NHK 「ペットボトルがついに限界!?」続編に期待、日本にもプラスチックフリーのスーパーを

5月9日のクローズアップ現代「ペットボトルがついに限界!?世界に広がる中国ショック」を見た。

中国が廃プラ輸入規制に踏み切ったことから、世界中で廃プラスチックが溢れ、輸出する廃プラの7割を中国に頼っていた日本もその例外ではない、散乱も多い、という内容だ。

確かに海外でも、中国ショックは最近よく話題になっている。韓国・ソウルでも廃プラが溢れ、資源ごみとして別回収されていたレジ袋などプラスチック袋の回収が中止され、ゴミ袋の中にそれらが入っているのが見えると回収しない、などのルールができたと聞く(結果的に、韓国はスーパーでのレジ袋配布を禁止することになった)。米国では州によって差があるようで、これまで中国に全面的に頼っていた地域が困っているようだ。

しかし、中国の輸入規制は突然ではない。2017年7月にWTOに廃プラや古紙など一部廃棄物の輸入停止が通告され、8月には日本でも大きな話題になっていた。9月にはJETROが詳しい内容を公表している。つまり、中国に頼っていた企業は、半年以上も対策を練る時間があったということだ。おそらく「上に政策あれば、下に対策あり」の国だから、国がああいってもなんとかなるだろう、とタカをくくっていたのではなかろうか?

番組の内容で残念だったことは、廃プラのデータを使いながら「ペットボトル」のことだと誤認させるような説明をするなどしていたこと(ペットボトルは廃プラのごく一部に過ぎない。タイトルをペットボトルとするならば廃ペットボトルの貿易コードで調べたペットボトルだけのデータを使うべき。「廃プラ」全体のデータを使って、ペットボトルのことだと誤解させているように思えた)、そして、対策がリサイクルに偏っていたことである(時間の制約上やむをえなかったならば、続編に期待したい)。確かに、ベトナムやタイに輸出先を変更したり、国内のリサイクル工場を拡充できれば、私たちはこれまで通り何もしないでラクかもしれない。

しかし、世界はもう大量のプラスチックごみに行き詰まり、為す術がないところまで来ていることをもっと強調したほうがよかった。

きれいなままペットボトルを回収できれば、少なくともペットボトルに関しては、中国に頼らずとも、日本には既に十分な容量のリサイクル施設がある(日本の廃ペットボトル再商品化工場の受入れ可能量は38万4000トン、指定PETボトル販売量は59万6000トンなので、受入れ容量不足ではあるが、廃PETでなく廃プラとしての処理ならば可能)。問題は、鉄道やコンビニ前などから回収されるペットボトルは内容物が残っていたり、他のごみが混在していたりするため、国内のリサイクル工場では受け入れにくいということだ。

しかし、デポジット制度でペットボトルを回収するならば、きれいな状態で回収できるため、これらはデポジット制度により容易に解決できる問題である。もちろん、デポジット制度で散乱ごみも減ることは、既に多くの事例から判明している。

また、フランスやイギリス、台湾、インドなどで決定しているような使い捨てプラスチックを禁止する政策を、日本でも選択すべきだろう。

レジ袋をいまだに無料配布しているスーパーやコンビニを黙認する日本の環境行政を至急見直す必要がある。ペットボトルにしても飲料メーカーは作り放題、消費者は使い放題で、回収方法はお寒いばかり。サントリーのノンアルコールビールのペットボトル化は、ビール容器のペットボトル化の引き金となり、ペットボトル散乱をより加速させるだろう。次回の番組制作では、そこまで踏み込んでほしい。

レジ袋やペットボトル以外にも、減らせるプラスチックごみは多数ある。日本で、プラスチック包装に包まれていない製品を購入することは本当に難しい。このままでは、日本中プラスチックごみとリサイクル工場、焼却場だらけになってしまいそうだ。

オランダでは2月下旬にオープンしたプラスチックフリーの陳列棚を有したスーパーが好評で、今後も継続、拡大するようだ。日本の小売店も、ぜひプラスチック包装を使わない商品を提供してほしい。

