プラスチック戦略のパブコメ、提出のため素案を読んでみた

環境省がプラスチック戦略のパブリックコメントを募集している。どういう意見を送るか考えるため、まず今回の戦略の目玉を整理した。

p.8からp.9にかけて記載されている以下の5つが目玉だと考えられるが、うち1番目が最も重要だろう。

1.消費者はじめ国民各界各層の理解と連携協働の促進により、代替品が環境に与 える影響を考慮しつつ、2030年までに、ワンウェイのプラスチック(容器 包装等)を累積で25%排出抑制するよう目指します。

→参考資料p.54のフローを見ると、2013年の容器包装は426万トンである。25%減の基準年は不明だが、約100万トンの容器包装を減らすということだ。家族経営型の小規模店には手を付けず、スーパーやコンビニのレジ袋を有料化した場合、少なくとも10万トンは減るだろう。また、プラスチック製ストローやカップを廃止し、プラスチック製トレーや使い捨ての弁当容器なども紙製等に切り替えたりリユースできるものに切り替えることによって、大幅に削減できる。加えて、カップ麺のカップやペットボトルを生分解性プラやバイオマスベースに切り替えを進めると既に表明しているメーカーもある。これらのことを考え合わせると、それほどムリせずとも100万トン以上は削減できるのではないか。

→使い捨てプラスチックについて、韓国は2027年までにゼロに、台湾は2030年までに全面禁止、マレーシアも2030年までにゼロ、インドは2022年までにすべて排除、などとそれぞれ発表している。もちろん「使い捨てプラスチック」と表現するプラスチック製品は各国で異なるだろう。しかし、それらを勘案しても日本の25%減はまだ甘いといえる。この目標値で、来年日本で開催されるG20でリーダーシップを発揮できるようには思えない。

→バイオマスベースのプラスチックが即よいとばかりはいえないし、紙製だからといって安心できるわけではない。しかし、日本の技術力があれば、今のプラスチックに代わるものが生み出せるだろう。イノベーションに期待するためにも、もう一歩、意欲的な目標値が望ましい。

2.2025年までに、プラスチック製容器包装・製品のデザインを、容器包装・製品の機能を確保することとの両立を図りつつ、技術的に分別容易かつリユース 可能又はリサイクル可能なものとすることを目指します(それが難しい場合に も、熱回収可能性を確実に担保することを目指します)。

→熱回収を除いた真水の目標値(回収率とリサイクル率)を設定すべき。これでは何をもって達成度をはかるのかわからない。

3.2030年までにプラスチック製容器包装の6割をリサイクル又はリユースし、 かつ、2035年までにすべての使用済プラスチックを熱回収も含め100%有効利用するよう、国民各界各層との連携協働により実現を目指します。

→熱回収を含めず2030年までに60%のプラスチック製容器包装をマテリアルリサイクル(材料リサイクル)、あるいはリユースするということだろうか。EUが2030年までに再資源化率100%を目指していること、そして多くのグローバル企業が2025年までに100%リユース、リサイクル、あるいは生分解可能にすることを表明していることを考えると、2030年までに6割という数字は低すぎるのではないか。

→また、2035年までの目標値が熱回収も含め100%というならば、熱回収抜きの目標値も決めておくべきだ。そうでなければ、ラクな熱回収に頼りきってしまう。熱回収では資源は循環しない。

4.適用可能性を勘案した上で、政府、地方自治体はじめ国民各界各層の理解と連携協働の促進により、2030年までに、プラスチックの再生利用を倍増するよう目指します。

→なぜ地方自治体などまで動員するのか?再生利用の倍増などは、生産者責任によって達成できるはずだ。達成できなかった時の保険として、「地方自治体や国民各階各層の理解と連携協働の促進」などという言葉をコテコテに盛ったように見える。

→ここはスッキリと「2030年までに、生産者責任により、プラスチックの再生利用の倍増を目指します」だろう。

5.導入可能性を高めつつ、国民各界各層の理解と連携協働の促進により、2030 年までに、バイオマスプラスチックを最大限(約200万トン)導入するよう目 指します。

→バイオマスプラスチックの導入を推進するならば、バイオベースの生分解性プラスチックも推進するということか。そうであれば、現在のプラスチックリサイクルとは別に、生分解性プラスチック用のリサイクルルートの確立が必須だ。現在のプラスチックリサイクルルートに、もし生分解性プラスチックが混入すると、マテリアルリサイクル(材料リサイクル)が著しく阻害されるためである。

→リサイクルルートは自治体に頼ることなく、生産者責任において作るのが望ましい。自治体にはどれが生分解性プラスチックか、そうでないかの区別ができないし、自治体抜きで進めるほうがスムーズだ。今一度、容器包装リサイクル法を見直すべきだ。

