ポルトガル、来年から飲料容器をデポジット制度で回収

ポルトガルが、2026年から使い捨て飲料容器のデポジット制度を全国規模で導入すると発表した。

これにより、ポルトガルは南ヨーロッパ本土で初めて全国規模でのデポジット制度を導入する国となる。

非営利団体SDRポルトガルがこの制度の管理者として選ばれ、SensoneoがITプロバイダーとして選定された。Sensoneoというと、オーストリアと同じだ。最近の欧州はSensoneoによる効率的なITシステムによるデポジット制度が人気のようだ。

詳しいことはこれから決まるようだが、回収ポイントは全国に7,000~10,000程度になるらしい。

<出典>

https://www.packaginginsights.com/news/portugal-drs-2026-southern-europe-model.html

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インド・ゴア州でも飲料容器のデポジット制度を導入か

インドのゴア州で、ペットボトルやアルミ缶、ガラスびんを対象に飲料容器のデポジット制度を導入する計画らしい。これまでの計画よりも対象を広げた。

昨年から情報がチラホラ出ているが、開始日はまだ決まっていないようだ。

プラスチックボトルとアルミ缶には5ルピー、ガラス瓶には10ルピーのデポジットが適用されるとのこと。

https://timesofindia.indiatimes.com/city/goa/pay-more-than-mrp-in-goa-later-get-refund-on-returning-non-green-packing/articleshow/113003189.cms

しかし、デポジット制度を採用する州はゴア州がインドで初めて、と書かれている。

しかし、もうだいぶ前からマハラシュトラ州で、ペットボトルのデポジット制度が開始されているはずだ(プラスチック製ミルクパウチに関しては、業界の合意が得られず、延期が続いているらしい)。マハラシュトラ州のデポジット制度はどうなっているのだろう?

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シンガポール、デポジット制度開始を一年延期

シンガポールでは、今年の4月から飲料容器デポジット制度を開始する予定だったが、2026年4月1日に開始することが決まった。

飲料生産者や小売業者を含むすべての利害関係者が消費者の便宜のためにスキームをスムーズに設計および運用するための移行期間として、2026年7月1日まで猶予が与えられる。

それまでの間に、スキームの対象となるすべての飲料容器には、デポジットマークのラベルが付けられ、10セントのデポジットを携帯する必要があるとのこと。その間に払い戻しの資格のない飲料容器の在庫を清算する。

目標は、制度開始3年目から80%の返却率を達成することで、デポジットも返金も10セント。大型スーパーやコミュニティスペースなどに自動回収機を置く計画だ。

<出典>

https://www.nea.gov.sg/our-services/waste-management/beverage-container-return-scheme

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ラテンアメリカ発 ウルグアイでデポジット制度開始

ウルグアイで飲料容器のデポジット制度が開始された。ラテンアメリカで初めてとのこと。

出典:https://www.logisticsbusiness.com/packaging-ecommerce/uruguay-launches-deposit-return-system/?utm_source=chatgpt.com

対象は、ガラス、アルミ、プラスチック、そしてlong-life multilaminates(長寿命のマルチラミネート?アルミ付き紙パックのようなものか?)とのこと。

詳しい情報はないので不明だが、2022年に環境省が承認した国家計画のようだ。

Reloopの『2022年グローバル保証金システムマニュアル』(Global Deposit Book 2022)によると、「現在全世界に50種類以上の異なる「保証金制度」があり、飲料容器の回収率は平均76%に達する。2026年末には、約7億4800万人がデポジット制度を導入している国や地域に住むことになる」のだそうだ。

デポジット制度の根底には「生産者責任」の考えがある。生産者が責任を持って容器を回収すべきだという考えのもと、世界各地でデポジット制度が採用されている。

日本のように企業と政治家、官僚が密接に結びついている国では、残念ながらデポジット制度が採用されることはない。

わからないのは、デポジット制度を推奨することと、ペットボトルを推奨することは同じだと決めつける一部の「環境系」の人たちの言動だ。

デポジット制度を理解していないにも関わらず、反対派の尻馬に乗って「ペットボトルなど回収してもしようがない。使わないことが一番大事なのだから」としたり顔でデポジット制度反対を唱える。どうにもガマンできない。

そんなわかりきったことを言うならば、さっさと「ペットボトル反対運動」でもやるべきだ。

イランもデポジット制度をめざす?テヘラン大学で「デポジット制度デー」を開催

イランのテヘラン大学では、2月17日に「デポジット制度デー」イベントを開催した。

過去数年間、イランではデポジット制度に焦点を当てた活動があり、2022年にはイラン科学技術大学で最初の全国デポジット制度会議を開催した。また、2024年には同大学で「イランデポジット制度パイロットプロジェクト」が開催されたという。

今年のイベントには、イランの環境省や科学技術副大統領、観光省、テヘラン市の専門家を含む150人以上の参加者が招待され、環境専門家によるデポジット制度についての講演を聞いた。

イランでも早晩、デポジット制度が採用されるかもしれない。

イベントについての出典↓

https://www.tehrantimes.com/news/510204/Deposit-Return-Scheme-Day-held-in-Tehran

ルーマニアのデポジット制度、14ヶ月でめざましい変化

2023年11月30日に開始されたルーマニアのデポジット制度はうまくいっているようだ。

ある記事によると、

• 35億個以上のパッケージが収集された
• 230,000トン以上の再生材料がリサイクルのために転用
• デポジット制度のために設立された7つのセンター
• 800以上のグリーンな雇用が創出され、地域経済とコミュニティを支援
• 2024年10月には、84%の記録的な回収率

とのこと。

まずは良かった!

