人の血液からマイクロプラと環境ホルモン(国内研究)、血管プラークからもマイクロプラ(海外研究)。心臓発作や脳卒中の原因にも

東京農工大学の高田秀重教授らの研究グループが、人間の血液からマイクロプラスチックを見つけた。これまでは海外の研究で見つかっていたが、日本で見つかったのは初めてだ。

「このうち1人を詳しく調べると血液や腎臓、肝臓などから、プラスチックに添加する紫外線吸収剤やポリ塩化ビフェニール(PCB)が見つかった」とのこと。

https://news.yahoo.co.jp/articles/4020482f9eb630fd7d268330226c3f5ec869521c

ポリ塩化ビフェニールといえば、既に禁止されたはず。「ポリ塩化ビフェニルは有機溶剤(油)の一種で、かつては電気機器や塗料に使われましたが昭和47年(1972年)移行は製造禁止となっています」とここ↓に書かれている。

http://www.miyama-analysis.net/law/2019/12/no10.php

こんな危険なものが今でもまだ体内から見つかる理由は何だろうか。

また、海外では、血管内のプラークからマイクロプラスチックを検出した。サンプルの58.4%(150人)からポリエチレンが見つかったそうだ。

「平均レベルはプラーク1ミリグラムあたり21.7±24.5μgでした。31人の患者(12.1%)も測定可能な量のポリ塩化ビニルを有し、平均レベルはプラーク1ミリグラムあたり5.2±2.4μg」ということで、血管のプラークから塩ビまでが見つかっている。

私たちの暮らしから塩ビを排除するには、まず壁の塩ビ製クロスや床材(クッションフロア)の材質を変えなければと思うが、もしかすると野菜などにも既に入っているのかもしれない。

塩ビは農場でよく使われるプラスチックだ。ポリエチレンの排除は難しいけれど、せめて塩ビだけでも排除したいものだ。

この研究では、「マイクロプラスチックやナノプラスチック(MNP)が検出された頸動脈プラークを有する患者は、MNPが検出されなかった患者よりも、34ヶ月のフォローアップで任意の原因による心筋梗塞、脳卒中、または死亡の複合のリスクが高かった」そうだ。

https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2309822?logout=true

病気の原因は、マイクロプラスチックが溜まることによる物理的原因と、付着していた有害化学物質による影響の2通り考えられる。

液体ミルクは大丈夫?食品中にフタル酸エステルなどのプラスチック添加剤。オーガニック食品やベビーフードにも

アメリカの消費者専門誌が「コンシューマーレポート」によると、スーパーとファーストフードの食品を調べたところ、プラスチックの添加剤が多く認められた。

検査した85種類のうち84種類に、プラスチックに柔軟性を持たせるために添加する可塑剤「フタル酸エステル」が含まれていたそうだ。さらに、79%の食品からビスフェノールAなどのビスフェノール類も見つかった。

https://jp.reuters.com/life/P5BI5HV735JYJKAEZ6Y4ZJCGC4-2024-01-05/

基準値は超えていなかったと言うが、そもそもフタル酸エステルやビスフェノールのような環境ホルモンの有害性には閾値がないため、基準値より低いから安全だとは限らない。

ビスフェノールAは2009年の検査時よりも低かったが、フタル酸エステル類は1サンプルを除き、全ての食品から見つかった。特に乳製品や調理済み食品にフタル酸エステルが多かったという。

フタル酸エステルが最大だったのは、缶に入ったアニーのオーガニックチーズラビオリだった。

https://www.consumerreports.org/health/food-contaminants/the-plastic-chemicals-hiding-in-your-food-a7358224781/

プラスチック包装だけでなく、缶詰も避けた方が良さそうだが、包装材がなんであろうと調理済み食品は調理時に手袋や調理器具にプラスチックが使われているため、フタル酸エステルなどは避けようがない。

調理済み食品をやめ全てを手作りするのは難しいが、少なくとも子どものいる家庭は極力避ける必要がありそうだ。

最近流行の液体ミルクは安全なのだろうか。消費者庁は液体ミルク中のフタル酸エステル類を測っているのか?おそらく測っていないのではないかと、心配だ。

有害化学物質連続セミナーのお知らせ

昨日、有害化学物質連続セミナーの第1回目「PFAS(有機フッ素化合物)の環境汚染問題を考える」という講演会に参加した。講師は原田 浩二先生(京都大学医学部)で、とてもよかった。2回目以降は以下の内容だ。

11月16日(木) 10:00~12:00
香害・化学物質過敏症問題を考える
北條 祥子氏(尚絅学院大学名誉教授)

12月21日(木) 10:00~12:00
農薬再評価制度を考える
木村‐黒田 純子氏(環境脳神経科学情報センター)

1月18日(木) 10:00~12:00
環境ホルモン問題を考える
槌田 博氏(有害化学物質削減ネットワーク)

2月22日(木) 10:00~12:00
化学物質審査規制法・優先評価物質を考える
中地 重晴氏(有害化学物質削減ネットワーク)

申込みなど詳細は以下へ↓

<関連記事>

11/3の環境ホルモン講演会のお知らせ

2023年11月3日、国際セミナー「ビスフェノールA(BPA)は 人間の卵子の発達を阻害する!」がある。

前回のセミナーは、フタル酸エステルの話が主だったが、今度はビスフェノールA(BPA)だ。日本ではビスフェノールAの対策が早く、むしろ代替として使われたビスフェノールSが問題だと聞いている。しかし、BPAの話をするということはまだ多く使われていると言うことか。

いずれにせよ、どれもPFASなどと同様、環境ホルモンであることは変わらない。

聞くと、プラスチックや感熱紙を使うのがますますイヤになりそうだが、やはり聞くべきだと思う。企業の「つくる責任」が不十分である以上、消費者の「使う責任」は身を守る。

今回もダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議と子どもケミネットの共催のようだ。

申込みなど詳細は下記サイトをご確認ください↓

<関連記事>