農水省 プラごみ削減有識者懇談会を開催

最近プラスチック問題の動きがめまぐるしく、フォローしきれていないが、今度は農水省がプラスチックごみ削減のための有識者懇談会を開催するとのこと。

有識者には大学院教授のほか、環境省や経産省の代表も参加。29日に初会合だそうだ。

懇談の内容は、食品容器包装のほか、レジ袋や飲料カップ・フタなど食品産業の関わるプラスチック全般が対象。

初会合は10月29日。来年3月までに3回開催し、食品産業の今後取り組むべき方向性をまとめるとのこと。

環境省の3回のプラごみ戦略会議もあと残り1回を開催した後、パブコメに入るようだ。市民団体を含め、各方面の動きが慌ただしい。

<出所>

時時通信(2018.10.11)「プラごみ削減へ有識者懇談会=食品の容器包装-農水省」↓

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018101101149&g=eco

毎日新聞(2018.10.11)「農水省 プラごみ削減へ有識者会議 対策とりまとめ」↓

https://mainichi.jp/articles/20181012/k00/00m/020/110000c?fm=mnm

 

豪クイーンズランド州 11月1日からデポジット制度開始

オーストラリア大陸の4分の1を占め、2番目に大きい州であるクイーンズランド州で、2018年11月1日から飲料容器のデポジット制度が開始される。

州内には飲料容器と引き換えに、デポジット(預り金)を払い戻すためのリファンドポイントが230以上準備された。

デポジットもリファンド(返金)も10セントで、150mLから3Lまでの飲料容器が対象。牛乳やワインは対象外だ。

デポジット制度により、散乱ごみの減少とリサイクル率の向上、さらに新たな雇用などにより、地域経済に利益をもたらすと見込まれている。

<出所>

Queensland Government, “About the container refund scheme”

https://www.qld.gov.au/environment/pollution/management/waste/container-refund-about

名古屋市 ティッシュ外袋を紙へ とても良いがしかし・・・

名古屋市は、これまで啓発用に配布していたポケットティッシュの外袋がプラスチック製であるとして、紙製に切り替える方針を発表した。

とてもよいことだと思う。さすが、ごみ減量に早くから取組み、レジ袋やトレイの削減にも力を入れていた自治体だけある、と尊敬する。外袋が紙製のポケットティッシュが当たり前になれば、街頭でポケットティッシュを受け取ることにも罪悪感がなくなる。

しかし、それによって増える費用を、公共施設内に設置している自動販売機の売り上げの一部で賄う(まかなう)というのはどうだろうか?、

ポケットティッシュの袋の素材を切り替える際の一番の問題はコストで、これまでの4倍ほど、年におよそ6500万円余分にかかるとみられています。

名古屋市では、市役所や区役所などに設置されているおよそ1000台の自動販売機の売り上げの一部が「環境保全基金」に寄付される仕組みを整え、捻出する考えです。

河村名古屋市長:
「生物が食べるということもあるし、名古屋の環境基金になって行けばそれはありがたいことだで、もしそういうことになればありがたいことですよ。賛成ですわ」

マイクロプラスチック削減に向けた名古屋市の取り組みは、来年度から始められます。

何かが違うのでは?

自動販売機は電気も使うし、販売する飲料はペットボトルや缶だ。ペットボトルはもちろん全部が、缶も内面塗装部分が、散乱した場合にマイクロプラスチックになる。

公共施設内にはできるだけ給水器を設置し、市民に水筒持参を呼びかけるのがスジではなかろうか。

環境に良いとはいえないものの売上の一部を使って、環境に良いことをするのは悪いことだとはいわない。しかし、ティッシュの袋の切り替えと同時に、1000台もの自動販売機の設置が本当に必要なのか、見直しをすべきだろう(既に見直しているのかもしれませんが・・)。

さらにいえば、それほど大量のティッシュを配布する必要性も再検討すべき。啓発グッズとして配布しているものが、果たして本当に啓発に役立っているのか、事業消化の自己満足で終わってないか、今一度見直してはいかがだろう?

これまで使ってきたプラスチックをまるまる他のものに切り替える・・だけでも立派だとは思う。が、大量の配布ティッシュが本当に必要なのか、1000台の自動販売機が本当に必要なのか(給水器に置き換えられる場所はないのか)、それについても再検討してほしい。

<参考>

東海テレビ ニュースOne(2018.9.25)「マイクロプラスチック削減で全国初 名古屋市が配布する『ポケットティッシュ』袋素材見直しへ」↓

http://tokai-tv.com/tokainews/article_20180925_63532

北海のフルマカモメの9割から、海氷下の稚魚からもプラスチック片

プラスチックの生産拡大に伴い、海鳥への影響は深刻化し、40年程前から既にその兆候が海鳥に現れていたとのこと。

現在、北海では93%のフルマカモメがプラスチックを体内に取り込み、2010年から2014年にかけて調査した525羽のうち、58%は0.1グラム以上を飲み込んでいたという。

