過度期にあるごみの分別 分別もバリアフリーに

最近、ごみ分別と専業主婦の役割について考えている。

これまでは、ごみ排出量を減少させるためには、ごみの排出に手間がかかるようにする必要があると考えていた。
ごみを排出しやすくすればするほど、安易にごみを捨てる。ごみ量は増える一方だと思っていたためである。
もちろん、この考えは間違ってはいないだろう。ごみ回収日を減少させた自治体はごみが減るし、分別数を増やした自治体のごみも減る傾向がある(資源ごみもごみ量としてカウントした場合でも、ごみ全体量は減少する)。
しかし最近、ごみ分別に困難をきたす高齢者が多いと聞く。弱視でごみを分別できなかった町議が、不法投棄をして逮捕されたというニュースもまだ記憶に新しい。

今の容器包装リサイクル法は、プラマークやPETマークなどが頼りだ。真面目に分別しようと思うと、弱視者には難しいだろう。
どれが容器包装のプラスチックで、どれが容器包装に分別してはいけない製品プラスチックなのか、高齢者や弱視者でなくとも悩む人は多い。
また、ペットボトルにしても、ノンオイルの青じそドレッシングはPETボトルに分別できるが、オイル入りの一般的なドレッシングは、たとえPET製であってもPETボトルでなく、プラスチック製容器包装として分別しなければならない。

このような複雑な分別を消費者に求めるリサイクル法は、専業主婦が分別することを前提とした法律ではないだろうか?専業主婦のいない家庭で、ごみ分別に手間をかけるのは時間的にも厳しいし、そもそも分別に関心をもつのも難しそうだ。

これからゼロ・ウェイスト社会に進んでいくためにも、住民に手間をかけさせないで済む仕組み(手間をかけられない住民もラクにごみを出せる仕組み)で、かつ分別したり、ごみを減らしたりすると得になるような経済的インセンティブを付加した仕組み(手間をかけられる人は手間をかけることで、ごみを減らせる人は減らすことで得になる仕組み)が必要になるのではないか、と考えている。

そうでなければ、高齢化や女性の社会進出に対応できるごみ処理システムとはいえないのではないだろうか。

進む水道民営化 儲かるのは誰?

安全で安いのが当たり前だと思っていた水道水が、今後変わるかもしれない。
麻生副大臣が熱心に進める水道民営化。そのための水道法改正案が、3月9日付けで再上程され、現国会で審議されている。

改正案の目玉は、「民間事業者に水道施設の運営権を譲渡できるようにする」「都道府県がリーダーシップをとって市町村水道の広域化を推進する」の2点である。

世界では一度民営化した水道を買い戻し、再び公営化する動きも広がる中(例えば、パリ、ベルリンなど)、なぜ日本が今さら民営化しなければならないのか。

民営化によりコストが削減でき、老朽化した設備を安価で更新できる、広域化により規模のメリットが生まれる、などの利点があるというが、民間だからこそ発生するコストもあるし、広域化は民営化を前提とした発想だろう。これまで小規模だからこそうまくいっていた地域が巻き込まれる可能性がある。

浜松市は水道法が改正され次第、民営化する計画であると聞く。
民営化で水質が低下した挙げ句、価格が急騰した例が世界各地にある。だからといって、市民は水道会社を変更することはできない。
浜松市の水道は大丈夫なのだろうか?

ビッグイシュー・オンライン(2017.3.27)「民営化から再公営化へ。パリ、市民参加で45億円のコスト削減、ウェールズ、非営利法人による運営」↓

http://blogos.com/article/215462/?p=1

水源連ニュース(2018.3.15)

水道法改正案の再上程

ペットボトルを分解する酵素 偶然発見

ペットボトルを高速で分解する酵素が、研究室内で偶然生み出された。これはプラスチックのリサイクル行程の改革につながる可能性があるという。
この酵素のもとは、日本のごみの中から科学者が発見したもので、ポーツマス大学のジョン・マギーハン教授の研究チームが、太陽光の100倍強いX線を当てることで、突然変異で作り出されたものとのこと。

