学乳の紙パック、生産者責任はないのか(追記)

東京都学乳協議会の対応を巡り、各地でいろいろ問題が起きている。

問題の発端は、東京都学乳協議会(雪印メグミルク(株)、興真乳業(株)、(株)明治、東京グリコ乳業(株)、森永乳業(株))が、牛乳パック回収を断ったことが原因のようだ。

断った理由は、いろいろあるだろう。飲み残しや、ストローがさしたままになっているゴミのような牛乳パックを、牛乳を配達したトラックの帰り便に積み込みたくない、あるいは積み込むことは食品衛生法上問題がある、など。

それならば、びん牛乳にすればよいと思うが、びん牛乳を供給することは面倒らしく、それもできないと断っているようだ。そのため、世田谷区のびん牛乳も紙パックに替わる。

拡大生産者責任(処理段階までが生産者責任)の考えがないから、このようなことを平気で主張するのだろう。

いっそのこと、学校給食で牛乳を提供するのはやめればよいと思うが・・・いかがだろうか。

以下、追記

少し調べたところ、2018年6月の食品衛生法改正で衛生管理が強化されたことがきっかけのようだ。「食の国際的衛生管理手法「HACCP(ハサップ)」に沿った衛生管理が義務化された」(神戸新聞2019.10.28)とのこと。

そのため、各地の牛乳業界が回収中止を決定。以来、それまで業界に回収してもらっていた各地の学校は対応に苦慮している。

しかし、なぜ廃棄かリサイクルか、の二択なのだろう?

帰り便での回収は、工夫次第でいくらでもできるはず。ローソンは、帰り便で生ごみまで回収できるように実験している。また、自販機横の回収ボックスも、帰り便利用で回収しているように見える。スーパーで回収しているトレイも、トレイを納入したついでに回収しているのでは?

何日も放置していたものならばともかく、一日しか経っていない牛乳パックは、回収できないほど不衛生なものなのだろうか?

<参考>

神戸新聞(2019.10.28)「給食の牛乳パック、廃棄か再利用か 衛生管理強化で回収中止」

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201910/0012827553.shtml

立川市「令和2年度からの学校給食用牛乳パックの取扱いについて」↓

https://www.city.tachikawa.lg.jp/kyoikusomu/kosodate/kyoiku/iinkai/iinkai/kaisaijokyo/documents/1_3r2nenndokaranogakkoukyuusyokuyougyuunyuupakku.pdf

毎日新聞(2019.3.2)「給食牛乳パック 持ち帰りリサイクルは違法? 市教委指示、一転断念 東京・清瀬」↓

https://mainichi.jp/articles/20200302/k00/00m/040/314000c

世田谷区のびん牛乳について↓

実は簡単な話ではありません!瓶から紙パックへ。世田谷区立小中学校の学校給食で提供される牛乳の容器が変わります。

相模原市、地球温暖化対策計画案と環境基本計画案のパブコメ募集中

神奈川県相模原市では、第2次地球温暖化対策計画(案)と環境基本計画(案)についての意見を募集している。

締切はどちらも来年1月14日(火曜日)だ(必着)。

詳細は下記。環境政策課へメールでも郵送でもFAXでも提出できる。

地球温暖化対策計画について↓

http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/shisei/shisei_sanka/pubcome/1018114.html

環境基本計画について↓

http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/shisei/shisei_sanka/pubcome/1018105.html

 

小泉環境相、石炭火力抑制案の表明断念 また化石賞

COP25で、環境省は「日本が海外に輸出している石炭火力発電に制限をかける国際公約など3案を検討した」という。

しかし、首相官邸の了解が出ずに断念したとのこと。

また、石炭火力発電の認可は経済産業相の権限だから、小泉環境相が勝手にストップすることはできない。そのため、発電所新設も止められない。

要するに、日本が環境後進国になった原因は、首相官邸にあるということか。

しかし、本当に小泉環境相が脱石炭、脱原発などを望んでいるならば、同じ思いの国民は多い。手はあるはずだ。

このまま諦めれば、「ほとんど何もしていないのにずるがしこい説明と想像力豊かなPRで、行動をしていると見せかける」政治家や企業家たちと同じだろう。(以下、朝日新聞2019.12.12)

同じく演説したスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(16)は「一番危険なのは行動しないことではなく、政治家や企業家たちが、ほとんど何もしていないのにずるがしこい説明と想像力豊かなPRで、行動をしていると見せかけることだ」と指摘した。

(補筆)

小泉環境相の演説を受け、日本は今回のCOPで2度目の化石賞を受賞した。

それに対し、小泉環境相は「驚きはない。受賞理由を聞いて私が演説で発信した効果だと思った。的確に国際社会に発信できていると思う」(NHK2019.12.12)と、意味不明のコメント。負け惜しみか?

