欧州のペットボトルキャップは、本体から外れないタイプが増えそう。日本は?

EU指令によりEU加盟国内では、コーラやミネラルウォーターなどのペットボトルは2024年までにキャップが本体から外れないようにしなければならない。

そのため、コカコーラもドイツとスペインの工場を改造したとのこと。次はイタリアとギリシャの工場を改造する予定。

新しいキャップの付いたペットボトルは数ヶ月以内に店頭に並ぶそうだ。

スイスはEU加盟国ではないが、秋にはスイス工場も切り替えられる予定。

日本にも波及してくれると、キャップの散乱が減ってうれしいが、どうだろうか?

日本の容器包装リサイクル法では、キャップとラベルを剥がさないと自治体回収に出せないことが決まっているが、つくづくおかしな法律だと思う。

そんことだから、自治体は容器包装リサイクル協会ルート(指定法人ルート)を避け、サントリーなど飲料メーカーに直接引き渡したくなるのだろう。

このようなペットボトルが日本でもスタンダードになった暁には、指定法人ルートでリサイクルする自治体に住む住民は、無理矢理キャップを本体からむしり取って出すことになる。

<出典>

https://www.fm1today.ch/unterhaltung/lifestyle/deckel-fuer-die-pet-flasche-bald-nicht-mehr-abnehmbar-145364804

『ダムと民の五十年抗争』と奈良県水道事業広域化

遅ればせながら、浅野詠子著『ダムと民の五十年抗争』(風媒社, 2017年)を読んだ。

ダム建設にまつわる住民同士の対立は、原発建設と同じだ。

巨大ダムの治水効果は限定的で、しかもかえって危険なことさえあるようだ。

半世紀にも及んだ大滝ダムの総事業費は3640億円。かなりの部分が国の負担だが、奈良県の負担分も相当な額だ。

計画段階では過剰な水需要が試算されていたらしいが、実際の水需要はとても少ない。

なぜ事業費が異常に膨れ上がったのか。調べようにも、保存年限は10年ほどのものが多く、既にダム完成前に相当の文書が廃棄されていたという。

以前から、日本の公文書管理はひどいと思っていたが、公文書を残したくない人たちがわざと保存年限などを短くして、できるだけ開示させないように仕組んでいるのではないか、と邪推したくなる。

目先の利益のためには、自然や文化を破壊しても構わないとする風潮に、神宮外苑の再開発事業にも似たものを感じる。

奈良県知事が進める奈良県の水道事業の広域化計画は、この大滝ダムの水をもっと県民に飲ませるためのものだと指摘する声があるそうだ。確かに、ダムの水を県民にもっと活用させ、県の財政に少しでも貢献させようという県の思惑が見え隠れしているように感じる。

神宮外苑の樹木約千本を伐採?!小池都知事の低いエコ度

小池都知事は元環境大臣だから、少しは環境に配慮する人だと思っていたが、まったく違ったようだ。

都会のオアシスである神宮外苑の木を1000本近く伐採し、商業施設を含む高層ビルをゾロゾロと建てるという。

東京都都市計画審議会で賛成多数で承認されたそうだが、このようなトンデモ案に一体どういう人たちが審議会で賛成したのか?

「文化遺産保護の提言などを行う「日本イコモス国内委員会」は7日、東京都へ見直しを提言した」とのことで、少しホッとしたけれど、これですんなり止まるとは思えない。

ドイツでは、ある一定以上のサイズ(樹齢?)の自宅の庭木を伐る時でさえも許可が要るほど、古い木は大切にされていると聞く。神宮外苑の樹木のような木を伐採するような野蛮な計画は、ドイツではあり得ないだろう。

「892本を伐採する代わりに、エリア全域に新たに979本を植樹する」(NHK)とのことだが、樹齢100歳の木と苗木とではCO2備蓄量や生物多様性は全く変わる。代わりにはならない。

なぜ日本は開発優先なのか??とても残念で情けない。

こんなに商業施設があふれ、空きビルもある東京に、なぜまだ必要なのだろうか。

<参考>

https://www.tokyo-np.co.jp/article/158883

https://www.tokyo-np.co.jp/article/159304

https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20220215a.html

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/301246/2

ホントに安心?焼却施設のDBO(公設民営)方式

最近、さまざまな施設がDBO方式になってきた。

DはDesign(デザイン)、BはBuild(建設)、OはOperate(運営維持管理)の略だ。

要は、資金調達を公共が行い、他はすべて民間に委託する。つまり、カネの面倒は見るから、あとはヨロシク!というもの。

もしかしたら、火葬場やリサイクル施設ならば、DBO方式でもあまり問題はないかもしれない。しかし、焼却施設はどうだろうか?

