東京オリ・パラ 紙の調達基準意見募集 まもなく締切

パーム油も紙も、どれを選ぶかによって環境を大きく損なう。どちらもボルネオ島での生産量が多いためだ。スーパーの棚にはパーム油入りの洗剤や食品がズラリと並んでいるし、量販店の棚にはインドネシア製のコピー用紙が並んでいる。最近は印刷用紙もインドネシア製が増え、トイレットペーパーやティッシュでさえもうっかり購入しようものならインドネシア製である。

しかしパーム油も紙も、環境負荷の少ないものを選ぶことはできる。例えば、RSPO認証のパームオイルは、完璧ではないにせよ今選ぶことのできる中では最もマシだといえる。また、紙は再生紙を選ぶことで、少なくともインドネシアの森林破壊に加担せずにすむ。

インドネシアの森林火災の90%以上が人為的なものである。パーム油やアカシア(製紙原料)のプランテーション造成にまつわるものも少なくない。プランテーションが直接的な火災原因でなかった場合でも、プランテーションによる乾燥化が火災を大きくするケースも少なくない。昔から森林火災はあったが、近頃のような何ヶ月も消えない大火事はなかったと聞く。泥炭湿地帯の水を抜き、プランテーションにすることで土壌を乾燥させるのが主な原因であろう。

 

*3月30日午後5時まで意見を募集している。

「持続可能性に配慮したパーム油・紙の調達基準(案)」に関する意見募集について↓

https://tokyo2020.org/jp/games/sustainability/sus-opinion/palm-oil-paper/

RSPOについて↓

https://www.wwf.or.jp/activities/resource/cat1305/rsportrs/

インドネシア製の紙について↓

http://jatan.org/ipp/index.html

ボルネオ島のオランウータンが激減

ボルネオ島に生息するオランウータンが1999年から2015年までの間に半減したそうだ。

減少の7割が人に殺されたと見られるという。

また、パーム油やパルプ生産による森林伐採、生息地の破壊も大きな要因である。

日本で使われているコピー用紙の3枚に1枚はインドネシア製だ。インドネシア製のコピー用紙を使わず国産の再生コピー用紙を使うこと、そしてパームオイル入り製品は、RSPO認証オイルを使った製品を選ぶことなどが、オランウータンの減少を止めるために、日本にいる我々ができることだろう。

例えば、昨年イオンは国内の小売店で初めてRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)への参加を表明した。2020年までには、プライベートブランド製品に使用するパーム油を、すべて認証製品に切り替えるという。

他の小売店にもあとに続いて欲しい。

じゃかるた新聞(2018.2.19)「16年間で15万頭減少 ボルネオ・オランウータン 森林伐採などで」↓

http://www.jakartashimbun.com/free/detail/40303.html

SankeiBiz(2017.10.23)「イオン、環境配慮の枠組み参加へ 加工食品使用のパーム油 国内小売初」↓

https://www.sankeibiz.jp/business/news/171023/bsd1710230500002-n1.htm

プラひもから紙ひもへ プラスチックを減らそう

海外では「脱使い捨てプラスチック」の流れが進行中だ。レジ袋や発泡スチロール製容器もなくす方向で政策が進んでいる。

しかし、日本ではいまだ「プラスチックは必ず必要」なもので、その便利さは変えがたいようだ。7割以上の市民が不要だというレジ袋でさえも、なかなか廃止できない。一部自治体のスーパーでの有料化がやっとである。

おかげで、スーパーのレジ袋は減少したが、野放し状態のコンビニのレジ袋使用量は増加傾向だ。

こんな日本だから、古紙回収への紙ひも使用はなかなか徹底しない。理由の1つは、古紙回収業者が回収効率が落ちるため嫌がるせいだが、もう1つは市民の無理解だ。頭から「使いにくい」「切れやすい」などと決めてかかる傾向がある。

