1998年の「紙容器、環境ホルモンで脚光」は、今再びよみがえる?

ため込んだ資料の整理をしていたところ、1998年6月10日(日経産業新聞)の「酒類・食品の容器、環境配慮で衣替えーー紙容器、環境ホルモンで脚光」という過去記事が目に入った。

すっかり忘れていたが、脱プラで紙製容器に注目が集まる昨今と同じような話が、過去にもあったのだった。

しかし、その内容を読むと、ハナマルキが発泡スチロールカップから紙製カップ入りの即席味噌汁を発売したという話以外は、紙とはあまり関係がない。例えば宝酒造が、ペットボトル入り焼酎「宝焼酎2.7<エコペット>」を発売するなどという話などは、どこが「紙」なのか?

要するに、紙容器に注目が集まったものの、採用例は少なく、書くネタがなかったということだろう。

しかし、最近の紙への注目度はこれまでにないほど高いような気がする。

紙容器といっても、これまでのようなプラスチックがラミネートされているようなものではなく、これからのものは本当に全部分解するものがよい。撥水加工も要らない。

もちろん基本はガラスや金属、陶磁器、木などを使ったリユース容器で、使い捨ての紙容器はあくまでも補助的な位置づけだ。来年はそういうものが普及してくれるとうれしい。

増える木製カトラリー(スプーンなど)、マックも採用

プラ新法に関する政省令の閣議決定は遅れており、この分では来年になりそうだが、企業による木製スプーンなどの採用は増えているようだ。

マクドナルドは来年2月からスプーンやフォークなどのカトラリーを木製に、ストローを紙製に順次切り替えるとのこと。まずは横浜市を中心に30店舗から導入を始める。これにより年間約900トンのプラスチックの削減につながるそうだ。

2025年末までにすべてを再生可能な素材に切り替える予定。

マクドナルドについての出典:TBSニュース(2021.12.22)「マクドナルド ストローを「紙製」に カトラリーを「木製」に切り替え」↓

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4432880.html

すかいらーくグループでも、スプーンなどは来年1月から木製に切り替える。同グループはこれにより、プラスチックの使用量を年間86トン減らすことができるとのこと。

木製に切り替えても使用量が変わらないのではどうしようもないが、すかいらーくGは来年中には木製スプーンを有料化するというから安心だ。

すかいらーくGについての出典:日テレニュース(2021.10.5)「広がる“脱プラ”木製スプーンに切り替えも」

https://news.yahoo.co.jp/articles/2c4e94a44b99200addd445da2016f0d207444702

マイクロプラスチックにならない生分解性プラ、生産開始

分解の際に蝋に変化するため、マイクロプラスチックにならない生分解性のプラスチックをイギリスの研究者が開発したそうだ。ポリマテリア社が大量生産を開始した。

一般的な生分解性プラスチックは、分解段階でマイクロプラスチック化する。例えば、早稲田大学の大河内教授は、富士山頂で生分解性プラを見つけたと報告している。

しかし、開発された生分解性プラは、分解時に蝋化することでマイクロプラスチックにはならないらしい。

作られた薄い梱包材は、226日で分解するとのこと。

原料が何かは書かれていないので、持続可能なものなのかはわからないが、マイクロプラスチックにならないプラスチックというのはすごい。台湾のセブンイレブンのサプライヤーとも取引が成立したという。

https://jp.sputniknews.com/science/202109248713948/

梱包材といえば、古紙とポリプロピレンを混ぜ合わせた「ワンダーエコ」という梱包材を最近時々見かける。紙が使われていても、プラスチックと混ぜ合わせているから、古紙としてはもうリサイクルできない。

この手の製品が最近増えてきた。発泡スチロールの梱包材よりはマシだろうが、古紙としてリサイクルできないのは困る。既存のリサイクルルートに乗らないものは、結局は燃やされてしまうことになる。

カナダBC州、EPRおよびデポジット対象容器を拡大

カナダ・ブリティッシュコロンビア州では、リサイクルを進めるための5カ年計画の一環として、電気自動車のバッテリー、マットレス、使い捨て燃料キャニスター、消火器をリサイクルの対象とするそうだ。

