ブルーボトルコーヒー、2020年末までに全米でごみゼロへ 日本の店は?

カリフォルニア生まれのコーヒーショップのブルーボトルは、全米で2020年末までに廃棄物ゼロを目指している。

手始めとして、カリフォルニア州サンフランシスコの2店舗で、使い捨てカップを廃止する方針を打ち出した。

コーヒーをテイクアウトしたい客は、マイカップを持参するか、それともデポジット(保証金)を支払い店で提供する再利用できるカップにコーヒーをいれてもらうことになる。

デポジット金額は、3〜5ドルとのこと。カップを返却すればデポジットは戻ってくる。

また、プラスチック袋入りのコーヒー豆は販売を取りやめ、コーヒー豆を購入したい人には容器を持参してもらう。

ブルーボトルコーヒーは「使い捨てカップをなくすことができることをお客様と世界に示したい」とのこと。

日本にもブルーボトルのコーヒーチェーンは何店舗かあるが、どうするのだろう?期待している。

<参考>

Los Angeles Times(2019.12.24)San Francisco cafes are banishing disposable coffee cups;

https://www.latimes.com/world-nation/story/2019-12-24/san-francisco-cafes-are-banishing-disposable-coffee-cups

 

 

今後どうなる?評価も処理方法も意見の割れる生分解性プラ

生分解性プラスチックの評価については、人によりかなり意見が割れる。

2015年の国連発表をもとに、不法投棄を助長すると声高に主張する人もいれば、海洋プラスチック汚染問題を解決するには必要だと、その必要性を説く人もいる。

ドイツでは生分解性プラスチックはマテリアルリサイクルする方向で考えられているようだ。

ポリ乳酸(PLA)をまたポリ乳酸に戻す方針らしい。

しかし、生分解性プラスチックはPLAだけではない。昨今は、さまざまなものが登場している。

それらを全部マテリアルリサイクルするなどということは、今のプラスチックの多くが生分解性に切り替わった上で、使用する生分解性プラの種類を絞り込まない限り、現実的ではない。

ではどうするのがよいか?

現実的な処分方法としては、容器包装以外のプラ(製品プラ)も容器包装と一緒に回収している一部地域で、現在既に行われている方法の延長線上の方法が考えられる。つまり、一般のプラスチックと一緒に回収して、「PP、PE、PS、その他」に分別し、「その他」は焼却する。生分解性プラはもちろん「その他」だ。

燃やすのが一番簡単で、熱さえ回収すれば、サーマルリサイクルという美名までつく。おそらく今後生分解性プラの生産量が増えたとしても、日本は燃やし続けるだろう。

しかし、循環型社会では、燃やすしかないものは医療系などよほどの必需品でない限り、作るべきではない。

PLAはもともと堆肥化することを前提に考えられたものだと聞く。だから、汚れの落ちにくいような食品容器などに利用すれば、汚れを落とさずにそのまま堆肥化できる・・はずだった。しかし、ここへ来て、誤算が生じたのではないか。

PLA製品が完全に自然に還り、農家が使えるような堆肥になるまでには相当な時間がかかる。しかも、おそらく農家はそのようなリサイクル堆肥を喜ばない。

PLAがミミズの生育や植物の成長に悪影響を与えたという報告も出てきた。

リサイクルの効率を高めるため、もっと短期間で手軽に自然に還るようにするのは簡単だ。しかし、そうすると今度は製品としての品質に問題が出る。

例えば、保存期間が3ヶ月しかない包装材は、誰も使いたがらない。倉庫で保管しているうちにボロボロになったり、中身より先に劣化するようでは、話にならない。

生分解性プラをどう考えるべきか、本当に厄介だ。

『よくわかるプラスチックの仕組みとはたらき』には、生分解性プラはLCAを実施すべきだと書かれている。ポリ乳酸は、天然素材を乳酸発酵させるところまでは石油を使わないが、乳酸を取りだして、重合させるところではかなりのエネルギーが必要だそうだ。

