人工芝から発生するマイクロプラスチックを防止するための人工芝、というものがあるらしい。
以前もある事業者のサイトで読み、怪訝に思っていたが、確かに相模原市内のグラウンドでも、外周に、他よりも少しだけ丈の長い人工芝が使われている。
これでどれほど対策になるのかわからないが、メーカーにとってはうまい儲け話であることは確かだ。マイクロプラスチックを警戒する自治体に、防止する方法がありますよ、と持ちかけ、より多くの人工芝を売り込むことができるのだから、これほどうまい話はない。
厚木市の市議会報告を読んでいたところ、この対策用人工芝の話があった。
https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/soshiki/gikaisomuka/4/r6_1_houkoku_6/42439.html
質問者が、「人工芝とマイクロプラスチックの関連性が問題視されているが対策は」と聞いたところ、
「劣化や摩擦しやすい人工芝の張り替えを行うことで、マイクロプラスチックの発生を抑制するものである。併せて、通常の人工芝よりも長く密度の高い、外周バリア人工芝をテニスコートの外周に張ることで、マイクロプラスチックが排水溝に流れることを抑制する」と答弁したのだ。
はて?
「外周バリア人工芝」で内側のマイクロプラスチック流出を多少抑制できるとして、その外周バリアの人工芝のマイクロプラスチックはどうなるのだろう?
内側の人工芝から発生したマイクロプラスチックを、バリアで一時的に補足できたとしても、大雨が降れば、せっかく補足した分のマイクロプラスチックにさらに外周バリア分のマイクロプラスチックが加わって、マイクロプラスチックは余計たくさん流れるのではなかろうか。
マイクロプラスチックは、テニスコート上を人が走り回ってのみ発生するわけではない。紫外線や風の影響で誰も触らなくとも発生する。当然外周バリアからも発生する。そのため、外周に背の高い人工芝を張ることは、まともなマイクロプラスチック対策にはなり得ない。
また次も面白い。
質問者「人工芝は滑りやすいが、ハードコートは滑りにくく、中学テニス部の生徒からの評判もいい。環境問題も考え、今後、ハードコートに変えていく考えはあるか。」
【答弁】砂入り人工芝はクッション性があり、足腰への負担が少なく、子供から高齢者まで幅広い世代に適しており、転倒などによるけがのリスクも軽減され、コートの乾きも早く、天候に影響されにくいなどのメリットがあるため、利用者が多く、稼働率も高い南毛利テニスコートは、利用者からも好評を得ている砂入り人工芝が最も適していると考える。
将来のある中学生にとり、国際標準コートであるハードコートは必要だ。それがわかっていながら、市があえて人工芝コートを選ぶのは、おそらく人工芝コートは高齢者に人気があるため、あるいはあると思い込んでいるためだろう。
人工芝は球速が遅く、弾みも悪いため、あまりうまくなくてもラリーが続く。しかし、ハードコートは球速が速く攻撃的なプレーになるため、ラリーは続かない。
趣味で楽しみたい人には人工芝コートのほうがよいだろうが、将来プロをめざすかもしれない若者にとってはハードコートの方が当然よいはず。
市が人工芝コートを選ぶのは、選挙権のない若者よりも、選挙権のある高齢者に配慮しないと議員に叱られるせいだろうか。
しかも、人工芝にはPFASやフタル酸エステルなど、特に若い人に影響が大きい化学物質も含まれている。人工芝で練習しなければならない若い人たちは、本当に気の毒だ。