「古着でワクチン」は罪悪感なしでごみを捨てられるシステムか

「古着でワクチン」は、ワクチンを免罪符に、罪悪感なしでごみを捨てられるシステムではないか、と疑っている。

3300円払うと、Tシャツが100枚も入るキットが送られてくるとのこと。それに古着を入れて送ると、海外へ送られ、現地の雇用にも役立つそうだ。

さらに、同団体のウェブサイトによると

「「古着deワクチン」を注文するだけで、認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会を通じて開発途上国の子どもたちにポリオワクチンが届けられ、一口につき5人の命を救うことができます」

とのこと。

しかし、ポリオワクチンの値段は1人分20円ほどだろう。5人分で100円だ。差額の3200円は送料と人件費ということか?

それならば、3300円をそのまま途上国へ送り、支援する方がよいのでは?と思う。

利用者は、断捨離してさらに寄付もできた、とよい気持ちになれる。

しかし、以前と違い、今は途上国には古着が余っているだろう。アフリカやフィリピンに古着を寄付すると、喜ばれた時代が確かにあった。

近年はファストファッションが激増し、そこそこの品質の新品の衣類が世界中に出回っている。よい古着を本当に困っている貧困層に直接寄付するならばよいだろうが、たいていの古着市場は既に飽和状態だ。

余りすぎて、古着が野外でプラごみの山を築いている地域もある。古着の多くは合成繊維製で、プラスチックだ。

同団体は「ジャパンSDGsアワード特別賞」も受賞しているようだ。しかし、本当にSDGsに貢献したい人は、古着を送って断捨離するよりも、まず服を頻繁に買うのをやめる必要があると思う。

中米の川に一面のプラごみ

中米エルサルバドルにあるスチトラン湖の動画を見て驚いた。

まさに一面のプラごみで、水面が見えないほどだ。

ぜひ、ここのAFP通信の動画をご覧ください↓

「中米の河川や浜辺覆うプラスチックごみ」

https://news.yahoo.co.jp/articles/b02f9297f1cad67146e932891d22168b4a773708

また、グアテマラを流れるモタグア川支流のラスバカス川からオモアに流れ着くプラスチックごみは、年間約2万トンで、大半はグアテマラ首都のごみ埋立地から流れ出したものとのこと。

ということは、このスチトラン湖のプラごみも、ごみ埋立地から流れ出したものだろうか。

そうであれば、ごみ処理インフラの整っていない国に、プラスチック入り容器に入った製品を売ったり、あるいは「リサイクル」名目で廃プラを輸出したりするのは、まさに「環境犯罪」だ。

マクドナルドがようやく脱プラ

マクドナルドのワンウェイ(使い捨て)プラ対応がようやく決まったようだ。

これまでは一部の店舗で木製などを試していただけだったが、ようやく全国2900店舗でストローを紙製に、スプーンやフォークなどを木製に順次変えると発表した。

ハンバーガーチェーンのモスフードも今月以降、持ち帰り用のスプーンとフォークを順次バイオマスプラスチックを配合したものに切り替えるとのこと。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221004/k10013847691000.html

脱プラもいいが、ハンバーガーチェーンには最善のアニマルウェルフェアを遵守してほしい。できれば商品の過半をビジタリアン用に「脱獣」で。

もちろん、ゲノム編集されたような肉もどきではなく、大豆ミートなど従来のもので十分だ。

できるだけ肉らしい味に近づけようと、ゲノム編集までされてしまうと、ビジタリアンフードまで胡散臭くなってしまうので。ゲノム編集コオロギのせいで、昆虫食を胡散臭い目で見る人がいる。その二の舞は避けたい。

加えて、価格面で難しいかもしれないけれど、できれば、国産の非遺伝子組み換え大豆などを使ったメニューも加えてほしい。そうすれば、罪悪感なしで食べに行ける。

紙 vs プラ 配送パッケージのリユース化はうれしいけれど

世界で宅配の配送パッケージのリユース化がふえてきた。

欧米では複数の企業が数年前から採用し、韓国でも政府が検討している。(参考「韓国政府が環境保護のため、2024年から多回用宅配箱の普及事業を本格推進することにした」)http://www.tbnews.co.kr/news/view.php?idx=2297&mcode=m22q90v