また、『クジラのおなかからプラスチック』には、「生分解性プラスチックでできた製品は、リサイクルには使いません。使い捨てです。プラスチックごみを減らすためにリサイクルを進めようという社会の流れのなかで、この生分解性プラスチックをどうあつかっていくのかも考えなければなりません」と書かれている。

どちらももっともだと思う・・おそらく日用品には、生分解性プラなどほとんど必要ないだろう。

だが、科学者にはもっと良い生分解性プラ(もちろん非石油系で)の開発を続けてもらい、意図せず海に落ちたプラスチック製品は速やかに分解する・・そんな製品を開発してほしいとも思う。

いずれにせよ、来年7月からのレジ袋有料化後も、生分解性プラのレジ袋は無料配布が認められる方向だが、そんな必要などない。消費者サービスのつもりならば、大きなお世話だ。

 

プチ「脱プラ」宣言⑬紅茶は「脱マイクロプラ」で

ティーバッグから100億個以上のマイクロプラスチックが出る、という報道をみて以来、紅茶はリーフティーで飲みたい、と思う。

しかし、最近いただく紅茶は、たいていがティーバッグだ。

いかにもナイロン製に見えるティーバッグはもちろんのこと、不織布製のティバッグも大半が合成樹脂だ。一見紙製に見えるティーバッグにもオレフィン系などの合成樹脂が塗布されているものが多い。

とすると、ほとんどのティーバッグからマイクロプラスチックが出そうだ。そう思うと、最近は自分で購入したリーフティを飲みがちだった。

しかし、せっかくいただ美味しい紅茶を古くしてしまうのはモッタイナイ。ティバッグの上部をハサミでカットし、中身をティーポットに入れ、茶こしで淹れてみた。

茶こしの目よりも細かい茶葉を想像していたが、余裕で茶こしで漉せた。(しかも美味しい!)

ついでに、以前購入したティーバッグ入りのルイボスティーも、中身だけをティーポットに入れ、湯を注いでみた。ルイボスティーは沈むようで、茶こしを使わなくても十分飲める。

これは「脱プラ」とはいえないが、マイクロプラスチックを摂取しないのための自衛手段だ。脱マイクロプラか?

<関連記事>

プチ「脱プラ」宣言⑫トイレットペーパー「うれしいトレペ」

有機JASにゲノム編集技術を認めない方向性歓迎。でも・・

農林水産省は、有機JASにゲノム編集技術を使って生産されたものを原材料等に使用できないことを明確にした改正を行なう方向性を11月8日に発表、パブリックコメントを募集した。

生活クラブ連合会も「有機JASにゲノム編集技術を認めない方向性を歓迎」するというパブコメを提出したとのこと。

安全性に不安の多いゲノム編集食品が、オーガニック認定されないことが決まりつつあるのは、暗いニュースが多いなか朗報だ。

ゲノム編集食品に関しては、企業が厚生労働省に事前に相談し、技術の詳細や有害物質を含まないことを届け出れば、販売できる制度が10月から始まっている。

今のところ届け出はゼロのようだが、おそらく様子見だろう。

消費者が忘れかけた頃に、表示されずにシレッと売られ始めてしまうのだろうと思う。

<参考>

日本経済新聞(2019.12.4)「ゲノム編集食品「届け出ゼロ」 普及阻む壁は」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52896570T01C19A2000000/

PR TIMES(2019.12.18)「有機JASにゲノム編集技術を認めない方向性を歓迎します 生活クラブ連合会がパブリックコメントを提出」↓

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000427.000002456.html

 

誰がクジラを殺した?クジラの胃から100キロのプラごみ

英国スコットランドの海岸で11月に見つかったクジラの死骸を解剖したところ、お腹からロープやペットボトル、コップ、手袋など100キロものプラスチックごみが見つかったという。

100キロものプラスチックごみを飲み込んでいたのは、まだ10歳の若いクジラで、ハクジラの一種のマッコウクジラだ。ヒゲクジラは、ヒゲ板でエサをこしとるため、これ程のプラスチックを飲み込むことはないそうだ。