以上、思ったことを記載してみた。

これらに加えて、デポジット制度の導入やペットボトルのキャップをボトル本体と外れないようにデザイン変更することなどについての意見も加えたい。

日米が署名を拒否した海洋プラスチック憲章を上回るはずの環境省の素案だが、比較してみると、言葉を巧みに合わせてはいるものの、決して上回っていないことがわかる。

パブコメ締切は12月28日だ。

環境省「プラスチック資源循環戦略(案)に対する意見の募集(パブリックコメント)について」↓

https://www.env.go.jp/press/106186.html

https://www.env.go.jp/press/files/jp/110266.pdf

北米スターバックス、紙コップから紙コップへリサイクル

日本ではごく一部のサービスエリアや自動販売機などの紙コップはリサイクルされているが、トイレットペーパーにリサイクルされることが多い。

しかし、日本の大半の紙コップは、リサイクルルートには乗らず、他のごみと一緒に焼却されている。

北米のスターバックスでは、店内で使用された紙コップをまた紙コップにリサイクルし、スターバックスで使用する試みをスタートさせた。

既に2500万個の紙コップを新しい紙コップにリサイクルしたという。

紙コップに使用される繊維は、一般の紙よりも上質で、発生量さえ把握できていればリサイクルは難しくないとのこと。

紙コップは内側をポリエチレンでラミネートするため、本体部分が古紙でも安心だ。まして店内で回収された古紙ならば、安心して使用できる。

プラスチック製カップからリユースできる陶磁器製カップに切り替えるのが理想だろうが、使い捨ての紙コップを使わざるをえないケースも多い。

日本でもぜひ「コップ to コップ」の紙コップリサイクルの取組を進めて欲しい。

<スターバックスについての出所>

FAST COMPANY(2018.11.26)Starbucks recycled 25 million old paper coffee cups into new cups;

https://www.fastcompany.com/90270871/starbucks-recycled-25-million-old-paper-coffee-cups-into-new-cups

インドネシア、クジラの死骸から1000個以上のプラスチック

インドネシア・ワカトビ国立公園で発見されたマッコウクジラから、1000個以上のプラスチックごみが見つかった。

クジラが飲み込んでいたのは、プラスチック製コップ115個、レジ袋25枚、ペットボトル4本、ビーチサンダル2足、ビニール紐3.26キロ・・・合計約6キログラムのプラスチックである。

既に腐敗が始まっていたため、死因は不明とのこと。

しかしクジラの健康に、このような大量のプラスチックごみが影響しないことは考えにくい。

プラスチック製カップもレジ袋もペットボトルも、代替品はいくらでもあるし、散乱を減らす有効な方法もある。世界中で早急に対策を進めるべきなのに、日本もインドネシアも遅れている。

<インドネシアについての出所>

The New York Times: 1,000 Pieces of Plastic Found Inside Dead Whale in Indonesia;

BBC「クジラの死体からプラスチックコップが115個も インドネシア」↓

https://www.bbc.com/japanese/46285545

Fobes Japan(2018.12.1)「「プラごみ」で死ぬクジラと、急成長するアジアの責任」↓

https://forbesjapan.com/articles/detail/24165

ニュージーランドでもデポジット制度の気運高まる

ヨーロッパでは今年5月、欧州委員会がプラスチックを減らすため、海岸に散乱の多い「10品目プラス漁具」を対象に、それぞれの製品に応じた規制をかけることを提案した。その法案が今年10月に欧州議会で可決された。

その10品目の1つが飲料容器で、デポジット制度などにより90%の回収率を達成すること、であった。

このため、まだデポジット制度を導入していない国々では、デポジット制度への期待が高まっている。

欧州のみならず、オーストラリアやニュージーランドでも以前からデポジット制度を求める声が大きい。

とりわけオーストラリアではここ数年、デポジット制度を開始する州が相次いでいるが、ニュージーランドでも、デポジット制度の気運が近年高まった。

ニュージーランドの多くの都市で、デポジット制度を模倣するイベントが、地元のゼロ・ウェイストを目指す団体により繰り広げられている。空のペットボトルや缶を持参してもらい、現金と交換するイベントだ。

デポジット制度を求める請願書の署名も全国的に集められ、来週議会に提出する予定とのこと。

ペットボトルなどで汚れた通りや海岸を見るのにウンザリした大勢の人々が、署名をしたそうだ。

デポジット制度は、「海岸や海洋生物を有毒なプラスチックから守るだけでなく、陸上でのリサイクルを促進し、資金調達や雇用創出の面で、コミュニティに広く利益をもたらす。」と、支持されている。

<ニュージーランドについての出所>

Hundreds across country claim cash for bottles;

http://www.voxy.co.nz/national/5/327037