英 コカコーラがデポジット制度のビジョンを発表

イギリスでは、デポジット制度の導入を前に、環境団体が制度への詳細な希望を表明したり、既に制度を一部先取りして開始する大手スーパーなども現れ、動きが慌ただしい。

コカ・コーラ・ヨーロッパ・パートナーズとコカ・コーラ・ブリティッシュ・コロンビアも、イギリスでのデポジット制度に役立つだろう11の提案を公表した。

財務管理と不正行為の管理、イギリス全土をカバーする共通のアプローチ、非営利団体へのスキームの委託などだ。

運営費用は、回収された容器の売却益や、容器を返還しないため残った消費者の支払ったデポジット(預り金)、そして生産者と小売店によってカバーされるべきであると提案している。また、すべての当事者が制度に確実に参加するため、法律によってデポジット制度は規定されるべきだとしている。

以前公表された日本のコカ・コーラのビジョンには、回収を自治体に任せ続けたい気持ちが透けて見えて失望させられたが、ヨーロッパとイギリスのコカ・コーラは非常にまっとうな考えを持っているようだ。

デポジット制度の運営費用は、小売店によってカバーされるべきかは異論もあるだろうが(確かにそれもよいかもしれない)、容器売却益と未返還デポジットの不足分は、生産者責任によりカバーされるべきという意見には大賛成だ。

もちろん、イギリス全土にデポジット制度を導入するため、法律で規定すべきという意見も当然であろう。

<出所>

PACKAGING(2018.7.17)Coca-Cola unveils vision for deposit return scheme

https://www.packaging-gateway.com/news/coca-cola-unveils-deposit-return-scheme/

 

日本ではプラ製ストロー 廃止されない?

スターバックス(2020年までに全世界で)やマクドナルド(英国とアイルランドのみ)など、ストローをプラスチック製から紙製に切り替えると発表するファーストフードチェーンが増加している。

アメリカン航空も、プラスチック製ストローの提供を中止すると発表した。欧州の航空会社も、国がプラスチック製ストローを禁止する方針を打ち出しているところは、早晩紙製に切り替えるかあるいは中止すると発表するだろうことは想像に難くない。

ストローが鼻に突き刺さったウミガメを押さえ、ペンチでストローを抜こうとしている動画が世界中に配信されてから、世界の流れが「たかがストロー」から「ストローは危険」という考えに大きく変わった気がする。

そんな中、日本の動きは相変わらず鈍いと思っていたところ、「プラ製ストローは日本では廃止されない?」という記事を見た。

ストローの国内トップメーカーの主張によると、コストと品質の問題らしいが、それに加えて処分方法をあげる。

欧米はごみを埋め立てるが、日本は焼却するため、埋立地からストローが流れ出すことはない、そのため日本でストローのリサイクル率を上げれば、CO2削減にもなるから問題ない、という主張だ。

しかし、今後日本がストローを焼却せずリサイクルするようになったとしても、脱プラスチックの流れは変わらないだろう。(*仮にリサイクルするようになったとしても、そのリサイクル費用を誰が負担するのか?生産者責任を適用するならば、プラスチック製ストローの価格は確実に上がりコストメリットはなくなる。)

どんなに啓発しても、ごみをポイ捨てする人はどこの国にもいる。また、自分ではきちんと処分したつもりでも、意図せず処分行程から漏れ散乱することはいくらでもあり得る。

それらが環境に悪影響を与えるならば、製品の素材を変更するか、使用を禁止するのは当然で、日本は変更しなくて大丈夫、などという根拠はどこにもない。

<参考>

産経ニュース(2018.7.13)「プラ製ストローは「日本では廃止されない」? 国内トップメーカーが主張する理由」↓

https://www.sankei.com/economy/news/180713/ecn1807130013-n1.html

ナショナルジオグラフィック(2015.8.20)「鼻にストローが刺さったウミガメを救助」↓

http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/081900226/

 

ドミニカにプラスチックごみが大量漂着

海流や風の影響か、ドミニカ共和国に突如、大量のプラスチックごみが漂着し、軍や地元当局、市民らが連日清掃作業に追われているそうだ。

ここ数日で60トン回収したが、毎日新たなごみが流れ着くとのこと。

海水が見えないほどのこの大量のプラスチックごみは、一体どこから来たのだろう?

TBS NEWS(2018.7.21)「ドミニカ共和国に大量のプラスチックごみ漂着、軍などが清掃活動」↓

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3427219.html

JEANが「海洋プラスチック憲章」への署名を呼びかけ

漂着ごみや散乱ごみの調査やとりまとめをしている非営利団体のJEANが、日本とアメリカが拒否した海洋プラスチック憲章への署名を呼びかけるため、署名キャンペーンを開始した。

「プラスチックごみによる海洋汚染は国際問題です。日本政府も国際社会の一員として一日も早く『海洋プラスチック憲章』に署名し、世界の動きに追いついてください」↓

https://chn.ge/2NyGjwB

一般社団法人JEAN↓

http://www.jean.jp

JEAN版プラスチック憲章全文仮和訳↓

https://www.change.org/p/13394752/u/23297947?utm_medium=email&utm_source=petition_update&utm_campaign=429192&sfmc_tk=5KLs5c1XteHUEcuknEMDvGW5Qh7g%2fAlO7Kdzgwgp0PYloXzzRE%2fMql2YkkeqWZ39&j=429192&sfmc_sub=534725843&l=32_HTML&u=65477595&mid=7259882&jb=23

 

