フタル酸エステル類も少子化の原因?

昨日の本ブログで化粧品に使われているフタル酸エステル類について触れたため、気になってフタル酸ジエチルについて少し調べてみた。

環境省の資料を見ると、

https://www.env.go.jp/chemi/report/h16-01/pdf/chap01/02_2_17.pdf

「フタル酸ジアルキル(C=1~2)の主な用途は、有機化学製品用(ゴム製品、接着剤、 その他)、添加剤(樹脂用、合成樹脂)、有機化学製品用(その他)、添加剤(樹脂用)とされ ている 17)。本物質の主な用途は可塑剤で、酢酸セルロース、メタクリル酸樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレンにも相溶性がある。また、香料の保留剤としても用いられる」

とのことだ。

(注)フタル酸ジアルキル(C=1~2)(フタル酸ジエチ ル、フタル酸ジメチル)

香料の保留剤というのは、それぞれ揮発性が異なる香料の揮発性を調整し、香りを保持するためのものらしい。香料は通常、10種類以上を組み合わせて使うものなので、それらの揮発性を調整する必要がある。

p.10のヒトへの影響の項を読んで驚いた。

「ヒトの精液で本物質が検出されており、多分、プラスチック包装に本物質が広く使用さ れていることの結果だろうと考えられている」そうだ。

また、こんなことも書かれている。

「健康な成人男子あるいは不妊治療の患者の夫から得た精子に本物質を含むフタル酸エス テル類を添加して培養したところ、すべての物質で精子の運動性が用量依存的に阻害され、 速効性はあまりなかったが、暴露時間の経過と共により顕著な影響となった。精子の運動性はフタル酸ジエチルヘキシル及び本物質でより大きな影響を受け、フタル酸ジ-n-オクチ ルで影響が最も小さく、次いでフタル酸ジブチルと思われた 33) 」。

ということは、プラスチックや香りに使われるフタル酸エステル類は、少子化の原因物質の1つだということだろうか。

少子化対策として、不妊治療費用を助成するのもよいが、フタル酸エステル類を規制することも必要なのではないか。柔軟剤や洗剤、シャンプー、ひげそりクリーム、制汗剤など、男性が使うものにも香り成分の入った物はいくらでもある。

EUは、数年前にフタル酸エステル類の使用を厳しく制限した。フタル酸エステル類は、赤ちゃんの脳にも損傷を与えると報道されたことは昨日も書いたとおりだ。

日本も早急にフタル酸エステル類を厳しく制限してほしい。

ペットボトルのキャップ回収がサーキュラーエコノミー?神戸市も

SDGsは素晴らしい概念だと思うが、あまりにもおかしな使われ方をされ、うさんくさくなってきている・・と思っていたら、最近はサーキュラーエコノミー(循環経済)までうさんくさくなってきた。

ペットボトルのキャップを回収しそれでごみ袋を作る・・、これのどこがサーキュラーエコノミーなのか。まったくわからないが、「サーキュラーエコノミー」として紹介されている。

ビオセボンには期待していたが、これは一体何だろう?

しかもビオセボンだけでなく、神戸市までもが開始したらしい。これでは自治体がペットボトルの使用を奨励しているようなものだ。

サーキュラーエコノミーは経済モデルで、サーキュラーとは循環だ。ごみ袋として燃やすことの、どこが循環なのか?そもそもペットボトルのキャップ回収自体、循環経済とは真逆にあるのではないか。

イギリスの大手スーパー・テスコは、数年前に自社製品の水のペットボトルを廃止し、開栓後また閉じられるアルミ缶に変えた。飲み終わった後また水を入れて水筒としても使えるらしい。このような企業の姿勢がサーキュラーエコノミーの第1歩だろうと思う。

ごみ袋は必要だから、それを再生樹脂で作るのはよいが、わざわざキャップを単独で回収して作る必要はない。単独回収することで回収車が余分に排出するCO2の元が取れるほど、ペットボトルのキャップに資源としての価値を認めているならば、ペットボトルのような使い捨て品は、とにかく使わないことが大事なはずだ。

本来、キャップはペットボトルにつけて回収し、飲料メーカーが責任もってボトルもキャップもリサイクルすべき。EUはその方向に舵を切りつつある。

日本は自治体が税金で多くのペットボトル本体を回収し、キャップについても容器包装プラスチックの一部として扱われるのでやはり自治体が税金をかけて回収する。そのキャップだけを別枠で集めて、燃やすことが前提のごみ袋を作る・・このような循環しない事業をサーキュラー エコノミーと呼んでよいのだろうか。