私たちがプラスチックを使い続け、海底に大量のプラスチックが沈んでいる限り、クジラの悲劇は終わらない。

海洋生分解性プラスチックも、海ですぐに分解するわけではないから、このような悲劇を終わらせる役には立たない。

社会システムが適切に整備されていれば、散乱ごみはそんなにひどいことにはならないはずだ。クジラを殺したのは、ごみを捨てた人だけの責任ではない。

プラスチックは大変便利で、現時点ではある程度は必要だと思われるが、パンドラの箱を開けてしまったような気がする。

早急かつ抜本的なプラスチックの大幅削減政策と、漁具や容器にはデポジット制度を中心とする徹底した回収・再利用政策が必要ではないか。

<参考>

SPUTNIK(2019.12.3)「スコットランドでマッコウクジラの胃の中から100キロのゴミ発見」↓

https://jp.sputniknews.com/incidents/201912036885623/

ナショナルジオグラフィック(2019.12.11)「クジラの胃に100kgのごみ、なぜプラごみ食べる?」↓

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/120900714/

 

 

韓国、テイクアウト用使い捨てカップを有料化 台湾でも規制強化

既にカフェなどでの店内飲食で、使い捨てカップ提供が禁止されている韓国では、今度はテイクアウト用カップにも規制をかける。

2021年からテイクアウト用の使い捨てカップには「カップ代」が必要になるのだ。

さらに、2022年からはプラスチック製のストローやマドラーも禁止。紙や木製ならば使用可能だ。

2021年からデリバリーの際についてくる使い捨てスプーンや箸は、客が要求した場合に限り有償で提供される。

生鮮食品を入れる発泡スチロール箱は、2022年までに定期的に同じ場所に配達する場合は、再利用できる箱に変更とのこと。

また、おまけ商品の販売は2020年から禁止されるなどにより、使い捨て用品の削減効果は、2022年には40%、2030年には60%以上削減される見込み。

韓国の脱使い捨て政策は、ますます進んでいく。

また、台湾でも、多くの自治体のフードコートなどで、来年から使い捨て食器の提供が禁止されるそうだ。

<関連記事>

台湾も使い捨てプラスチック製品を2030年までに全面禁止

<参考>

「使い捨てプラスチック製品、使用禁止を拡大(ニュースde韓国語#091)」↓

https://www.newsdekorean.com/posts/7354708/

「台湾の各自治体、百貨店・量販店での使い捨て食器の使用を順次禁止へ」↓

https://jp.taiwantoday.tw/news.php?unit=151&post=167602&unitname=ニュース-政治&postname=

相模原市、地球温暖化対策計画案と環境基本計画案のパブコメ募集中

神奈川県相模原市では、第2次地球温暖化対策計画(案)と環境基本計画(案)についての意見を募集している。

締切はどちらも来年1月14日(火曜日)だ(必着)。

詳細は下記。環境政策課へメールでも郵送でもFAXでも提出できる。

地球温暖化対策計画について↓

http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/shisei/shisei_sanka/pubcome/1018114.html

環境基本計画について↓

http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/shisei/shisei_sanka/pubcome/1018105.html

 

イオンモールがベトナムで脱プラ、日本でも2020年から

イオンモールが、11月からベトナムの全商業施設を対象に、フードコートで使うストローをコメ由来や紙製に段階的に変更しているそうだ。

日本でも2施設で実験を始め、来年(2020年)には全142施設に広げるとのこと。

出店企業はレジ袋を有料化し、イオンモールが紙製ストローを提供する。

カップなども環境配慮型に切り替えるそうで、どんなものに切り替わるのか楽しみだ。

既にレイクタウンkazeなどではプラスチック製ストローを置いていないようだ。ストローの場合、まずは要るか要らないかを聞いて欲しいが、それがどの程度徹底されているか、気になるので今度試してみたい。

紙ストローのウェブサイトを見ると、日本では意識ある企業だけが努力しているが、海外では州政府や国が「プラスチック製ストロー提供禁止」などを決めている。

レジ袋も同様だが、海外のように禁止の方針をはっきり政府が打ち出す方が、消費者にもわかりやすいし、提供する企業もやりやすいはず。日本は、声の大きなメーカーなどへの忖度で、禁止できないのだろうか。

