メディアは是々非々でなければならないはずなのに

メディアは、客観的に物事をみて、よいことはよい、悪いことは悪い、というものだと思っていた。もちろん、スポンサーに対しては一定の配慮というか忖度することもあるだろうが、それでもわざと誤った報道をするはずがない、と信じていた。

しかし、違ったようだ。

TBM訴訟について、こんな記事があった↓

https://sustainablejapan.jp/2022/10/03/tbm-alterna/77757

明らかにおかしな記事で、検査機関であるCERIが「容器包装リサイクル法上では、オルタナが実施した方式とは異なる熱重量測定方法を⽤いるのが⼀般的」だと表明し、まるでCERIが他の方法でも検査したら石灰石成分が最大であったかのような、あり得ない記載がなされている。

Sustainable Japanはまともなメディアだと思って、時々読んでいただけに・・・残念。

一体こことTBMは、どういう関係があるのだろうかと思い、ググってみたところ、Sustainable Japanの夫馬氏はTBMのファンとのこと。

https://fan.tb-m.com/fanvoice/79/

いくらファンでも、この記事はあり得ない。

裁判所、TBMの訴え認めず

オルタナのライメックス記事をめぐる裁判は、オルタナの全面勝訴だったようだ。

当然の結果だろう。プラスチックに重量で半分ほど石灰石を混ぜたからプラスチック製ではない、だから容器包装リサイクル法の再商品化費用を払わなくてよい、などというのは、全くおかしい。

検査方法によってプラスチックが最大成分になったり、石灰石が最大成分になったりするような製品が「プラスチックの代替品だから容リ法上のプラスチックには当たらない」といわれても腑に落ちない。

そもそも、そういう解釈が成り立つような容器包装リサイクル法の仕組み自体ヘンだ。こんな解釈がまかり通るならば、例えばPSトレーにタルクなどを少し多めに混ぜて、「プラスチックに重い石をまぜたから、もはやプラ製容器包装ではありません」ということもできる。

さらに、その分プラスチックを減らしたからエコです、ということも可能だ。

裁判では、訴訟内容の対象外だったため製品の正当性までは問題にされなかったようだが、この手の製品が増えると、再商品化費用を真面目に払っている企業が気の毒に思える。

消費者は、再商品化費用を払っているかいないかなどわかるはずもないから、プラスチック製だと思って、回収に出してしまう。そうすると、その処理費用は真面目に再商品化費用を支払っているメーカーの負担になる。

この手の製品が増えると、容リ法の存続すら危ぶまれる。

プラスチックを使用している製品は、充填剤も含めた総重量で、プラスチック製容器包装としての再商品化費用を負担すべきだ。

<参考>

オルタナ↓

シンガポール、デポジット制度導入か

シンガポールの環境庁が、飲料容器にデポジット制度を導入することについて、パブリックコメントを募集している。

デポジットの金額は 10 から 20 シンガポール セント (7 から 14 セント) で、対象はアルミ缶とペットボトルだそうだ。紙パックやガラス瓶は、あとで対象にするかを検討するとのこと。

回収方法は、基本的に自動回収機を使うが、大規模なスーパーでは店頭での返金も求められている。

<参考>

recycling today(2022.9.22)

https://www.recyclingtoday.com/article/singapore-beverage-deposit-return-recycling-aluminum-plastic/

違法漁業・不当労働で捕られた魚、日本は世界2位の購入国

先日のクローズアップ現代で、「食卓の向こうに“闇”がある 追跡!シーフード産業の実態が放送された。

https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/R7Y6NGLJ6G/episode/te/1ZVRZGQV95/

違法漁業や人権侵害などの不当行為により捕られた魚の購入国だと、日本は保護団体から名指しされました。そういう魚を世界で2番目に多く買っているとのこと。

ミャンマー、ラオス、カンボジア、タイなどの貧困層から騙されて連れてこられた従業員は、奴隷のように船上で働かされ、過酷な労働に自殺者も出ているそうだ。

そのように捕られたマグロは、日本の清水港に水揚げされていることがわかっているが、他の魚は他のルートでも来ているのだろう。

救出された従業員が会社から補償を受けられるケースは少ないと、以前みた映画でもいっていたが、私たちが安い魚や寿司を食べられる背景には、まさに「不都合な真実」がある。

ファミマ、プラ製フォーク廃止に続き、焼きうどん容器にバイオ素材配合 バイオ配合って??

