ウォルマートなどがレジ袋のグリーンウォッシュで訴えられる

米ミネソタ州で、ウォルマートとレイノルズ・コンシューマー・プロジェクトがプラスチック袋(レジ袋)で訴えられた。

リサイクルできないにもかかわらず、リサイクルできるかのように錯覚させ、販売した。

両社は、合計216,670ドルを支払うことに合意したとのこと。これには、バッグの販売で得た利益の100%、州の弁護士費用、その他の金銭的救済が含まれている。さらに、州内で2年半販売が禁止される。

禁止期間終了後に販売する場合は、「リサイクル不可」とラベル付けする必要がある。

ニューヨーク大学ロースクールのプラスチック訴訟トラッカーによると、このミネソタ州の訴訟は、2015年以来、主にプラスチック業界を標的にした市民または環境団体によって提起された約4ダースもある訴訟の1つだそうだ。

日本でも、市民がリサイクルできると信じて自治体回収に出す資源物のなかに、リサイクルできていないものが相当数あるはず。日本の市民や環境団体もここまでやれば、日本でももう少し使い捨てプラスチックが減るかもしれない。

フランス、ガラス容器のデポジット制度を一部地域で試験導入

フランスの脱プラ政策は世界トップだ。オリンピックでのペットボトル販売を禁止した。代わりに無料給水ポイントを14箇所に設置した。

コカコーラなどのスポンサーも協力したそうだ。「大会期間中は再利用可能なボトルと200以上のソーダファウンテン(清涼飲料水を供給する機械)を提供」とのこと。https://www.parasapo.tokyo/topics/107947

さすがだ。東京オリンピックでは、ペットボトルはコカコーラなどの大手スポンサーへの忖度から、禁止できなかった。

パリ市長と小池都知事の環境意識の差が現れている。

そのフランスで、ガラス容器のデポジット・リユース制度の試験導入が、2025年5月から開始される。

汚染者負担の原則に基づき、メーカーが資金提供した団体が、「食品小売の様々な規模の1200店舗を通じて、デポジット料と引き換えにガラス容器を回収し、洗浄の上でメーカーに供給する」とのこと。期間は18ヵ月だが、お金をかきて大規模に行うので、おそらく延長されるだろう。

デポジット額は20-30ユーロセントになる予定。

ガラスびんだけではないようだが、どんな容器になるか楽しみだ。

トリニダード・トバゴ国でデポジット制度の計画を立ち上げ

トリニダード・トバゴ政府は7月26日、飲料容器のデポジット制度を開始するため、国家飲料容器預金返還システム(BCDRS)の実施に関するフレームワークを発表した。

対象は、密閉された5リットル以下の飲料容器(ペットボトルや缶、びん、カートンなど)で、紙コップや既にリユースされている飲料容器は含まない。

容器の返却先になる事業者には手数料を支払う。

https://tt.loopnews.com/content/govt-launches-plan-beverage-containers-deposit-return-system?eType=EmailBlastContent&eId=6bd6bb32-619b-47a6-9b76-a6a0edfc5f97

目的は、埋立地で終わる資源物をリサイクルに転換することだ。

メーン州のPFASに関する法律、人工芝は2029年から禁止

米メーン州のPFASに関する法律が更新された。

新たな法律では、意図的にPFASを添加した以下のような製品を販売禁止とした。

・2023年1月1日発効:カーペットまたは敷物、ファブリック処理

・2026年1月1日発効:クリーニング製品、調理器具、化粧品、デンタルフロス、生理用品、繊維製品(例外あり)、スキーワックス、布張りの家具、容器

・2029年1月1日発効:人工芝、屋外用アパレル(ただし、PFASで作られたことが表示されていればOK)

・2032年1月1日発効:メーン州で販売されている意図的にPFASが添加された製品(使用が避けられないものは除く)など

・2040年1月1日発効:冷房、暖房、換気、空調または冷凍装置など

2029年までにPFASを含まない人工芝が開発されるだろうか?

