プラ製ストロー、デニーズやKFC、大戸屋等廃止 ドトールやタリーズは検討中

ガストに続き、プラスチック製ストローの使用を中止する企業が日本でも増加している。

セブン&アイ・フードシステムの運営するデニーズは、まず11月からデニーズ40店舗でストローの提供を中止する。顧客の反応などを踏まえ、2019年2月末までに全面実施するそうだ。用事など必要な客には代替品を検討している。デニーズでのストロー利用は年2100万本とのこと。

日本KFCは、プラスチック製に代わる代替品の提供を検討している。ストローや紙コップに付けるフタを断る客には特典を用意するそうだ。

大戸屋HDは、大戸屋約350店舗でストローをプラスチック製以外のものに切り替える方向で検討している。

ホテルでは、米マリオット・インターナショナルが2019年7月までに日本を含む世界でプラスチックストローを廃止するとのこと。ハイアットリージェンシー東京は9月から紙製に切り替えた。

ドトールやタリーズコーヒー、プリンスホテル、帝国ホテル、ニュー・オータニなどは、方針がまだ決まらず、しばらく現状維持のようだ。

日本では、国や自治体より先に、使い捨てプラスチック製品を使用する企業が動いた。大手は投資家を気にして廃止に踏み切ったのだろうが、小さい店でも最近ストローを提供するケースが減っている。

先日、都内でカフェや焙煎所の経営者などが集まり、「コーヒーとプラスチックのこれから」という合同勉強会が開かれたそうだ。

<出所>

日本経済新聞(2018.9.24)「外食にストロー脱プラの波 デニーズ廃止、KFCは代替 」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3568655023092018TJC000/

サステナブル・ブランド ジャパン(2018.9.6)「人気カフェにも脱プラスチックの動き 合同勉強会を開催」↓

http://www.sustainablebrands.jp/community/column/detail/1190911_2557.html

 

 

海プラ被害の大きい島嶼国 対策をとらない日本は信用失墜?!

「大洋州島嶼諸国の目からみると、プラスチック廃棄物への日本社会の反応が極めて鈍い」とのことである。

G7の海洋プラスチック憲章の署名を拒否し、国内でレジ袋有料化さえも足踏み状態が続く日本の現状を見ると、そう見えても当然だろう。

太平洋の島嶼国では、プラスチック製品の多くは海外からの輸入で、近年土に還らないごみの量が激増しているという。しかも、海岸には海外から大量のごみが流れ着く。

日本に期待されていることは、それらを燃やすための焼却炉を紹介することではなく、プラスチックごみを減らすこと(リデュース)と、リユースするための技術であるはずだ。

期待に応えるためには、日本社会も変わっていく必要がある。

<参考>

WEB RONZA(2018.9.4)「南の島国からのプラスチック文明への警告 問われる日本社会の対応」↓

https://webronza.asahi.com/science/articles/2018083000002.html

 

 

この2日間の海プラ会議、G7も環境省も都も数値目標決まらず

2018年9月19日から21日にかけて、今後日本の海洋プラスチックごみ汚染対策に影響を及ぼすであろう会議が、3つ立て続けに開催された。

しかし、どの会議も削減の数値目標も決まらない上、至急削減する必要があるという委員のコンセンサスが得られたかさえも疑問がある。

1つは9月19日から21日までカナダで開催されたG7。最も期待していた会議だったが、6月に署名拒否した日米に配慮してか、数値目標は盛り込まれなかった(時事通信、毎日新聞)。

2つ目は環境省の中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環戦略小委員会。前回欠席の高田先生が今回は出席し、頑張って意見を言ってくれたようだが、おそらく多勢に無勢。参考にされた事業者の資料を見ても、バイオプラスチックや生分解性プラスチック、容器のプラスチック量のわずかな削減・・など技術でカバーしようとするものばかり。根本的な対策や、実質的な削減の必要性の話につながる資料はJEANの資料のみ。これでは削減目標値の設定は難しい。

3つ目は東京都の廃棄物審議会のプラスチック部会。傍聴した知人によると、これが特にひどかったようだ。例えば、散乱ごみ対策としてのごみ箱設置や、レジ袋はゴミ袋としても使える・・などのような、何年も前から各地で幾度も議論され、既に解決された話がまた蒸し返されたとのこと。国立環境研究所の田崎氏が新委員に加わったことから、これから都の廃棄物審議会は多少前進するのでは?と期待するが・・・やはり多勢に無勢か?