もちろん、紙ひも利用には多少の慣れとテクニックが必要だ。そこで紙ひもを使用する際の注意点を記載したい。

1 ひもの引き出し方向は、紙ひものラベルの矢印通りに。逆向きに引っ張り出すと、使いにくくて大変になる。
2 ひもは内側から引き出す。外側のフィルムが最後まで絶対に破れないように、レジ袋などに入れて使うのが、最後まで使うコツ。
3 雨天時の古紙回収は要注意。
昔は古紙回収は雨天を避けたものだが、中国へ輸出されるようになってからは古紙の品質が落ちてもよくなったようで、ぬれても構わず回収に回る。行政回収では雨天中止はしにくいこと、また、集団回収でも近年は行政回収と同じような回収方法になったこと、などもその理由であると考えられる。しかし、紙ひも回収を続けているところは全国にあるので、工夫次第!なのだ。「便利さ」には必ず裏があるし、自然素材はたいてい便利ではない。「古紙問屋はプラスチックが入らない方が儲かるから紙ひもを進めるけれど、回収業者はギリギリのところでやっているから、そんな手間をかけたらコスト割れ(雨天時に荷台にホロをかけることや、古紙を運ぶ際に片手を束の底部分に添えること、もできないので)」と、先日ある回収業者の方にいわれた。もちろんその通りなのだろうと思うが、その手の事はトレイや弁当容器などすべての使い捨て製品にいえることだ。要は、仕組みの中に「脱プラスチック」を取り入れると決め、そのように動けば解決する問題ではないか。
4 縛る際、力まかせ引っ張ると切れる。ゆっくりじわじわと締めるのがコツ。また、縛るのに、力がいる、という人もいるが、プラスチックひものように緩まないので、慣れるとかえって縛りやすいという人も多い。
要するに、紙ひも使用はまず慣れることが大切で、ごみを減らしたい、特にプラスチック使用を減らしたい、と考える人にはぜひ白色紙ひも※を使って見てほしい。
紙ひもはそのまま製紙工場へ行ってまた紙に戻るが、プラひも(プラスチックごみ全般)は2017年末をもって、中国も「もうごみは要らない」と輸入禁止にしている。
※白色紙ひもは、新聞古紙でも段ボールでも雑誌でも束ねれば、そのまま工場へ運んでリサイクルできるが、茶色(無漂白)の紙ひもは新聞古紙とは同じ工場でリサイクルできないため。

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↑紙ひもは、必ず輪の内側の糸口を、ラベルに記載された矢印の方向へ引っ張るのがコツ。使用時にひもがよれるのは、引っ張る向きが間違っているため。また外側のフィルムは決して外さないこと。フィルムを外すと、束の形が崩れて最後まで使えない。

 

なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その3)

下水道で紙おむつを処理する件が気になっている。

毎日新聞によると、国交省は5年後を目処に実用化したいということである。現在でも、世界各国の下水処理場の処理後の放流水からマイクロプラスチックが検出されている。日本の下水処理場も例外ではない。わずか5年で、紙おむつを下水道に流した際のマイクロプラスチック流出を止める目処が立つとは思えない。

温暖化の影響か、想定外の大雨が近年増えている。大雨の際の未処理水の川への排水が現在でも問題になっている。わずか5年でこれを解決した上で、下水処理施設での紙おむつ処理対応も行わなければならない。そうした上で、紙おむつ専用破砕機の開発とさらにそれに対応しやすい紙おむつも開発する・・ということであろう。国交省は事態を甘く考えすぎているのではないか。

この計画を国交省に提案し、その気にさせたのは日本下水道事業団であるようだ。

日本下水道事業団法という法律があるので見てみると、同事業団の役割は、下水道管理者を支援することのようである。「地方公共団体における下水道技術者の不足に対処し、下水道整備の促進を図る」ために下水道事業センター法が制定され、その後事業団法に改正された。

要するに、下水道事業団は、各地の下水道整備を手伝うためのものである。人口減少のため下水道に余力が生じ、仕事が減りつつあるのならば、既にリサイクルが進む紙おむつをそのまま下水道に流せるようにするなどという大胆な事業を開拓するよりも、現在の下水道の不備を補いつつ業務を縮小すべきではなかろうか。

日本下水道事業団法↓

http://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/mizukokudo_sewerage_tk_000472.html

毎日新聞「紙おむつを粉砕して下水道へ 5年後メドに実用化」↓

https://mainichi.jp/articles/20180201/k00/00m/040/058000c

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「なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理(その1)

なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その1)

「なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理(その2)

なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その2)

 

なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その2)

2月9日の「なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?」に引き続き、なぜなのか考えてみた。

朝日新聞によると、国交省は、人口減少により下水処理能力に余裕ができたからといっているそうだ。

人口減少により余裕ができる分野は今後ますます増えそうだ。それらがこれからどんどん新規事業を開拓し生き残りを図る、その1つということだろうか。よい事業ならば歓迎だが、やらなくともよいことに手を出し、そのせいで今でさえ高い下水道料金がますます高くならないのだろうか?