海鳥は、直接海面からプラスチックを取ることで体内に入れる場合もあれば、プラスチックを食べた魚をプラスチックごと捕食してしまう場合もあるそうだ。

また、北極海の海氷の下で採取したホッキョクダラの稚魚の体内からも微小なプラスチック片が見つかるとのこと。

<出所>

毎日新聞2018.9.24

 

歓迎!原田環境相 レジ袋有料化義務づけ検討へ

原田環境相の経歴を見て、何かやってくれるだろうとはまったく期待していなかった・・しかし、閣議後の会見で「プラスチックの無駄な使用を削減していくことが重要だ。具体的な進め方を検討していきたい」と意欲を示したとのこと。

セブン・イレブンの有料化検討報道に「有料化など簡単だ」と思ったのかもしれない。環境大臣が、レジ袋有料化の義務化にも意欲を示した。

ここまで報道されては環境省もあとには引けない。プラスチック戦略会議で「レジ袋有料化の義務化」を明記せざるを得ないだろう。

<参考>

朝日新聞(2018.10.5)「レジ袋有料化、義務づけ検討へ G20に向け具体策議論」↓

https://www.asahi.com/articles/ASLB53623LB5UBQU002.html

YOMIURI ONLINE(2018.10.5)「プラスチック製のレジ袋、有料化を義務付けへ」↓

https://www.yomiuri.co.jp/eco/20181004-OYT1T50136.html

セブンイレブンがレジ袋有料化を検討!ストローはバイオマス素材で

オルタナによると、セブンイレブン・ジャパンがレジ袋有料化を検討すると明らかにしたとのこと。

これまで最も強硬に有料化に反対し、かつ最もレジ袋使用量の多いセブンイレブンが、レジ袋有料化を検討するならば、他のコンビニも追随することは間違いない。

ついでに、セブンイレブンのコンビニコーヒーカップも、タンブラー持参者にはカップをもらわなくてもコーヒーを購入できるようにしてほしい・・

日経ESG(2018.8)によると、セブンイレブンは店内の商材や包装材を環境配慮型にするため、セブンカフェでは、カップに間伐材、ふたにリサイクルPET、ストローにバイオマス素材を使った材料を使い、シャンプーや洗剤の詰替用包材にはリサイクルPETを使う、とのこと。

しかし、現在はタンブラー持参者でカップが不要な人にまでカップを使わせている。

セブンイレブンは全国に約2万店あり、セブンカフェでは年間10億杯を販売しているそうだ。

(後日補筆)

セブン&アイは2030年をメドに、グループでのプラスチック製レジ袋の使用量ゼロを目指すと発表。紙やバイオマス、生分解性といった素材に切り替える(日本経済新聞2019.5.8)。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44513320Y9A500C1HE6A00/

<参考>

alterna

セブン-イレブン、レジ袋有料化検討:コンビニで初

日経ESG(2018.8)「食材、容器、電力を持続可能に」

ウミガメ、プラスチック片1個誤飲しただけでも死亡の可能性

温暖化でウミガメの99%がメスになる可能性がある、というショッキングな研究結果(ナショナルジオグラフィック2018.1.10)が発表されたのに続き、ウミガメについてまた衝撃的な研究結果が発表された。

オーストラリアの連邦科学産業研究機構が、オーストラリア周辺の海岸に死んで打ち上げられたウミガメ約1000頭を分析した。その結果、体内にプラスチックが14片入ると死ぬ確率は5割になると推計されたという。

たとえ1片でも誤飲すると、死亡確率は22%であるとのこと。あるアオウミガメは、ポリ袋やキャンディーの包装など100片以上が体内から見つかったそうだ。

我々がウミガメを見られなくなる日は、そう遠くないのかもしれない。

<出所>

ナショナルジオグラフィック(2018.1.10)「温暖化でウミガメの99%がメスに、オーストラリア」↓

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/011000008/?P=2

JIJI.COM(2018.9.14)「プラごみ、ウミガメ「死の危険」=豪研究機関が初の数値化」↓

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018091400683&g=int

 

 

イルカも海鳥も有害化学物質を蓄積

9月5日付けの学術誌「GeoHealth」に発表された論文によると、プラスチックや化粧品、ペンキなどの身近な製品に添加されているフタル酸エステルという種類の化学物質が、米フロリダ州サラソタ湾のハンドウイルカの体内からみつかったとのこと。

フタル酸エステルは、生殖への影響も懸念される化学物質で、野生のイルカから発見されたのは初めて。調べたイルカ17頭中、12頭から少なくとも1種類のフタル酸エステルが見つかった。