<参考>

毎日新聞(2018.9.20)「海洋プラごみ削減で連携へ G7文書案、数値目標なし」↓

https://mainichi.jp/articles/20180920/k00/00e/030/251000c

JIJI.COM(2018.9.21)「排出削減推進で合意=海洋プラごみ問題-G7会合」↓

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018092100204&g=eco

環境省「平成30年9月19日 中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環戦略小委員会(第2回) 議事次第・配付資料」↓

http://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-02b.html

東京都「平成30年9月20日 会議次第 東京都廃棄物審議会 プラスチック部会(第1回)」↓

http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/basic/conference/resource/tokyo/index.files/300920plastic.pdf

脱ペットボトルを進めるロンドン 公衆水飲み場を16カ所増設

ロンドン動物学会と共同で#OneLessキャンペーンに取り組み、脱ペットボトルを進めるロンドンで、公衆水飲み場を16カ所も増設しているそうだ。

市内には、既に4カ所の公衆水飲み場がある。

東京都も2020年までに公衆水飲み場を増やさないと、都内がペットボトルごみで溢れてしまう。「脱使い捨てプラスチック」の態度を鮮明にするためにも、最低でもレジ袋とペットボトルの削減姿勢を「見える化」すべきだ。

<参考>

ロイター(2018.8.29)「英ロンドン、公衆水飲み場を増設 ペットボトル利用の削減呼び掛け」↓

https://jp.reuters.com/article/britain-fountains-idJPKCN1LE0C4

#OneLess

LONDON’S REFILL REVOLUTION

三井住友海上も損保ジャパンも 社員食堂のプラカップ廃止

三井住友海上火災保険は社員食堂で、使い捨てのプラスチック製ストローとカップおよびふたを廃止し、それらを紙製に切り替えるとのこと。国内の全ての社員食堂で行う。年間9万6千本のプラスチック製ストローの削減につながる見込み。

損保ジャパン日本興亜もコーヒー用のプラスチック製カップを廃止し紙製に切り替える。プラスチック製ストローは廃止。10月から本社の社員食堂で行うとのこと。1日あたり、1千個の削減になるそうだ。

よいことだとは思うが、社員食堂ならばマイカップ持参を促して、持参者には値引きするなどできないものか?とも思う。リユースも進めてほしい。

<出所>

朝日新聞(2018.9.20)「社員食堂でもプラ製カップ廃止 1日千個削減の企業も」↓

https://www.asahi.com/articles/ASL9M5HDJL9MULBJ01Y.html

カールスバーグ 缶ビールのマルチパックを廃止

ビールメーカーのカールスバーグが、ビール缶を6本連結する新たな方法を開発した。

缶同士を接着する方式(スナップパック)だという。運搬中や販売中はバラバラにならない程度に接着されているが、手で引っ張ればすぐに外すことができるとのこと。

従来のプラスチック製の6缶パックは生物への被害が大きいし、マイクロプラスチックにもなるため、歓迎だ。

日本では最近プラスチック製の6缶パックはあまり見ない。よく使われているのは紙製マルチパックだ。紙製マルチパックはリサイクルしにくいため、この接着剤がもし問題のないものならば(接着剤に使用される化学物質は問題のあるものも多い)、日本のビールメーカーもこの手のものに変更してもよいのかもしれない。

カールスバーグは、缶だけでなく、瓶ビールでも環境に配慮したそうだ。瓶のラベル印刷をCradle-to-Cradle Certifiedのインクに切り替えてリサイクルしやすいようにし、ガラス瓶に新たなコーティングを施して再利用可能回数を増やしたとのこと。

