不滅のペットボトル?

動画「不滅のペットボトル」を見た。最後にペットボトルがウインクするところが、正直キモい。

この動画は、なぜか気持ちを逆なでする。ペットボトルがヒーロー面しているからだろうか?

プラスチック汚染問題は日々深刻さを増している。昨年のトロント大学などの研究チームの発表によると、プラスチックごみの約11%が海に流出しているそうだ(2016年のデータを元にした推計)。ペットボトルも多数流出していることは間違いない。

2010年のデータをもとにしたジャムベックらの報告よりも、海洋へのプラスチック流出量はさらに増えている。

こんな深刻な事態なのに有効な手を打つことなく、ペットボトルをさもヒーローのように扱うこの広告は、どういう意図で作られたものだろうか。

せめてデポジット制度でメーカーが真剣に回収してくれていれば、これほど腹が立つこともないのだろうけれど・・。ペットボトルは「不滅」でないほうがいい。

「不滅のペットボトル」(全国清涼飲料連合会)↓

コカコーラ、4年連続トップの汚染企業

breakfreefromplasticの2021年レポートによると、2021年のプラスチック汚染企業は、「コカ・コーラカンパニー、ペプシコ、ユニリーバ、ネスレ、プロクターアンドギャンブル、モンデリーズインターナショナル、フィリップモリスインターナショナル、ダノン、マース、コルゲートパルモリーブ」とのこと。

コカコーラは、「販売量と同等量を回収」などという「2030年ビジョン」を大々的に掲げていながら、今年も汚染トップ。これで4年連続だ。

しかし、「ESGブランド調査」によると、コカコーラは5位。この手の調査結果は、環境団体の認識とはかけ離れているようだ。

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00159/100600034/

イメージ戦略はうまいが、拡大生産者責任(EPR)は果たすつもりがないのだろうか。サスティナビリティをうたいながら、200mL前後の超ミニボトルを量産し、回収責任を果たさない・・。グリーンウォッシュを疑いたくなる。

そういえば、コカコーラはかつて日本で「空き缶公害」が問題になった際、汚染トップ企業だとして当時の若者たちが問題にした会社だ。当時の新聞によると、若者達は拾ったコカコーラの空き缶をトラックにいっぱい積み込んで、本社前に乗り付け、コカコーラに空き缶の買い取り要求をしたという。

その当時から会社の体質は何も変わっていないということか。回収責任をきっちり果たしてほしい。

<出典>

https://www.breakfreefromplastic.org/wp-content/uploads/2021/10/BRAND-AUDIT-REPORT-2021.pdf

鳩サブレー、紙製容器に

鳩サブレーのパッケージ(仕切りトレーや緩衝材)が紙に変わった。脱プラスチックを目指し、豊島屋と日本製紙とが、2年かけて開発したとのこと。

「使い捨てプラスチックの使用量を年間およそ100トン削減できる見込み」だそうだ。

10月から順次販売。使い捨てではあるけれど、漫然とプラスチックを使っているよりはマシだ。

今度買ってみたい。

<出典>

FNNプライムオンライン(2021.10.30)「鳩サブレー」のパッケージが紙に 使い捨てプラスチック 年間100t削減」↓

https://www.fnn.jp/articles/-/261770

もうバドワイザーは飲まない リユース樽を使い捨てプラスチック樽へ変更

もうバドワイザーは絶対に飲まない。

アンハイザー・ブッシュ・インベブ ジャパンは、リユースされていた「バドワイザー」Pure Draught(ピュアドラフト)のスチール樽を、わざわざ使い捨てのプラスチック樽に変更した。

返却しないでよいため、返却に伴うCO2を出さずに済むとのこと。しかし、この容量ならば飲食店向けだろうから、飲食店に新しいビールを配達する際に引き取っていたのでは?

典型的なグリーンウォッシュ。言い訳にしか聞こえない。返却の際の輸送に伴うCO2は気になるが、空いた容器を処分する際のCO2や新原料から樽を作る際のCO2は気にならないようだ。エコロジカルフットプリントで計算せずに、カーボンフットプリントで都合のよいところだけ計算するから、このような結論になるのだろう。

「年内はスチール樽からの切り替えに重点を置き、来年以降、本格展開を予定」とのこと。

このご時世、わざわざ使い捨てプラに切り替えるのは、余程SDGsに逆らいたいのか。

「リサイクルできる」というが、主材料として使っているPET樹脂以外に、ガスバリア性を高めるため何か他の樹脂を使っているのでは?「PET/プラとして処分することが可能」とのことだが、この色つきボトルがいわゆる「PET」として他のペットボトルと一緒にリサイクル工場へ行くとは思えない。

プラスチック資源循環促進法では、事業者の自主回収も促されている。ワンウェイ容器であっても、このようなものは事業者が引き取るべきだ。そうであれば、返却に伴うCO2は、リユース容器と大して変わらない。

<出典>

Web東奥(2021.9.30)↓

https://www.toonippo.co.jp/articles/-/692156

食品産業新聞社(2021.10.27)「「バドワイザー」新プラスチック樽「ピュアドラフト」開発、企画背景や今後の展開を聞く」↓

https://www.ssnp.co.jp/news/liquor/2021/10/2021-1027-1448-14.html

「レジ袋有料化廃止」は桜田議員の選挙対策?