NHKクローズアップ現代(2018.5.9)↓

http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4126/index.html

毎日新聞(2018.5.9)「使い捨ての包装は全廃へ 欧州のプラスチックごみ対策最新事情」↓

https://mainichi.jp/articles/20180509/mog/00m/030/005000c

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韓国のスーパー レジ袋禁止

世界初 オランダに脱プラスチック包装の陳列棚のある店がオープン

ペットボトル激増のきざし? サントリーがノンアルPETビールを発売

ペットボトル激増のきざし? サントリーがノンアルPETビールを発売

プラスチックによる海洋汚染問題が深刻な中、ペットボトルの散乱がますます増えそうだ。

サントリーがノンアルコールビール容器にペットボトルを採用する。コンビニ限定商品で、6月19日から販売するとのこと。
380mLと野外でも利用しやすい小型サイズなので、おそらく海水浴客やドライバーなどにもニーズが広がりそうだ。

ペットボトル入りビールは、かつて大容量のものが売られていたが、容器の性能上の問題で人気が今一つだったことや、容器の処理に困った自治体がメーカーに自主回収を求めたことなどから、販売中止になった。
2004年には、アサヒビールがペットボトル入りビールを販売しようとしたが、散乱等を懸念したグリーンピースなど多くの環境団体が猛反対したため、販売が中止された。
2017年、キリンが1Lサイズのペットボトル入り宅配用ビールを販売した。しかし、大容量で家飲み用と考えられたことから、それほど多くの反対の声はなかった。

今回のサントリーのノンアルコールPETビールは、おそらくこれから本格的にビール容器にペットボトルを採用することの前哨戦だと考えられる。

海のプラスチック汚染がますます深刻になりそうだ。

また、デポジット制度などにより自主回収するならばともかく、回収を自治体に頼り回収費用を税金まかせにしておきながら、ごみになるものを次々と販売する企業の姿勢にも疑問を覚える。

SUNTORY(2018.5.8)「ペットボトル入りの透明なノンアルコールビールテイスト飲料 「オールフリー オールタイム」コンビニエンスストア限定新発売」

https://www.suntory.co.jp/news/article/13170.html?rss=0000000029

原発事故の教訓と健忘症

3.11大震災直後には、原発を止めなければならない、という意見をよく耳にした。しかし最近は、「どうせ言っても変わらない」というあきらめと忘れっぽさからか、稼働することへの反対意見は減っている。
私自身も同様で、「原発で儲かる人たちが権力を持っている以上、日本で原発を止めることはできない」とあきらめていた。

知人から転送されてきた毎日新聞(2018.5.2)の記事を遅ればせながら読んだ。

小泉元首相の談話「平成の軌跡 原発事故の教訓」と、政府事故調査委員長の「変わらぬ日本の健忘症」という記事だ。

小泉元首相は「総理の決断次第」で止めることは可能だという。

元首相は、首相だった当時「原発は安全だ」と聞いていた。しかし、3.11の事故をテレビでみて、はじめて「違うんじゃないか」と思ったという。そして本を読み、事故前から危険を指摘していた大勢の研究者や市民団体のあることを知ったのだそうだ。
そして2013年、フィンランドの核廃棄物最終処分場を見学し、10万年も保管する施設を造らないといけないならば「原発ゼロしかない」と確信した。

また、政府事故調査委員長の畑村洋太郎氏は、震災直後には多くの人々が「根本的に変わらなければいけない」と言っていたのに、7年たつと災害のことは語られなくなった、として、「誰かが考えてくれたことに従っていれば、きっとうまくいく」くらいしか考えられないと、世界から置いて行かれる、悪い方向からも事態を見る、という姿勢が大事だと指摘する。

日本の原発事故を見て、ドイツも台湾も脱原発を決めた。しかし、当事国の日本は、原発事故などまるでなかったかのように再稼働させている。原発の恐ろしさを日本人は本当に忘れてしまったのだろうか。

毎日新聞(2018.5.2)「平成の軌跡 原発事故の教訓」

https://mainichi.jp/articles/20180502/ddm/004/070/014000c

北極の海氷に蓄積されたマイクロプラスチックの映像を公開

北極の海氷からマイクロプラスチックを取り出し、分析している映像が公開されている。

想像以上に多くのポリエチレンなどのプラスチックが蓄積されていることがわかる。

USA TODAY(映像), “Record amount of plastic waste discovered in Arctic sea ice”

https://www.usatoday.com/videos/news/2018/04/25/record-amount-plastic-waste-discovered-arctic-sea-ice/34252631/

ドイツのアルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所の研究チームによると、北極海氷中のマイクロプラスチックの蓄積は、「重大な汚染源」になるそうだ。