<出典>

https://www.maine.gov/dep/spills/topics/pfas/PFAS-products/

バーモント州のPFAS規制、人工芝も対象

バーモント州ではすでに、食品包装、カーペットや敷物、シミや防水処理剤、スキーワックスなどの一部の家庭用品や商業用品についてPFAS禁止措置を講じていたが、今年5月30日に制定された新しい法律により、禁止対象のPFAS含有製品が大幅に拡大。人工芝も対象になった。

https://martenlaw.com/news/state-action-on-pfas-expands-with-bans-labeling-and-reporting-requirements

この記事によると、同州は2026年1月1日から、下記の製品に意図的にPFASを添加することを禁止するそうだ。

・アフターマーケットの汚れと耐水性処理
人工芝
・調理器具
・化粧品
・食品包装
・失禁防止製品
・子ども用品
・生理用品
・敷物、カーペット
・スキーワックス
・繊維製品

なお、同州では、「規制対象PFAS」の定義も改正され、以下のものが含まれる:

(A)製造者が意図的に製品に添加し、製品において機能的または技術的効果を有するPFAS

(B)製品または製品成分中に、全有機フッ素で測定して50ppm以上のPFASが存在すること

他州でも規制が進んでいるので、今後アメリカではPFAS入り製品が減りそうだ。

<関連記事>

EU、ペットボトルのキャップ規制がまもなく始動

3リットル未満の容器のキャップを対象として、EU規制がまもなく始まる。

2018年に発表されたEU指令の1つで、開栓後もキャップが本体に付いたままになっていなければならない。

従来タイプのペットボトルは、開栓時にキャップが落ちやすく、散乱ごみになりやすかった。

ようやく7月3日から規制が開始される。

街や海岸を歩いていると、キャップが落ちているのをよく目にする。海鳥など野生生物にも誤食されやすく危険だ。日本も早くこの規制を導入してほしい。

EU、さらなるプラスチック削減目指し包装・包装廃棄物規則案に合意 食品と接触する包装材のPFASも禁止

EU理事会と欧州議会は今月4日、包装・包装廃棄物規則案に関して暫定的な政治合意に達した。法案は、「レストランやカフェなどで消費する飲料・食品やホテルの小分けシャンプーなどに使用される使い捨てプラスチック包装材の禁止、輸送用包装材の最小限化要件、再利用可能な包装材の利用率に関する飲料用や輸送用など包装用途別の目標値、すべての包装材に基準値以上のリサイクル可能性を課す要件、プラチック包装材におけるリサイクル済みプラスチックの最低使用要件など多岐にわたる規制を新たに導入する」とのこと。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/03/783c82db1560ea37.html

具体的には、ファストフード店で提供される使い捨ての皿、コップ、箱や、ホテルで提供される小型シャンプー、そして食品店で提供される軽いプラ袋も禁止する。

また、「再利用率の目標も設定、持ち帰り店の容器はワインとミルクを除き10%とする。運送用包装の空スペースは最大で50%までとする」などにより、「包装廃棄物を30年までに5%、40年までに15%削減することで合意。30年までに全ての包装を再利用可能にする」とのこと。

さらに、食品と接触する包装材へのPFAS使用も禁止するそうだ。

https://jp.reuters.com/world/europe/LCRL22OCH5LK3A7TW2VHTOJY2E-2024-03-05/#:~:text=%5Bブリュッセル%205日%20ロイター%5D%20%2D,は適用を免除する%E3%80%82

多くの現地メディアは、この法案に関係する多くの業界団体が激しいロビー活動を展開したことを報道している。ワインや包装用段ボールなどが、法的拘束力を持った目標値の対象から除外されたのもその成果だろう。

今後、法案は両機関により正式にする必要がある。採択されれば、施行18カ月後に適用を開始する。実際の適用開始時期は規制によって異なるそうだ(JETRO2024.3.8)。

PFASがプラスチック容器にも 米研究

PFAS(有機フッ素化合物)は、高密度ポリエチレン製(HDPE)のプラスチック容器にもよく使われているそうだ。昨年、アメリカ化学会で発表された。

発表したのは米ノートルダム大学の研究チーム。著名なPFAS専門家でこの論文の著者の一人であるグラハム・ピースリー教授によると、農薬の容器にフッ素化された容器が使われると、農薬を通してPFASが農作物に移行し、それを人間が食べることになるそうだ。

