マイクロプラスチックが葉の気孔から植物に侵入し、蓄積

これまで植物は、根からマイクロプラスチックを吸収することがイタリアや米国、中国の研究などで判明していた。可食部分まで到達するマイクロプラスチックもあるが、途中で可食部分以外の場所に蓄積する分も多いようなので、あまり気にしていなかった。

また、木の葉もマイクロプラスチックを蓄積していることも報告されていた。エピクチクラワックスなどにマイクロプラスチックを溜めている。

この度ネイチャー(2025年4月)に、マイクロプラスチックが気孔から植物に侵入することが発表された。

中国・南開大学と米マサチューセッツ大学の研究で、工場や埋立地近くの植物は、特にマイクロプラスチック蓄積量が多いようだ。

「高汚染地域(例: ダクロン工場や埋立地)では、葉の乾燥重量1グラムあたり最大104ナノグラムのPETおよびPSポリマーが検出され、屋外栽培された葉物野菜では、PETおよびPSが乾燥重量1グラムあたり102~103ナノグラム検出された」とのこと。

特にPETとポリスチレンが多い。

https://www.nature.com/articles/s41586-025-08831-4

葉物野菜も例外ではない。

https://www.afpbb.com/articles/-/3572854?act=all

キャベツなどは外側の葉を取ればよいとしても、ほうれん草や小松菜などはどうしたらよいだろうか。洗っても完全には落ちないだろうが、水でよく洗うしか手はなさそうだ。

紙製容器にもPFAS 、プラスチックコーティングとどちらがマシか

PFASが含まれている紙を調べていたら、「電子レンジ用ポップコーン袋」とあった。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06230340105

どんな袋かと調べたら、フツーの紙袋にしか見えない。他に「持ち帰り用の板紙容器」とある。これはケーキやドーナツの箱などのことだろうか?

ファストフードの包装紙は警戒していたが、ケーキなどの箱は盲点だった。

アメリカの研究では「デザートとパンの包装紙には56%、サンドイッチとバーガー類の包み紙には38%、紙箱には20%のPFASが含まれていたことが明らかになっています」とのこと。

また、紙コップはポリエチレンがラミネートされているので、PFASは使われていないという。

https://www.eurofins.co.jp/pfas分析-pfospfoapfhxs等/pfas-media/世界のpfasニュース/pfasは紙コップにも使用されている-国内外の調査結果と企業の動向/

要するに、油分や水分の多いものを紙で包む際は、プラスチックかPFASのどちらかを使わないと染み出すということか。どちらがマシだろうか?とつい考えてしまうが、やはりマイ容器を持参して買う以外は安心できないようだ。

マイクロプラスチックが子どものADHDと関連する可能性

2025年4月に発表された中国の研究によると、マイクロプラスチックは、ADHD(注意欠陥多動性障害)の症状と関連がある可能性があるようだ。

6〜9歳の子ども1000人の尿を調べ、保護者に質問し、尿中のマイクロプラスチックと回答とを付き合わせた結果だ。

尿中マイクロプラスチックの中央値は、100mLあたり9個。尿中マイクロプラスチックの粒子数の増加は、情緒問題、行動問題、過活動、対人関係問題のスコアの上昇と正の相関が見られた。

調べた尿中のマイクロプラスチックは、ポリアミド(ナイロン)、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC)。

主な結果は以下の通り。

• 情緒的問題では、ポリアミド(PA)とポリプロピレン(PP)が正の関連。総マイクロプラ濃度も有意な正の関連。
• 行動問題はマイクロプラ曝露と一貫して有意に関連しており、特にPPで最も高い関連が見られた。
• 過活動はすべてのマイクロプラの種類と正の関連があり、総マイクロプラ濃度の影響が顕著。
• 対人関係問題は、すべてのMP種類と有意に関連しており、総マイクロプラの関連が最も強かった。
• 向社会的行動は保護的関連を示し、尿中マイクロプラの増加は向社会的行動の低下と関連。

これまでナイロンは丈夫で長持ち、化学物質の問題もあまりないプラスチックだと思っていたが、そうでもないようだ。

それにしても、なぜポリエチレンを調べなかったのだろうか。尿には多くのポリエチレンのマイクロプラスチックが含まれているはずなのに。

<出典>

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0147651325004336

焦げ付き防止フライパンはやっぱり危険

2022年のコンシューマーレポートによると、「PFOAフリー」「毒性なし」と書かれたPTFEコーティング(フッ素樹脂加工)のフライパンからPFOAを含む多くのPFASが検出されている。

https://www.consumerreports.org/toxic-chemicals-substances/you-cant-always-trust-claims-on-non-toxic-cookware-a4849321487/