<出所>

PRINT & PROMOTION(2018.9.13)「カールスバーグ ビールのマルチパックを廃止 缶を接着する「スナップパック方式」を採用」↓

カールスバーグ ビールのマルチパックを廃止 缶を接着する「スナップパック方式」を採用

財経新聞(2018.9.18)「カールスバーグ、従来のプラスチック包装使用しない缶ビール6本パック発表」↓

https://zaikei.co.jp/article/20180910/465013.html

注意!!まだ売っているマイクロビーズ入り「スクラブ洗顔」

昨夕、 某大手ストアへ立ち寄った。

有機野菜や有機果物(有機キーウィフルーツ)なども少し扱っているため、やや遠いけれど時々行っている店で、食品スーパーとディカウントストアを合体させたような店だ。

そこで、マイクロビーズ入りのスクラブ洗顔剤と遭遇。

ネットではまだ売られているとは聞いていたが、まさかこのような全国展開している大規模店で堂々と売っているとは思わなかった。

しかも国内2メーカーの商品が、100円台のバーゲン品として、山積み!!

帰宅してから調べたところ、楽天やamazonなどでもネット販売されていた。いずれも100円台のお買い得品的な扱い(と思ったら、400円台という高額?なものもあった)。

他にもないかとネットショップを探したところ、原材料名の記載のない怪しげな商品も見つかった。いずれも安心なはずの国内メーカーの商品だ。

2016年3月に日本化粧品連合会がマイクロビーズの自主規制を開始した。連合会に加盟していなかったとしても、情報はキャッチできたはずだから、その時点でマイクロビーズ入り商品の生産を抑制し、代替品を使った新商品の開発に着手していれば、今頃になって在庫整理する必要はなかったはず。

マイクロビーズに代わる植物由来のスクラブ剤はいくらでもある(価格は少し高くなり、使用感も異なるため簡単ではないだろうが・・)。

おそらく今年6月にマイクロプラスチックの抑制を盛り込んだ改正法が成立してから、あわてて生産を中止し、在庫整理に奔走しているのだろう。

生産者として、対応があまりにもお粗末すぎないか。買う消費者がいれば作っても構わない、法律で禁止されるまでは作ってもOK、という姿勢ではメーカーとしての責任感がなさ過ぎる。

販売という形の在庫処分は中止し、適切な管理のもとできっちりと廃棄処分すべきではないか。

販売する小売店やネットショップにも、販売者としての社会的責任を自覚して欲しい。

(補筆)販売していたリアル店舗のサイトの問合せ欄に、マイクロビーズ入り商品の販売を中止してほしい旨を記載して送信した。良い返事がくればうれしいけれど・・・

(追記)返事は来なかったが、当該商品は店舗から引き上げられた(二日後に再訪したときには既になかった)。しかし、同じ系列の別店舗で売られているのかもしれない。

 

海洋汚染 ストローやペットボトルよりひどいタバコの吸い殻

いうまでもなく、タバコのフィルターもプラスチックだ。そのフィルター部分は、健康のためにタバコに付けられているものだとばかり思っていた。

しかし実際は、フィルターに健康被害を減らす効果はないそうだ。しかも「NBCニュースの報道によると、吸い殻の3分の2は道端に捨てられ、その多くが海やビーチに向かう」という。

つまり、効果がないのにタバコに付けられた挙げ句、最も多い海洋汚染プラスチックになっているということ。

環境保護団体の「オーシャンコンサーバシー」は1986年から毎年、世界最大規模のビーチの清掃活動を行なっている。これまでビーチから拾い上げられたゴミのうち、最大の件数となっているのがタバコの吸い殻で、240万本に達している。これに比べ、プラスチックボトルは160万本、プラスチックごみ袋は80万枚となっている。

このため、タバコ企業はフィルター付きタバコ販売をやめるべきだという意見が広まっているそうだ。

<出所>

Rakuten Infoseek News(2018.9.9)「プラスチックごみより酷い「タバコの吸い殻」の海洋汚染」

https://news.infoseek.co.jp/article/forbesjapan_22896/

未来世紀ジパングの海ごみ特集 途中まで良かったが、最後まさかのLIMEX押し?!