レジ袋や食品包装、船の塗料、漁網、合成繊維のナイロンやポリエステル、たばこのフィルターなどに由来するプラスチックが多いとのこと。

AFP(2018.4.25)「北極海氷にマイクロプラスチック蓄積 「重大な汚染源」に、独研究」↓

http://www.afpbb.com/articles/-/3172445

過度期にあるごみの分別 分別もバリアフリーに

最近、ごみ分別と専業主婦の役割について考えている。

これまでは、ごみ排出量を減少させるためには、ごみの排出に手間がかかるようにする必要があると考えていた。
ごみを排出しやすくすればするほど、安易にごみを捨てる。ごみ量は増える一方だと思っていたためである。
もちろん、この考えは間違ってはいないだろう。ごみ回収日を減少させた自治体はごみが減るし、分別数を増やした自治体のごみも減る傾向がある(資源ごみもごみ量としてカウントした場合でも、ごみ全体量は減少する)。
しかし最近、ごみ分別に困難をきたす高齢者が多いと聞く。弱視でごみを分別できなかった町議が、不法投棄をして逮捕されたというニュースもまだ記憶に新しい。

今の容器包装リサイクル法は、プラマークやPETマークなどが頼りだ。真面目に分別しようと思うと、弱視者には難しいだろう。
どれが容器包装のプラスチックで、どれが容器包装に分別してはいけない製品プラスチックなのか、高齢者や弱視者でなくとも悩む人は多い。
また、ペットボトルにしても、ノンオイルの青じそドレッシングはPETボトルに分別できるが、オイル入りの一般的なドレッシングは、たとえPET製であってもPETボトルでなく、プラスチック製容器包装として分別しなければならない。

このような複雑な分別を消費者に求めるリサイクル法は、専業主婦が分別することを前提とした法律ではないだろうか?専業主婦のいない家庭で、ごみ分別に手間をかけるのは時間的にも厳しいし、そもそも分別に関心をもつのも難しそうだ。

これからゼロ・ウェイスト社会に進んでいくためにも、住民に手間をかけさせないで済む仕組み(手間をかけられない住民もラクにごみを出せる仕組み)で、かつ分別したり、ごみを減らしたりすると得になるような経済的インセンティブを付加した仕組み(手間をかけられる人は手間をかけることで、ごみを減らせる人は減らすことで得になる仕組み)が必要になるのではないか、と考えている。

そうでなければ、高齢化や女性の社会進出に対応できるごみ処理システムとはいえないのではないだろうか。

抗菌薬でアレルギー発症率1.7倍!

今日の毎日新聞によると、抗菌薬を2歳までに服用した乳幼児は、ぜんそくやアトピー性皮膚炎など免疫異常によって起きるアレルギー疾患の発症リスクが、服用経験のない乳幼児に比べ、1.4〜1.72倍になるとの調査結果が、国立成育医療研究センターによりまとめられたそうだ。

風邪などに安易に抗菌薬を使うことにより、アトピー性皮膚炎などを発症することがあるとのこと。

そういえば以前から、東京医科歯科大名誉教授の藤田紘一郎氏は、腸にはさまざまな働きがあり、酵素やホルモンなども作っているとおっしゃっていた。
大人でも、腸内細菌を殺すことによって、うつ病や癌、アレルギー、肥満なども発症しやすくなるようだ。

抗菌薬は、家畜を早く太らせるため肉にも大量に使われていると聞く。抗菌グッズや抗菌石けん、医師から処方される抗菌薬などは注意すれば生活から遠ざけることができるが、肉を遠ざけるのは難しい。
たとえビジタリアンになったとしても、抗菌薬を食べさせられた家畜の糞が野菜に使われている限り、抗菌薬からは逃れられない。

社会全体で、安易な抗菌剤の使用をやめるしかない。

<参考>

毎日新聞(2018.5.2)「乳幼児は服用注意を アレルギー発症率1.7倍」↓
https://mainichi.jp/articles/20180502/k00/00m/040/187000c?fm=mnm

ニュースポストセブン(2017.6.29)「除菌・抗菌グッズの流行でアレルギーの子供が増えたか」↓
https://www.news-postseven.com/archives/20170629_572391.html

毎日新聞(2017.4.20)「やせられない・・・それは抗菌薬が原因かも」↓

https://mainichi.jp/premier/health/articles/20170331/med/00m/010/008000c

オーストラリア 2025年までに生鮮食品のプラ包装を禁止か

各国で使い捨てプラスチックを禁止する動きが加速している。

オーストラリアでも生鮮食品などのプラスチック製包装を禁止し、7年以内に国内で使われる包装材をすべてリサイクル可能か再利用可能なものに切り替えることを決定したそうだ。

