米ロードアイランド州、人工芝などPFAS含有製品の禁止法が上院を通過 下院でまもなく投票

ecoRi news(2024.6.8)によると、アメリカのロードアイランド州で5月5日、消費者PFAS禁止法が可決された。6月中旬には下院で可決される可能性がある。

もし可決された場合、PFAS禁止法は2027年に発効し、製造プロセスの一部として意図的にPFASが添加され、かつ法律に記載されている製品にのみ適用されることになる。法律に記載されている製品は、カーペット、化粧品、調理器具、月経製品、テキスタイル、ファブリックトリートメント※、スキーワックス。さらに、2029年からは、人工芝と屋外用アパレルにも禁止が拡大される。また、来年から、泡消火剤にも制限が追加されるそうだ

フィルムやデジタルカメラ機器、子ども用電子機器関連製品であり、集積回路、半導体チップなどは法律に含まれなかった。

下院での投票は6月11日(火)の予定だという。

※布地を柔らかくしたり、防水や撥水処理することなどを指すようだ。

出所

ecoRi news(2024.6.8)「House Passes Slimmed-Down PFAS Ban」

米マサチューセッツ州やカリフォルニア州で人工芝設置を禁止する自治体が増えている

アメリカではPFASのために人工芝を禁止する自治体が増えつつあるが、マサチューセッツ州のオークブラフでも禁止が決まったようだ。

理由は「化学物質が島の主要な帯水層を汚染する可能性がある」ため。

https://vineyardgazette.com/news/2024/04/23/oak-bluffs-board-health-bans-turf-fields

ボストン市を皮切りに、マサチューセッツ州では人工芝を禁止する自治体が増えているようだ。

同州のシャロンでも人工芝が禁止されているが、PFASだけでなく、マイクロプラスチックやゴムチップの有害性も禁止理由にあげられている。

https://ecode360.com/37379890

また、同州のコンコードは、ゴムチップに含まれる化学物質を理由にモラトリアムが2016年から継続しているようだ。同州ウェイランドもモラトリアム(一時停止)を決めている。

https://www.wgbh.org/news/local/2022-05-10/more-games-or-more-grass-fields-turf-wars-play-out-across-massachusetts

カリフォルニア州ではミルブレーで人工芝が禁止されている。個人住宅の庭に敷くのもNGらしい。

https://www.ci.millbrae.ca.us/276/Prohibition-of-Artificial-Turf

同州のサンマリノはモラトリアムを決めているそう。

https://abc7.com/fake-grass-artificial-turf-california-environmental-concerns/13942121/

カリフォルニア州が自治体の人工芝禁止を認めてから、禁止する自治体が増えている。

また、ニュージャージー州のケープ・メイ市でも公共施設と私有地の両方の人工芝が禁止になったようだ。

ワシントン州エドモンズは、ゴムチップを充填する人工芝の設置に30ヶ月のモラトリアムを課した。

メリーランド州では人工芝の処分を受け入れていないので、処分したい場合はバージニア州など近隣の州で処分する必要がある。

unsustainable「Artificial Turf: Impacts on Environment and Human Health」2024.2.28

そういえば、ニューヨーク州では2023年に人工芝のモラトリアム法案が提案されたが、その後どうなったのだろうか。

日本ではなかなか人工芝を禁止しないだろうから、早晩日本の庭や公園は人工芝だらけになりそうだ。

PFAS:ドイツの米軍基地は責任を認め、4億円かけ自ら浄化

ドイツの拡大生産者責任は世界的にも有名だ。

そのドイツでは、駐留する米軍兵士までもが生産者責任(というか汚染者負担の原則)をまっとうしようとするようだ。

バイエルン州にある米陸軍駐屯地の飛行場では、約10年前に消火訓練場周辺の土壌と地下水がPFASで汚染されていることがわかった。米陸軍は、汚染した地下水が基地外に流出しないように9つのの井戸を掘ってポンプをくみ上げ、浄化して小川に流す計画を策定。工事費として約260万ドル(約4億円)を計上したとのこと。