<参考>

日本経済新聞(2019.12.11)「イオンモール、脱プラ本格化」↓

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO53197660Q9A211C1TJ1000/

紙ストローメーカー直営 paper-straw.jp「紙ストローに対する各国や有名企業の最新動向」↓

https://www.paper-straw.jp/page/32

小泉環境相、石炭火力抑制案の表明断念 また化石賞

COP25で、環境省は「日本が海外に輸出している石炭火力発電に制限をかける国際公約など3案を検討した」という。

しかし、首相官邸の了解が出ずに断念したとのこと。

また、石炭火力発電の認可は経済産業相の権限だから、小泉環境相が勝手にストップすることはできない。そのため、発電所新設も止められない。

要するに、日本が環境後進国になった原因は、首相官邸にあるということか。

しかし、本当に小泉環境相が脱石炭、脱原発などを望んでいるならば、同じ思いの国民は多い。手はあるはずだ。

このまま諦めれば、「ほとんど何もしていないのにずるがしこい説明と想像力豊かなPRで、行動をしていると見せかける」政治家や企業家たちと同じだろう。(以下、朝日新聞2019.12.12)

同じく演説したスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(16)は「一番危険なのは行動しないことではなく、政治家や企業家たちが、ほとんど何もしていないのにずるがしこい説明と想像力豊かなPRで、行動をしていると見せかけることだ」と指摘した。

(補筆)

小泉環境相の演説を受け、日本は今回のCOPで2度目の化石賞を受賞した。

それに対し、小泉環境相は「驚きはない。受賞理由を聞いて私が演説で発信した効果だと思った。的確に国際社会に発信できていると思う」(NHK2019.12.12)と、意味不明のコメント。負け惜しみか?

<参考>

朝日新聞(2019.12.12)「小泉氏、新たな対策出せず COP25で演説、官邸の了解出ず断念」↓

https://digital.asahi.com/articles/DA3S14291159.html?ref=pcviewer

日本経済新聞(2019.12.12)「小泉環境相、石炭火力廃止踏み込まず
COP25で演説、脱炭素へ苦しいかじ取り」↓

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191212&c=DM1&ng=DGKKZO5324001011122019EE8000

NHK(2019.12.12)「日本に再び「化石賞」小泉環境相の演説受け 国際NGO」↓

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191212/k10012211821000.html

「批判から逃げない」小泉環境相は、批判を理解しているか

小泉環境相の発言が気になる。期待していただけに、失望している。

「石炭火力への批判からは逃げない。正面から向き合う」とのことだが、それならばまず「石炭火力発電の新増設を続ける」という日本の方針を変更すべきだろう。

以下、日本経済新聞(2019.12.10)↓

11日には日本の取り組みについてスピーチする。石炭火力発電の新増設を続ける方針の日本は、世界から激しい批判を浴びている。小泉環境相は「石炭火力への批判からは逃げない。正面から向き合う」と述べ、日本の立場を丁寧に説明するとの考えを示した。

石炭火力発電のCO2排出量が大きいことは、誰の目で見ても明らか。少なくとも小泉環境相のお膝元である横須賀の石炭火力発電所の建設を、今すぐ中止すべきだ。

反対を押し切って無理に作ったところで、温暖化の加速が誰の目にも明らかになれば、早晩止めざるを得なくなるはずだ。

日本は、世界で一番温暖化の被害金額が大きかったとのこと。その日本が「化石賞」を受賞するほど、率先して石炭火力発電を肯定していてどうするつもりか。

これ以上COP25で話しても、「化石化」を証明するだけだ。もうしゃべらないでほしい。

<関連記事>

横須賀の石炭火力発電所建設を考える会 まもなく逗子で開催

安倍首相は国連演説を断られる、ドイツは0.05mm以下のレジ袋禁止

<参考>

日本経済新聞(2019.12.10)「小泉環境相「批判から逃げない」 COP25閣僚級会合開幕 」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53192610Q9A211C1I00000/