イオンで乾電池回収始まる。パナがリサイクルの実証実験

パナソニックエナジーが今年6月から、イオンと東京製罐と共同で、乾電池の回収・リサイクルの実証実験を開始した。

「イオンリテールの関東・関西22店舗に回収ボックスを設置。回収した乾電池は東京製鐵岡山工場で鉄鋼材料としてリサイクルするとともに、パナソニック エナジーでは乾電池部材への再利用を目指して研究開発に着手する。実証実験の結果を踏まえ、導入店舗の順次拡大を検討していく予定」とのこと。

https://project.nikkeibp.co.jp/mirakoto/atcl/design/2/t_vol81/?s_cid=ad_htgml7

電池のようなものは本来「拡大生産者責任」で回収されるべきものだ。

だから、パナソニックが自ら回収・リサイクルに乗りだしたことはとても評価できる。これからはパナソニック製を優先的に購入しようと思う。

昔は、多くの自治体が熱心に乾電池を回収し、北海道のイトムカまで送っていた。イトムカを見学したことがあるが、広大な敷地内に様々な電池類や蛍光管が積まれ、金属などが取り出されていた。

しかし、電池に水銀を使わないという「安全宣言」後、危険性がなくなったと判断し、リサイクルせずに不燃ごみとして回収する自治体が増えたような気がする。

マンガン乾電池は1991年に、1992年にはアルカリ乾電池で、水銀を使わなくなった。

https://www.baj.or.jp/battery/qa/battery.html

とはいえ、イトムカで回収していたのは水銀だけではない。他の重金属も回収していた。不燃ごみとして回収している自治体は、乾電池をどうしているのだろうか?単に埋め立てるだけでは有害性が心配だし、そもそも資源が無駄になる。

電池に対する意識が薄く、玩具などに入れたまま捨てる人も多い。乾電池ならばそのまま燃やしても爆発しないが、リチウムイオン電池ならば火災事故になりかねない。

最近、各地で多発しているリチウムイオン電池による火災事故は、電池を甘く考えるようになったことも原因の1つではないかと思う。充電式電池の回収場所が少ないことが一番の原因だと思うが、「電池はそのまま捨ててもOK」と考える人も多いことも一因のような気がする。

そういえば、イトムカで水銀を回収しても、国内では使用禁止のため用途がないから輸出していたはずだが、その後水銀はどう処理されているのだろう?

無印良品の回収品目が増加中

無印良品の回収品目がどんどん増えているようだ。

すべての店舗で回収しているわけではないが、企業責任としての回収は評価できる。

これまでも絵本や保冷剤、プラスチックボトル、体にフィットするソファ、紙製ハンガーなどを回収していたが、2月3日から新たに「プラスチック収納」が加わった。

ただし、保冷剤はどこでもらったものでも回収してくれたが、プラ収納は無印良品で購入したもののみなので、注意が必要だ。

回収店舗や回収品目の詳細は同社ウェブサイトに掲載されている↓

https://www.muji.com/jp/feature/recycle/

みんなでやろう「クルリポイ」、不要なトレイは店にお返し

クルリポイとは、不要なトレイなどのパッケージを店のごみ箱に捨て、家には持ち帰らない行為だ。

以前、テレビなどで「クルリポイ」が批判された。店の言い分ばかりが一方的に紹介され、クルリポイをする人は「非常識な人」と言わんばかりだった。

店側の言い分としては「家できれいに洗ってから回収ボックスに入れてもらえればリサイクルできるけれど、店のごみ箱に捨てられるとリサイクルできず、ごみになる」「汚れたままごみ箱に入れられてしまうと不衛生だ」などだ。

私自身トレイはやったことはないが、キーウィフルーツなどがパックされていると、パッケージはそのままサッカー台に置いてくる。本当は肉などのトレイでもやりたいけれど、人目が気になりできないでいる。

クルリポイは、不要な容器包装を家に持ち帰らないことで、店に「不要だ」と伝える無言の抵抗、店へのメッセージだ。店のごみ箱に捨てられたくなければ、容器包装のない販売方法を考えてほしい。

このクルリポイは、ドイツでは認められている行為だそうだ。

最近読んだ本『ごみ 世界で一番やっかいなもの リサイクルから環境問題まで』には、こんなことが書かれている。

「ドイツでは、お店で商品を買ったとき、その場で箱や中身の保護用に詰められた発泡スチロールなどは置いてくることができます。お店がそのごみを捨てるには処分費用を負担しないといけないので、販売する側も過剰な包装をしないように注意を払うようになります」