4月10日に工事の起工式が開かれ、駐屯地司令の大佐が「飲料水を守り、環境を大切にすることは、国籍に関係なく全ての市民の責任です。米軍兵士として、私たちはどこに駐留していても良き市民でありたい」と語ったとのこと。

https://x.com/kakusanbuchoo/status/1797776721141436692

日本の米軍関連施設の人達も、「良き市民」として日本に駐留してくれればよいけれど、日本ではどうなのだろうか。

南橋本の汚染源はやはりスリーエム。相模原市長はPFAS汚染をどう考えているのか

相模原市南橋本の汚染源(あるいは汚染源の1つ)はやはりスリーエムジャパングループの「スリーエムジャパンイノベーション相模原事業所」(以下、3M)であることが判明した。

これまでの時系列は以下になる。

・2022年10月7日:3Mが相模原市にPFAS汚染結果を報告。資料「スリーエムジャパンイノベーション相模原事業所のPFAS類分析結果」によると、3MのPFAS分析(サンプル採取)は5/27、7/26に行われ、3M敷地内の井戸#5ではPFOAが優勢(最高値が7/26で870ng/L)、他の井戸や雨水池手前、雨水池ではPFOSが優勢(最高値が7/26の井戸#7で360ng/L)で、PFHxSやPFHxA、PFBS、PFBAも検出されている。

・2022年10月13日:相模原市の調査で中央区南橋本のPFOAが1500ng/L、PFOSが37ng/L

・2023年8月2日:相模原市の要請により3Mが井戸#5の分析結果を市に報告。これによると、2022年10月6日に採取された井戸#5から1700ng/LのPFOAを検出

・2023年10月23日:相模原市が中央区南橋本の地下水を分析。結果はPFOAが1400ng/L、PFOSが29ng/L、PFHxSが20ng/L

・2023年12月26日:3Mが市を訪問。そのときの資料によると、井戸#5(サンプル採取日10/23)の結果はPFOAが1300ng/Lなど。放流水(サンプル採取日10/6)の結果はPFOSが520ng/L、PFOAが59などと放流水はPFOSが優勢。井戸#7はPFOSが210ng/L、PFOAが160など。また、市の分析場所を3Mがクロスチェックしたところ、PFOAが1300ng/L、PFOSが23ng/L。

・2024年3月 :市民団体「相模川さがみ地域協議会」が市へ公文書公開請求

・2024年4月 :相模原市は黒塗りの文書を開示。南橋本の企業が市に相談していたことは明かしたものの、企業名は秘匿

・2024年4月25日:再度、同協議会が公文書開示請求を行う

・2024年5月25日:市が公文書を開示。相談企業が3Mだということを公式に認める

・2024年5月31日:市と協議会が面談。協議会が出していた質問に市が回答

以上でわかったことは、相模原市の隠蔽体質(3Mに忖度しているように見える)と南橋本の汚染源の1つはやはり3Mだったことだ。しかも、同社は今でもPFAS入りの水を放流していて、それについての有効な手段を市は打てないでいる。

わからないのは、3M相模原事業所は工場ではないとHPには書かれているが、何を製造(あるいは研究)し、PFASを流出させているのか、ということ。相模原事業者が絡んでいる同社のフッ素系の商品は同社資料によると、粘着テープとポストイット、フッ素系不活性液体とのことで、既に製造を中止した商品は泡消火剤だ。

一番、わからないのは相模原市長がなぜ無言のままなのかという点だ。何を考えているのかさっぱりわからない。ふつうならば、市の財産(土地)を汚染した汚染者に対し、現状復帰を求めるはずだと思うのだが、何も感じていないのだろうか?

