic Bagとレジ袋は必ずしも一致しない。韓国のレジ袋もおそらくPlastic Bagで、持ち手のないものも含め統計の対象になっているものと思われる。

ところで、日本のレジ袋の使用量(300枚/人・年)はもう15年以上も前から変わらずに聞く数値だ。しかし、大手スーパーがレジ袋を有料化したり、自治体がスーパーと有料化協定を締結したおかげで、レジ袋使用量は大幅に削減されたはずである。それにも関わらず、巷でいわれる使用枚数に変化はない。

その理由として考えられることは、レジ袋使用量に関してきちんとした統計がなかなか見つからないこと、そして使用量(トン)が変化しても1枚当たりの重量を変えることでいつも同じ数字(1人年間300枚)を言っていても間違いにはならないことではないか。

かつてレジ袋は1枚10グラムで計算されたが、薄肉化により最近は7グラムを切って計算されることも多い。前述の経産省ウェブサイトによると、2007年には約20万トンのレジ袋が国内メーカーにより出荷されていたらしいが、この数字にはメーカーを通さずに輸入されたレジ袋は含まれていない。しかし、レジ袋輸入量は不明だ(貿易統計では、「ポリエチレンバッグ」全体の量しかわからないため、そのうちの何パーセントがレジ袋か全くわからない)。

安田・丸茂(2008)によると、年間約300〜500億枚のレジ袋が流通しているとのこと。

包装資材シェア事典の数字を見ると、2015年の国内需要は19万7000トンだ(2016年版)。同事典もヒアリング先変更により大きく数字が変わった年もあるから正確とは言い難いが、少なくとも筆者が知る限り最も信頼できるデータである。これより前の年度の同事典では毎年二桁単位で減少する年が何年か続いているから(同事典の2007年は調べていないが)、おそらく2007年はもっと多かったはずだ。仮に2007年が30万トンだったとしても1枚10グラムで計算すると年間300億枚、日本の人口を1億人で計算するならば、1人年間300枚といえる。

同様に、2015年の年間19万7000トンを1枚当たり6.7グラムで計算すると、1人年間約300枚といっても間違いではない。レジ袋の使用量が何年も変わらない理由はこれだと思われる。

しかし、何年たっても数字が変わらない理由が分かったとしても、これ自体にそれほど意味はない。問題はコンビニの使用量が近年増加傾向にあることだ。

街中を歩いていて大きなレジ袋はあまり落ちていないが、小さいレジ袋はよく落ちている。小さいレジ袋が増え、しかも薄くなっている、ということはより散乱しやすく、破片化しやすくなっているということだろう。

これらが海ごみになるとすると、コンビニのレジ袋は早急に規制する必要がある。東京都の「レジ袋ゼロ」目標に、望みを繋いでいる。

<関連記事>

日本のレジ袋消費量は本当に20万トン?

<参考>

JB PRESS「資源ごみ処理を中国に頼ってきた韓国の悲鳴」↓

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52808?page=3

経産省ウェブサイト

http://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/data/research/h20fy/200811-2_mri/200811-2_2.pdf

 

世界初 オランダに脱プラスチック包装の陳列棚のある店がオープン

オランダ アムステルダムに世界初のプラスチック フリー包装の陳列棚のある店がオープンしたそうだ。オランダのスーパーマーケットEkoplazaが、環境キャンペーン団体Plastic planetの協力のもと誕生した店である。

Ekoplazaは年末までに74店舗に拡大する予定とのこと。

また台湾には、竹製ストローなどプラスチックの代替品を集めて販売している店があるそうだ。プラスチックの代替品ならば、日本にも数多くあるので、それらを集めて販売するのは難しくなさそうだ。

しかし、残念ながら日本では、「プラスチックを完全になくすのはムリ」という意識が根強く、自らプラスチックフリー商品を求めようという人は、環境団体メンバーでさえ少ない。

中庸の美徳?なのかもしれないが、その意識が日本の環境行政の進展を阻害していることは確かである。

プラスチックごみによる海洋汚染も、農薬や柔軟剤等化学物質による水や大気の汚染も、脱原発や気候変動と同様、直接自分や家族の身体にも被害をもたらす可能性のある問題だということを認識し、対応すべきであろう。

人が何人か死ぬまで何の対応もできないようでは、あまりにも情けない。

 

<オランダについての出典>

The Guardian(2018.2.28)First plastic-free aisle is an example for other supermarkets to follow

https://www.theguardian.com/environment/2018/feb/28/first-plastic-free-aisle-is-an-example-for-other-supermarkets-to-follow

<当ブログの関連記事>

北京にばら売りの店がオープン↓

北京にばら売りの店がオープン

PETのサーキュラーエコノミー戦略

サーキュラーエコノミー(循環型経済)についての話題を各地でよく聞くようになった。

2015年末に採択されたEUのサーキュラー エコノミー パッケージは、確かに画期的だった。経済価値も創出され、環境も雇用も守れるならば、いうことはない。

しかし、最近話題になっているサーキュラーエコノミーは、単にリサイクル率をいかに高めるかが主流になっている気がする。これでは、大量消費・大量リサイクル時代は終わらない。

先日、ヨーロッパのPETバリューチェーンがブリュッセルに集まり、PETのサーキュラーエコノミー戦略について、2日間にわたり200人以上の業界の専門家をまじえ話し合われたとのこと。

詳細な内容はわからないが、デポジット制度による回収と非デポジット制度によるそれとの比較についても話題になったようだ。

リサイクルしやすい製品設計に変えていくことが必要なのは当然だが、消費者からの使用済み製品をいかに回収するかが、サーキュラーエコノミーのカギになるはずである。

次回は、海ごみを減らすためにも、せめて散乱しやすいペットボトルは、デポジット制度により回収することを決議してほしい。

その上で、PET業界のみならず、地球全体が持続可能になるようなサーキュラーエコノミー戦略について考えてほしいものだ。

 

Recycling Magazine: Petcore: Strategy for PETin the Cicular Economy;

Petcore: Strategy for PET in the Circular Economy

 

ダンキン・ドーナツも2020年までに紙カップを使用

環境ホルモンの疑いがあるとして有害性を指摘されながらも、ファーストフードチェーンは長期に渡りスタイロフォーム(押出し発泡ポリスチレン)のカップを使い続けてきた。

それが、ようやく使われなくなるようだ。年内の切替を表明したマクドナルドに続いて、ダンキン・ドーナツでも紙コップへの切替を表明した。

ダンキン・ドーナツは2020年までに切り替えるとのこと。理由の1つは消費者の安全志向であるが、もう1つは海ごみ対策であろう。紙コップは、家庭などから排出された場合は禁忌品としてリサイクルされないが、紙コップのみで大量に回収し、それなりの設備のある製紙工場へ運べば、今でもトイレットペーパーなどにリサイクルできる。また最近では、簡単にリサイクルできる紙コップも開発されている。例えば、フィルムが簡単に剥がれて一般的な製紙工場でもリサイクル可能になっていたり、生分解性の素材が使われ堆肥化できるようになっていたりする紙コップもある。

ダンキン・ドーナツがどのタイプの紙コップを採用するつもりかは不明だが、売りっぱなしの姿勢をあらため、容器包装ごみの回収を前提とした場合、紙コップへの移行は必須であることは確かだ。

しかし、飛行機に乗ると、まだスタイロフォームで飲物を提供されることがある。早く機内での飲物容器も切り替えてほしいものだ。

Plastic News: Dunkin’ orders its coffee in a paper cup;

http://www.plasticsnews.com/article/20180207/NEWS/180209912/dunkin-orders-its-coffee-in-a-paper-cup