この酵素は、何世紀もかかるプラスチックの分解スピードを何日という単位に短縮し、真のリサイクル(分子レベルにまで分解)ができる可能性がある。

(筆者補筆→しかし、この技術が将来実用化されたとしても、この酵素を自然界に放つわけにはいかない。施設内で100%リサイクルできるとしても、100%回収できない現状では、まず回収方法と販売方法を見直す必要がある。そうでなければこのような技術がいかに開発されようとも、海洋汚染はなくならないだろう。)

<出所>

THE TIMES(2018.4.17):Plastic-eating enzyme hailed as breakthrough in recycling;

https://www.thetimes.co.uk/edition/news/plastic-eating-enzyme-hailed-as-breakthrough-in-recycling-83696tg97?utm_source=newsletter&utm_campaign=newsletter_101&utm_medium=email&utm_content=101_17.04.18%20Best%20of%20Times%20Hack%20(1)&CMP=TNLEmail_118918_3165865_101

Gigazine(2018.4.17):「ペットボトルを分解できる酵素が実験施設で偶然に生み出されたことが判明」↓

https://gigazine.net/news/20180417-enzyme-eat-plastic-accidentally-created/

究極の雑がみ入れ:仙台市の月刊紙袋

仙台市の月刊紙袋は、学生のプロジェクトチーム「ワケアップキャンパス」が規格・制作したものだという。若者の利用が多い飲食店や美容院、大学、街頭などで配布される。

紙に関する情報が満載された究極の雑がみ分別袋だ。紙ひもも付いているのでプラスチックひもは不要。とてもよく考えられている。

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雑がみ分別袋

仙台市の月刊紙袋

雑がみ分別袋

雑がみを入れる分別袋を配布している自治体が多い。経済的理由により全世帯に配布する事例は少ないが、転入者向けやイベントなどで配るケースが多いようだ。
自治体から専用の雑がみ袋をもらい、その袋で雑がみを分別することに慣れれば、そのあとから袋がなくとも自宅にある紙袋などを利用して雑がみ回収に協力してくれるはず、というのが自治体の狙いだろう。
しかし、紙袋のない家も多い。我が家もかつては溜まっていたが、最近はあまりない。

そこで、雑がみ分別袋の作り方を教える自治体がある。いくつか紹介されているうち、小金井市の袋はなかなかよさそうなので、その作り方を真似、たまたまもらった贈答品の包装紙で自作してみた。案外難しく、友人の作った袋も参考にし、なんとか完成させた。

これまでは買い物などでもらった紙袋に雑がみを入れ、いっぱいになったら中の雑がみのみを紙ひもで縛り(小さな紙きれは不用な封筒に入れ)、雑がみのみを回収に出し、紙袋はそのまままた使っていたが、雑がみ袋ごと回収にだせれば確かにラクかもしれない(ただし、雑がみ袋を作るのが手間でない人限定)。

小金井市の雑がみ分別袋の作り方↓

https://www.city.koganei.lg.jp/kurashi/446/gomigenryo/zatugaminodasikata.files/zatugami.pdf

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究極の雑がみ入れ:仙台市の月刊紙袋

 

↑ゼロ・ウェイスト宣言をした斑鳩町の雑がみ分別袋。サイドのマチにまでびっしりと環境情報が書かれている
↑手作りの雑がみ分別袋。真ん中のチラシで作られたきっちりできているのは手本にした友人の手作り。

石灰石 x プラスチックはホントに紙よりエコ?

今日のテレビ朝日の番組「羽鳥慎一モーニングショー」でライメックス(ストーンペーパーの一種)を紹介していた。

石灰石とポリオレフィンを6対4の割合で混ぜ合わせ、水に強い「紙」を作ったそうだ。4割はプラスチックなのだから、水には強いだろうが、おそらく一般的なストーンペーパーと同様に紫外線には弱いだろう。

4割もポリオレフィンということは、野外で使用するとポリオレフィンが劣化し、すぐにボロボロになるのでは?と思われるが、その手のマイナス情報は一切なく、節水になるとか、木材を使わないとか、宮城県の雇用促進とか・・よいことずくしの紹介。挙げ句に、既にお花屋さんでフラワーボックスとして利用されており、鉢に植え替えなくともそのまま使って水やりもできるから人気とのこと。

しかし、そのフラワーボックスをもし野外に置くならば、マイクロプラスチックの発生源になりそうだ。

ライメックスの「紙」が流行ると、普通の紙にそっくりなので、間違って古紙回収に出す人が多い。再生紙工場はさぞ迷惑するだろう。もちろん、プラスチック製容器包装として出すこともできない。