千葉県柏市でもPFAS、原因は海上自衛隊の消火訓練か

千葉県と柏市は16日、同市と白井市の市境を流れる「金山落(かなやまおとし)」で行った追加調査(3月11日)の結果を発表した。

柏市側の海上自衛隊下総航空基地北東側の水路で1800ナノグラム、同南東側の水路2地点でそれぞれ1000ナノグラムを検出したそうだ。

また、伊藤ちかこ県議が16日、独自の調査(3月14日)結果を公表した。それによると、同基地南東側の柏市調査地点の水路上流で3300ナノグラム、北東側の水路で1800ナノグラムを検出したという。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/321715

汚染源は、海上自衛隊の航空基地の消火訓練で使われた泡消火剤の可能性が大きいようだが、現在備蓄されている泡消火剤にPFASは含まれていないのだろうか。

しっかり確認した上で、早急に汚染対策(復旧)を進めてほしい。

欧州:卵からPFAS、汚染源はエサの魚粉か。日本の卵は大丈夫?

昨年11月に発表されたデンマークの国立食品研究所の研究によると、大規模農場の有機卵からPFASが検出された。

検出されたPFASは、たとえばある農場の卵は、卵黄1グラム当たりの濃度がPFOA 0.07±0.02ng、PFNA 0.37±0.04ng、PFDA 0.13±0.00ng、PFUnDA 0.22±0.04ng、PFDoDA 0.06±0.02ng、PFTrDA 0.15±0.04ng、PFTeDA 0.02±0.02ng、PFHxS 0.10±0.04ng、PFOS 2.62±0.11ngとのこと。

有機飼料生産に使用される魚粉が、ニワトリに与えられたためだと推定されている。このため、有機卵生産者は魚粉の使用をやめることを決定した。

検出されたPFAS濃度は、4歳から9歳の子どもが1週間に5から6個の卵を食べると、4.4 ng / kg 欧州食品安全機関の許容週摂取量を大幅に超過するそうだ。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37944762/#full-view-affiliation-1

一方、フランスでは自宅の裏庭で育てたニワトリの卵は食べないよう警告されている。

なぜ裏庭の卵がアブナイのかというと、収量を最大化することを目的としたプロの農場よりも裏庭の方がニワトリを長く飼育するためだとのこと。

「残留性有機汚染物質の蓄積は、暴露期間とともに増加します。たとえば、数年間ニワトリ小屋にいた雌鶏は、数ヶ月しかそこにいない雌鶏よりも汚染されている可能性が高い」ためだそうだ。

https://www.euronews.com/green/2023/11/21/millions-in-france-warned-not-to-eat-eggs-from-backyard-chickens-due-to-forever-chemical-p

卵を毎日のように子どもに食べさせている家庭は多い。子どもにはよいものを食べて欲しいとの思いから、有機卵を選ぶ家庭もあるだろう。スーパーの安価な卵も含め、日本でも早急に卵のPFAS濃度を調べて欲しい。

サッカーでPFOSが人工芝から選手の皮膚へ 人工芝によるPFAS曝露実験

アメリカでは調べたすべての人工芝からPFASが検出されている。人工芝のPFASは、サッカーをする選手たちに移るのだろうか?

その疑問を解決するため、非営利団体PEER(Public Employees for Environmental Responsibility:環境に責任をもつ公務員?)が小さな実験を行った。

南カリフォルニアの3人のサッカー選手と1人のサッカーコーチが、人工芝と天然芝の上でサッカーの試合をし、試合前後の皮膚を綿棒でこすり、PFOS(最も危険なPFASの1つ)を調べたのだ。

その結果、4人中3人でPFOS濃度が上昇した。うち1人は2倍以上になった。

一方、天然芝の上でプレーした場合では、4人中3人のPFOSレベルが低下した。

PFOSはパッケージから取り出した新しいサッカーボールにも付いていたという。

この研究ではPFOSしか調べなかったが、今後もっと対象を拡大して調べる必要がある。

PEERのカイラ・ベネット氏は「まだこんなものを使おうとしている人たちがいるなんて、あきれるばかり」と、プラスチック製の化石燃料製品を何エーカーも敷き詰めることを批判している。