普段フタル酸エステルに接する機会の多い人間と同程度の量が見つかったイルカもいたという。要するに、それだけ海水がフタル酸エステルに汚染されていたということだろう。

また、東京農工大と北海道大学の研究グループが、2008年から2016年にかけて、新潟県粟島のオオミズナギドリや小笠原諸島のクロアシアホウドリなど、世界15地域37種150羽の海鳥を調べたところ、調査した個体の43%から、フタル酸エステルや臭素系難燃剤、紫外線吸収剤など有害物質が検出されたそうだ。飲み込んだプラスチックから有害物質が体内に移行し、蓄積したものと見られるという。

フタル酸エステルは、プラスチックを柔らかくする可塑剤として広く利用されている。「可塑剤工業会によると、2016年の可塑剤の出荷量は25万5000tでそのうちフタル酸エステル系が8割を占め」「コード、ホース、パッキンなどの部品に使われている他、パソコンやテレビなどの機器内の配線や電源ケーブルなど、あらゆる製品に含まれている」とのこと(日経エコロジー, 2018, p.28)。

フタル酸エステル類の4物質(DEHP、BBP、DBP、DIBP)は、2019年7月22日からEUの化学物質規制(RoHS指令)に加わる。企業は欧州域内に、このフタル酸エステル類が規制値を超えて含有した製品を輸出できるなくなる。これを機に、世界中で規制を進めてほしい。欧州ではねられた規制値越えの海外の製品が、日本のように規制の緩い国に、入ってくるのではないかと心配だ。

<出所:イルカについて>

ナショナルジオグラフィックNEWs(2018.9.12)「イルカに化学物質が蓄積、プラスチック添加剤 生殖への影響や発がん性も懸念されるフタル酸エステル、米国」↓

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/091100399/

<出所:海鳥について>

日本経済新聞(2018.10.1)「海鳥にプラごみの有害物質 体内蓄積、4割で確認 」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35943340R01C18A0CR0000/

<出所:フタル酸エステルについて>

日経エコロジー 2018年3月号

 

注目を集めるパラオの環境対策 ユニークなデポジット制度と世界初の「環境誓約」

最近パラオの環境対策が、島嶼国の間で注目を集めているという。

例えば、飲料容器の散乱を防止するため、少し変わった飲料容器の「デポジット制度」が導入されている。

国により飲料に課金されたデポジット(10セント)の半額は、飲料容器を持参した人に支払われるが、残りの5セントのうちの半分(2.5セント)はリサイクルセンター(回収施設)の手数料に、もう2.5セントは国の環境事業などに使われる。

カナダの4つの州で行われている「ハーフバックデポジット」(預り金の半額を消費者に返金し、残りの半額をデポジット制度の運営費用や州の環境対策などに使用する)と形は少し似ているが、それとも少々異なるユニークなデポジット制度である。

そのパラオで、2017年12月7日から入国者に対し、環境を守ることを誓約する「パラオ・プレッジ(誓約)」を求め始めた。まだ拒否した旅行者はないようだ。

近年、旅行者の増加に伴い、サンゴを破壊したり、海にペットボトルを投げ込んだり・・など旅行者による環境破壊が目立った。ウミガメの甲羅を持ち帰る旅行者もいたようだ。

そのため、危機感を感じた女性達(メレンゲサウ大統領夫人とマーケティングに詳しい4人の女性)が環境誓約を考案したとのこと。

誓約の内容は次の通り

パラオの皆さん、

私は客人として、皆さんの美しく

ユニークな島を保存し

保護することを誓います。

足運びは慎重に、行動には思いやりを、

探査には配慮を忘れません。

与えられたもの以外は取りません。

私に害のないものは傷つけません。

自然に消える以外の痕跡は残しません。

違反者には罰則(最大100万ドル)もあるそうだ。

<参考>

日経ESG(2018.7)「入国に「環境誓約」義務付け」

Forbes Japan(2017.12.19)「パラオ政府、観光客に「環境を守る誓約書」のサイン義務付け」↓

https://forbesjapan.com/articles/detail/19004

駐日パラオ共和国大使館↓

パラオ・プレッジ(誓約)導入について|Start of Palau Pledge upon Arrival

「海洋プラスチック汚染」講演会のご案内

相模原市立環境情報センター主催事業として、講演会「海洋プラスチック汚染 -漂流するマイクロプラスチックの現状と未来-」が開催される。

講師は、関東ではお話を聞く機会の少ない九州大学の磯部篤彦先生だ。

磯部先生といえば、日本近海のマイクロプラスチック量は世界の海の27倍、という結果を調査で導き、衝撃を与えた研究者。海洋ごみやマイクロプラスチック研究では、東京農工大の高田先生と並ぶ第一人者である。

日時:10月27日(土)15時から16時30分

場所:桜美林大学 プラネット淵野辺キャンパス(JR淵野辺駅徒歩1分)

申込み、詳細は下記へ↓

http://eic-sagamihara.jp/archives/9320/