川に、本来ならば下水処理場で処理されるべきものが流れ込んでいることがある。大雨の際に、処理しきれない汚水が流れ込むためためだと聞いている。このような事態をなくすことの方が先決ではなかろうか?

第1回検討会の議事録を読んでも、もともとの提案に何の必然性も感じられない。

「下水道・LIFE・えんじん研究会」の発起人の女性たちが円陣を組み理想的な社会について考えた結果の提案だったようだが、本当に紙おむつをトイレに流せるような装置を自宅のトイレに付けることで、長く快適な一人暮らしが可能になるのだろうか?

確かに、介護者は少しラクになるかもしれない、とは思う。紙おむつの入ったごみ袋をごみの日まで自宅に保管し、重い袋を持って集積所まで運ぶことは大変である。それよりは、トイレに付けたシュレッダーに紙おむつをポイと放り込み、ボタンを押すと細かくなって流れていく方が快適かもしれない。

しかし、その細かく断裁され、流れていった紙おむつを下水処理場で処理するというが、そのためのインフラ整備のために、自宅に装置を取りつけるお金のない人たちまでもが、その分高くなった下水道使用料金を負担させられるのは、どう考えても不公平だ。

その上、紙おむつに含まれるポリオレフィンなどがすべて下水処理場へ行き、そこで完全に除去できる可能性はかなり低い。昨年、アメリカやヨーロッパ、中国など世界各国の水道水からマイクロプラスチックが検出されたことを考えると、日本の水道水からもマイクロファイバーなどは既に出ているものと考えられる。

紙おむつが下水に流されるようになれば、紙おむつ由来のマイクロプラスチックが水道水から検出される可能性はかなり高い。

技術の進歩は否定しないし、介護者の苦労も理解できるが、わずかな便利さと引き替えに水道水を安心して飲めなくなると、一人暮らしも、介護も、ますます大変になる、と思う。

また、プラスチックが自然界に入り込むことで、人間のみならず、野生生物も被害を受ける。これ以上、人間の都合で生態系を乱すのはやめるべきだろう。

朝日デジタル「紙おむつ、下水に流して処理可能に?」↓

https://digital.asahi.com/articles/ASL104470L10ULFA00P.html

国交省「下水道への紙オムツ受入実現に向けた検討会」↓

http://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/mizukokudo_sewerage_tk_000540.html

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「なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その1)

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ダンキン・ドーナツも2020年までに紙カップを使用

環境ホルモンの疑いがあるとして有害性を指摘されながらも、ファーストフードチェーンは長期に渡りスタイロフォーム(押出し発泡ポリスチレン)のカップを使い続けてきた。

それが、ようやく使われなくなるようだ。年内の切替を表明したマクドナルドに続いて、ダンキン・ドーナツでも紙コップへの切替を表明した。

ダンキン・ドーナツは2020年までに切り替えるとのこと。理由の1つは消費者の安全志向であるが、もう1つは海ごみ対策であろう。紙コップは、家庭などから排出された場合は禁忌品としてリサイクルされないが、紙コップのみで大量に回収し、それなりの設備のある製紙工場へ運べば、今でもトイレットペーパーなどにリサイクルできる。また最近では、簡単にリサイクルできる紙コップも開発されている。例えば、フィルムが簡単に剥がれて一般的な製紙工場でもリサイクル可能になっていたり、生分解性の素材が使われ堆肥化できるようになっていたりする紙コップもある。

ダンキン・ドーナツがどのタイプの紙コップを採用するつもりかは不明だが、売りっぱなしの姿勢をあらため、容器包装ごみの回収を前提とした場合、紙コップへの移行は必須であることは確かだ。