フィラデルフィア・フィリーズに所属していた元野球選手の中には、チームメイトを死に至らしめた希少な脳腫瘍の背景に、人工芝の存在があるのではないかと疑っている者もいる。また、ナショナル・フットボール・リーグの選手組合は、すべての人工芝フィールドを芝生に置き換えるよう求めている(英紙ガーディアン2024.3.15)。

https://www.theguardian.com/environment/2024/mar/15/athletes-higher-pfas-levels-artificial-turf

実験結果↓

こんなものにもPFAS?! ハサミも粘着テープも焼き網も

あるPFASの資料に、PFAS使用例として「セロファンテープ」とあった。

まさか!と思い調べたところ、セロハンテープにPFASが使われているかはわからなかったが、その過程でフッ素加工された粘着テープとハサミを見つけた。

粘着テープは我が家にもあるタイプのもので、「フッ素樹脂粘着テープ」として各種売れられている。「フッ素樹脂フィルムを基材とし、滑り性や絶縁性など、フッ素樹脂の特性に加え、柔軟性や表面平滑性に優れたテープです」とのこと。

フライパンのフッ素樹脂加工と同様、TEFEを使っているそうだ。

また、「フッ素ハサミ」や「フッ素コートハサミ」などと書かれたものも多数売られていた。「テープやのりでベタつきにくく、汚れやサビにも強い」と書かれている。確かに、我が家で使っているハサミもこのタイプだ。

フライパンのように食品と触れるわけではないけれど、こんなによく使う日用品にまでPFASが使われていたとは・・・と驚いていたら、2日に1度は使用しているグリルの焼き網もフッ素樹脂加工されていた。

TEFEならば分子量が大きいから体に入っても吸収されることはなく体外に排出される、とは言われているが、少なくとも焼き網のように高温で食品と接触するものには使ってほしくない。

フライパンや炊飯器、ホットプレート、ポット、化粧品、衣類、人工芝などは気をつけていたが、もはや個人では防ぎきれないほど、市販品はPFASまみれだ。

日本もEUやアメリカのように、PFASに対する厳しい規制を早急に検討してほしい。

ピーファスって何?今さら聞けないPFASの基礎 Q&A

「ダイオキシン問題を超えた」と思うほど、私の周りはPFASで盛り上がっている。それもそのはず、相模原市には2カ所以上の汚染源がある、とPFAS研究の第一人者である京都大学の原田浩二先生から指摘されている。

しかし、「それ何?」という人もまだまだ多い。この聞き慣れない化学物質名の氾濫に戸惑い、腹立たしく(胡散臭く?)思っている人もいるようだ。メディアの報道でも、時々エッ?と思うようなことが書かれている。

そこで、PFASについて少し簡単に解説したい。

Q1.PFAS(ピーファス)って?

⇒国際的に定まった定義はまだありません。環境省は『有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物を総称して「PFAS」と呼ぶ』といっています。難しい定義はともかくとして、簡単にいえば、炭素とフッ素が結合した有機化合物です。有名どころはPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)。PFOSもPFOAもPFASの一種です。

Q2.4700種とか1万種以上とかいろいろ違う数字が飛び交っていますが、どっちが本当?

⇒経済協力開発機構(OECD)の報告(2018 年)で約4700物質のPFASが特定されました。しかし、その後PFASの定義が変わったこともあり、今では日本の環境省も「1万種以上」といっています。

Q3.泡消火剤に入っていると聞きますが、家庭用の消化器にもPFASが入っているの?

⇒いいえ、家庭用の消化器にPFASは入っていません。

Q4.PFASはどういう害があるの?