日本でもメルカリがテスト中だ。

https://about.mercari.com/sustainability/creating-a-circular-economy/eco-pack/

それはとてもうれしいけれど、どのリユースパッケージをみてもプラスチック製。

ダンボールがどんなに頑張っても数回しかリユースできないけれど、プラスチックは何十回もリユースできるのだから、やむを得ないのだろうか・・。

ごみを減らそうと思ってプラスチックを使うのは、やむを得ないが気に食わない。

我が家の浴室で床洗い用に使っているエコショップで買った自然素材のブラシも、そろそろ寿命だ。高かったのに、寿命は結構早くきた。エコは結構高くつく。

今度はブラシではなく、シュロ製の大型亀の子だわしにしようと思う。

パーム製の大型亀の子だわしならば100円ショップでも販売されているからパームでもよいが、シュロ製に比べ少し硬いのでキズが心配だ(我が家の浴室の床は少し柔らかい感触のタイル)。

シュロ製はさすがに100円ショップで売られていないが、ネットで検索すると800円ほどで販売されている。今度はこれを試してみたい。

環境ホルモン講演会:「6万越の化学物質のうちテストされたものは250のみ」個人でできる対策は

『生殖危機』の著者、スワン博士の講演を聴いた。

博士によると、6万を超える化学物質のうち、直接テストされたものは250しかないそうだ。

これでは生殖危機が起きても当たり前に思える。

また、よくいわれる「精子半減」は欧米諸国の話で、日本を含む東アジアやアフリカ諸国ではもっと状況が厳しいようだ。

レジュメによると、欧米諸国の精子濃度は1973年から2011年の間に52.4%減少しているが、アフリカ諸国では1965年から2015年の間になんと73%も減少している。

世界98%の国で少子化しているそうだが、日本を含む東アジアの少子化の実態はすさまじい。

もちろん、少子化の原因は環境ホルモンだけでなく、ストレスやたばこなどのライフスタイルなども原因だが、それらがそれぞれどの程度寄与して現在のような結果になったのかはわからないという。

わかっていることは、注意すべき内分泌かく乱物質(環境ホルモン)は、フタル酸エステル類、ビスフェノール類、有機フッ素化合物、農薬、そして難燃剤。

いずれも現状では、完全に排除するのは難しいものばかりだが、なんとかしないと大変なことになる。

とりあえず個人でも出来る対策としては、プラスチックを電子レンジで加熱しないことや「焦げ付きにくいフライパン」を使わないこと、できるだけ有機野菜を選ぶことなどか。フタル酸エステル対策としては、マニキュアをしないこと、香り付き製品を避けること、フタル酸エステルフリーと書かれていない消しゴムを使わないこと、市販のホースを使った水を安易に飲まないことなども有効だろう。

メディアは是々非々でなければならないはずなのに

メディアは、客観的に物事をみて、よいことはよい、悪いことは悪い、というものだと思っていた。もちろん、スポンサーに対しては一定の配慮というか忖度することもあるだろうが、それでもわざと誤った報道をするはずがない、と信じていた。

しかし、違ったようだ。

TBM訴訟について、こんな記事があった↓

https://sustainablejapan.jp/2022/10/03/tbm-alterna/77757

明らかにおかしな記事で、検査機関であるCERIが「容器包装リサイクル法上では、オルタナが実施した方式とは異なる熱重量測定方法を⽤いるのが⼀般的」だと表明し、まるでCERIが他の方法でも検査したら石灰石成分が最大であったかのような、あり得ない記載がなされている。

Sustainable Japanはまともなメディアだと思って、時々読んでいただけに・・・残念。

一体こことTBMは、どういう関係があるのだろうかと思い、ググってみたところ、Sustainable Japanの夫馬氏はTBMのファンとのこと。

https://fan.tb-m.com/fanvoice/79/

いくらファンでも、この記事はあり得ない。

裁判所、TBMの訴え認めず

オルタナのライメックス記事をめぐる裁判は、オルタナの全面勝訴だったようだ。

当然の結果だろう。プラスチックに重量で半分ほど石灰石を混ぜたからプラスチック製ではない、だから容器包装リサイクル法の再商品化費用を払わなくてよい、などというのは、全くおかしい。