ファミリーマートがプラスチック製フォークの廃止を決定したと聞き喜んでいた。今度は焼きうどんと焼きそば容器を薄肉化し、バイオ素材を配合するという。

プラスチック削減になるのはよいことだと思うが、この「バイオ素材配合」の文言が少し気になる。

どんなバイオ素材なのか?また、どのように「配合」したのか?

おそらく、バイオPE(ポリエチレン)などを配合したのではないかと思うが、この書き方ではバイオマスを原料に使用したとも受け取れる。

もし、プラスチック原料の一部にバイオマスを使用したならば、バイオマスプラスチックにしたと宣伝するはず。そう宣伝しないのは、ごくわずかしかバイオマスを使用していないせいか、それとも、バイオマスを細かくしてフィラー(充填剤)として混ぜ込んだだけなのか?

もし、後者ならば、このフィラー量が気になる。今はまだ少なそうだが、もしいずれ増えればどうなるのだろう?

フィラーとしてプラスチックより多い量をプラスチックに混ぜ込んでいれば、「フィラーが最大成分だから、これはプラスチック製容器包装ではないし、バイオマスプラスチックでもない。従って、容器包装リサイクル法のプラスチック製容器の対象ではない」と言い張れるのではなかろうか?(もちろん、ファミマはそんなアコギなことを言わないと信じているが・・)

言葉の定義も法律の定義も曖昧なので、その手のものが増える前に、定義をしっかり詰めてほしいものだ。

できれば容器包装リサイクル法を改正し、プラスチックを使用したものはフィラーがバイオマスであろうと非バイオマス(石灰石など)であろうと、最大重量が何かにかかわらず、フィラーも含めた重量を「プラスチック」と考え、その全重量分の再商品化費用を事業者に負担させるべきだろう。

トイレットペーパー訴訟 日本製紙が大王を提訴

日本製紙クレシアが大王製紙を提訴した。特許侵害とのこと。どの特許?と思って、記事を読んだところ、「3倍巻」とのこと。

写真を見たら、日本製紙のスコッティの3倍巻の写真を見たら、300mと書かれている。てっきり1ロールが300mだと思ったら、75mx4ロール・・。

たった75m巻でなんで3倍巻?1ロール25m巻で計算されているようだ。確かにダブルだからシングルの半分の長さしかないのはわかるが、1ロール25mでは短すぎてすぐになくなる。だから75mあったらうれしい人もいるだろうが・・。

訴えられた大王製紙のエリエールの3.2倍巻を調べたところ、80m巻だ。長さでいえば、当然こちらの方が長持ちするに決まっているから、日本製紙は焦ったのだろう。

これがどういう特許侵害にあたるのかはわからないが、いつも「うれしいトレペ」の100m巻(シングル)を使っている身としては、75mや80mで3倍巻だの3.2倍巻だのといわれると、正直戸惑ってしまう。

もともと家庭用トイレットペーパーは65m巻(シングル)が主流だったはず。ダブルで32.5mだ。いつのまに25m巻が標準となったのだろうか?

ダブルで100m巻ならば「3倍巻」をうたってもよいが、75mや80mで3倍巻だといわれると、「勝手に短尺にしておいてちょっと長くしたからってイバルな」と思ってしまう。

25m巻のトイレットペーパーなど、交換の手間が面倒でならない。しかも、シングルの50m巻に比べても使用する原料の量はかなり少ないはず。にも関わらず、以前シングルとダブルを試しに比較したところ、交換までの日数はシングルの方が2日ほど長かった。ダブルだとつい使いすぎてしまうのだ。

それで同じ値段をとるのだから、ダブルは財布に優しくない。シングルの方が経済的で、パッケージや物流のことを考えても環境的にも優れている。

この訴訟とは直接の関係はないけれど、ダブル派の方はこれを機に、シングルに転向したらよいのでは?使用感など慣れの問題だ。

<訴訟についての参考記事>

https://www.jiji.com/jc/article?k=2022092600684&g=eco

オーストリア、2025年からデポジット制度導入(追記)