コンシューマーレポートが調べたフライパンは次の三種類。

Our Place Always Pan(セラミックコーティング)
Red Copper Pan(セラミックコーティング)
Swiss Diamond Pan(PTFEコーティング)

セラミックコーティングの2製品からはPFASは検出されなかったが、PTFEコーティングのフライパンからはPFOAを含む16種類のPFASが検出されたという。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/24/021600096/?P=2

しかも、結構な濃度だ。PFOAを含まない製品でさえ、製造方法により化合物が含まれている可能性があるとのこと。

PFASを摂取したくなければ、鉄やセラミックコーティングのフライパンが推奨されている。

仮にPFOAを含まずPTFEだけだったとしても、PTFEは内臓や尿から検出されているので、「分子量が大きいから体内に吸収されない」というのは間違いだ。尿から検出されるということは、血流に乗って全身を回ってから腎臓までたどり着いたということだ。

しかも、フライパンに使われているかどうかは知らないが最近は低分子量のPTFEというものもある。

https://www.mc-fluoro.co.jp/fluoropolymer/ptfe/

高分子であろうと低分子であろうと、体に入ったらどういう動きをするかわからない。PTFEもPFASの一種なのだから、やはり安心できない。使わないに越したことはない。

米カリフォルニア州、発泡スチロール製食器を禁止

カリフォルニア州で、発泡ポリスチレン(発泡スチロール)製食器を禁止することが決まった。

2022年に決まったプラスチック汚染防止法案で、プラスチック業界が2024年末までに25%のリサイクル率を達成できない限り、その素材は禁止されることが決まっていた。

しかし、発泡ポリスチレン食器は25%のリサイクル率を達成できなかったため、禁止が施行されることなった。どのように施行するか、違反した場合はどうなるか、など詳しいことはまだ未定とのこと。

日本でも、テイクアウトや弁当屋などの他、スーパーなどではトレーとしてポリスチレン製食器が使われているが、リサイクル率は何パーセントあるのだろうか?

ポリスチレンはマイクロプラスチック化しやすい上、スチレンオリゴマーなどは有害性が指摘されている。空気で膨らんでいるため、回収・運搬時などは空気を運んでいるようなものだから、リサイクル効率も悪い。

日本でも禁止する方がよいのではないだろうか。

<出典>

https://www.nbclosangeles.com/news/local/california-to-enforce-styrofoam-ban-calrecycle-says/3671337/

プラスチック容器が心臓病リスクを高める!

学術誌『Ecotoxicology and Environmental Safety』 に掲載された研究によると、頻繁にプラスチックを使う人は心不全を発症するリスクが高いことが明らかになったそうだ。

研究者たちは、3000人以上の人々のプラスチックへの曝露と心臓病の有無について調査した。その結果、プラスチック容器から食事をとることを含め、頻繁にプラスチックに晒されている人(プラスチック製テイクアウト容器の使用頻度が高い人)ほど、心不全のリスクが13%高くなった。

また、テイクアウト容器に沸騰したお湯を注ぎ、その水をマウスに飲ませたところ、腸内細菌に変化が見られ、さらにマウスの心臓組織に“広範な”損傷が確認されたという。

https://www.womenshealthmag.com/jp/food/a63987221/plastic-takeout-containers-increase-heart-disease-risk-study-20250323/

食品添加物も怖いが、食品の場合は原材料名が書かれているからまだしも自衛できる。しかし、食品容器にはどういう添加剤が使われているか、まったくわからない。

国連環境計画のレポートによると、プラスチックには1万3000種類以上の添加剤が使われていて、そのうち6000種類以上は安全性を調べられていない。プラスチックを極力使わないようにするしかない。

https://www.unep.org/resources/report/chemicals-plastics-technical-report

「資源の高度化法」施行されたはよいけれど、大丈夫?

今年2月、「資源の高度化法」(資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律)が施行された。

https://www.env.go.jp/press/press_04242.html

しかし、この法律、大丈夫なのか?