中国の輸入規制により、廃ペットボトルの国内受け皿が増加

使い終わったペットボトルの約半分はこれまで中国に輸出されていたが、中国の輸出規制のため、日本は国内リサイクル量を至急拡大させる必要がある。

これまではランクの落ちるペットボトルのベールは中国に買い負け、日本のリサイクル工場の処理容量は余っていた。しかし、今は容量不足だ。

この容量不足を補うために、各地で工場が増設されている。

例えば、西日本ペットボトルリサイクルは現在、年1万トンの再生PET樹脂を生産しているが、約12億円投資し、2019年1月から1万5000トンに引き上げるとのこと。

また、トレイ大手のエフピコは、既に関東エコペット工場に設備投資を行い事業拡大を進めていたが、さらに筑西工場(茨城県)の隣接地に食品容器の新工場を建設する(日経新聞2018.5.3)。

さらに、日本環境設計は、ペットボトルや古着から取り出した再生材で作る同社ブランドの衣料品を販売するとのことである(日経新聞2018.5.19)。

ペットボトルなど使い捨てプラスチックは減らすべきで、使わないほうが良いのは明らかだが、日本にこのようなリサイクルの受け皿ができることは、「燃やさない」「海外にごみを出さない」という2点において、有り難いことだと思う。

それにしても、国は来年のG20までに、使い捨てプラスチックをどの程度本気で規制するつもりだろうか。

<参考>

日経新聞(2018.5.3)「エフピコ、茨城に新工場 40億円投資、食品容器生産」↓

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO30095080S8A500C1LCC000/

日経新聞(2018.7.19)「廃プラ日本滞留、中国輸入停止で 再利用策急務に」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33111530Y8A710C1TJ2000/?n_cid=NMAIL007

危機感ない日本 使い捨てプラ大国の意識薄く

海外のプラスチック削減取組を見ていると、日本の対応の遅さが目立つ。

毎日新聞に「危機感ない日本政府」とあったが、まさにその通りで、危機感のかけらも感じられない。

そのせいか、NHKの料理番組を見ていても、相変わらずプラスチック製のジッパー付き袋やラップ、手袋などを大量に使い、まるでプラスチックなしでは挽肉もこねられない、料理もできない、冷凍も冷蔵もできない、電子レンジもかけられない、という錯覚に陥るほどだ。

G20までに策定するという「プラスチック資源循環戦略」では、まず熱回収や高炉利用のケミカルリサイクルをリサイクル率に含めることなく計算しても、他国に劣らないような目標値をぜひ設定して欲しいものである。戦略を練るのは、目標値を設定してからでよい。

<参考>

毎日新聞(2018.7.17)「プラスチックごみの海洋汚染 危機感ない日本政府」↓

https://mainichi.jp/articles/20180717/ddm/004/070/009000c

生後90日のヒナから276個のプラスチック片

国際連合広報センターが公開している動画で、ミズナギドリの解剖シーンがある。

ミズナギドリの食べたプラスチック量を人間に換算すると、ピザ12枚分に相当するとのこと。

このまま人間がプラスチックを使い続ける限り、プラスチックでお腹をいっぱいにして死ぬ水鳥やクジラは、これからもあとを絶たない。

国際連合広報センターが、ビデオ「プラスチックの海」を公開している↓

http://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/beat_plastic_pollution/

マイクロプラスチック 大西洋の深海魚の70%に

アイルランド国立大学の研究チームが大西洋の深さ300〜600メートルにいる深海魚の体内に、マイクロプラスチックが蓄積していることを突き止めた。

研究チームは、2015年にカナダ沖合で、体長3センチほどのハダカイワシやヘビトカゲギスなど7種類計233匹の深海魚の消化管の中を調べたところ、73%にあたる171匹から平均2個程度のプラスチックが見つかった。

以前の調査では11%の検出率だったとのことで、かなり上昇している。

<出所>

日経新聞(2018.7.15)「深海魚の70%にプラ粒子 大西洋、人にも悪影響の恐れ」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33023200V10C18A7000000/

マイクロプラがサンゴ白化の原因に 小さいプラほど体内に留まる傾向

東京経済大学の研究チームによると、マイクロプラスチック(MP)はサンゴの白化現象を引き起こし、死滅させることもある。

シナキクメイシというサンゴの幼体21匹に、直径0.003ミリの粒状のMPを混ぜた餌を与え、MPを食べさせなかった幼体と比較した。水槽に褐虫藻(サンゴと共生関係にある)を放ったところ、MPを食べさせなかった幼体は、全て褐虫藻を入れた直後から共生がみられたが、体内にMPが蓄積された幼体は、共生できたのは1日後で5匹、2日後でも10匹にとどまった。

また、MPは食物連鎖を通してサンゴに蓄積されることも分かり、新たに取り込まなければ徐々に排出されるものの、小さいMPほど体内にとどまりやすかったとのことである。

<出所>

毎日新聞(2018.7.15)「プラスチック危機 微小粒子、サンゴ白化の引き金」↓

https://mainichi.jp/articles/20180716/k00/00m/040/081000c?fm=mnm

 

豪雨でプラスチック原料流出

岐阜県関市のプラスチック加工会社から、テープ状のポリエチレン樹脂が数百個(数十トン)流出したとのこと。

豪雨による川の氾濫が原因とのことなので、やむを得ないことではあるが、今後このテープ状のものが細片化した際の河川や海洋への影響が心配だ。

<出所>

日経新聞「プラスチック原料流出 豪雨で数十トンか、岐阜・関」2018.7.13↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32956080T10C18A7CN0000/