自治体の流行のようで、こちらもあちらもDBO方式・・・。このままでは自治体にごみのことがわかる職員はいなくなる。そうなれば、受託した民間企業に何もかもお任せだ。

しかも長期契約だろうから、途中から「ゼロ・ウェイスト」を目指したい、などということになったとしても、受け入れてもらえない可能性が高い。

ごみの減量化意識は受託した民間企業には働きそうにない。むしろ、もっと発電したいからもっとごみを増やそう、というインセンティブが受託企業に働くかもしれない。

長期契約ではごみ量の推定もままらなないが、かといって、短期契約では民間にも自治体にもリスクが大き過ぎる。

DBO方式は、ごみについてあまり知識も興味もない市長にとっては魅力的な選択肢だろう。新自由主義の流れの中で、民営化を批判する人は減っているから、全国的に増える理由はよくわかる。おまけに、専門家に任せておけば大丈夫!という安心感もある。

しかし、もし自治体がごみ処理方法を途中で変更したくなったとしても、簡単にはできなくなることもしっかり認識してほしい。

衝撃的な「衣類の末路」、チリの砂漠に衣類ごみの山

NHK番組「「知られざる衣服の末路」ニュース 地球まるわかり 」の終わりの方だけ偶然目にして、気になっていた。昨日、まだNHKプラスで放送されていることを知り、急いで視聴した。

南米チリのアタカマ砂漠に大量の衣類の山が出来ている。理由は、チリの自由貿易港で、衣料品の関税が免除されていることにある。関税が免除されるため、世界各国から売れ残りの衣類や古着が集まるそうだ。

その量は年間約6万トン。それを求めて各地からバイヤーが集まり、売買されるが、売れるのは約4割。6割(約3万9000トン/年)は砂漠に捨てられる。

かさを減らすため燃やされることもあるそうだが、プラスチックを燃やしたときの臭いが発生するという。大半が合成繊維だろうから、当然だ。

この捨てられた衣類の山のせいで、土壌汚染や火災などが起きている。近くには住宅もあるため、近隣住民に被害を与えている。

このような「衣類の末路」となっている国はチリ以外にもあるそう。廃棄衣料とはいえ、先進国の流行のファッションが新品(あるいは古着も)で入ってくることで、自国の繊維産業は壊滅的な打撃を受ける。自国の産業保護のため、タンザニアやウガンダなどで作る「東アフリカ共同体」は2016年、自国の産業保護のため海外から来る衣類を禁止しようとしたが、アメリカが自国のごみが送れなくなるとアメリカ国内の環境が悪くなるので困ると強く反対した。そのため、禁止もできなったそうだ。

2014年だけで、世界で1000億着以上の衣類が作られた。これは2000年のおよそ2倍の量だったという。先進国のファストファッションは、途上国の産業を壊滅させ、しかも大量のプラごみを押しつける結果になっている。

衣料を廃棄したり途上国へ行かないようにしたりするための、何らかのシステムが必要なようだ。

もう一度番組を見たいと思い、今日またNHKプラスで見ようとしたところ、昨日の夕方までの期限だったようで、既に見られなくなっていた。再放送があればぜひまた見たいと思う。

<追記>

日経新聞(2022.2.15)「アパレルの脱炭素へ「在庫税」を 河合拓コンサルティング代表 河合拓」によると、日本のアパレル産業は構造的な課題を抱えていて、

「1990年に約15兆円あった衣料品市場は新型コロナウイルス禍の20年は約7兆5千億円と半減した。一方で衣服の供給量は年20億点から年40億点近くとなりほぼ倍増。容量の限られるバケツ(市場)に水(衣服)を入れ続けている状態で、結果として余剰在庫も増え続けているとのこと。

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220215&c=DM1&ng=DGKKZO8010685014022022KE8000

日本の2014年の衣服供給量はわからないが、現在40億着近いならば、世界の1000億着のうち、日本の衣服の占める割合は結構高そうだ。

オランダのデポジット制度、効果てきめん。PETより缶が9倍以上散乱

オランダでは大型のプラスチック容器のみを対象に、2005年からデポジット制度が施行されていた(2004年制定)。そのため、小型ペットボトルの散乱が増え続けた。

昨年(2021年)7月1日から、1リットル未満のペットボトル(水、ソフトドリンク)もデポジット制度の対象に加えられた。その成果が如実に表れているようだ。

8年ほど前からごみを拾い続けている人によると、「缶の比率は数年前からペットボトルよりも高く、2.7倍にもなっている。2021年の第4四半期には、缶はペットボトルの9.4倍」だったとのこと。

ペットボトルと缶のいずれもデポジット制度で回収していない日本では、ペットボトル散乱量は缶よりもはるかに多い(川底に沈んでいる缶も多そうだ)。しかし、オランダではペットボトルのみが対象となったため、ペットボトルの散乱量は減ったが、缶は相変わらずだ。

オランダでは今年12月31日から、デポジット制度の対象を缶にも拡大する。缶の散乱量も減るだろうから、結果が楽しみだ。

<散乱数についての出典>

https://www.packaginginsights.com/news/dutch-trash-mapper-identifies-30-drop-in-beverage-pack-litter-after-government-drs.html?eType=EmailBlastContent&eId=cb6dc626-42fe-4c27-87a4-6415b2caaff0