⇒発がん性や環境ホルモン作用などが指摘されています。アメリカの科学者委員会は、PFOA曝露と高コレステロール値や腎臓がん、甲状腺疾患、海洋性大腸炎、妊娠高血圧症とは「関連性が高い」と結論付けています。デュポンでPFAS製造に関わっていた妊婦7人のうち、2人の赤ちゃんの目が生まれた時から明らかな異常がみられました。詳しくは『毒の水』(ロバート・ビロッド著, 花伝社, 2023年)をお読みください。

また、北海道のコホートに2002~2005 年に参加した母子 428 組を対象とした調査では、母体血清 PFOS 濃度と子どもの出生時体重に負の関連が認められたそうです。また、PFOSは早産のリスクとも関連が認められています。

スウェーデンや中国の調査でも、母体の血清中のPFOSとPFOA濃度は、赤ちゃんの低出生体重と関連が認められています。(食品安全委員会のパブコメ資料よりhttps://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc1_pfas_pfas_060207.data/pc1_pfas_pfas_060207.pdf)

Q5.なぜ「永遠の化学物質」と呼ばれているの?

⇒炭素とフッ素の結合が強く、自然環境下でなかなか分解しないためです。経済産業省の化学物質審議会に提出された資料では「自然環境条件下の水生環境内では、PFOAは92年以上(最もありえるのは235年)の半減期を持ち、直接的な光分解はみられない」と書かれています。また、「大気中の寿命は、短鎖ペルフルオロ酸のヒドロキシル反応による分解から、その分解半減期は約130日と推定されている」と書かれています。分解しにくく、高い蓄積性があります。

Q6.PFOSとPFOAはどう違うの?

⇒PFOSは撥水・撥油剤の原料や泡消火剤などによく使われています。汚染源が米軍基地や飛行場の場合、地下水はPFOS濃度が高いです。一方、PFOAはダイキンによると、界面活性剤としてフッ素樹脂製造時の助剤等に利用されていたそうです。また、PFOAを使用した化学製品は「撥水・撥油剤、防汚剤等、私たちの身近な製品(繊維、電子基板、自動車、食品包装紙、石材、フローリング、皮革、防護服等)に使われていました」とのこと。そのため、ダイキンやデュポン、3M(スリーエム)などのメーカーが汚染源の場合は、周辺の地下水はPFOA濃度が高いです。

⇒PFOSは2009年、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs条約)の「廃絶」等の対象に指定され、2010年には日本でも「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(化審法)により、原則として製造・輸入が禁止されました。

PFOAは、2019年にPOPs条約の「廃絶」等の対象になり、2021年10月には化審法で製造・輸入が禁止されました。

⇒PFOSもPFOAも禁止されたとはいえ、いまだに高い濃度で検出されています。米軍横田基地では、代替品として導入した泡消火剤にもPFOSやPFASが使われていました。それぞれ1リットル当たり最大80万ナノグラム含まれていると米軍の製品説明書に書かれていたそうです(東京新聞2023.11.14)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/289798

Q7.他にどんなPFASがあるの?

⇒PFHxS(ピーエフヘクスエス)がPFOSやPFOAの代替品として使われましたが、PFHxSも2022年にPOPs条約会議で規制され、化審法でも2024年2月から原則製造禁止です。輸入禁止は同年6月の予定です。

また、フライパンのフッ素樹脂加工はPFTEが使われています。PTFEは分子量が大きいため、胃などの消化管を通り抜けることが難しく、体内に吸収されにくいそうです(PFOAは約400であるのに対し、PTFEは1万以上)。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/263505

しかし、体内に吸収されにくいとはいえ、フッ素樹脂加工のフライパンから放出されるマイクロプラスチック量は膨大なので、使わないに越したことはありません。

Q8.PFASの指針値は?

⇒河川・地下水等の水環境で PFOS、PFOAの暫定目標値は50 ng/L(1リットルあたり50ナノグラム)です。この他のPFASにはまだ指針値がありません。

Q9.汚染源から遠く離れて暮らしている人や、水道水が汚染されていない地域の人の血中からもPFASが検出されています。なぜ?