オーストリアでは2025年1月1日からデポジット制度を導入するそうだ。

オーストリアはこれまで、リユースできるビンはデポジット制度で回収していたが、使い捨てのワンウェイビンはデポジット制度ではなかった。

デポジット制度の対象は、0.1Lから3Lの容器に入った下記の飲料だ。

ビールとビールのミックス
アルコール飲料ミックス
サイダーおよびその他の発酵飲料
ジュース
ソフトドリンク

ワインとスピリッツ

金額は25セントから30セントと発表されていたが、主に0.25ユーロになるようだ。

<追記2023.1.19>

オーストリア政府は、デポジット制度の構築と運営をオーストリア全体で「使い捨て容器デポジット協会」に委託したとのこと。

JETROによると、同協会は「飲料品製造者協会、連邦産業院(WKO)食料品販売委員会、飲料品メーカーのコカ・コーラ、レッドブル、エッガー、オッタークリンガー、ワルドクエレー・コベルスドルフ、小売り大手のレーベ(ビラ-など)、スパー、リドル、ホーファーなどが会員になっている」。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/09/9a637ed48f3cb463.html

<関連記事>

何か変!リチウムイオン電池の自治体回収広がる

リチウムイオン電池の自治体回収が全国的に広がっている(日経2022.8.29)。

自治体にとっては、これ以上火災が増えてはたまらないから、回収したくなる気持ちはよくわかる。

しかし、このようなものの回収に税金を使うことが、腹立たしくてならない。

小型充電式電池は、もともと生産者責任の下、電気店などで回収されることになっているはずだ。

回収店舗が少ないため、一般にはあまり認識されていないようで、ついそのまま自治体が回収するごみに出す人が多い。そのため、発火事故が後を絶たない。

町田市でも、まだ完全に復旧していない。先月、清掃工場を見学した際も、火災現場がまだ生々しい状態で残っていた。

リチウムイオン電池を使用する製品は、医療機器などを除き、生活必需品よりも嗜好品や贅沢品が多い。

スマホを頻回に取り替えたり、ゲーム機を買い換えたりする人の尻拭いを税金でさせられているような気がしてならない。

小型家電リサイクル法がどうしようもない法律なので、この手のことが起きるのだろうが、リチウムイオン電池などを使用している製品は、生産者責任によるデポジット制度で、税金を使わずしっかり回収してほしい。

日経新聞(2022.8.29)↓「リチウムイオン電池の廃棄 事故防止へ分別回収が拡大」

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO63833440Z20C22A8EAC000/

凸版印刷が9月からシャンプーなど詰め替え容器の回収開始

凸版印刷が9月1日から、都内のイトーヨーカドー6店舗で、シャンプーや洗剤などの日用品詰め替えパッケージの回収を開始する。

6店舗中3店舗ではポイントを付けるそうで、インセンティブの有無で回収量が違うか調べるようだ。

しかし、ポイントは3枚で15ポイントとのことなので、金銭的インセンティブとしては弱いから、インセンティブ効果は期待できないだろう。

期間は11月30日まで。

詰め替え用パッケージなどのように複層になっているプラスチックは、自治体のリサイクルに出しても、リサイクル不適なためリサイクルされない(リサイクル工場へ行っても「残渣」として処理される)。

回収してくれるのはありがたいから、花王やライオンなどとも組んで、全国に広げてほしい。

<凸版印刷の取り組みについての参考>

https://www.toppan.co.jp/news/2022/08/newsrelease220825_2.html

東京海上がJEPLANの技術を利用し、PETのリサイクル保険

東京海上日動火災保険が、サーキュラーエコノミーを促すための保険商品を開発したようだ。

輸送・保管中に中身の入ったペットボトルなどを事故痔破損した場合、ケミカルリサイクルの利用費や工場への輸送費を払うとのこと。

「保険料は年数十万~数百万円で、保険金は数百万~数千万円となる見込みだ。保険料収入は今後3年間で年数億円をめざす」(日経2022.8.24)そうだ。

ペットボトルのケミカルリサイクルを担うのは、JEPLAN(今年5月に日本環境設計から社名変更)。

東京海上日動火災保険は、JEPLANと資本業務提携契約も締結した。

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220824&c=DM1&ng=DGKKZO6369377023082022EE9000

JEPLANは最近、佐賀市や宮津市など自治体ともペットボトルの水平リサイクルに関する連携協定を締結している。

ここまできたら、もうペットボトルは容リ法の対象から外すべきだ。