きっかけは、中国がプラスチックごみや分別されていない古紙などの輸入を規制したことから、リサイクル費用が高騰したためである。

もともとオーストラリアでは、海洋プラスチックごみ汚染対策の一環として、レジ袋禁止や飲料容器をデポジット制度により回収する動きが広がっていた。中国のプラスチックごみ輸入規制は、オーストラリアのこの動きを脱プラスチックの方向に加速させたようだ。

<参考>

THE AUSTRALIAN(2018.4.29)Plastics ban after recycling costs skyrocket after China ban;

https://www.theaustralian.com.au/national-affairs/plastics-ban-after-recycling-costs-skyrocket-after-china-ban/news-story/ba7cc1b3f236bac6a3a46ee89c0675fa

<関連記事>

オーストラリアでもレジ袋禁止広がる

オーストラリアのデポジット制度:2018年4月時点での最新情報

バークレー市も使い捨てを規制 テイクアウト用は課税か?

カリフォルニア州バークレー市で、市長が、リサイクルできない食器を禁止し、繰り返し使える食器のみをレストランで提供する条例案を提示した。

もしこの法案が通過すれば、カリフォルニア州の4都市(サンタクルーズ、アラメダ、デイビス、マリブ)やフロリダ州のストローなど使い捨てプラスチックグッズを禁じている条例の後に続くものである。

バークレーのリサイクルに取り組んでいるエコロジーセンターによると、この条例は他都市のものよりさらに進んでものだそうだ。

レストラン内で食事する客に提供される食器は使い捨てが禁じられるが、テイクアウトする場合は、市から承認されたリサイクル可能か堆肥化可能なものならば顧客に提供できる。提供されるカップまたは食品容器には25セント課されるが、堆肥化できるストロー、ナプキン、マドラーは無償で提供できる。

バークレー市では既にポリスチレンを禁止している。

カリフォルニア州では、2016年11月の住民投票によりレジ袋禁止が決定されたが、2017年の沿岸清掃日に回収されたレジ袋は、禁止前の2010年に比べ、3分の2であったとのこと。

<出所>

U.S.News(2018.4.25)Berkeley Proposes tax on disposable food containers;

https://www.usnews.com/news/national-news/articles/2018-04-25/berkeley-proposes-tax-on-disposable-food-containers

英40社以上がプラスチック汚染撲滅を約束

英国最大のスーパーマーケットやコカ・コーラ社、ネスレ、プロクター・アンド・ギャンブルなど40社以上が、今後7年間で(2025年までに)プラスチックの使用を減らし、プラスチック汚染撲滅を約束した。

これらの企業は、持続可能なキャンペーン団体であるWRAPの呼びかけで開始された英国プラスチック協定(プラスチック包装を100%リユースあるいはリサイクルあるいは堆肥化する)にサインしたとのこと。

BBCによると、協定にサインした企業は英国で販売されている製品のプラスチック包装の80%を占めているそうだ。

マイケル・ゴーブ環境相は「避けることのできるプラスチックごみを排除するという我々の目標は、政府、企業、市民が協力すれば実現できるだろう」と述べている。

<出所>

REUTERS(2018.4.26)Over 40 companies pledge to cut uk plastic pollution;

https://www.reuters.com/article/us-britain-plastic/over-40-companies-pledge-to-cut-uk-plastic-pollution-idUSKBN1HX14N

GLOBAL CITIZEN(2018.4.26)Over 40 UK Conpanies Just Signed a Pact to Cut Plastic Pollution;

https://www.globalcitizen.org/en/content/uk-plastics-pact-companies-cut-waste/

ニュージーランドでもデポジット制度を検討か?

ニュージーランドでは長年デポジット制度が検討されてきたが、反対勢力が強く、いまだ実現には至っていない。
しかし、ようやく変化の兆しがみえてきたかもしれない。

Newsubによると、オークランド市議会は散乱ごみの削減とリサイクル率向上のため、全国的なデポジット制度の導入を望んでいる。
デポジット制度を採用すると、現在50%しか回収されていない飲料容器の回収率が80〜90%になる可能性があるとのこと。

Engenie Sage環境担当副大臣は、より多くの情報を収集し、評価するよう要請したという。

Newsub(2018.4.22)Auckland Council pushes to introduce cash for recycling scheme;

http://www.newshub.co.nz/home/new-zealand/2018/04/auckland-council-pushes-to-introduce-cash-for-recycling-scheme.html