全国農業協同組合連合会(JA全農)と全国複合肥料工業会、日本肥料アンモニア協会は昨日(1月21日)「世界的に問題となっている海洋プラスチックごみによる汚染抑止に向け、2030年までにプラ製のカプセルで覆った肥料の使用ゼロを目指す方針を公表した」とのこと。
報道各社は、ほぼ同じ論調で「プラ製肥料、30年ゼロへ」などと発表した。
例えば、時事通信は↓
「プラ製肥料」、30年ゼロへ=JA全農など、海洋汚染対策で方針
時事通信 / 2022年1月21日 20時40分↓
https://news.infoseek.co.jp/topics/220121jijiX446/
「環境団体は昨年の調査で、5ミリ以下のマイクロプラスチックの海洋への流出量は年間約157トンと推計。このうち15%が肥料用カプセルとし、削減が喫緊の課題」。
というように、2030年までには肥料カプセルがすっかりなくなるかのような報道で、私もすっかりうれしくなった。この157%とか15%というのは環境ベンチャーのピリカが以前出していた数字だ↓
https://plastic.research.pirika.org
しかし、各社同じような報道をしているので、ネタ元を調べたところ、全農のサイトにアップされていた。
それを読むと、ゼロにするとも廃止するとも書かれていない。
それどころか、「2030年にはプラスチックを使用した被覆肥料に頼らない農業に」ということで、「被膜殻の流出防止対策」とか「被膜の薄膜化」などという文言まででている。
これで本当にゼロになるのか、と不安になった。流出防止策を講じても、田んぼには残る。それをどうするつもりか?また、コーティング剤が薄くなれば、酸化による劣化が進みやすくなるし、海岸などでは目立たなくはなる。しかし、マイクロプラスチック問題の本質的な解決にはならない。
その点で、ヘタをすると洗顔剤のマイクロビーズの二の舞になるのではないか。
マイクロビーズは、「スクラブ剤として使用されている洗い流しタイプの化粧品」の店頭販売はなくなったが、スクラブ剤以外の目的で使われているものや、洗い流しタイプではない化粧品や日用品にはまだフツーに使われ、売られ続けている。
それにも関わらず、あたかもマイクロビーズが、化粧品や日用品には一切入れられていないと、一般の人に誤解させるように周知され、幕引きされた。