UNEPの報告書によると、プラスチックから検出される化学物質は1万3000種類以上にのぼるとのこと。うち、「約7000種類のプラスチック関連物質に関する広範な科学データは、そのうち3,200種類以上が懸念される有害性を持つ」と書かれている。

要するに、1万3000種類のうち、データがあるのは約7000種類で、約6000種類は有害性の有無の分析すらされていないということだ。

https://www.unep.org/resources/report/chemicals-plastics-technical-report

そんな中、リサイクルばかり進めて大丈夫なのだろうか。とりわけ、プラスチックのリサイクルを進めるのは非常に不安だ。

特に日本は、内分泌かく乱化学物質についての規制が海外に比べ非常に緩い。まず、問題のある化学物質を禁止し、それでプラスチックが使えなくなるのであればプラスチック以外のものに代替し、その上でリサイクルを進めてほしい。

プラスチックを循環させると言うことは、プラスチックに使われている1万3000種類以上の化学物質も、用途を限定せず循環させてしまうことを意味する。あまりにも危険だ。

ガム1枚で数百のマイクロプラ、天然ガムでも同程度

ガムを噛んで口の中の唾液を採取し、マイクロプラスチックを数えた研究が発表された(ジャーナルではまだ未公開)。

「合成成分のガム1グラムあたりのマイクロプラスチックの平均個数は104個で、天然ガムでは96個だった」とのこと。

https://www.cnn.co.jp/fringe/35230963.html

しかも、一部のガムでは1グラムあたり637個のマイクロプラスチックが放出されたそうだ。

噛み始めで大半のマイクロプラスチックが放出されてしまうらしい。「ガムを口に入れてから2分以内にマイクロプラスチックの大半が剥落し、8分後にはマイクロプラスチック粒子の94%が放出」されたとのことだ。

https://gigazine.net/news/20250328-chewing-gum-microplastics/

イメージ的には、味がなくなってからもクチャクチャ噛むほうがマイクロプラスチック放出に繋がるような気がするが、そうではないらしい。

しかし、なぜ高価な天然ガムからもマイクロプラスチックが放出されたのか?

海外研究ではセルロースもマイクロプラスチックとしてカウントすることが多いから、マイクロプラスチックの概念が日本とは異なるのかもしれないが、天然ガムとは名ばかりだった可能性はないだろうか。

シンガポール、デポジット制度開始を一年延期

シンガポールでは、今年の4月から飲料容器デポジット制度を開始する予定だったが、2026年4月1日に開始することが決まった。

飲料生産者や小売業者を含むすべての利害関係者が消費者の便宜のためにスキームをスムーズに設計および運用するための移行期間として、2026年7月1日まで猶予が与えられる。

それまでの間に、スキームの対象となるすべての飲料容器には、デポジットマークのラベルが付けられ、10セントのデポジットを携帯する必要があるとのこと。その間に払い戻しの資格のない飲料容器の在庫を清算する。

目標は、制度開始3年目から80%の返却率を達成することで、デポジットも返金も10セント。大型スーパーやコミュニティスペースなどに自動回収機を置く計画だ。

<出典>

https://www.nea.gov.sg/our-services/waste-management/beverage-container-return-scheme

<関連記事>

ラテンアメリカ発 ウルグアイでデポジット制度開始

ウルグアイで飲料容器のデポジット制度が開始された。ラテンアメリカで初めてとのこと。

出典:https://www.logisticsbusiness.com/packaging-ecommerce/uruguay-launches-deposit-return-system/?utm_source=chatgpt.com

対象は、ガラス、アルミ、プラスチック、そしてlong-life multilaminates(長寿命のマルチラミネート?アルミ付き紙パックのようなものか?)とのこと。

詳しい情報はないので不明だが、2022年に環境省が承認した国家計画のようだ。

Reloopの『2022年グローバル保証金システムマニュアル』(Global Deposit Book 2022)によると、「現在全世界に50種類以上の異なる「保証金制度」があり、飲料容器の回収率は平均76%に達する。2026年末には、約7億4800万人がデポジット制度を導入している国や地域に住むことになる」のだそうだ。

デポジット制度の根底には「生産者責任」の考えがある。生産者が責任を持って容器を回収すべきだという考えのもと、世界各地でデポジット制度が採用されている。

日本のように企業と政治家、官僚が密接に結びついている国では、残念ながらデポジット制度が採用されることはない。

わからないのは、デポジット制度を推奨することと、ペットボトルを推奨することは同じだと決めつける一部の「環境系」の人たちの言動だ。

デポジット制度を理解していないにも関わらず、反対派の尻馬に乗って「ペットボトルなど回収してもしようがない。使わないことが一番大事なのだから」としたり顔でデポジット制度反対を唱える。どうにもガマンできない。

そんなわかりきったことを言うならば、さっさと「ペットボトル反対運動」でもやるべきだ。