検査方法によってプラスチックが最大成分になったり、石灰石が最大成分になったりするような製品が「プラスチックの代替品だから容リ法上のプラスチックには当たらない」といわれても腑に落ちない。

そもそも、そういう解釈が成り立つような容器包装リサイクル法の仕組み自体ヘンだ。こんな解釈がまかり通るならば、例えばPSトレーにタルクなどを少し多めに混ぜて、「プラスチックに重い石をまぜたから、もはやプラ製容器包装ではありません」ということもできる。

さらに、その分プラスチックを減らしたからエコです、ということも可能だ。

裁判では、訴訟内容の対象外だったため製品の正当性までは問題にされなかったようだが、この手の製品が増えると、再商品化費用を真面目に払っている企業が気の毒に思える。

消費者は、再商品化費用を払っているかいないかなどわかるはずもないから、プラスチック製だと思って、回収に出してしまう。そうすると、その処理費用は真面目に再商品化費用を支払っているメーカーの負担になる。

この手の製品が増えると、容リ法の存続すら危ぶまれる。

プラスチックを使用している製品は、充填剤も含めた総重量で、プラスチック製容器包装としての再商品化費用を負担すべきだ。

<参考>

オルタナ↓

ファミマ、プラ製フォーク廃止に続き、焼きうどん容器にバイオ素材配合 バイオ配合って??

ファミリーマートがプラスチック製フォークの廃止を決定したと聞き喜んでいた。今度は焼きうどんと焼きそば容器を薄肉化し、バイオ素材を配合するという。

プラスチック削減になるのはよいことだと思うが、この「バイオ素材配合」の文言が少し気になる。

どんなバイオ素材なのか?また、どのように「配合」したのか?

おそらく、バイオPE(ポリエチレン)などを配合したのではないかと思うが、この書き方ではバイオマスを原料に使用したとも受け取れる。

もし、プラスチック原料の一部にバイオマスを使用したならば、バイオマスプラスチックにしたと宣伝するはず。そう宣伝しないのは、ごくわずかしかバイオマスを使用していないせいか、それとも、バイオマスを細かくしてフィラー(充填剤)として混ぜ込んだだけなのか?

もし、後者ならば、このフィラー量が気になる。今はまだ少なそうだが、もしいずれ増えればどうなるのだろう?

フィラーとしてプラスチックより多い量をプラスチックに混ぜ込んでいれば、「フィラーが最大成分だから、これはプラスチック製容器包装ではないし、バイオマスプラスチックでもない。従って、容器包装リサイクル法のプラスチック製容器の対象ではない」と言い張れるのではなかろうか?(もちろん、ファミマはそんなアコギなことを言わないと信じているが・・)

言葉の定義も法律の定義も曖昧なので、その手のものが増える前に、定義をしっかり詰めてほしいものだ。

できれば容器包装リサイクル法を改正し、プラスチックを使用したものはフィラーがバイオマスであろうと非バイオマス(石灰石など)であろうと、最大重量が何かにかかわらず、フィラーも含めた重量を「プラスチック」と考え、その全重量分の再商品化費用を事業者に負担させるべきだろう。

凸版印刷が9月からシャンプーなど詰め替え容器の回収開始

凸版印刷が9月1日から、都内のイトーヨーカドー6店舗で、シャンプーや洗剤などの日用品詰め替えパッケージの回収を開始する。

6店舗中3店舗ではポイントを付けるそうで、インセンティブの有無で回収量が違うか調べるようだ。

しかし、ポイントは3枚で15ポイントとのことなので、金銭的インセンティブとしては弱いから、インセンティブ効果は期待できないだろう。

期間は11月30日まで。

詰め替え用パッケージなどのように複層になっているプラスチックは、自治体のリサイクルに出しても、リサイクル不適なためリサイクルされない(リサイクル工場へ行っても「残渣」として処理される)。

回収してくれるのはありがたいから、花王やライオンなどとも組んで、全国に広げてほしい。

<凸版印刷の取り組みについての参考>

https://www.toppan.co.jp/news/2022/08/newsrelease220825_2.html

コンビニ弁当と冷凍食品の多食で死産率上昇?!赤ちゃんがプラスチックに殺されている?