また、ソーラーパネルや、多くの種類のリチウムイオン電池、電気自動車充電器、電子タバコなど多くの電子製品も、拡大生産者責任(EPR)戦略に追加する。

同州は2004年以降、包装や紙、飲料容器、多数の電子機器、電球、タイヤ、自動車用オイル、不凍液、および塗料などをEPRの対象にしていたそうだが、今後一層EPRを拡大する。

たとえば、

・2022年2月以降、飲料容器のデポジット制度の対象を拡大し、ミルクおよびミルク代替容器を含め、年間最大4,000万個の容器をリサイクルする

・2023年1月より、業界が資金提供する住宅リサイクルプログラムを通して、リサイクルできる使い捨て製品(使い捨て食器、カトラリー、マドラー、サンドイッチバッグなど)の数を拡大する

など。

<出所>

https://news.gov.bc.ca/releases/2021ENV0052-001767

製紙メーカーが紙製トロ箱を開発?

製紙メーカーが水や氷を入れられる「段ボール箱」を開発した。水を入れた状態で3週間そのままでも水が漏れなかったそうだ。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210914/k10013257961000.html

「このうち、日本製紙が新たに開発した段ボール箱は、発泡スチロールの容器の代わりに使えるよう特殊な防水加工を施し、中に入れた水や氷が外にしみ出さないようにしました。会社によりますと、水を入れた状態で3週間そのままにしても水が漏れなかったということで、すでに一部の水産会社が鮮魚の輸送用として採用しています」(NHK, 2021.9.14)とのこと。

発泡スチロールは海ごみの代表格。発泡スチロール製トロ箱の代わりに使えるものならば、朗報だ。

発泡スチロール製の浮きなどの漁具に使えるもものは、紙では難しいかもしれないが、少なくともこの段ボールの保冷効果が高ければ、魚を入れるトロ箱の代わりにはなりそうだ。

とはいえ、段ボール古紙としてリサイクルできるのかは気になるところ。どうなのだろうか。

(以下、補筆)

使用後はリサイクルできる、と東京新聞夕刊(2021.9.15)に書かれていた。

また、このトロ箱については、過去の日経新聞に掲載されていた。

日経新聞(2021.3.17)↓

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ16BYU0W1A310C2000000/

EUのプラ規制、カップや生理用品にはどんなマークが付くの?

欧州連合(EU)加盟国では今年7月3日よりプラスチック製の皿やカトラリー、風船の棒、綿棒の軸、ストロー、マドラー、発泡スチロール製食品・飲料容器、発泡スチロール製カップ(カバー、フタ含む)などが禁止になった。

同時に、特定の使い捨てプラスチック製品に、プラスチックの含有情報や廃棄物管理方法などに関するラベル表示の義務化も開始された。

飲料用カップ、生理用品、ウェットティッシュ、フィルター付きたばこ製品などに付けるラベルは一体どんなものか。気になって調べてみた。

生理用品やウェットティッシュなどには「PLASTIC IN PRODUCT」という文字とイラスト2種(トイレに捨てるのはダメということがわかるイラストと、亀がぐったりしているイラスト)を付けるようだ。

このマーク↓

たばこのフィルターや一部にプラスチックが使われている飲料カップもほぼ同様のマークだが、完全にプラスチック製のカップは白黒のマークで「MADE OF PLASTIC」と書かれている。

これならば、生理用品やウェットティッシュ、紙コップなどを紙だけでできていると信じてトイレに流したり、ポイ捨てしたりする人は減るかもしれない。

詳しくは↓

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32020R2151

<参考>

JETROビジネス短信(2021.6.7)

https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/06/88299a30b5475ed7.html