不織布製マスクから環境ホルモン、子どものマスクは大丈夫?(追記)ストローからもノニルフェノール

新聞で、混獲されたウミガメの排泄物から不織布製マスクが出てきたことが話題になっている。

記事によると、国内で市販されている不織布製マスクを調べたところ、5社のうち4社のマスクから

「生物への悪影響が懸念されるベンゾトリアゾール系と呼ばれる紫外線吸収剤を検出した。中には、環境ホルモンと指摘されるUV329という物質を比較的高濃度で含む製品もあった」とのこと。

最近は、2歳の子どもにまでマスクを推奨するなどという話まで出ているが、肺機能の見地から反対する医師も多かった。

マスクから環境ホルモンまで検出されたとなると、ますます子どもにマスクを着用させない親が増えそうだ(もし私が親ならば、子どもにマスクをさせたくない)。

子どもによっても違いそうだが、マスクをすることによる悪影響と、しないことによるリスクはどちらが大きいのだろうか?

<追記>東京農工大学・高田秀重教授のFacebookによると、不織布製マスクからノニルフェノールまで出ているそうだ。1メーカーの値が突出して高いが、さらに高いのがストローだ。ノニルフェノール付きストローなど、大人でも使いたくないが、小さい子どもはもっと影響を受ける。メーカーは、一体何を考えてこんな商品を作っているのかと腹立たしい。こんなことすら、法律で規制できないのだろうか?

<記事の出典>

新潟日報(2022.2.9)「ウミガメがマスク誤飲、初確認 岩手で捕獲、悪影響の恐れ」↓

https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/24543

佐賀県鹿島市、4月からプラ一括回収

鹿島市は4月からプラスチックごみの一括回収を開始する。

これまでは容器包装のプラスチックのみの回収で「容器包装プラスチック・ビニール類」と書かれた有料袋(10枚400円)で回収していた。しかし、4月からは「プラスチック・ビニール類」として回収するそうだ。

回収したプラごみは「燃料油にして活用する事業を展開するリサイクル業者に持ち込む予定」とのこと(佐賀新聞)。

容器包装リサイクル協会によると、同市のプラごみは令和2年度も3年度も日本製鉄が引き取っていた。用途は、コークス炉化学原料化と工業原料(コークス炉)のようだ。

4月から機械油にするということは、容リ協会を通さず、独自ルートで処理するつもりなのかもしれない。

容リ協会を通す必要はないだろうが、質の高い製品プラまで機械油にするのは、少々もったいないような気もする。

<出典>

佐賀新聞(2022.2.9)「鹿島市、「プラスチックごみ」分別収集 4月から資源循環促進法が施行」↓

https://www.saga-s.co.jp/articles/-/808788

ドバイで7月1日からレジ袋有料化

ドバイで7月からレジ袋を有料化するとのこと。日本が2020年の7月からだったので、ちょうど2年遅れだが、1枚25フィルスとのことなので、日本よりしっかりとした有料化だ。日本円で7〜8円程度だろうか。

日本の1円以上ならばいくらでもOK、バイオマス由来の原料を25%以上使っていればタダで配ってもOK、などというゆるい規制は早く見直すべきだろう。

ドバイ政府は市民に対し、ごみの分別も促しているそうだ。

ドバイといえば昔、南回りで欧州へ行く際の飛行機の給油地の1つ。給油の間、乗客は空港内で1時間ほど待機する。そんなこんなで、確か南回りの場合、日本からイギリスまでちょうど24時間かかった記憶がある。

<出典>

「ドバイ、7月1日から使い捨てプラスチック袋を有料化」(2022.2.8)↓

韓国:使い捨てカップの店内使用4月から禁止に、テイクアウト時は6月からデポジット制に

韓国では、カフェやファストフード店内で提供する使い捨てカップの使用を、4月1日から禁止する。以前にも一度禁止されたが、コロナ感染症を理由に許されていた。それが再び、禁止となる。

さらに、6月10日からは、カフェやファストフード店でテークアウト用に提供されるプラスチック製または紙製の使い捨てカップは、保証金制度(デポジット制度)の対象になる。

日本も早くそうなればよいと思う。

(補筆2023.11.15)店内で提供する使い捨てカップの禁止は禁止が11月まで適用が延長されていたが、また延長されたようだ。いつまで延長するかは未定で、禁止路線が変更されたようだ。また、テイクアウト時のデポジット制度も2025年まで延長されている。

<出典>

聯合ニュース(2022.1.18)「カフェで使い捨てカップの利用時に保証金 6月から=韓国」↓

https://jp.yna.co.kr/view/AJP20220118001500882

聯合ニュース(2022.1.6)「4月から使い捨てカップ使用禁止に」↓

https://jp.yna.co.kr/view/PYH20220106144800882