サーキュラーエコノミーにとって、リサイクルは必ず必要だ。しかし、それ以上にサーキュラーエコノミーに必要なことは、ペットボトルのような使い捨て製品の削減であるはずだ。

<参考>

神戸市:日本初!「市民みんなでペットボトルキャップを集めて作る指定ごみ袋」

https://www.city.kobe.lg.jp/a36643/press/520069752360.html

カリフォルニア大学、使い捨てプラを段階的に廃止

米カリフォルニア大学が、不要な使い捨てプラスチックを2030年までにすべて廃止することを目指すと発表した。

使い捨てプラとは、ストロー、マドラー、ソーダや水のボトル、レジ袋、食品包装、フードサービスの皿やカップなど。

レジ袋は既に1月1日までに撤去した。ストローなどは、今年7月1日までに堆肥化可能なものやリユースできるものに置き換える。

キャンパスフードサービス事業は、2023年1月1日までにペットボトルの購入、販売、流通を段階的に廃止する。そのため、キャンパス内に給水ステーションの設置がすすめられる。

また、カリフォルニア州政府もまた、州全体で使い捨てプラを減らしている。

衆議院は昨年11月、使い捨てプラとポリスチレンを禁止する法案を可決した。

House Bill 1162は、レストランやその他の食品小売業者が2022年1月1日までに持ち帰り用食品の包装にポリスチレンを使用することを禁止している。

また、HouseBill1163は2022年7月1日までにストローやレジ袋の使用を禁止する。

<出所>

The Guardian(2021.1.10)University of California Begins to Phase Out Single-Use Plastics

https://ucsdguardian.org/2021/01/10/university-of-california-begins-to-phase-out-single-use-plastics/

ペプシコ、使用済みPETのみを利用したペットボトルの使用を拡大

ペプシコは、2022年までにヨーロッパの9か国で販売される特定のブランドのペットボトルなどプラスチック飲料の容器に、使用済みPETのみを使うと発表した。

これにより、年間1億5,000万ポンド以上のバージン樹脂が再生樹脂に置き換わるそうだ。2021年には、ドイツ、ギリシャ、ポーランド、ルーマニア、スペインのペプシソーダに使用される。

また翌年には、ベルギー、フランス、イギリス、ルクセンブルグで100%RPETボトルを展開する予定とのこと。これらの国では、変更はペプシソーダだけでなく、すべてのペプシコソフトドリンクを対象としているそうだ。

<出所>

Beverage giant to expand RPET use in Europe(2020.12.9)

ビクトリア州、デポジット制度のディスカッションペーパーを公表

ごみの多くを中国への輸出に頼っていたオーストラリア・ビクトリア州では、中国が廃プラ輸出を禁止してから、ごみの分別に注目するようになった。

最終処分場へのごみの埋立量の8割減を目指している。

今年2月、ビクトリア州政府は、2023年までに実施されるカーブサイド回収のリサイクルプログラムと並行し、飲料容器のデポジット制度を実施すると発表した。

そのデポジット制度のスキームがおおむね決まったようだ。

先日、デポジット制度のディスカッションペーパーを発表。まだよく読んでいないが、ニューサウスウェールズ州などと手法はあまり変わらないようだ。

州政府は3億ドル以上を投資して、ビクトリア州のリサイクルセクターを変革。州民が信頼できるシステムを提供するとのこと。

デポジット制度がなかなか決まらなかったビクトリア州とタスマニア州だが、2023年に両州で実施されると、オーストラリア全土でデポジット制度が実施されることになる。

ディスカッションペーパー↓

https://s3.ap-southeast-2.amazonaws.com/hdp.au.prod.app.vic-engage.files/5516/0392/1774/Victorian_Container_Deposit_Scheme_Discussion_Paper.pdf

豪タスマニア、2022年までにデポジット制度導入決定

オーストラリアのタスマニア州で、飲料容器のデポジット制度が2022年までに導入されることが正式に決まった。

環境保護局の最新の年次報告書によると、2018-19年には749,219トンの廃棄物が発生し、そのうち402,921トンが埋め立て処分されたとのこと。リサイクルされたものは259,829トンで、堆肥化されたものは86,469トンだった。

ということは、堆肥化を含むリサイクル率は46%程度だから、タスマニア州はデポジット制度導入前でも日本よりリサイクル率は高いようだ。

<関連記事>

<出所>

The Advocate(2020.11.13)

https://www.theadvocate.com.au/story/7011367/budget-money-for-container-refund-scheme/