日本ではなぜこれほどクルリポイが批判されなければならないのだろう?とずっと不思議に思っていた。

しかし、昨日開催されたグリーンピースなどが主催するセミナー「第14回市民環境フォーラム」で、井田哲治氏も「不要な容器包装を店に置いてこよう」と呼びかけていた。

クルリポイ、また流行ってほしい。

ニューヨーク市、使い捨てプラを制限

ニューヨーク市のエリック・アダムス市長は、「スキップ・ザ・スタッフ」法案に署名した。

この法案は、顧客の要求がない限りテイクアウトやデリバリーサービスの際、特定の使い捨て製品や容器を付けることを禁止するもの。

これにより、2024年7月1日以降、使い捨てのプラスチック製カトラリーや調味料の小袋、余分な食品容器などを顧客が要求しない限りサービスすることは禁じられるようだ。

<出所>

https://www.wastedive.com/news/new-york-city-skip-the-stuff-bill-plastic-foodware/640844/

<関連記事>

滋賀県でテイクアウト用弁当容器のリユース実験、来月開始

滋賀県の市民グループが、テイクアウト用弁当容器を再使用する実証実験を来月から開始すると県庁で発表した。

大津市内の3つの飲食店と協力する。利用者にはポイントを付与するようだ。

容器の材質は、木くずとプラスチックを混ぜ合わせたものとのこと。

昨年秋にプラごみに関するアンケートをとったところ、7割以上の人がプラスチック容器を捨てることに罪悪感を感じていると答えたそうだ。

メグルーやアルパッケなどテイクアウト用弁当容器のリユースは、日本でも着実に広がっているようだ。

<出所>

NHK NEWS WEB(2023.1.19)

https://www3.nhk.or.jp/lnews/otsu/20230118/2060012411.html

フランス、環境団体がダノンを提訴 プラスチック削減求め

フランスで、ゼロ・ウェイストフランスやクリーンアースなどの団体が、食品会社ダノンを訴えた。

ダノンは世界中でプラスチック包装を最も多く使用している企業の一つで、世界にプラスチック汚染を最も多く引き起こしている企業の1つでもある。

訴えた団体はダノンに、プラスチック使用への対応と、同社の「プラスチックフットプリント」による環境影響の透明性を求めている。つまり、プラスチックを減らし、使用するプラスチックは再生プラを使ったり、最後まで責任を持って回収するなどして確実にプラスチックの生涯に責任を持てということだろう。

訴訟の根拠は、ダノンがフランスの警戒義務法を遵守していないことだ。

訴えた環境団体は、ネスレ・フランス、マクドナルド・フランス、カルフールなど、フランスで事業を展開する食品会社数社に対してもキャンペーンを行い、計画をフランスの法律に合わせるよう警告した。

ダノンを訴えた理由は、「プラスチック汚染は世界中で増加しており、環境、健康、人権に影響を及ぼしている。すべての企業はプラスチックの使用をできる限り制限する必要がある。削減が急務であるにも関わらず、ダノンのプラスチック使用量は増加傾向にある。2020年の716500トンに対し、2021年には750994トンのプラスチックがダノンで生産されたと推定される」からとのこと。

ダノン以外にもプラスチック使用量が増えている企業は多い。ダノンがフランスの企業だから、訴えやすかったのだろうか?

警戒義務法というのもよくわからないが、「親会社及び経営を統括する企業の監視義務に関する2017年3月27日付け法律2017-399号(1)」のことだろうか?

https://www.jetro.go.jp/world/reports/2021/01/9cb61dd611a50c96.html

フランスでは、市民の反対によりダノンはエビアンの超小型ペットボトルを作らなくなった。しかし、日本では伊藤園がエビアンの超小型ペットボトルを売っているし、コンビニにはコカコーラなどの超小型ペットボトルも並んでいる。このあたりが日本とフランスの環境意識の差か・・とガックリする。

いずれにせよ、コンビニや飲料メーカーなどプラスチック汚染企業は他にも多い。もし日本にもこの法律があれば、多くの企業を訴えることができる。うらやましい法律だ。

<参考>

「Danone taken to court over its plastic use」(2023.1.9)

https://surfrider.eu/en/learn/news/danone-taken-to-court-over-its-plastic-use-121104231734.html

ドイツ:公共空間に捨てられる使い捨てプラ製品、自治体が負担する清掃費用は600億円超

使い捨てプラ製品は、自宅に持ち帰らず野外に捨てられるケースが多い。ドイツでは、自宅に持ち帰った場合は拡大生産者責任により回収・処理されるが、野外に捨てられた場合の清掃費用は自治体が負担することになる。

それでは使い捨ては減らないので、ドイツでは使い捨て「プラスチック製品基金法案」を審議。使い捨てプラ製品の製造者や小売業者が、野外に捨てられたそれらの回収、清掃、処理費用を負担すべきだということで、ドイツ連邦環境庁がその費用を調べた。

その結果、自治体が負担している公共空間に廃棄される使い捨てプラスチック製品の回収、清掃、処理は年間4億3400万ユーロ(1ユーロ140円で計算すると607億6000万円に上った。

