マイクロプラスチックの人体への影響が明らかになりつつあるようだ。
中国・華中農業大学の動物実験で、「二次マイクロプラスチックの精神疾患または神経変性疾患における潜在的な作用メカニズムを解明」したとのこと。
動物実験には妊娠中のマウスを使った。妊娠中の雌マウスにマイクロプラスチックとナノプラスチックを摂取させたところ、雌マウスの臓器にプラスチックが分布。さらに、ナノプラスチックのみが胎児マウスの視床に蓄積したそうだ。
「妊娠中の雌マウスが摂取したミクロン、ナノプラスチック粒子が雌マウスの消化器、子宮、胎盤に分布するが、ナノプラスチック粒子のみが胎児の視床に蓄積することが分かった。しかしミクロンプラスチック粒子の存在は、ナノプラスチック粒子の胎児の脳内への進入を促した」
「今回の研究により、これらの胎児の脳内に入り蓄積したプラスチック粒子が、その成年後の不安行動を引き起こし、主に新しい物事を模索する意欲と能力が低下することが分かった」(人民網日本語版.2022.7.22)
この研究成果は、国際環境・健康分野の重要学術誌「Environment International」に掲載された。
http://j.people.com.cn/n3/2022/0722/c95952-10126295.html
また、最近発表された韓国の研究でも、マイクロプラスチックは自閉症と関連があるという報告がある。
韓国の実験でもマウスが使われた。マイクロプラスチックを摂取させたところ、マウスの脳にマイクロプラスチックが蓄積し、自閉症(ASD)のような行動が誘発されることを確認したという。
人間の自閉症の増加と関連があるのではないかとのこと。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0160412022000472#!
自閉症は日本でもアメリカでも急激に増加しているという報告があるので、恐ろしい話だ。
また、日本でもマイクロプラスチックの影響が調べられている。
以前発表された杏林大学のメダカの実験によると、マイクロプラスチックが眼や腎臓に悪影響を与えた。
富山短期大学ではラットを使い、マイクロプラスチックの体内蓄積性などの研究がなされている。
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202102263397988501
人体実験はできないから、動物実験の結果から推し量るしかないが、人間への影響が誰の目にも明らかになったときには、既に手遅れなのだろう。
しかも、実際はマイクロプラスチックの物理的影響だけでなく、プラスチックに添加された化学物質の影響もセットで人体を襲うから、実験よりも現実は過酷だ。
近年、プラスチックによく使われるビスフェノール類やフタル酸エステル類の人体影響についての報告が増えている。
例えば↓
https://spap.jst.go.jp/asean/news/210903/topic_na_05.html
フタル酸エステル類は欧州ではかなり規制が進んでいるのに、日本では進まない。日本の政治家や関連部署の役人は、自分の身だけが大事で、子孫に影響が出る話などには耳を傾けないのだろうか。