しかし、飛行機に乗ると、まだスタイロフォームで飲物を提供されることがある。早く機内での飲物容器も切り替えてほしいものだ。

Plastic News: Dunkin’ orders its coffee in a paper cup;

http://www.plasticsnews.com/article/20180207/NEWS/180209912/dunkin-orders-its-coffee-in-a-paper-cup

マクドナルドの容器包装に関する環境方針

2018年1月、マクドナルドが新たな環境方針を発表した。

この方針の背景には、世界銀行の「2025年までに毎日600万トンのごみが発生する」という見積もりと、エレンマッカーサー財団と世界経済フォーラムの「2050年までに海洋には魚より多くのプラスチックが存在することになる」という報告がある。

そのため、マクドナルドは100カ国に37,000軒を超えるレストランを展開する企業の責任として、2025年までに来客に提供する容器を改善する以下の目標を発表した。

・2025年までに、来客に提供するすべての容器包装を、再生可能か、あるいは再生品か、あるいはFSCなどの認定されたソースからのものとする。

・2025年までにマクドナルド店内で来客に提供した容器包装は100%リサイクルする。

既に、段階的に環境配慮設計を進めていたそうで、発泡スチロール容器も既に減らしており、2018年末にはすべてなくす方針とのこと。

ハンバーガーはあまり食べないので今まで気付かなかったが、マクドナルドは頑張っているようだ。

(追記)

『日経ESG 2018.8』によると、日本マクドナルドも持続可能な食材や紙を調達しつつあるようだ。

1.FSCの紙を使用(既に71%、2020年までに100%)

2.英国では試験的にプラスチックストローを紙製に切り替え

3.バンズにパーム油が使われているか確認中

4.将来的にASC認証のエビの使用を検討する

5.揚げ油にRSPO認証のパーム油を使用

6.MSC認証のスケソウダラを使用

<参考>

By 2025, all of McDonald’s Packaging to come from Renewable, Recycled or Certified Sources ;

http://news.mcdonalds.com/news-releases/news-release-details/2025-all-mcdonalds-packaging-come-renewable-recycled-or-0

なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その1)

紙おむつのリサイクルが進んでいる。

既に福岡県大牟田市には紙おむつのリサイクル工場もあるし、リサイクル装置を設備した介護施設も散見する。ユニ・チャームでも資源化技術を開発した。再生紙を利用した紙おむつがお目見えする日も間近だった、はずである。

日経ビジネス「アナタは抵抗ある?リサイクルおむつ出現間近」↓

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226265/051500118/

それにも関わらず、国土交通省では下水道に紙おむつを流せるようにするための検討会を立ち上げた。

このマイクロプラスチック汚染が問題になっているこの時期に、時代錯誤的なこの検討会は、一体どこからの指示によるものか?

日本の都市部では、雨天時にし尿を含む未処理下水を川へ放流することはよくあることだ。

この合流式下水道の対策は、平成15年度に改正された下水道法施行令で、「中小都市(170都市)25年度、大都市(21都市)では平成35年度まで」に改善対策を完了することが義務付けられている(国土交通省HP)。

まだ対策の済んでいない地域は、下水道での紙おむつ処理はなされないのかもしれないが、対策の済んでいる地域では本当に100%大丈夫だといえるのだろうか?

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「なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その2)

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「なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その3)

なぜ今さら、下水道で紙おむつ処理?(その3)

国土交通省HP「合流式下水道の改善」↓

http://www.mlit.go.jp/crd/sewerage/sesaku/06cso.html

マイクロプラスチックの権威である東京農工大学の高田先生も反対している。

以下、The Envionmental Newsを高田先生のfacebookから転載。

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紙ひも使用の「一関ルール」継続を

北上製紙の事業撤退に伴い、地元一関市ではこれまでの「紙ひも」ルールを見直すかどうかで議論になっている。

北上製紙は、「古紙回収には紙ひもを使おう」という紙ひも運動を長期にわたり全国を牽引してきた。そのお膝元の一関市が揺れているという。

「秋田さきがけ」(1994.2.6)によると、もともと紙ひも運動は、秋田県地婦連が始めたものである。当時、ごみ減量を叫びながらの古紙回収に、地婦連は多くの人たちが古紙と一緒にリサイクルできないプラスチックひもを使うことに疑問を感じた。地婦連は東北製紙と相談し、静岡県内の紙ひもメーカーに、古紙結束用の紙ひもを依頼した。当時紙ひもは、郵便局(手紙結束用)や農協(米袋のひも部分)などで利用されていたものの、一般利用としては一部地域を除き、衰退していた。