「レジ袋有料化は廃止されるの?」と最近よく聞かれる。その都度「まさか!あり得ません」と答えるが、なぜこんな風評が広まったのかと、気になって少し調べてみた。

発端は、桜田義孝衆議院議員のツイッターらしい。桜田氏が5日、ツイッターを更新し、レジ袋有料化問題について「地域の皆様からの要望で、レジ袋についてのご要望を頂いております。・・・レジ袋有料化のメリットデメリットについて、私の盟友である山口つよし環境大臣に直接ご相談をさせていただきました」と投稿したのだそうだ。

これが、「レジ袋有料化が廃止される」などと誤解されるような話にまで発展したらしい。

桜田議員といえば以前、復興五輪についての不適切発言で辞任した議員だ。今度の衆院選で、千葉8区は野党が候補を一本化し、包囲網を敷いた。

https://www.asahi.com/articles/ASPBF652BPBDUDCB003.html

それで焦って、レジ袋有料化に反対する人達の票を取り込むべく、ツイッターに「環境大臣とお友達だよ」アピールをしたのだろうか?

もしそうであれば、これほど広まるとは思わなかったにせよ、あまりにも幼稚でお騒がせな「選挙対策」だ。国会議員の発言とは思えない。

「ガチャ」好き日本、プラごみには無頓着。ご当地ガチャも登場

ガチャポンなどのカプセルトイが人気だ。しかし、カプセルはもちろん、中のオモチャもほぼ100%プラスチック製。

いずれこのようなものは「脱プラ」の流れで自粛されるに違いないと思っていた。無添くら寿司の「ビッくらポン」のカプセルも昨年6月、一部の店舗で試験的に紙製カプセルに切り替えると発表していた。

https://www.ssnp.co.jp/news/foodservice/2020/06/2020-0615-1602-15.html

マクドナルドのハッピーセットでさえ、2025年までには世界中の店舗でプラスチック以外のものに切り替えると発表している。イギリスでは既に、マクドナルドもバーガーキングもプラ製以外のものに切り替えたと聞く。日本もいずれ、カプセルも中身も、プラスチック以外になるに違いないと信じていた。

ところが先日、NHKで「街ガチャ」を船橋でスタートしたと好意的に紹介していた。中身は、「地元愛」にあふれたアクリル製キーホルダーらしい。カプセルは「環境に配慮」して、生分解性プラスチックとのこと。おそらくポリ乳酸だろうか?

ポリ乳酸は、産業用の堆肥化施設でなければ分解しない。環境中に捨てられたら、何年経とうが分解しない。環境に配慮するならば、紙製(再生紙)にすべきだし、中身もアクリルではなく、プラスチック以外のものを採用すべきだ。

ガチャガチャというプラスチックの音と、どれが当たるかわからない、というゲーム感覚で楽しめることが、カプセルトイのミソなのかもしれないが、いいかげんプラスチック以外の遊び道具を見つけてほしいと思う。

<参考>

船橋経済新聞(2021.9.23)「「街ガチャ in 船橋」第1弾 地域の魅力がカプセルトイに、市内21カ所で」↓

https://funabashi.keizai.biz/headline/2869/

マクドナルドの脱プラ、英姉妹の署名がきっかけ?

イギリスのマクドナルドが、子ども向けメニューにプラスチック以外のおもちゃ提供を決めたのは、おそらく世界で一番早かった。日本のマクドナルドはようやく今年9月に、2025年までには・・と発表した。日本を含む世界のマクドナルドで実施する。

なぜイギリスのマクドナルドが、世界に先駆けて決めたのだろうか、と少し不思議に思っていた。イギリスはプラスチック問題への意識が高いからだろうと単純に考えていたが、実は幼い姉妹が署名を集め、それをマクドナルドに届けていたことが理由のようだ。

たまたまchange.orgのサイトを見ていたら、8歳と10歳の姉妹が集まった約50万筆の署名を入れた箱をもって、マクドナルドの前に立っている写真が載っていた(2年前の写真?)。

スウェーデンのグレタさんの行動力も素晴らしいけれど、この姉妹の署名も世界中のマクドナルドを動かしたわけだ。署名の威力はすごい!