日本の人口減少が加速しています。プラスチックより日本人の方が早く減るよ・・と冗談で言っていたら、どうも冗談ではすまなくなってきました。

出生率低下の背景は複雑ですが、子どもがほしくても生まれなくなってきていることも原因の1つでしょう。

日本人男性の精子数も減少しているそうですが、西洋諸国でも精子数の減少は深刻です。

1973年から2011年までの間に、精子の濃度は西洋諸国の人板男性で52%以上低下、総精子数は59%以上減少したとのこと(『生殖危機』シャナ・H・スワン他、2022年、原書房)。

また、男性の生殖能力の側面が年約1%の割合で悪化し、女性の流産率も年約1%で増加しているそうです(同書)。

原因は、食べ物や大気の汚染にあり、やはり各種化学物質が主因ではないか・・と思っていたところ、エコチル調査をもとにまとめられた名古屋市立大学の研究チームの発表がありました。

冷凍食品や市販弁当を週に1or2回以上食べる妊婦はほとんど食べない妊婦に比べ、死産率が2倍以上多いというのです。

https://www.env.go.jp/chemi/ceh/news/10904194000.html

原因はおそらくコンビニ弁当などをプラスチック容器ごと電子レンジで温めることで発生する化学物質(おそらく内分泌攪乱作用のある化学物質)でしょう。冷凍食品も、最近のものは中のトレーごと「チン」するようにと書かれています。

調べたところ、使い捨て弁当容器はポリプロピレンやポリスチレンが多いようです。電子レンジに直接かけても何も発生しそうにないと思われますが、油分の多い惣菜が中に入っていた場合、かなり高温になることが予想されます。

プラスチック容器には可塑剤として何らかのフタル酸エステル類が使われていることが多く、フタル酸エステル類には環境ホルモン作用があります。低容量でも曝露時期によって影響は様々ですが、胎児期に曝露すると影響が大きいことが知られています。

EUは既に大半のフタル酸エステル類を禁止しているので、こういう問題は起こりにくいと思われますが、日本は赤ちゃんの使うおしゃぶりや玩具、一部の食品容器を除き、フタル酸エステル類をほとんど禁止していません(食品容器については、2002年の食品衛生法改正で、油脂や脂肪性食品を含有する食品に接触する器具・容器包装について、フタル酸エステル類の一種であるDEHP を含むポリ塩化ビニルの使用を禁止している。しかし、フタル酸エステル類はDEHP意外にもある上、ポリプロピレン製食器などからもフタル酸エステル類が溶出しているという海外での研究報告があるので、食品容器についてもきわめて不完全な規制)。

先日の環境ホルモンのセミナーでも、フタル酸エステル類はかなり危険な環境ホルモンの1つとして紹介されていました(日本ではフタル酸エステルは環境ホルモンではないとされていますが、海外講師のセミナーだったので、日本企業や環境省への忖度がなかった)。

もちろん、弁当容器や冷凍食品から溶出し、赤ちゃんを殺す化学物質はフタル酸エステル類以外にもあるでしょう。論文ではビスフェノールAも疑われているようですが、日本ではビスフェノールSの方が多く使われています。ビスフェノールSもAと悪影響は変わらない、むしろSの方が環境ホルモン作用が大きいなどという研究報告がありますが、日本は世界で一番ビスフェノールSを使っているらしく、日本人の尿からの検出がグンを抜いて高濃度だった、という研究報告があります。

日本はまるで、ビスフェノールSの人体実験の場のようです。そのうちに、日本人の尿サンプルをもとに、ビスフェノールSの危険性が証明されるかもしれません。

いずれにせよ、プラスチックなど日用品に使われる化学物質は、危険だと証明されない限り、何でも使ってよいようで多くのものが使われています。危険だとして、EUなどで規制されているものでも、日本で使い続けられているものもあります。

日本では、環境ホルモンについての言及はタブー視され、マスコミは口をつぐみがちです。科学者も環境ホルモン問題では科研費がおりないので、研究する人はわずかです。

このままでは、日本の人口はますます減り続けることになりそうです。