せめてライメックスの「紙」製品には「古紙回収には出さないでください。野外での使用はご遠慮ください」などの文言を書く必要があるのではないか。

 

モリカケ問題にみる日本の公文書管理のズサンさ

国や自治体の管理する「公文書」。日本ではその公文書の意味がまったく理解されていないように見える。

公文書は歴史的価値のあるものばかりでなく、どのようにその事業が決定されたのか、どうしてその法(あるいは条例)制定に至ったのか、その結果がどのように評価されたか、その効果はいかがか、など一般市民にとっても身近で、影響のある問題への疑問を解決してくれるとても大事な資料である。

税金を使って行われた事業の場合、その税金が正しく使われたのかをチェックするには、大小さまざまな公文書がどうしても必要だ。

さらに、後世の人にとっても、新規事業のために参考になる大変貴重な資料である。

それにも関わらず、廃棄や改ざんなど通常ならば絶対に有り得ないことが問題になっている。

以前、カナダのある州へデポジット制度についての調査に行ったところ、ほしい資料が入手できず、やむなく州の公文書館を訪れた。公文書館ではスタッフが親切に対応してくれ、出してもらった資料をコピーしたいと申し出ると、コピーだと明日になるから写真を撮ったらよい、といわれ、照明などの機材も貸してくれた。もちろんすべて無料である。担当者の手書きのメモ書きのようなものまで大事に保管されていた。

日本の、例えば国立国会図書館では、明らかに公文書とわかるものであっても、「著作権の範囲内で」といわれて、資料を全頁コピーさせてもらえない(公文書の発行者に連絡が取れ、許可を得られれば全文コピーできるとのことではあるが、古い公文書は発行者に連絡を取りくいことも多い・・)。しかも、コピー代が高い上、写真撮影は禁止である。

日本にも公文書を無料で撮影させてくれる文書館はあるが、国立国会図書館にしかない資料も多く、その対応には疑問が残る。

このような土壌の日本だからこそ、モリカケ問題が起き、「忖度」も起きたといえるのではなかろうか。

歴史的に価値ある古い資料ばかりが、保存すべき公文書ではない。

奄美大島に大型クルーズ船の寄港地必要?

日本に残された数少ない秘境の1つに、奄美大島を挙げる人は少なくないだろう。

国土交通省は、その奄美大島を大型クルーズ船の寄港地に選定し、開発しようとしている。

大型クルーズ船には乗客だけでも約5000人が乗る。その人々は奄美大島に一泊し、また次の停泊地へと去って行く。

港建設により、サンゴ礁などの貴重な資源はどうなるのだろうか?また、大勢の人たちが一気に押しかけることで、アマミノクロウサギやアマミトゲネズミ、ルリカケスなどの稀少な固有生物に影響はないのだろうか?

地元では誘致を進める意見もあるが、反対の声もあがり署名運動が展開されている。

署名(Change. org)↓

https://www.change.org/p/奄美大島-西古見集落の素晴らしい自然を残すため-約5000人を乗せた大型クルーズ船の寄港地誘致をやめてもらいたい

南海日日新聞(2018.2.10)「「規模」問題視、署名活動へ」↓

http://www.nankainn.com/local/「規模」問題視、署名活動へ-%E3%80%80クルーズ船寄港地

南海日日新聞(2018.2.23)「観光協会要望取り下げへ 大型クルーズ船誘致計画」

http://www.nankainn.com/gvmnt-admin/観光協会要望取り下げへ=大型クルーズ船誘致計

斑鳩町 ゼロ・ウェイストの危機(その2)

2月22日の本ブログ「斑鳩町 ゼロ・ウェイストの危機(その1)」の続報。

ゼロ・ウェイストを目指す斑鳩町は、ごみの受け入れ先をめぐり、混迷を深めている。可燃ごみを一気にゼロにすることは難しく、その減量過程において、ごみの受け入れ先は必ず必要だ。

しかし、民間への委託は「自区内処理」の壁に阻まれた(本ブログ2018.2.22)。奈良県が進める近隣市町村との広域処理も天理市が難色を示している(奈良新聞2018.2.28)。仮に天理市がOKを出したとしても、この時点で広域処理に加わることは、ゼロ・ウェイストへの道を妨げかねない。