<参考>

朝日新聞(2019.12.12)「小泉氏、新たな対策出せず COP25で演説、官邸の了解出ず断念」↓

https://digital.asahi.com/articles/DA3S14291159.html?ref=pcviewer

日本経済新聞(2019.12.12)「小泉環境相、石炭火力廃止踏み込まず
COP25で演説、脱炭素へ苦しいかじ取り」↓

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191212&c=DM1&ng=DGKKZO5324001011122019EE8000

NHK(2019.12.12)「日本に再び「化石賞」小泉環境相の演説受け 国際NGO」↓

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191212/k10012211821000.html

「批判から逃げない」小泉環境相は、批判を理解しているか

小泉環境相の発言が気になる。期待していただけに、失望している。

「石炭火力への批判からは逃げない。正面から向き合う」とのことだが、それならばまず「石炭火力発電の新増設を続ける」という日本の方針を変更すべきだろう。

以下、日本経済新聞(2019.12.10)↓

11日には日本の取り組みについてスピーチする。石炭火力発電の新増設を続ける方針の日本は、世界から激しい批判を浴びている。小泉環境相は「石炭火力への批判からは逃げない。正面から向き合う」と述べ、日本の立場を丁寧に説明するとの考えを示した。

石炭火力発電のCO2排出量が大きいことは、誰の目で見ても明らか。少なくとも小泉環境相のお膝元である横須賀の石炭火力発電所の建設を、今すぐ中止すべきだ。

反対を押し切って無理に作ったところで、温暖化の加速が誰の目にも明らかになれば、早晩止めざるを得なくなるはずだ。

日本は、世界で一番温暖化の被害金額が大きかったとのこと。その日本が「化石賞」を受賞するほど、率先して石炭火力発電を肯定していてどうするつもりか。

これ以上COP25で話しても、「化石化」を証明するだけだ。もうしゃべらないでほしい。

<関連記事>

横須賀の石炭火力発電所建設を考える会 まもなく逗子で開催

安倍首相は国連演説を断られる、ドイツは0.05mm以下のレジ袋禁止

<参考>

日本経済新聞(2019.12.10)「小泉環境相「批判から逃げない」 COP25閣僚級会合開幕 」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53192610Q9A211C1I00000/

 

安倍首相は国連演説を断られる、ドイツは0.05mm以下のレジ袋禁止

9月に国連本部で開かれた「気候行動サミット」で、日本政府が安倍晋三首相の演説を要望したが国連側から断られていたという。

日本の温暖化対策や、トンチンカンなプラスチックごみ対策を見れば、断られて当然だろう。

たとえば日本では、0.05mm以上の厚さのレジ袋は無料配布OKの対象だが、ドイツでは0.05mm以下のレジ袋は禁止されるとのこと。

つまり、ちょうど0.05mmのレジ袋があれば、それは日本では無料でいくらでも配布OKだとされる。しかし、ドイツでは0.05mmでは「一度使用したあと、ほとんど再利用されない」として、たとえ有料であっても配布自体が禁止されるということだ。

さすがはドイツ。

日本のこのゆるさは、環境よりも企業の目先の利益を優先したい表れだろう。

小泉環境相も、先日外国の記者から「石炭火力をどうするのか?」と聞かれ、「減らす」と回答したものの、「どうやって?」とさらに聞かれて、返答に詰まっていた。

そりゃあそうだろう。地元の横須賀で石炭火力発電所が建設中であるにも関わらず、何もできないのだから答えられるわけがない。

日本は国連の演説を断られても仕方ない。

以下ロイター(2019.11.29)↓

日本は、安倍首相が演説し、6月に議長を務めた20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の結果を含めて報告したい意向を伝えて協議したが断られた。

G20の結果報告という大義名分を付けてさえも演説を断られたということは、日本ではG20が大成功で、日本の手柄だとされているが、国際社会ではほとんど評価されていないということだろう。