フランス、気候変動対策・レジリエンス強化法案を可決 量り売りも強化 

フランスで7月20日、「気候変動対策・レジリエンス強化法案」が採択されたようだ。

同法案は2月10日に閣議決定されたもの。抽選で選ばれた150人の市民から成る「気候変動市民評議会」がまとめた環境政策提言の一部を採用したことで有名だ。

主な対策として、15個掲げられている。

例えば、断熱性の低い住宅の貸し出し禁止、農地などから大型ショッピングセンターへ転換禁止、州は学校の食堂では週に1回ベジタリアンメニューを提供する、などだ。

ごみ関連のものとしては、2030年までに400平方メートル以上のスーパーでは店舗面積の20%以上で量り売りなど包装のない商品を販売しなければならない。

また、紙の大量消費対策として、チラシを制限するための実験を36ヶ月間おこなう。レターボックスに広告OKの表示をした世帯以外にはチラシを入れない。

他にも温暖化対策に資する具体的な施策が並んでいる。

<出典>

https://www.ecologie.gouv.fr/loi-climat-resilience

ソニーのイヤホンのパッケージがよさげ

ソニーの新製品のイヤホンのパッケージがなかなか良さそうだ。

古紙と竹、さとうきびの繊維でできている。古紙は各地で回収されたもので、竹は中国の3つの山のものに限定、さとうきびはタイ製で、砂糖を精製する際に焼却してしまう搾りかすの繊維だとのこと。

竹ならばすぐに生えてくるし、古紙とさとうきびは廃物利用だ。リサイクルには不向きかもしれないが(※)、地下資源を使わず、再生可能な資源のみを使っているところは好感が持てる。

耐久性も見た目もよさそうだ。

※NHK(7月26日)によると、古紙としてリサイクルできるそうだ(8月2日加筆)。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210726/k10013159701000.html

「ソニーグループは、先月発売したイヤホンのケースにプラスチックが使われていない素材を採用しました。自社で開発したこの素材は竹やサトウキビ、再生紙が使われ、古紙としてリサイクルできるということで、会社ではこの素材をほかの商品のパッケージにも使用できないか検討するとしています。」

<参考>

BUSINESS INSIDER(2021.7.27)

https://www.businessinsider.jp/post-239238

ケージ飼いの卵はイヤ、平飼い卵を買ってみた

五輪で日本の鶏の飼育状況が、少しは変わるかと期待していたが、全然変わらなかった。

EU(欧州連合)では既に禁止されていると聞くが、日本の卵は92%がバタリーケージで飼育されたものだという。

身動きのとれないほど狭いケージ(1羽あたりB5版サイズのスペースだそう)に大量の鶏を押し込め、ひたすら卵を産ませるという飼育方法で、鶏はストレスに苦しみながら卵を産んでいる。

足下の床は金網。足も痛そうだ。

とはいっても、平飼いの卵などスーパーで売られているのを見たことない、と思っていたら、近所のスーパーで売られていた!しかも、卵パックは紙製!

とはいえ、価格はバタリーケージ卵の約2倍・・。

これではなかなか買い続けにくいと思ったけれど、鶏が苦しみながら産んだ卵だと思いながら食べるよりは、幸せに暮らす鶏が産んだ卵を食べる方が精神衛生上よいかもしれない、と思い直した。

これからは、できるだけケージ卵以外のものを選びたい、と思っている。

平飼い卵の卵パック

北九州市、市立学校で脱ストロー

北九州市が、学校給食の牛乳パックについていたストローをなくすために、パックを少し改良した。手で開けて、そこに口を付けて飲む方式。

ここまでするならば、びん牛乳にすればよいのに、と思うけれど、いろいろ理由はあるのだろう。

これで市内で年間約1500万本のストローを使わずに済むようになるそうだ。

ストロー廃止は2022年度から。年間約7トンのプラスチックごみが減るとのこと。

牛乳パックはどうなるのだろうか?ごみになるのか?それともリサイクルされるのか?やはり牛乳ビンに変えてほしかった。そうすればごみも出ない。洗びんの際に水が多少汚れるかもしれないが、それはリサイクルしても同じだ。燃やせばごみ量は約1割の焼却灰になるが、NOxやCO2など気体のごみがでるし、資源も無駄になる。

<参考>

日本経済新聞(2021.7.16)「北九州市、プラスチックストロー廃止 市立学校給食で」↓

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC157VX0V10C21A7000000/