その後、北上製紙も紙ひも製造に着手し、紙ひもの普及啓発を開始した。製紙工場に古紙入荷後、紙ひもで結束された古紙はプラスチックひもで結束された古紙と比べ、工場内で発生するごみが減少するだけでなく、出来上がりの再生紙の品質にも影響を与えることをデータ化し、冊子にまとめた。

以来「紙ひも」は、プラスチックひもに代わるものとして、ごみ減量運動の一環として全国に広まっていった。

筆者が紙ひもを知ったのは、1995年頃である。子どもの小学校でリサイクル委員として古紙回収を担当したところ、古紙回収の度に大量のプラスチックごみが出ることに驚き、回収してくれていた古紙問屋に相談したのがきっかけである。

古紙問屋を通して、東北地方の紙ひも運動の存在を知った筆者は、すぐに古紙回収の収益金で紙ひもを購入し、全校生徒に配布したり、また市にもお願いし、市の古紙回収でも紙ひもを使用するように呼びかけてもらったりした。

その後、古紙問題市民行動ネットワークでも紙ひもを紹介し始め、また朝日新聞でも紙ひも運動を大きく取り上げるなどしたため、2000年頃には紙ひもを使用する自治体が増加した。

「古紙回収に紙ひも・ストッカー採用状況」↓

http://kitakami-p.jp/products/stocker.html

以降、全国の紙ひも運動も筆者のそれも、一進一退を繰り返しながら、現在に至っている。

一関市には、定着している紙ひも使用をそのまま継続してほしい。

世界中で脱プラスチックの動きが加速し、フランスでもプラスチック製使い捨て容器の禁止が発表されている。レジ袋配布を禁止した国も多い。

しかし、日本の脱プラスチックの取組は遅れている。せめて、「古紙はプラスチックひもでなく、紙ひもで縛る」程度の取組は、継続してはいかがだろうか。

「紙ごみ回収 縛るのは紙ひもで・・」(河北新報)↓

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201802/20180207_31005.html

 

オットセイの首にヒモ・・やっぱり紙ひもを使おう!

青森県三沢市の海岸で、プラスチックひもが首に巻き付いたオットセイが見つかり、保護された。

水族館で治療中とのことである。

放置されていたならば、早晩死んでいたことだろう。

首や胴体にロープやレジャーシートなどをまきつけたオットセイやウミガメなどの写真もよく見かける。人間が深く考えずに捨てたごみが動物に危害を加えているのだ。

わざと捨てないまでも、自治体の定期回収に出したごみ袋をカラスがつつき、知らない間に風で飛ばされ、川に落ち、海まで行くこともある。

筆者が地元の学校の集団回収に関わっていた時、集団回収のたびにプラスチック製のヒモが大量にごみとして発生することに、驚いた。古紙をトラックに積む際、邪魔になった一部のヒモを切る。その切ったヒモを片づけるのは集団回収役員の仕事になるわけだが、うっかりしていると、風で飛んでいく。

古紙問屋ではさらに大量のプラスチックごみが発生していると聞き、古紙問屋さんに相談したところ、秋田で使われていた「紙ひも」を紹介された。

それ以来、長年紙ひもを使い続けているが、これが実にスグレモノだ。なんといっても、途中でごみにならず、そのまま製紙工場まで運ばれる(白色の紙ひもならば、新聞紙でも雑がみでも段ボールでも、縛ったものと紙ひもはそのまま一緒に製紙工場まで行くそうである。茶色の紙ひもは、段ボールを縛るにはよいが新聞にも利用する場合は白色がよい)。瞬間的に力を加えると切れやすいが、ジワジワと力を加える分には、プラスチックひもよりキッチリとよくしまり、緩まない。使う際、天地逆方向に引っ張り出さない、など使い方には若干注意が必要だが、慣れてしまえば簡単だ。

最近では100円ショップにも紙ひもが売られていると聞く。海ごみが話題になる前からの逸品。ぜひお試しいただきたい。

オットセイの首にヒモ↓

http://www.news24.jp/articles/2018/02/04/07384804.html