⇒食物からの汚染が多いと思われます。特に魚介類が多いといわれていますが、そうだとしても魚介類は体にいいので、食べた方がよいと原田先生もおっしゃっています。また、PFASは多くの製品にも含まれているので、口に入ったり吸い込んだり皮膚から吸収されたりします。

Q10. どんな製品にPFASが使われていますか?

⇒身近のものとしては、防水スプレー(スコッチガードなど)、汚れ防止機能や防水機能付きの繊維製品(制服、ソファー、アウトドア用品、飛行機の座席など)、調理器具(フッ素樹脂加工のフライパンなど)、包装材(ハンバーガーやフライドポテトの包装紙など)、化粧品(日焼け止めやファンデーション、アイメイク関連など)、その他さまざまなものにPFASは使われています。アメリカではコンタクトレンズや人工芝、サッカーボールなどのプラスチック製品からもPFASが検出されています。

とりあえず、10項目挙げました。今後も加筆予定です。

<主な参考>

環境省「PFOS、PFOA に関するQ&A集」(2023年7月時点)

原田浩二・藤井由季子「PFAS汚染とバイオモニタリング、 そこから見る健康リスクについて」『生活と環境』(2023.7)

米カリフォルニア州のPFAS規制動向 一部警告表示義務も

アメリカでは各州ごとにPFAS規制が進められている。カリフォルニア州の動向をまとめてみた。

まず、カリフォルニア州では2022年までに「連邦に必要とされない用途のための消防フォームを含むPFASの使用を禁止」した。泡消火剤のことか。(AB1044)

2023年以降、PFASを含んだ食品包装は配布も販売も禁止された。意図的に添加された場合だけでなく、総有機フッ素量が100ppm以上の製品またはコンポーネントも含まれる。これは主に、ハンバーガーやポテトなどの包装紙を念頭においたもののようだが、テイクアウト用食器やスプーン、フォークなども含まれる。(AB1200)

●2023年7月までに乳幼児および12歳未満の子供が使用するために設計された特定の製品でPFASを禁止。(AB652)

●2024年1月1日以降、調理器具メーカーは、化学物質の存在を製品ラベルに記載しなければならない。調理器具の面積が少なくとも2平方インチのラベルが適合せず、外装容器やタグなどの添付がない場合、ラベル要件は免除される。(これもAB1200関連か?)

●2025年1月以降、衣類や家庭用織物のPFASを禁止。アクセサリーやバッグ、家具、寝具、カーテン、シャワーカーテンなども含む。(車両部品や工業用ろ過材、軍服などは除く。カーペットやラグも除くが、カーペットやラグには既にSafer Consumer Products Programで同じような規制がかかっているそう)。(AB1817)

●2025年1月以降、化粧品全般へのPFASの意図的添加を禁止(AB2771)

以上の主な参考は以下↓およびJETROの「カリフォルニアPFAS関連規制解説セミナー」

https://cleanwater.org/tackling-californias-pfas-problem

上記にも関係するが、消費者健康保護法、提案(プロポジション)65というものもある。

これによりカリフォルニア州では、がんや先天性欠損症、またはその他の生殖障害を引き起こす化学物質への重大な暴露について、州民に警告を提供することを企業に義務付けている。

そのため、毎年更新される化学物質リストに載っている化学物質が、リスクをもたらすだけ含まれている製品には、企業は警告ラベルを付けなければならない。PFOSとPFOAもこのリストに載っている。

https://oehha.ca.gov/proposition-65/about-proposition-65

JETROの「カリフォルニアPFAS関連規制解説セミナー」によると「Prop 65の規制物資リストは、約950品目であるところ、調理器具(California’s AB1200)の規制対象となる 「指定リスト(Designated List)」には、約2,300品目が掲載」とのこと。

日本にもこの制度がほしい!

<関連記事>