そのため、それらプラスチック製品群ごとに製造者や小売業者が負担する費用は、使い捨てのプラスチックカップが1キログラムあたり1.23ユーロ(同172円)、プラスチックが含まれるタバコのフィルターについては1キログラムあたり8.95ユーロ(同1253円)になるという。

日本でも似たような費用になるだろう。しかも、日本の場合、拡大生産者責任が徹底されていないので、自宅に持ち帰った使い捨てプラカップの回収費用も容器包装リサイクル法によりすべて自治体が税金で負担している。

使い捨てスプーンやフォークなどのプラ製品にいたっては、回収から処理費用まですべて自治体(税金)負担だ。

使い捨てプラスチックを使わない人も、使う人のために、支払わざるをえないということだ。

<参考>

EICネット(掲載2022.12.16/情報源発表2022.11.30)「ドイツ 使い捨てプラスチック製品に対する製造者や小売業者の費用負担額に関する調査結果が公表」

https://www.eic.or.jp/news/?act=view&word=&category=51&serial=48630

<関連記事>

フランス、ファストフード店で使い捨て容器使用を禁止。拡大生産者責任も強化

さすがフランス。ついにファストフード店で使い捨て容器や皿、カップを禁止するそうだ。

2023年1月1日からということで、既にマクドナルドではポテトの容器がセラミックに、飲み物を注ぐコップがガラスになったとのこと。

店内飲食で使用できるのは、再利用が可能なものだけなので、紙コップや紙皿も禁止だ。

「ハンバーガーやサンドイッチなどを包む包装紙は例外として紙の使用が認められていますが、それでもリサイクル率の高い素材しか認められていない」という。

https://gigazine.net/news/20221220-france-bans-disposable-packaging/

JETROによると、フランスでは2023年1月1日からリサイクル素材の利用率などの情報提供を義務付けるとのこと。この手の包装紙も対象になるのだろうか?

利用率などの情報提供対象となる製品は「家庭用包装、印刷紙、電気・電子機器、建設資材、電気・蓄電池、健康や環境に重大なリスクのある家庭用化学品、家具、衣類、靴など」は2023年1月1日から。

「建設資材、玩具、自動車、小型トラック、二輪車、三輪車、四輪車は2024年1月1日から適用対象となる」そうだ。

拡大生産者責任の枠組みの中で行うということで、目的は「廃棄物の少ない製品への消費を促すこと」。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/11/147a98cead18376d.html

なんでも税金で回収し「大半焼却、一部リサイクル」でOKとする日本とは、制度設計がそもそも違うようだ。

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台湾でも英国でも使い捨てカップを禁止

日本ではいまだに使い捨てカップとリユースカップ、どちらが環境に優しいか、など周回遅れの議論をやっている。そんなものは何回使用するかによって変わるから、何回も使えば済む話だ。

日本が足踏みしている間に、海外ではどんどん進んでいる。

台湾・台北では今年12月1日から、使い捨てプラスチックカップが禁止された。

https://www.dep.gov.taipei/News_Content.aspx?n=CB6D5C560DE4D2DD&sms=72544237BBE4C5F6&s=F4E33E8D3319D7C5

台北だけでなく、台湾全域で禁止されたとの報道もある。

https://shipeee.com/blogs/blog/12月1日より使い捨てプラスチックカップでの提供禁止

イギリスではまもなく使い捨てプラスチックの禁止が強化されるそうだ。

https://www.cosmopolitan.com/jp/trends/society/a42248767/singleuseplastic-ban-england-221215-hns/

また、ロサンゼルスではゼロ・ウェイストを目指し、発泡ポリスチレン(発泡スチロール)製品の流通と販売を禁止するようだ。

https://phys.org/news/2022-12-los-angeles-styrofoam-products-zero-waste.html?eType=EmailBlastContent&eId=8926edd4-ecc3-49f4-b50c-63667ca6c316

国連事務総長もいうように、早く「プラスチックの蛇口を閉め」たいものだ。

ドイツ、使い捨てプラの製造者に公園などの清掃費用負担を義務化

世界では使い捨てをやめる動きが広がっている。

ドイツ政府はこの程、テイクアウト用の使い捨て容器や飲料用カップ、プラスチックフィルター付きのタバコなどのような散乱しやすいプラ製品の製造者に、公園や街路の清掃費用の負担を義務付ける法案を承認した。

ドイツは拡大生産者責任が徹底している国だ。だからこのようなものの処理費用も一部は既に支払われているものと思うが、このような家の外で廃棄されやすい製品には、さらに上乗せして支払うことになる、ということだろう。

これまでは、公園や街路の清掃費用やそこに設置されているごみ箱のごみ処理費用は自治体負担だったが、今後は製造者がそれらの費用を払うことで拡大生産者責任をさらに徹底させることになる。

これにより同国では、今後使い捨て容器が減り、繰り返し使えるリユース容器が増えそうだ。

<出所>

https://www.eic.or.jp/news/?act=view&word=&category=&oversea=1&serial=48448