昨日(2018.9.12)放送された未来世紀ジパングの「世界のごみ問題第3弾 人類vs使い捨てプラスチック」を見た。

最初は、本ブログでも取り上げていたインド・マハラシュトラ州のプラスチック禁止令下での現地の状況報告で、プラスチックGメンや代替品の開発に沸く現地の様子を取り上げていて面白かった。

次に日本のプラスチック消費量と日本近海のマイクロプラスチック状況を取り上げ、日本は使い捨てプラスチックを使いすぎていることを指摘。ナビゲーターとコメンテーターが、スーパーのレジで食品を薄い小袋(レジ袋より薄く小さい半透明の袋)にいちいち詰めてくれるレジ係に、不要だと告げることを紹介、これもよかった(私もこれまで、レジ袋以上に役立たずごみになるだけのこの小袋をだいぶガマンしていたが、最近はきっぱり断るようにしている)。

しかし、最後に取り上げられたTBMのLIMEX容器。これでせっかくの番組が盛り下がった。

石灰石と生分解性プラを組み合わせた容器は一見すると画期的に見える。もともとは、石灰石を6割程度にプラスチック(ポリオレフィン)を4割程度混ぜて容器や名刺を作っていたLIMEXのポリオレフィン部分を生分解性プラに変更したものだ。生分解性プラはおそらくポリ乳酸を使用か。

しかし、従来のポリ乳酸は海で分解しないため、海ごみ対策にはならない。それならばむしろ、従来の紙容器にポリ乳酸で作ったフィルムをラミネートしたものの方がマシではないか。

紙は木材を使うから環境に悪いという人もいるが、木材は再生可能な資源である。適切に管理された森林から原料調達するならば、環境を破壊しない。それに比べ石灰石は、地球上に大量にある素材かもしれないが、再生不可能で、採掘は山の破壊に直結する。

いずれにせよ、インドのように脱使い捨てプラスチックを宣言し、まずは減らすことが大事だろう。そうなればさまざまな代替品が開発され、代替品市場が活性化する。G7の海洋プラスチック憲章に署名した国々はそれを狙っていたはずだ。

<参考>

未来世紀ジパング(2018.9.12)「人類vs使い捨てプラスチック」

http://www.tv-tokyo.co.jp/zipangu/backnumber/20180912/

<関連記事>

インド マハーラーシュトラ州のプラスチック禁止令

インド・マハラシュトラ州のペットボトル回収制度

香港・台湾の環境団体 ペットボトル散乱で中国メーカーに申し入れ

香港のNGO8団体と台湾のNGO3団体が合同で、香港と台湾の海岸清掃を行ったところ、ペットボトルごみの3分の2(約66%)に簡体中国語のラベルがついていた。中国本土から漂着したものとみられるという。

そのため、香港と台湾の環境保護団体が、中国本土の飲料メーカーにプラスチックごみ削減のための対策を講じるよう呼びかけたそうだ。

中国の研究チームが海水でも溶けるプラスチックを開発し、その技術を中国メーカーに提供したというニュースもあるが、分子として残るということから完全に分解するわけではなく崩壊して見えなくなるもののようだ。それでは、マイクロプラスチック問題は根本的に解決されない可能性がある。

技術開発が大事であることはいうまでもないが、日本も中国も、技術に頼る前にまずきちんとした回収システムを構築するべきだろう。

香港の回収システムは知らないが、台湾は拡大生産者責任(EPR)が徹底しているため、メーカーの支払ったお金を利用して様々な方法で回収されている。そのため、回収率は100%近い。台湾のビーチに台湾製のペットボトルがほとんど落ちていなかっただろうことは容易に想像がつく。

個人のモラルに頼る回収システムは、理想的かもしれないが、うまくいかないことは、容器包装リサイクル法制定後20年を経た今、日本の海岸にペットボトルなどのプラスチックごみや飲料缶が大量に落ちていることからもわかる。

回収システムの根底には、生産者責任の徹底が必要だろう。

<参考>

Record China(2018.9.6)「香港・台湾のビーチのペットボトルごみ、3分の2が中国から―香港紙」↓

https://www.recordchina.co.jp/b640940-s0-c30-d0139.html

人民網日本語版(2018.9.6)「中国人科学者が海水に溶けるプラスチックを開発」↓

http://j.people.com.cn/n3/2018/0906/c95952-9498126.html