斑鳩町が今すべきことは、広域処理の相手探しではなく、リサイクル率をもっと高め、確かにゼロに近づいていると伊賀市が納得するくらい早急にごみを減らすしかないはずだ。

日本でもゼロ・ウェイストが不可能ではないことを斑鳩町に示してほしい。

<出所>

奈良新聞(2018.2.28)「天理市長 斑鳩参加に難色」

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斑鳩町 ゼロ・ウェイストの危機(その1)

斑鳩町 ゼロ・ウェイスト方針は健在

斑鳩町 ゼロ・ウェイストの危機(その1)

2017年5月にゼロ・ウェイスト宣言(斑鳩まほろば宣言)をおこなった奈良県斑鳩町(いかるがちょう)が、危機に直面している。

ゼロ・ウェイスト宣言とは、ごみの焼却や埋立をゼロに近づけるべく、ごみを極力出さないような仕組みを作ろうという考えのもと、その道筋ができた自治体が決意表明することを指す。

海外では、オーストラリアのキャンベラやカナダ・ノバスコシア州などが1990年代にゼロ・ウェイストを目指し始めた。

日本では、徳島県上勝町、福岡県大木町、熊本県水俣市に続いて、斑鳩町がゼロ・ウェイスト宣言をおこなった。

その道筋のポイントの1つが、できるだけ減らした可燃ごみを民間委託することであった。自前の焼却炉を作ったり、近隣市町村と広域処理をすると、どうしてもごみを減量しようというインセンティブが働きにくくなる。

しかし、民間委託によるトンいくらのごみ処理価格設定で、建設費や維持費もかからないならば、減らせば減らすほど支払う金額がダイレクトに減るので、住民にも減量協力を求めやすい。

実際に斑鳩町は、リサイクルを進めることで、可燃ごみはかなり減量できていた。しかし今、三重県伊賀市からの申し入れにより、そのごみ処理方針の変更が求められている。

確かに、民間の廃棄物処理施設のある伊賀市の「恒常的な搬入は承服できない」との言い分は当然で、よく理解できる。理解はできるが、なんとかならないものか・・とも思う。

斑鳩町は、これから近隣市町村と広域処理を検討し、どこかに大型焼却炉を建設し、ごみ量に応じて費用を割り振る・・ということになるのだろう。

奈良県は、「どこを掘っても遺跡」と言われるほど、焼却施設を建設する適地に乏しい。そもそも、焼却施設建設の適地など、世界のどこを探してもないのだろうが、現在動いている焼却施設をやりくりしつつ、できるだけごみを減らし、焼却も埋立もゼロに近づけていくしか、このような問題を解決することはできない。

日本全体で広域処理を進め、高性能の大型焼却炉を国内に適宜配備し、そこで効率良く回収されたエネルギーを周辺工場や住民が享受できるようにすることは、ゼロ・ウェイストへの過度期には必要かもしれない。しかし、近い将来、焼却炉に頼らずに済むよう、ごみを出さない仕組み作りは必ず必要だ。

にも関わらず、日本では使い捨てのものは増える一方で、ヨーロッパでなされているような使い捨てプラスチック容器の規制も進まない。

頼みの廃掃法は、公衆衛生を主な目的とした清掃法や汚物掃除法を踏襲しているため、焼却が大前提となっている。国は、焼却炉に補助金を出すよりも、使い捨て容器を規制し、ごみのでない買い物ができるような下地作りをすべきである。

ゼロ・ウェイストは日本では不可能か、という気になってくるが、斑鳩町にはなんとか打開策を見つけて欲しいものだ。

<参考>

斑鳩町:ゼロ・ウェイスト宣言↓

http://www.town.ikaruga.nara.jp/0000000728.html

奈良新聞(2018.2.21)↓

f:id:inada5114:20180222173547j:plain

毎日新聞(2018.2.21)「可燃ごみ処理、事前協議書と食い違い」↓

https://mainichi.jp/articles/20180221/ddl/k29/010/494000c

毎日新聞(2018.2.7)「斑鳩町 ごみの県外処理、見直し含め検討表明」↓

https://mainichi.jp/articles/20171207/ddl/k29/010/596000c

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