出典↓

https://www.wastedive.com/press-release/20250210-first-14-months-of-romanias-deposit-return-scheme-marked-by-success/?utm_source=Sailthru&utm_medium=email&utm_campaign=Issue:%202025-02-10%20Waste%20Dive%20Newsletter%20%5Bissue:70316%5D&utm_term=Waste%20Dive

ワシントンD.C.で飲料容器のデポジット法案

米国の首都ワシントンD.C.で飲料容器のデポジット法案が提出された。

1区議会議員のブリアン・ナドーが法案を主導している。

ボトル入り飲料と缶入り飲料の容器を10セントのデポジットをつけて販売し、容器を返却すると10セント返金されるというでおジット法案だ。

「プログラムに参加する小売店は、ボトルや缶の取り扱いに対してD.C.から料金を徴収する。市はプログラムを監督し、参加する小売業者を支援する」と書かれているが、どんな方法でやろうとしているのかよくわからない。

メリーランド州でも、同じような方法のデポジット制度が提案されているそうだ。

出典:https://wtop.com/dc/2025/01/will-you-pay-an-extra-10-cents-for-a-bottled-drink-knowing-you-can-get-it-back-later/

ハンガリーのデポジット制度、クリスマスシーズン前に多くの人がデポジットを小児科へ寄付

ハンガリーでは今年1月から飲料容器のデポジット制度が開始された。

ハンガリーの人々は飲料容器を食料品店などに設置された自動回収機に返却する(手動の場合もある)。するとバウチャーに加えて、即時銀行振込の形でデポジットが返金される。

ハンガリーでは1日500万から600万本の飲料容器を返却され、最近では多くの人がデポジット(上乗せ金)を慈善団体へ寄付している。

寄付先として選べるのは、ハイム・パール国立小児科研究所、ハンガリー改革派教会のベセスダ小児病院、およびゼンメルヴァイス大学の小児科クリニックだ。

10月の第1週までに、寄付金は5700万フォリントだったが、わずか2ヶ月後の12月初めまでにその金額は1億フォリントを超えたという。

多くの人はクリスマスを控え、小児科への寄付を増大させたということか。

デポジット額程度の小口の寄付なら多くの人は参加しやすいから、良いシステムだと思う。

病院との現在のような契約は2025年7月まで続けるそうだ。

https://trademagazin.hu/en/fel-ev-alatt-100-millio-forint-felajanlast-tettek-karitativ-celokra-a-fogyasztok-a-kotelezo-visszavaltasi-rendszer-reven/

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英国のスコッチウィスキーメーカーがリユースびんに

イギリスのスコッチウィスキーのメーカーNc’neanが、ビンのリユースを始めた。

ウェブ上でウィスキーを注文すると、返品ラベルを納品書に同封して発送し、購入者はそれを使って無料で空き瓶を返送できるようにしたとのこと。

これにより、1本返品されるごとに推定280gの炭素が節約される。

https://www.just-drinks.com/news/scotch-whisky-firm-ncnean-distillery-launches-bottle-return-scheme/

イギリスのデポジット制度は、どんどん開始時期が延期され、今のところ2027年10月から。ガラスびんは対象外だ。

代わりにガラスびんは、拡大生産者責任が義務づけられる。同社の取組はそれを睨んだものかもしれない。

同社は、イギリスではじめてネットゼロ認証を受けたウイスキー蒸留所だそうだ。合成洗剤を使わず、代わりに酵素を使うなどのこともおこなっている。

日本ではリユースはやっていないだろうが、ウィスキーは日本でも販売しているようだ。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000098971.html

フランス、ガラス容器のデポジット制度を一部地域で試験導入

フランスの脱プラ政策は世界トップだ。オリンピックでのペットボトル販売を禁止した。代わりに無料給水ポイントを14箇所に設置した。

コカコーラなどのスポンサーも協力したそうだ。「大会期間中は再利用可能なボトルと200以上のソーダファウンテン(清涼飲料水を供給する機械)を提供」とのこと。https://www.parasapo.tokyo/topics/107947

さすがだ。東京オリンピックでは、ペットボトルはコカコーラなどの大手スポンサーへの忖度から、禁止できなかった。

パリ市長と小池都知事の環境意識の差が現れている。

そのフランスで、ガラス容器のデポジット・リユース制度の試験導入が、2025年5月から開始される。

汚染者負担の原則に基づき、メーカーが資金提供した団体が、「食品小売の様々な規模の1200店舗を通じて、デポジット料と引き換えにガラス容器を回収し、洗浄の上でメーカーに供給する」とのこと。期間は18ヵ月だが、お金をかきて大規模に行うので、おそらく延長されるだろう。

デポジット額は20-30ユーロセントになる予定。

ガラスびんだけではないようだが、どんな容器になるか楽しみだ。