スコットランド、2022年からデポジット制度開始

スコットランドは、イギリス初のデポジット制度を22年7月1日から導入するとのこと。

デポジット/リファンド額はいずれも20ペンス。購入時に20pを飲料代に上乗せして払い、容器を返却すると20p返金される。

スキームの管理者は2021年1月に任命される予定。

これまでの報道を合わせると、対象は50mLから3Lまでの使い捨て容器で、びん、缶、ペットボトルだ。

<参考>

I・C・I・S(2020.11.4)

https://www.icis.com/explore/resources/news/2020/11/04/10570902/scotland-launches-uk-s-first-deposit-scheme-on-drink-containers-to-boost-recycling

欧コカ・コーラ、再生紙で紙ボトル製造を目指す

欧州のコカ・コーラが、100%紙で作った紙ボトルの計画を発表した。

写真を見ると、牛乳瓶のようなボトルだ。

第一世代の紙ボトルは、プラスチックライナーを中にラミネートしたもの(日本のカートカンのようなものか?)。

将来的にはプラスチックを含まない紙ボトルを作る計画だ。

欧米ではペットボトルの評判が近年すこぶる悪いため、ようやく欧州のコカコーラは、ペットボトルに見切りをつける気のようだ。

まだプラスチック好きな人の多い日本では、しばらくペットボトルは安泰だろうが、いずれ日本のコカ・コーラもペットボトルをあきらめる時代が来るのではないかと期待している。

<出所>

Foodprocessing(2020.11.4)

https://www.foodprocessing.com.au/content/packaging-labelling-coding/news/coca-cola-to-make-bottle-from-100-recycled-paper-871061305

日本のペットボトル、サーキュラーエコノミーは可能か

昨日「NIKKEI CIRCULAR ECONOMY WEEK 特別フォーラム
ペットボトル国内完全循環への挑戦」のセミナーを視聴。

「ペットボトルリサイクル先進国」の日本であるにも関わらず、これまで使用済みペットボトルから新しいペットボトルへの再生がわずか1割。この「ボトル to ボトル」をもっと増やすためのメーカーサイドの取組を紹介する、というような内容で、これをサーキュラーエコノミー(循環経済)とムリに結びつけたものだった。

確かにサントリーのように、ほんの一部の地域でも自治体に頼らず自主回収しているメーカーは、努力しているといえるかもしれない。しかし、多くのメーカーは自治体回収の上にあぐらをかき、それで「サーキュラーエコノミー」だなどと胸を張って欲しくない。

特にコカコーラは、100%回収を謳いながら自治体に頼りきりだ。

たとえば東大和市での役割分担はこうだ↓

https://www.city.higashiyamato.lg.jp/index.cfm/1,106069,3,html

 東大和市:市民の皆様への事業の周知と適正な排出の広報及び機器の運用ケア
 コカ・コーラ ボトラーズジャパン(株):ペットボトル自動回収機の設置・回収資源の適正利用
 東大和市清掃事業協同組合:回収したペットボトルの収集及び一時保管場所への運搬

一番お金のかかるペットボトルの収集を市にやらせておきながら、これのどこがサーキュラーエコノミーなのか理解に苦しむ。

このやり方が他市へも広がっているとのこと。

サーキュラーエコノミーの根底には、「拡大生産者責任(EPR)」が必ずあるべきだ。これをないがしろにして、サーキュラーエコノミーなどチャンチャラ可笑しい。

サーキュラーエコノミーとは、供給網のループを閉じて完全循環を目指すことのはず。そこに税金が介在する余地はない。「自治体との連携」の名の下に、税金をあてにしたサーキュラーエコノミーなどあり得ない。

主催した日経は一体何を考えているのか。

<関連記事>

ペットボトルのラベル剥がしの件等、ご連絡の返信です

本日、せっかくご連絡いただきましたが、返信してもエラーメッセージがでるため、かわりにここで。

ご連絡ありがとうございます。
おっしゃる通り、数年前までPETボトルのラベル剥がしを禁止している自治体がありました。
千葉市や奈良市などです。
ラベルを剥がされてしまうと、そのボトルが確かにPETボトルとして集めるべきボトルなのか判断しにくくなるためです。
PET製でも中に油などを使ったドレッシングが入っていた場合はPETボトルとして回収してはいけないことになっているので。
ところが、以前ブログにも書いた通り、突然環境省がラベル剥がしを決めてしまいました。
世界ではラベル剥がしを禁じている国も多く、そういう国でもきちんとリサイクルされています。
台湾でもラベル剥がしを禁じていますが、日本以上にグレードの高い再生PET樹脂を作っています。日本でできない理由はありません。
リンクの件は、もちろんOKです。