<参考>

EIC(2019.11.6)「ドイツ 連邦内閣が厚さ50マイクロメートル以下のプラスチック製レジ袋の使用を禁じる法案を承認」↓

http://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=43166&oversea=1

ロイター(2019.11.29)「安倍首相、国連演説を断られる」↓

https://jp.reuters.com/article/idJP2019112901001076

 

苫小牧にCO2を30万トン圧入、大丈夫か

北海道苫小牧市で、二酸化炭素(CO2)の累計圧入量30万トンを達成したとのこと。大規模なCCS(二酸化炭素回収・貯留)の実証実験だ。

CCSは、2019年6月に閣議決定した「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」で、「とりわけ石炭火力発電については、商用化を前提に、2030年までにCCSを導入することを検討する」と位置付けられたとのこと(経産省ウェブサイト)。しかし、そもそも世界では、石炭火力発電を止める方向で動いている。

石炭火力発電所の新規建設を放置する日本は、先進国では異端だ。CCSとセットで作ったとしても、決して歓迎されはしない。

今やるべきは、小手先のイノベーションではなく、抜本的なCO2削減の取組だろう。プラスチック削減もCO2削減に大きく寄与する。

CCSは地震を誘発するともいわれている。

地震を誘発する証拠はない、というならば、地震を絶対に誘発しない、他にも害を及ぼさない、ということを科学的にしっかり証明してからCCSを進めてほしい。

貯留した30万トンものCO2が、地震などで漏れ出すことはないのだろうか。それも心配だ。

<参考>

経済産業省ウェブサイト(2019.11.25)「北海道苫小牧市におけるCCS大規模実証試験において二酸化炭素(CO2)の累計圧入量30万トンを達成しました」↓

https://www.meti.go.jp/press/2019/11/20191125003/20191125003.html

新・地震学セミナーからの学び「国会におけるCO2地下圧入実験の審議」↓

https://www.ailab7.com/kokkai4.html

 

 

J&Jがベビーパウダーを自主回収、アスベスト混入!

ジョンソン アンド ジョンソンが、アメリカで生産・出荷されたベビーパウダー製品の一部を自主回収すると発表した。

発がん性物質であるアスベストが米食品医薬品局(FDA)の検査で、検出されたためだ。

「ベビーパウダーに使われる鉱物「タルク(滑石)」はアスベストと組成が似ており、鉱脈が近いことも多い」とのこと。

J&Jは既に同製品に1万件を超える訴訟を抱えているが、一貫して混入の可能性を否定してきた。しかし、今後裁判への影響は避けられないようだ。

日本経済新聞(2019.10.19)↓

2018年に米国で生産・出荷したベビーパウダー約3万3000本が対象。J&Jによると、ネットで購入した同社のベビーパウダーからごく微量のアスベスト(石綿)を検出したと17日にFDAから通知を受けた。

以前からベビーパウダーを赤ちゃんが吸い込むことによる健康被害は指摘されている。「アスベストの混入を防ぐ対策は30年以上も前に日本では採られているから安全」という専門家の声もある。

しかし、検査漏れの可能性などはいくらでもあり、赤ちゃんにそのようなロシアンルーレットまがいのことをする必要はない。

仮にアスベストが含まれていなかったにせよ、微粒子を吸い込むことによる悪影響も懸念される。

これを機に、ベビーパウダー使用者は使用を止めた方が安心だ。

<参考>

日本経済新聞(2019.10.19)「J&J、ベビーパウダー3万本自主回収 発がん物質混入」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51176370Z11C19A0000000/

Bloomberg(2019.10.19)「J&Jが「ベビーパウダー」自主回収、微量のアスベスト混入」↓

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-19/PZLVAJDWX2Q301

ハウスが生ごみをバイオプラの原料に、アップサイクルかも??