「Save the environment – Stop giving plastic toys with fast food kids meals」↓

https://www.change.org/p/burger-king-mcd-s-save-the-environment-stop-giving-plastic-toys-with-fast-food-kids-meals

<関連記事>

プラスチック資源循環促進法の施行令案、パブコメ募集開始

環境省がプラスチック資源循環促進法の施行令案に関するパブリックコメントを昨日(10月8日)から募集している。

「令和3年8月の中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環小委員会及び産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会プラスチック資源循環戦略ワーキンググループの合同会議にて、同法の施行に伴う施行令案等について審議されました。
 本施行令案等について広く国民の皆様からの御意見をいただきたく、以下の要領で意見を募集します。忌憚のない御意見をくださいますようお願い申し上げます(なお、本施行令案等については、パブリックコメントでいただいた御意見に加え、関係省庁との調整等による修正があり得ます。)。」

とのことだが、8月の議事録は会議2回分ともまだ公開されていない。

https://www.env.go.jp/council/03recycle/yoshi03-14.html

これで意見をいえといわれても、ほとんどの人が困るのではないか。

募集しているのは、

(1)「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の政省令・告示について
(2)プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行令案(仮称)
(3)プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の施行期日を定める政令案(仮称)
(4)プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行規則案(仮称)
(5)プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律に基づく指定調査機関等に関する省令案(仮称)
(6)特定プラスチック使用製品提供事業者の使用の合理化による排出の抑制に関する判断基準省令案(仮称)
(7)プラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制及び再資源化等の促進に関する判断基準省令案(仮称)
(8)プラスチック資源の分別収集物の基準及び委託の基準に関する省令案(仮称)
(9)プラスチックに係る資源循環の促進等を総合的かつ計画的に推進するための基本的な方針案(仮称)
(10)プラスチック使用製品設計指針案(仮称)

についての意見。締め切りは11月7日。

詳細は↓

「「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行令案」等に関する意見募集について」↓

https://www.env.go.jp/press/110005.html

すかいらーくG、来年からスプーン、フォーク、ナイフを木製に

来年から施行されるプラスチック資源循環戦略。注目されることの1つは合理化対象となった「特定プラスチック使用製品」に各社どう対応するのか、ということだ。特に、コンビニが最終的にどうでるのか、大手レストランがどうするのか、がカギとなる。

先日、ガストなどを運営する外食大手すかいらーくホールディングスが、持ち帰りや宅配用カトラリーをバイオマスプラスチックから木製に切り替える、と発表した。2022年1月から順次変更する。

希望者にのみ渡す。グループ全体で5年後(2026年)までに2020年比で使い捨てプラ使用量を半減させる。

すかいらーくGは、ストローのときも廃止に素早く動いたし、今回の決定も好感がもてる。

<出所>

すかいらーくホールディングス「持ち帰り・宅配用カトラリーをバイオマスプラスチックから 木製に変更 【プラスチック製品を86トン削減】」(2021.10.5)↓

https://www.skylark.co.jp/company/news/press_release/pk637h000006exyn-att/211005_cutlery.pdf

飲料メーカー、再生PETの調達に苦労

米カリフォルニア州の飲料メーカーは、再生PET樹脂の調達に苦労しているそうだ。カリフォルニア州では、来年(2022年)までに使用済み樹脂(post-consumer recycled resin:PCR)を少なくとも15%以上使用したボトルを使うことが定められている。しかし、コカコーラなど多くのボトラーがその基準をまだ満たしていないという↓

https://www.wastedive.com/news/california-plastic-beverage-recycled-content-coke-pepsi-nestle/607408/

再生PET樹脂は、ランニングショーツや靴などの材料としても引き取られているため、ボトラーは買い負けているようだ。さらに、同記事によると、コカ・コーラノースアメリカのPCR率はわずか10%だ。これはカリフォルニア州の基準も満たしていない上、2030年までにすべてのパッケージに50%のリサイクル材料を使用するという目標をもはるかに下回っている。

米コカコーラは2018年1月、2030年までには同社のペットボトルや缶などの容器相当量を100%回収し、リサイクル素材の含有率を平均50%のペットボトルを作ると発表していた。

日本のコカコーラも似たようなビジョンを発表したが、微妙にトーンダウンさせたものだった。しかも日本政府は、そのような達成すべき明確なPCR率目標を決めていない。プラスチック資源循環戦略には、単に「2030年までに再生利用を倍増」という曖昧な目標が設定されているだけだ↓

https://www.env.go.jp/press/files/jp/111746.pdf

米コカコーラが、同社の2030年ビジョンを達成しようと思えば、アメリカ全体でデポジット制度にしないと無理ではないだろうか。

日本企業も最近サーキュラーエコノミーを意識して、再生樹脂利用に前向きだ。いろいろ発表しているが、おそらく国内よりも海外を意識してのことだろう。

カリフォルニア州の基準を満たし、来年、同州に飲料を輸出できる日本のボトラーは何社あるだろうか?

目先の回収費用を惜しんで、ペットボトル回収などをいつまでも自治体任せにしているようでは、日本の飲料メーカーはやがて海外へ飲料を輸出できなくなる。質の高い再生樹脂の調達が難しくなるだろう。

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