その結果、「前立腺癌、腎臓癌、精巣癌、低出生体重、免疫毒性、甲状腺疾患など、いくつかの健康問題に関連する有害化学物質への重大な曝露の直接的なルートになる」とのこと。

https://news.nd.edu/news/plastic-containers-can-contain-pfas-and-its-getting-into-food/

PFAS濃度の平均合計は、「63.75±13.2 ng/gプラスチック」。家庭用洗剤、農薬、パーソナルケア製品などを調べた結果だ。

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.estlett.3c00083

日本で使われているプラスチック容器にもPFASが使われていることは間違いないだろう。粘着性のある液体が容器にくっつきにくくするためには、おそらくPFASが役に立つ。

ハンバーガーなどの包装紙にもまだ使っている大手ファストフードチェーンがあるくらいだから、もしかしたら、食品用の容器にも使われているかもしれない。マヨネーズは大丈夫だろうか?

独、使い捨てプラごみの処理費用を製造者に デジタルプラットフォーム運用開始

ドイツでは2022年11月、使い捨てプラスチック製造者に対し、公園や街路の廃棄物処理費用の負担を課す法案が承認された。

https://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=48448&oversea=1

廃棄物投棄への対応に取り組む公共機関にその処理費用を支払うシステムの管理・処理を行うデジタルプラットフォームが、今年4月から運用開始となる。

これにより、連邦環境庁は約56000機関の賦課金支払い対象組織の登録と入金、および約6400機関への処理費用の分配をデジタル処理できるとのこと。

https://www.eic.or.jp/news/?act=view&word=&category=51&serial=49983

日本はなかなか進まないが、ドイツの拡大生産者責任はどんどん進んでいく。

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オーストリア、2025年1月からデポジット制度開始 Sensoneo社の技術を選択

オーストリアは来年1月から飲料容器のデポジット制度を開始する。

対象は、0.1から3Lのペットボトルと金属缶で、デポジット額は0.25ユーロ(0.27米ドル)とのこと。

デポジット制度の複雑なITシステムは、やはりSensoneo社を選択した。同社の技術は現在、欧州のデポジット制度の要となっているようだ。

「オーストリアは、Sensoneoのソフトウェアソリューションを選択した6番目の国で、同社は、スロバキア、マルタ、アイルランド、ハンガリーのデポジット制度のシステムに加え、ルーマニアの世界最大の集中デポジットシステムを含む、ヨーロッパのデポジットシステム6つの公開入札をすべて獲得したと伝えられている」とのこと。

https://www.packaginginsights.com/news/austria-chooses-sensoneo-tech-for-national-drs-launch-in-2025.html?utm_source=Newsletter&utm_medium=email&utm_content=25+Jan+%7C+FEVE+talks+essential+PPWR+changes+%7C+Packmatic+secures+€15M+in+funding+%7C+Austria+chooses+Sensoneo+for+2025+DRS+launch&utm_campaign=2024-01-23+PI+Daily&eType=EmailBlastContent&eId=fcf337f9-7334-4876-920a-faaad2dad365

同社はスロバキアの会社で、2017年に創業。70ヶ国で事業を展開し、スマート廃棄物管理ソリューションを提供しているそうだ。

https://ameblo.jp/s2021751/entry-12801371634.html

昔はデポジット制度の運営は面倒でお金もかかったが、今はIT技術の進歩でだいぶラクにできるようになった。

上記パッケージングサイトによると、オーストリアの飲料容器回収率は現在70%。来年デポジット制度が開始されれば80%になると予想されている。2027年には90%になり、EU目標を達成できる。ペットボトル回収率のEU目標は、2025年までに77%、2029年までに90%だ。

日本もいつまでも「ペットボトル回収率は既に90%以上」などと、過大な予測をしていないで、早くデポジット制度で「真水」の90%回収を達成して欲しいものだ。

どうしてもデポジット制度を導入したくないのであれば、フランスのようにペットボトル使用を半分に減らす半減目標を立てるべきだが、日本は経済界に配慮し、どちらも選ぼうとしない。