最近よくアップサイクルという言葉を聞く。

単なるリサイクルではなく、元の製品より価値の高いものにリサイクルすることを指すらしい。

しかし、アップサイクルを謳っているものをみると、たいていは単なるリサイクルに見える。

そう思っていたところ、ハウス食品が工場から出る野菜を植物性プラを製造するアミカテラに原料として提供するという報道があった。(日経新聞2019.10.19↓)

SBIインベストメント(東京・港)と共同で設立した「ハウス食品グループイノベーションファンド」を通じて出資した。ハウス食品グループ本社は、工場で廃棄される野菜などの植物繊維をアミカテラに原料として提供する。工場からの廃棄量削減につなげる。

アミカテラで作られる植物性プラスチックでもし必需品(「安易に使い捨てられないもの」という意味で)が作られるならば、これは「アップサイクル」の事例かもしれない、と思った。

<参考>

日本経済新聞(2019.10.19)「ハウス食品、植物性プラ製造のベンチャーに出資」↓

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO51172270Y9A011C1TJC000/

 

 

固定価格買取制度の基準見直しを

FIT(固定価格買取制度)に温室効果ガス(GHG)の基準を入れるかどうかの議論が、佳境に入っている。

経産省は、相変わらずGHG基準を入れるつもりはないそうだ。

このままではパーム油や輸入木材などがどんどん燃やされて、再生可能エネルギーとして売られることになる。

私たちが電気代に上乗せして支払う再エネ賦課金は、決してバカにならない金額。それが、インドネシアやマレーシアのパーム油生産のための森林伐採や、泥炭湿地帯の破壊に使われるということだ。

インドネシアの森林火災による煙害は、今年も激しい。乳児らの死者も出ている。パーム油を買い続ける日本にも責任があるのではないか。

輸入木材にしても、伐採地によっては地球温暖化を加速させる。

パーム油や輸入木材を燃やして発電することが、なぜFITで認められるのか、理解に苦しむ。

<煙害についての参考>

朝日新聞デジタル(2019.9.23)「インドネシアで煙害深刻、乳児ら死亡 周辺国も巻き添え」

https://digital.asahi.com/articles/ASM9P2RP1M9PUHBI00L.html

 

グリホサートと枯葉剤と自閉症

遅ればせながら、『日本が売られる』(堤未果著)を読んだ。

「民営化」や「基準緩和」などのような耳に心地よい呼び名で、日本の資産や安全がどんどん海外へ売られている、という内容。

とても考えさせられた。

もともとカジノにも水道民営化にもグリホサートにも反対だ。周囲にも反対の人が多い。

しかし、いつの間にか法律が変えられ、気付いたら話が進んでいる。これらの事柄が、なぜ突然進められてしまったのかがこの本に書かれていた。

怖ろしい話だ。

カジノは絶対に作らないでほしいが、グリホサートの危険性も明らか。

しかし、日本ではグリホサートが身の回りに溢れている。グリホサートを有効成分とするラウンドアップは、ドラッグストアでいくらでも売られているし、グリホサートのジェネリック品を使った製品も多い。

それをなんとかしてほしいと思っているうちに、日本は、小麦や野菜などのグリホサート残留基準値を大幅に緩和してしまった。

その背景もこの本で少し触れられていて驚いたが、一番ショックだったのは、グリホサートに耐性をもつ雑草については「2、4ーD」(枯葉剤の主成分)で枯らせばよいという結論になった、という部分だ。

日本では、この「2、4ーD」を使った除草剤も、その耐性遺伝子組換えトウモロコシも、既に承認されたという。

この除草剤には、ダイオキシンは含まれていないのだろうか?

また、この↓サイト情報によると、市販される多くの小麦製品からグリホサートが検出されている。

http://earlybirds.ddo.jp/bunseki/report/agr/glyphosate/wheat_flour_1st/index.html

アメリカやカナダの小麦粉は、小麦の収穫前にグリホサートを散布するプレハーベスト処理がなされているためだとのこと。

そういえば最近、日本で市販されているパンの多くからグリホサートが検出されたというニュースを聞いた。

もちろん、学校給食のパンからも検出されたという。

さらに、「グリホサートなど農薬と自閉症との関係についての調査も発表された」というから怖ろしい。

YAHOO!ニュース(2019.8.26)「グリホサート、安全神話の終焉 人体への健康被害明らかに」↓

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190826-00010001-kinyobi-soci

出生前および出生後1年目までにグリホサートなどの農薬に曝露した子どもが、曝露していない子どもに比べて、自閉症スペクトラム障害(ASD)になるリスクが高い、とのこと。

1歳未満の子どもに、市販のパンを食べさせるのはやめた方がよいということか(しかし、離乳食には食パンを使った献立がいっぱいある)。

日本の「安全安心」は、自分の利益しか考えない巨大企業と、そこから献金をもらう政治家のせいで、これからますます脅かされそうだ。